税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

新しい簿記の話

クリーン・サープラス関係

このブログでも過去に何度かとりあげていますが、会計基準に「クリーン・サープラス関係」という言葉が登場していますので、実際の基準をベースにその意味を確認しておきましょう。
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資本取引

いよいよ試験まであと2週間強ですが、学習は順調でしょうか。

何をすべきかを見失いがちですが、攻める(難しい問題を解く)方が燃える方は難しい問題にも果敢にチャレンジしてよいと思います。

難しい問題にちょっと萎えてしまったという方は、これまでに解いた問題の精度を上げましょう。


理論学習は、これからの時期が効果的です。

ただ、まったく新しい理論に手をつけるのではなく、すでに学習済みの項目の精度を上げるのがよいでしょう。

このブログでもこの時期に奇抜な項目をあげるのは避けますが、よく登場する概念の会計基準での位置づけを確認しておきたいと思います。

それは、「資本取引」です。

まずは、どこで登場するのか?からスタートです。
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250%償却法

久しぶりに検索ワードをながめてみると定番のキーワードに加え250%定率法(償却法)が上位にきていました。

かなりの方が検索されているご様子です。

考え方は難しくないのですが、ちょっと面倒で計算方法を追うだけだとなかなか定着しないのではないでしょうか。

以前にもご紹介していますが、今一度。
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全面時価評価法への一本化について

新しい連結基準では、子会社の資産、負債について、これまで認められていた部分時価評価法を廃止し、全面時価評価法のみの取り扱いとなっています。

以前のコメント欄等で全面時価評価法は経済的単一体説と整合的でもあることから、この観点の修正の意味もあるのではないかという発言をしています。

どこで発言したのかの記憶がないですが、不正確なので記事にて訂正させていただきます。

部分時価評価法の廃止は、連結財務諸表の作成の考え方(親会社説と経済的単一体説)と必ずしも関係はなく、単純に全面時価評価法の方が合理的だからという理由といった方がスジがとおっているようです。

この方が持分法で部分時価評価法を残すことと整合性がとれます。

連結基準上の根拠については、61項を参照ください。

無形資産の動向

無形資産について改正の議論が進んでいるようです。

ざっくりとは繰延資産と統合という方向性のようです。

当面の取扱いは廃止の方向ですね。

試験的にはまだ先の話ですが、現状の取扱いで関連する部分が出題されたりすることは少なくありません。

少し意識を向けておきたいところではないでしょうか。

論点整理が出ていますので、興味のある方はどうぞ。

無形資産に関する論点の整理(pdfです)

日本、国際会計基準導入へ

9月4日の日本経済新聞朝刊一面の見出しです。

試験への影響も気になるところです。

まだ、先の話ですが。
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減価償却制度を考えてみる

このブログではまだ触れてもいないですが、新しい減価償却制度について、概要と出題の可能性等を考えてみました。

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概念フレームワーク・メモ(資産の定義)

昨年末に概念フレームワークが改訂されています。

これまでは、企業会計基準委員会の公式な文書ではありませんでした。

今後は、企業会計基準委員会からの文書になります。

改訂では、表現を随分、やわらかくした面が大きいと思います(たぶん)。

このブログで「厳しい」を連発したんで、変えてくれたんだと思います(←な訳ないでしょ)。



概念フレームワークでは、資産を「経済的資源」と定義しています。

その経済的資源は、「将来のキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」です。

「源泉」の部分がこれまでは、「集合体」でした。

まあ、集合体も、源泉もどっちもどっちです(←どっちも厳しいのね)。

いや、集合体のが厳しいかな。



集合体という言葉を聞いたときの第一印象は、「厳しい」です。

ですが、企業をいわば「投資の束」と見る見方があるようで、それを受けてかなあと思っていました。

企業はいろんな事業に資金を投じます。

もういろんな事業です。

たこ焼とか株です(←二つですか)。

それぞれの事業ではその資金はいろんな形態(資産等)をとります。

で、いろんな資産等があって一つの事業です。

資産等を別個に見るというよりは、一つの事業の中の構成要素として一つの資産等がある。

そんな資産等の寄り集まりが事業で、その事業のまとまりが企業とそんなイメージかもしれません。

そんなイメージを受けての「集合体」かなと思っていました。

その「集合体」が「源泉」に変更されました。



もっとも、いずれにせよその一個手前の便益あたりで軽く唸ってはいますが。

「便益」って、便宜と利益ですよね。

まあ、ぼんやりです。

はい。



「便益の源泉」じゃなくて、「物」じゃだめですか。

そっちのが覚えやすいし。

んっ。物だと有形だけで、無形は入らないのか。

じゃ、「もの」じゃだめですか。

「もの」はないでしょ。

じゃ「便益の源泉」でいきますか。

まあ、そんな検討があって決まったんでしょう(←な、訳ないでしょ)。

でも、とりあえず、何度か書いたんで私は覚えちゃいました。

えへへ。

皆さんもコピペ(コピー&ペースト)ではなくて、打ちましょう。

覚えますよ。

資産=経済的資源→「将来のキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」

概念フレームワーク・メモ(投資のポジションと成果)

従来的(動態論)的には、財務諸表が何をあらわすのかに、財政状態と経営成績という言葉があてられていました。

貸借対照表が財政状態、損益計算書が経営成績をあらわすという具合です。

企業会計原則の使い方も同じです。

概念フレームワークでは、これを「投資のポジションと成果」という言葉で表現しています。


財政状態は、企業資本の運用形態(資産)とその調達源泉(負債と資本)をあらわすと説明されることも多いです。

ここでは、資産と「負債と資本」が並列的に考えられています。

負債は、資本に近いんですね。

等式であらわすとしたら、「資産=負債+資本」です。


これに対して、概念フレームワークでは、「資産−負債=純資産」と考えています。

負債は、資産の正反対です。

でもって、「資産と負債」と純資産が考えられている訳です。


同じ財務諸表でも考え方によって、それをあらわす表現もちょっと違うんですね。

使分けているという方が正確でしょうか。

びっくりです。

でも、ポジション(カタカナ)と成果(漢字)は、もっとびっくりです。

「さくらと一郎」みたいな感じでしょうか(←まるで違います)。

静態論:貸借対照表→財産状態

動態論:貸借対照表→財政状態(資本の運用形態と調達源泉)、損益計算書→経営成績

概念フレームワーク:貸借対照表→投資のポジション、損益計算書→投資の成果

リスクからの解放メモ(金融商品)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識に関する新しい考え方です。

これまでの収益の認識は、実現主義でした。

売れた時点で収益をたてる訳です。

歴史的には、実現→実現可能(リスクからの解放)と実現概念は、拡張しています。

これらの考え方(実現、実現可能、リスクからの解放)の区別の実益があるのは、有価証券等の金融商品等についてです。

そもそも市場のある有価証券については、換金性という意味では、貨幣に近い性格があります。

そして、それは、別に今、急にそうなったという訳でもありません。

昔からそうだった訳です。

株式市場は、昔からあります。

なんで、急にやれ時価評価だの、評価益を計上するという話になったのでしょうか。

その大きな原因は、端的には、金融商品が増えたとことにあります。

もう少しきちんといえば、経済の中で、金融商品の占めるウェイトが増えたというのが大きな原因です。

たこ焼をはじめとする実体のある経済は、極端に膨張するということはありません。

というのも私が(みんながでしょ)食べる量がある程度、限られているからです。

これに対して、いわば信用の上に成り立つ金融商品は、上限を知らない的なところがあります。

特にデリバティブといったよくわからない金融商品の開発は、金融商品の経済に与える影響を大きくしたのでしょう。

このウェイトが小さい段階では、それほど大きな問題は生じませんでした。

しかし、その比重が高まるにつれて問題も生じてきたのです。

金融商品を原価のままで放置していたため、実際に多額の含み損を抱えた企業が倒産という事例が相次ぎました。

つまりは、これまで会計学的に放置されてきた有価証券等の金融商品を含んだところできちんとした理論をつくる必要が生じたのです。

つづく。


ジリジリとポイントを下げております。お手すきの方のご声援(1クリック)の程、よろしくお願い申し上げます。

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リスクからの解放メモ(税理士試験 財務諸表論 平成18年度 第2問)

概念フレームワークをはじめとする新しい考え方が、公認会計士試験や税理士試験でもじわじわと出題されています。

いま、話題としているリスクからの解放について、これまでに直接的な出題はありません(たぶん)。

ただ、平成18年度 第2問の税理士試験の財務諸表論の出題では、かなりかすった出題がなされています。

これまでも税理士試験では、特に有価証券をめぐる評価ないしは収益の認識については頻出です。

実際の出題については、こちらをご覧下さい。

実現とは何か(9)


財務諸表論の理論は、2題でそれぞれがある程度のテーマ(横断的ではありますが)をもっている事を考えるといかに出題頻度が高いかがわかるでしょう。

そしてついに昨年度の出題では実現概念との関連が俎上にあがりました(配点的には小さそうですが)。

「金融商品に係る会計基準(以下「基準」という。)においては、売買目的有価証券について時価をもって貸借対照表価額とし、その評価差額は当期の損益として処理することとされている。基準で示されたこうした会計処理の根拠を、下線部(ア)で要求された会計処理と関連させながら述べなさい。」

上記出題における下線部(ア)は、企業会計原則の損益計算書原則一Aのただし書で「未実現収益は原則として、当期の損益計算に計上してはならない。」という部分です。

損益計算書原則一Aでは、本文で発生主義を規定しており、ただし書以降が、いわば伝統的な実現主義です。

で、売買目的有価証券の時価評価、評価差額を損益とする取扱いを実現主義との関連で説明しろという出題です。

実際の出題が直ちにリスクからの解放を意図したものなのかについては、私もよくわかりません(むしろ複数の回答を想定しているようにも思えます)。

しかし、伝統的な実現概念(引渡+貨幣性資産の受領)で、有価証券の評価益(損)を説明できないことは明らかでしょう。

伝統的な実現概念を超えた出題が既に実際の税理士試験の出題でなされている点は注目すべきだと思います。

そしてこの問題を出題された試験委員の方が、本年も出題をなさるとすると、横断的な出題の一部に新しい考え方を盛り込むということは、極めて自然に想定されるでしょう。

概念フレームワーク、そしてリスクからの解放について、なんか急にはじめた一つの理由でもあります。


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リスクからの解放メモ(リスクからの解放)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識に関する新しい考え方です。

収益(利益)の認識の考え方は、実現→実現可能と拡大しています。

ややこしいのは、概念フレームワークでとっている「リスクからの解放」=「実現可能」ではない点です。

関係性としては、実現 < リスクからの解放 < 実現可能 です。

とてもわかりやすいのが、その他有価証券の取扱いです。

実現………………………原価評価
リスクからの解放………時価評価・差額は純資産(←現状の取扱いです)
実現可能…………………時価評価・差額は利益

結果としての取扱いはわかりやすいのですが、問題は、やはりリスクからの解放の考え方そのものでしょう。

概念フレームワークでは、「投資に対して不可逆的な成果が得られた状態」をさすものとして使用されています。

不可逆的というのは、戻ることができないといった意味でしょうが、私にとって全くなじみはありません。

概念フレームワークを読んでいて感じるのは、このようななじみのない用語が多いなあという点です。

リスクからの解放で軽く引いた感じになって、「不可逆」で、戻れなくなります。

戻れないというのが投資の成果ではなく、意識です。

ふーっ。

ため息ばかりついていてもしょうがないので、先を進めようとするのですが、言葉がつなぎにくいです。

概念フレームワーク自体が、特定の取引を想定して、その具体的な会計処理を規定している訳ではありません。

いわば、その前提となる考え方を書いてある訳で、具体的な会計基準よりもどうしても抽象的になってしまいます。

で、耳慣れない言葉も多いとなるとどうしても近寄りがたい感じがしてしまいます。

しかし、です。

税理士試験でいえば、財務諸表論で概念フレームワークをやらざるを得ない日は来ます。

それが来年であるかどうかは見方がわかれるかもしれませんが、来ます。

で、私は、来年度の財務諸表論で何らかの形で絡んだ出題があってもおかしくないと思っています。

で、おそらく選択肢は2つです。

ある程度ちゃんとやるか、いい加減にやる(ほとんどやらない)か です。

というのも抽象度が高い分、直前の暗記的な対策はききにくいと思うからです。

で、しっかりやる道を選ぶべきだというのが、私の考えです。

ここはたぶん判断の分岐点でしょう。

少なくともこのブログをご覧の財務諸表論受験生の皆様には、やるという選択をして欲しいです。

仮に実際の講座でやっていなかったとしてもです。

そして実際の試験で概念フレームワークが直に出題されても、されなくても、合格答案が書ける。

そんな予備知識をこのブログでご提供できればと思っています。

そう、それが、この「税理士試験 財務諸表論 講師日記」の使命です(←ついにタイトルまで変りましたか)。


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リスクからの解放メモ(実現可能とリスクからの解放)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識(タイミング)の新しい考え方です。

従来的な売上計上のタイミング(認識)は、実現(資産の引渡)時点でした。

たこ焼でいえば、たこ焼を売った(引渡した)時点です。

それを実現可能(引渡可能)というところまで拡張したのです。

もっとも通常の商品は、そのまま実現です。

この点についての変更がある訳ではありません。

実現可能という考え方がとられる(ことがあるのは)有価証券をはじめとする金融商品です。

典型は、株式です。

市場で常に売買されているような株式です。

これが問題なんです。

タコ焼は、つくっても売れるかはわからない。

でも、例えば上場有価証券のようにきちんとした市場があれば、少なくとも値段の問題はありますが、売れることはほぼ間違いありません。

それじゃあ、売ることができる、つまりは実現可能でいいじゃんというのが一つの考え方でしょう。

うーん、実現可能………。

まとめますと、次のような感じでしょうか。

たこ焼(商品) →実現

株式(有価証券)→実現可能(リスクからの解放)

まあ、たこ焼は、うまいけど作りおきはダメとそんな感じです(←違うし、すべってるでしょ←すべる言うな!!)。

つづく。


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リスクからの解放メモ(実現から実現可能へ)

概念フレームワークにおける利益(収益)の認識の考え方、リスクからの解放についてお届けしています。

伝統的な実現概念は、歴史的にみるとだんだんと広がっていきました。

最初は、具体的な取引を実現と考えていました。

商品を(具体的な)誰かに売ったら実現です。

タコ焼屋でいえば、タコ焼をお客に渡した時点で売上です(なぜタコ焼屋?)。

これはわかりやすいです。

タコ焼が現金になった時点が売上計上のタイミングです。

会計学的にいえば、タコ焼という費用性資産が現金という貨幣性資産に転化した段階が売上計上のタイミングという感じでしょうか。

要は、売ったら実現です。

企業会計原則にもそんな事が書いてあります(←いい加減な。財務諸表論を学習している方は損益計算書原則三B参照)。

それが、売る事が可能な状態ならいいじゃんという方向に拡大しています。

もっとも、一般的な「商品」にこの考え方が適用される訳ではありません。

タコ焼屋の売上をタコ焼をつくった段階で計上するなら、タコ焼屋の業績は、いかにタコ焼を早く焼けるかの勝負になってしまいます。

そうするとおいしいタコ焼を真心をこめて丁寧につくっているタコ焼屋さんは、廃業です。

そうすると私は冷えたタコ焼しか食べられません。

これではあんまりです(←って、話ズレてないか?)。

まあ、レンジでチンすればいいか(キレもないのね)。

残念。

つづく。

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リスクからの解放メモ(実現との違い)

概念フレームワークが利益(純利益)を認識する考え方としてとったのが「リスクからの解放」です。

従来の収益の認識には、実現主義(実現主義の原則)がとられていました。

商品の販売についていえば、商品を相手に渡して、現金等を受取った段階で売上を計上する。

それが実現主義の考え方です。

この場合、相手もいますし、その金額もはっきりしています。

相手先との実際の取引(これが実現でしょう)があった段階で収益をたてれば、確実で、客観性もあります。

その後の税金や配当の支払いに困ることもありません(処分可能ってやつですな)。

逆にいえば、相手との取引という具体的な事実がなければ、収益をたてない訳です。

ところが、現行制度上、相手との具体的な取引に基づかないで収益(利益)をたてるケースがあります。

売買目的有価証券の評価益です。

従来の「実現利益+売買目的有価証券の評価益」が「リスクからの解放」による利益ということになります。

まあ、結果としての処理はわかりやすいです。

というか現状の処理です。

ですが、「リスクからの解放」という表現というか何というか。

えーっと、もう少しなんとかならないでしょうか。

ならないでしょうね。

ふーっ。


えーっと、無事、陥落いたしました(泣)。

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リスクからの解放メモ(包括利益と純利益)

我国の概念フレームワークが包括利益から純利益に絞りこむためにとった考え方、それがリスクからの解放です。

今、「リスクからの解放とは何か」と題してお届けしようとしていますが、なかなかうまくまとまりません。

で、メモ的にいわばパーツ部分を記事にしてみることにしました。

そのうちうまくまとまるといいのですが(←そのうちでつか)。


概念フレームワークでは、いわば財産法的な利益を包括利益としています(純資産の変動額)。

その包括利益のうち「リスクから解放された投資の成果」を純利益としています。

いわば包括利益を純利益に絞り込むための考え方が「リスクからの解放」です。


今、会計基準(や概念フレームワーク)の国際的な統一の動きが進んでいます。

で、流れとしては、包括利益のようです。

きっと数年後には、損益計算書は、がらっと変って、最終値は包括利益です。

ふーっ。

皆さんは、ぜひ、損益計算書が変る前に、簿記論と財務諸表論に合格しましょう!!

って、リスクからの解放メモじゃないなこりゃ。


この記事の真の狙いは、こちらでした。

「リスクかの解放とは何か」を読みたい!!という方のご支援(1クリック)の程、よろしくお願い申し上げます(っていうか、真の狙いといわれても………)。

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新静態論と貸借対照表アプローチ

(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)

資産概念は、おおむね上記のように推移してきました。
このうち、今まで、静態論と動態論における資産概念をみてきました。
動態論(及び静態論)は、ドイツの偉大な会計学者であるシュマーレンバッハの手になる理論で、その後の新静態論の部分は、必ずしも筋道のたった体系的理論が形成されている訳ではないようです。
新静態論という呼称も必ずしも一般化している訳ではありません。

しかし、現実として会計処理は、大きな変貌を遂げています。
それは必ずしも統一的な理論で説明できるというよりも部分的なすりあわせに近いといった方がよいのかもしれませんが。
その意味でいうと「××論」という呼称よりも、「××アプローチ」や「××観」と呼んだ方がよいのかもしれません。

(1)貸借対照表アプローチ
(2)損益計算書アプローチ
(3)貸借対照表アプローチ

上記で貸借対照表アプローチや損益計算書アプローチは、文字どおり、貸借対照表項目に着目するか、損益計算書項目に着目するかの違いといってよいでしょう。
静態論や動態論との違いは、必ずしも全体的・体系的なものではないといってもよいかもしれません。

現在は、(2)から(3)への移行がみられる段階といったところでしょうか。
先行するアメリカでは、(3)への傾斜がみられるといってよいのでしょう(たぶん)。
我国の新たな財務諸表の体系をみる限り、むしろ(2)と(3)の中間を指向しているように思われます。
これが、過渡的なものなのか、それとも長期にわたって継続していくものなのか、残念ながらわかりませんが。

アメリカにおける会計学の変遷を概観することは、私には力不足でできません。
ただ、その一端は、以前、実現とは何かの中で述べたつもりです。
ごく簡単にいえば、有価証券をはじめとする金融商品の存在が、現実的な会計処理の変更を迫ったといってよさそうです。

つづく(って、どこにだ)

動態論の資産概念(その4)

動態論では、損益計算を重視しています。
そこでの貸借対照表は、損益計算を行う手段にすぎません。
動態論で想定されている損益計算は、収支を基礎にしており、収支を損益に変換する段階で生ずる未解決の項目が貸借対照表に収容されることになります。

前回、商品販売を例にとり、動態論における資産がどのように考えられているのかをみてきました。

(商品販売の場合)
現金(1)100→商品→(販売)→売掛金150→受取手形→現金(2)

このような資金の循環過程のうち、その投下過程にある資産(商品=支出未費用)を費用性資産といい、回収過程にある資産(売掛金・受取手形=収益未収入)が、貨幣性資産と呼ばれます。
当初に投下された資本(100)を超えて回収された資本(150−100=50)が「利益」です。

(資金の貸付の場合)

現金→貸付金→現金

この場合の貸付金は、後に費用になる訳ではありませんので、支出未費用ではありません。
また、収益未収入という訳でもありません。
新たなカテゴリーを設ける必要があります。
それが、「支出未収入」です。

今までに登場した動態論の資産類型は、次の4つです。

(1)支払手段(現金、預金=貨幣性資産)
(2)支出未費用(棚卸資産、固定資産=費用性資産)
(3)収益未収入(売掛金、受取手形=貨幣性資産)
(4)支出未収入(貸付金=貨幣性資産)

このように動態論では、企業活動を資金の循環過程と捉え、その資金の循環過程における資産をその投下過程にある資産(費用性資産)と回収過程にある資産(貨幣性資産)とに区分し、費用性資産は、支出額を基礎に、貨幣性資産は、収入額を基礎に評価することとした訳です。

動態論の優れた点は、企業活動を資金(資本)の循環過程になぞらえ、みごとに描写しつつ、その金額の決定(評価)の基礎的な考え方を呈示している点にあるといってよいかもしれません。
動態論の素晴らしさは、今日においても色あせることはないといってよいでしょう。
しかし、現実として時代は、また、静態論(新静態論)へと動いています。

なぜ、新静態論へと移行しているのでしょうか?
動態論の何がおかしかったのでしょうか?

次の課題です(って、まだつづくのね)。

つづく

動態論の資産概念(その3)

動態論の資産概念のつづきです。
前回の例に手形回収を加えました。

設立:現金(1)100 資 本 金100
仕入:商  品100 現  金100
掛売:売上原価100 商  品100
掛売:売 掛 金150 売  上150
手形:受取手形150 売 掛 金150
回収:現金(2)150 受取手形150

現  金:支払手段
商  品:支出未費用
受取手形:収益未収入
売 掛 金:収益未収入

動態論では、資産を「支払手段」、「支出未費用」、「収益未収入」等からなるものとして捉えますが、ぶっちゃけ何だかつかみ所がない気がします。
おそらくは、「だからどうしたのか」が明確ではないからでしょう。

やや、異なる視点から考えてみましょう。
それは、「資金(資産)の流れ」と「その金額(100円と150円)」についてです。

(1)資金の投下の過程
上記の仕訳の借方(100円)に注目してみると、当初の現金(1)が、商品、売上原価へと姿を変えていることがわかります。

現金(1) → 商品 → 売上原価

(2)資金の回収の過程
また、同様に借方(150円)に注目してみると、売掛金、受取手形、現金(2)と姿を変えていることがわかります。

売掛金 → 受取手形 → 現金(2)

商品の販売を契機に異なる金額(100円と150円)での資産に変化があることがわかると思います。

動態論では、このように、(1)資金の投下の過程にある資産(商品)をその資金の投下額(支出額)で捉え、(2)資金の回収の過程にある資産(売掛金、受取手形)をその資金の回収額(収入額で捉えています。

(1)資金の投下の過程 → 商品       →100円(資金の投下額)
(2)資金の回収の過程 → 売掛金、受取手形 →150円(資金の回収額)

(1)の資産が、費用性資産と呼ばれ、(2)の資産が、貨幣性資産と呼ばれます。

商品販売を例にあげて、動態論の資産概念をみてきました。
いま一つ、典型的な取引を取り上げ、なんとか総括したいと思います。

つづく

動態論の資産概念(その2)

静態論のもとでの貸借対照表項目は、売却時価で評価されますが、現実の企業は、事業活動をやめて、資産を売却する訳ではありません。
現実の企業は、貸借対照表項目をどのように評価するかにかかわりなく、事業活動を継続しています。
企業は、出資者から資金を募り、その資金で様々な資産を購入します。
その購入した資産を利用したり、また、販売したりして、投下した資金の回収をはかります。

今、単純な一連の取引を考えてみましょう。

設立100円
仕入100円
掛売150円
回収150円

一連の仕訳を売上原価対立法によって示してみます。

設立:現  金100 資 本 金100
仕入:商  品100 現  金100
掛売:売上原価100 商  品100
掛売:売 掛 金150 売  上150
回収:現  金150 売 掛 金150

今、上記の一連の仕訳における資産科目を動態論では、次のように考えています。
現 金:支払手段
商 品:支出未費用
売掛金:収益未収入

現金は、どのような理論をとろうとも資産であることに変りはありません。
収支の手段としての意味を持っています。

商品は、前回にご紹介した消耗品と同様に「支出が行われているが、費用になっていない項目」、つまり、「支出未費用」です。

新しく登場したのが、売掛金ですが、収益を獲得し、将来の現金収入をもたらします。
このような項目を「収益未収入」と呼びます。

「支払手段」、「支出未費用」、「収益未収入」

動態論の姿が見えて………こないか。

つづく

動態論の資産概念(その1)

動態論の話のつづきです。

(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)

動態論では、貸借対照表を「損益計算と収支計算との差」を収容する項目の一覧表と考えています。
今、このことを消耗品の購入と消費を例にとって考えてみましょう。
消耗品を購入時に資産(消耗品)処理し、決算時に消費分を費用(消耗品費)処理する場合です。

購入時:(借)消 耗 品100 (貸)現金預金100

決算時:(借)消耗品費 70 (貸)消 耗 品 70

損益計算書には、消耗品費70が計上され、貸借対照表には、消耗品30が計上されます。
支出額は、100円ですが、この支出額100円のうち費用70円にならなかった30円が資産と考える訳です。

動態論の始祖であり、近代会計学の父(いや母だったか)と呼ばれるドイツの会計学者、シュマーレンバッハはこのような項目を「支出未費用」と名づけました。
支出が行われているもののいまだ費用になっていない項目という意味で、「支出未費用」です。
このように貸借貸借表項目のすべてを収支との関連で考え、損益計算を行った残りが貸借対照表項目と考えた訳です。

棚卸資産、固定資産等は、このような意味での「支出未費用」項目です。
もちろん貸借対照表項目は、「支出未費用」だけではありません。


次回以降でもう少し貸借対照表項目の範囲を広げつつ動態論の核心に………迫れるのか?

つづく

動態論の考え方

資産概念は、おおむね次のように推移してきました。

(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)

静態論のもとでの資産は、売却価値を有する財産であり、その貸借対照表価額は、売却時価になります。
考え方そのものは極めて明確なのですが、売却時価の算定は必ずしも容易ではありません。
そこでより確実な評価の標準として求められたのが原価だったといってよいかもしれません。

動態論(動的貸借対照表論)は、貸借対照表ないしは会計全般に関する考え方ですから、原価(支出)に限定するとやや正確性を欠きます。
むしろ、収支(収入と支出)といった方がよいでしょう。

静態論は、財産計算を重視しますが、動態論では、損益計算をその中心においています。
ある期間の損益は次のように計算されます。

収益−費用=利益

今、仮に、企業の全生涯を仮に想定した場合、その全生涯における損益計算は、収入から支出を差し引くことにより計算できる筈です。
この場合、もちろん資本取引は除外します。

収入=収益、支出=費用

収入−支出=「利益」

しかし、ある会計期間だけを抜き出した場合には、収入=収益、支出=費用という関係がなりたっている訳ではありません。
ある会計期間において、収入と収益、支出と費用の違いから生ずる項目を収容するのが貸借対照表だというのが動態論における基本的な貸借対照表に対する考え方といってよいでしょう。

では、より具体的に動態論のもとでの資産はどのように考えられているのでしょうか。

つづく(ふーっ)

静態論から動態論へ

資産の定義は、ややラフに次のように類型化できると思います。

(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)

静態論のもとでの資産概念、つまり、「売却価値を有する財産」という考え方は、極めて明確です。
静態論のもとでの貸借対照表は、財産の一覧表と考えられ、その主眼は、財産計算におかれていました。

これに対し、財産計算ではなく、損益計算を会計の主軸におき、貸借対照表は、損益計算を行った結果の残りとみる考え方が登場しました。
このような考え方が動態論とよばれます。

静態論は、考え方としては極めて明確です。
とてもわかりやすいのではないかとも思います。
しかし、大きな問題がありました。
それは、金額をどうするか、つまり、評価の問題です。

静態論では、資産を売却価値を有する財産と考える訳ですから、その資産を貸借対照表にのせる価額(評価額)も資産を売却したとしたらいくらかという意味での時価であるべきでしょう。
しかし、売却時価がすべての資産について必ずしも明確な訳ではありません。
また、これを悪用して、みせかけの業績を装うことも少なからず行われたようです。

このような不確実な売却時価ではなく、伝統的な会計の中核を占める確実な評価指標が原価だったのです。
売却時価に代わる確実な評価の指標として原価を正当化する理論、それが動態論であるといってよいかもしれません。

次回以降で、動態論に(必要以上)に踏み込んでいけたらいいなと思います。



追記

ランキングは、皆様のおかげで、短時間ではありましたが、1位を獲得いたしました。

どうもありがとうございました(しゅ、終了ですか)。

この御恩は、当分、忘れません(と、当分ですか)。

静態論と資産概念

以前、資産の定義を次のように類型化しました。

(1)売却価値のある財産(静態論)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論)
(3)経済的資源等(新静態論)

今日は、このうち、静態論のもとにおける「資産概念とは何か」について考えてみたいと思います。

簿記の「借方・貸方」という表現からも軽く想像できますが、複式簿記は、当初、債権債務(金銭の貸し借り)を記帳する技術として誕生し、発展してきました。
誰にいくらの債権(売掛金や貸付金等)があり、また、債務(買掛金や借入金等)があるかは、複式簿記の誕生以来、大きな関心事でありつづけています。
このことは、今日まで、変ってはいません。

企業に対して債権(例えば、貸付金)を有している者は、その貸付金が返ってくるのかに関心があります。
企業が有する資産をすべて売却し、換金したとした場合に、これが債務の金額よりも多いのであれば、債務の返済に支障をきたすことは少ないでしょう。
債権者も最悪、全部売り払って、かね返せといえる訳です。

このように企業をとりまく利害関係者のうちでも債権者の占める比重が高く、債務の返済に関心がよせられていた時代の貸借対照表は、売却価値を有する財産の一覧表に近い意味をもっていたようです。
そこで付される財産の価額は、文字どおり売ったらいくらという意味での時価であったといってよいでしょう。
ここでの資産は、紛れもなく「売る価値のある物」という事になる訳です。

このような時代における貸借対照表の見方、そして、そこにおける会計の考え方こそが、まさに静態論であるといってよいと思います。
静態論における「資産とは何か」
それはまさに「売却価値を有する財産」です。

静態論における資産概念は、考え方としては、極めてシンプルです。
しかし、会計に対する見方は、静態論のままとどまっていた訳ではありません。
動態論へと進化していきました。
動態論のもとでの資産概念、これが新基準以前の一般的な資産概念であるといってよいでしょう。

つづく


ホントに終わるのかな?

早く終わらせろという方も頑張れという方も、何の気なしに一票、よろしくお願いいたします(トップがみえてきました。一瞬トップ?)。

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「牛は大地をふみしめて歩く」

資産とは何かについて、話を続けています。

(1)売却価値のある財産(静態論)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論)
(3)経済的資源等(新静態論)

資産の定義を、このように三つに類型化してみましたが、いずれもバッチグー(?)という訳にはいきません。

しかし、これはおかしいとか、わかりにくいとだけ文句をいっていてもはじまりません。
おかしいなら、おかしいのは、何故なのか。
それを取り除くことはできないのか。

わかりにくいのなら、わかりにくいのは、何故なのか。
そして、もっとわかりやすくすることはできないのか。

そもそも「資産とは何か」の記述(しかもみんな本)を抜書きすることろからこの分析ははじまっています。
上記のような疑問に容易く回答することは、おそらくは困難です。
そもそもの私の実力不足の問題はありありですが、それだけではありません。
そもそもが困難な筈です。

しかし、困難だからといって諦めてはいかんのです。
いかんのです。
いかんのです。
いかんのですよ〜(←って、またはじまりましたな)。

やはり、このような定義が生まれた背景、つまりは、静態論や動態論、そして新静態論について、もう少し踏み込んだ考察を進める必要があるようです。

って、今日が進んでいないという話もありますが……。

「牛は大地をふみしめて走る」(by簿記論講師 ← は、走りますか?)

三つの「資産とは何か」考

資産とは何かの話を続けています。

前回は、「資産とは何か」の類型が、「静態論」、「動態論」、「新静態論」にゆるやかにリンクしていることを指摘しました。
これは、(1)を売却価値のある財産と置き換えるとより鮮明になるかもしれません。

(1)売却価値のある財産(静態論)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論)
(3)経済的資源等(新静態論)

そして、これはもしかすると重要なことかもしれませんが、状況は、今も程度の差こそあれ、変わっていないだろう点です。
もちろん、私が会計学(財務諸表論)を学習していた当時よりも(3)のような考え方は強くなっていると思います。
しかし、今、現在でも全く異なる「資産についての考え方」は並存しているといってよいでしょう。

もっとも、(1)のような資産概念は、継続企業(事業活動を継続する企業)について、学問としての会計学としては、正確性を欠くというべきかもしれません。
しかし、簿記の入門書やハウツー本などには、今でも見られる記述であることは間違いないのではないでしょうか。

会計学的に語られるとするならば、(2)か、(3)なのでしょう。
しかし、私にはどちらも、残念ながらしっくりとはきません。

(2)の貨幣性資産と費用性資産というのは、かなりインチキくさそうです。
というのも何か物を定義するのに、これとこれというのでは、定義としてはかなり物足りなさを感じます。
また、仮にこれが資産の定義だとするならば、「貨幣性資産」と「費用性資産」が何なのかをきちっと決めておかないと、少なくとも「資産を定義」した事にはならないのではないでしょうか。

よりなんだかわからないのが、(3)です。
まあ、経済的資源といわれて、石油?とか思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか。
経済的便益や用役潜在能力といわれても、「そうでございますか」としかいいようがありません。
まあ、ぶっちゃけ、わかりにくいんです。
(2)の「貨幣性資産と費用性資産」というのよりも統一的なのはわかりますが、抽象的でわかりにくいです。

不正確、インチキくさい、わかりにくい。

やっぱりこのままでは、終われませんので、つづきます。

あたらしい簿記の話

今、あたらしい簿記の話(のつもり)を続けています。

あたらしい簿記の話がいつの間にか「資産とは何か」にすりかわっていますが、これも当初の予定どおりです。
間違いありません。
ありませんよ(←怪しいですな)。

「資産とは何か」自体が長編になりそうな予感がしますが、予感がするだけかもしれません。

「資産とは何か」をブログに書いて、果たして、読む人はいるのか?

はたまた、その後には、いったい何がくるのか。

興味は尽きません。

しかし、それは神様にしかわからないのかもしれません(←って、やっぱり)。

いやー、ホントに興味はつきませんね。

興味がつきないと言えば、やっぱし、こちらです(←こっちも、やっぱし)。

脳天気な講師に清き一票(ワンクリック)をよろしくお願い申し上げます。


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「資産」って何だ?

簿記上の基礎概念である資産。

改めて資産とは何か、と問われて、御自分の言葉で、きちんとした定義ができるでしょうか?
私には、難しいです(←おいおい)。
でも、これはまんざら嘘ではありません。

試みに、討議資料「財務会計の概念フレームワーク」における資産の定義をみてみましょう。

「資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源またはその同等物をいう。」

私には、なんだかやや抽象的に思えてわかりにくいです(←たぶん覚えられません)。


そういえば、ある時に気づきました。
会計学を学習していた当時、資産(負債・資本・費用・収益)ってのが、とてもよく使うのに、本当はよくわかってないことにです。
誰かのすすめもあったのかもしれませんが、手持ちの簿記の本や会計学の本をひっくり返して、「資産とは何か」、という記述を抜書きしてみたことがあります。

その時に、随分と本によって書いてあることが違うんだなあと思った記憶があります。
もうその抜書きはどこかにいってしまいました。
そういうのをきちんと整理してとっておくときっと貴重な資料になるんでしょうが、だらしがなくてダメです。

ただ、ダメなりにもなんとなく記憶をたどりながら、おそらくはその後に得た知識を踏まえて、ちと「資産とは何か」を考えてみたいと思います。

さて、そこからどこへ続けるか、それが課題です(←課題なのね)。

遠いアメリカ

アメリカは遠いです。
遠いです。


このところ企業会計において「投資家へのお役立ち情報提供の重視」へ傾斜をみせていることを指摘しています。
このような機能(情報提供機能)が幅をきかせるようになったのは、アメリカでは、随分と前(20年以上前らしいです)からのことといってよいようです。
アメリカにおける金融技術の発達と大きくかかわっているようで、そのあたりを簡単にでもレビューしようと思ったのですが、遠いです。

アメリカは遠いです(←そういうことなのね)。


もう一つ指摘しているのが、その傾向は、続くであろうことです。
金融鎖国の道でも選択しない限り、続くでしょう。
この事は、とても大事なのではないかと思います。

企業の目的は、必ずしも利益を獲得することのみにある訳ではないでしょう。
より社会的な貢献も果てしていかなければならないという指摘は、頷けます。
しかし、です。
そのような見方が正しいかどうかにかかわりなく、企業会計の情報提供機能への傾斜は続くでしょう。
そして、会計が従来の伝統的な姿に(伝統的というのが微妙ですが)戻る事はなく、会計そのものの変化もつづく筈です。

その変化を捉える必要があることは言うまでもありませんが、その背後にあるものに目を向けていた方が、変化そのものをよりよく捉えられるのではないかと思います。

という訳で、新しい簿記の話?は、まだ、つづきます。
やめろといっても、つづきます(←やめろとは、いわんでしょ)。

「資本と利益」とクリーンサープラス

近時、企業会計の目的は、「投資意思決定」に向けられて語られる事が多くなりました。
もちろん、企業をとりまく利害関係者は、投資家だけではありません。
このような傾向が進んだとしても、投資家以外の利害関係者を全く無視した制度ができあがるという事にもならないでしょう。

また、このような傾向に対しては、会計が投資家にとっての手先(言い過ぎか)になっているとの批判もあります。
しかし、大事なのは、このような傾向は、進みこそすれ、逆戻りすることはないのではないかと思える点です。
その事は、会計以外の異なる価値判断とは、かかわりがないと思います。

投資家は、企業に資金を投下し、企業がその資金を運用して、どれだけの成果、すなわち、利益を獲得したのかに関心を持ちます。
「投資」と「利益」の関係に興味がある訳です。

「投資」と「利益」の関係を企業の側で考えると「資本」と「利益」と置き換えることができるでしょう。
どれだけの「資本」で、どれだけの「利益」を獲得したのか。
その関係にこそ投資家の興味があるといってよい訳です。

「クリーンサープラス関係」などと呼ばれる損益計算書と貸借対照表の関係が求められるのもこのような観点からのものといってよいでしょう。

新しい財務諸表の体系の変化の背後には、このような企業会計の目的(投資意思決定支援)と大きなかかわりをもっていることがわかると思います。

企業会計の目的

我国のこれまでの制度会計の枠組みは、トライアングル体制と呼ばれていました。
商法会計・証券取引法会計・税務会計の三者が、微妙なバランスの中で制度会計が形成されていたのです。
このような制度会計の仕組みは、日本独特のもので、和を重んじる極めて日本的な仕組みといってよいのかもしれません。

現在では、このトライアングル体制は、崩れています。
このバランスの崩壊をもたらしたのは、証券取引法会計といってよいでしょう。
それまでは、それぞれが他を尊重し、よくいえば調和をもって、悪くいえば、妥協しながら、それぞれの領域が成り立っていました。
それが、新会計基準(証券取引法会計の系列に属します)と呼ばれる一連の会計基準にみられるように、他の制度会計領域をさほど顧みることなく著しい変革を伴ったのです。
これに対して税務会計は、距離を置き、商法会計は、接近の道を歩みました。

このように新たに形成されたといってもよい我国における制度会計の目指しているものは、いったい何でしょうか。

それは一言でいえば、「投資家の投資意思決定支援」とでもいうべきものです。
投資家が投資を行う際の判断基準となりうるような財務報告が求められているといってよいでしょう。

この事を現在の会計基準の設定主体である企業会計基準委員会が外部委託して公表された討議資料「財務会計の概念フレームワーク」は、かなり鮮明に表明しています(概念フレームワークについては、簡単なご紹介記事「概念フレ−ムワーク(1)〜(3)」をご参照ください)。

「投資家の意思決定に資するデイスクロージャ制度の一環として、それらを開示するのが、財務報告の目的である。」

トライアングル体制とその崩壊

法律や規則にのっとった会計は「制度会計」と呼ばれます。
これまで我国には、「三種の制度会計」が並存していました。
「商法会計」、「証券取引法会計」、「税務会計」(税法会計)の三種です。
それぞれに目的や仕組みの異なった制度が、異なった状態のままで並行的に存在するというのが、これまでの我国での制度会計のあり方でした。

商法会計は、すべての会社を対象とし、原初的には、「株主等」に対する報告をメインとしながらも、「債権者」保護に配慮した規定が数多く設けられています。
証券取引法会計は、証券取引所上場会社等の規模の大きな会社のみを対象とし、その対象は、「投資家」ということになります。
税務会計は、課税の公平を旨とし、「国」に対して、課税所得(税額)を報告することが狙いです。
三種の制度会計のメインの報告対象を考えてみると、商法会計(株主、債権者)、証券取引法会計(投資家)、税務会計(国)という事になります。

このような三種の異なる制度が三角形の頂点にあって微妙なバランスで存在している。
そんな我国独自の制度会計のあり方は、「トライアングル体制」などと呼ばれました。

現実として、トライアングル体制は、もはや崩壊しています。
税法会計は、他の制度会計とは、大きくかけ離れ、商法会計と証券取引法会計が近接し、その中で会社規模に応じた会計のあり方が模索されているといった状況でしょうか。

その中で、際立っっているのは、異なる目的の中での異なる利害関係者間の調整機能が著しく低下し、逆に、投資家に対する意思決定を支援するような機能が重視されている点です。

トライアングル体制は、何故、崩壊したのでしょうか。
投資家の投資意思決定に奉仕するような役割が重視されるようになったのは何故でしょうか。
そのことを考えるには、金融先進国アメリカに学ばざるを得ないでしょう。

というか学べるのか?
疑問です(←手を広げすぎですな)。

つづく

続・二人の投資家

以前、「二人の投資家」という記事を書いた事があります。
アメリカの著名な投資家である「ソロス」と「バフェット」をとりあげたものです。
実際のところ正確といえるかはわかりませんが、ソロスには、「投機家」のイメージが伴い、バフェットは、「長期投資家」と呼ぶにふさわしいように思えます。
そして、金融先進国アメリカを象徴しているのは、やはりソロスなのでしょう。

記事の最後の部分はかなり迷いました。
アメリカを象徴するのはソロスだと決め付けてしまうのか、判断を保留するのかです。
結局、記事では、判断を保留し、アメリカを象徴するのは、ソロスか、バフェットかという問いかけで終えています。
しかし、私自身が必ずしもバフェットがアメリカを象徴していると思っている訳でもありません。

アメリカには、二人の例をあげるまでもなく、投機家と呼ぶべきような人もいれば、長期投資家と呼ぶべきような人もいると思います。
アメリカの投資家のすべてが、投機家たる訳ではないでしょう。
しかし、金融市場の発達につれ、際立つのは、投機家です。
そして、金融市場が発達すればするほど、金融市場そのものを左右する可能性のあるのもまた投機家です。
その事は、「規制のない自由な金融市場」から離れた「別の価値基準」とは関係がありません。
金に色がなく、その周囲から規制を取り除く以上、文化や道徳、また、人の感情などとは関わり無く、動き回る筈です。


とりとめがなくなりつつありますが、ここ数年の会計制度改革の根底にあるのは、極端にいうとこのような「無機質な金融市場」の働きと関係がありそうです。

中途半端に話を広げてしまいましたが、後日、日本の話に戻して、我国でも変わりつつある(?)「会計の目的」について考えてみたいと思います。

続・クリーンサープラス(←前と変ってません)

先日、「クリーンサープラス」の話をしました。
クリーンサープラスは、日本語でいうと「きれいな剰余金」といったところでしょうか。
損益計算書で算定された利益(当期純利益)がきちんと貸借対照表とつながっている状態を「クリーンサープラス関係」などと呼んだりします。

これまで(今)の損益計算書は、最終値が「当期未処分利益」です。
この「当期未処分利益」は、当期のフローとしての利益ではありません。
あくまでも株主総会で、処分の対象となる利益にすぎません。

新しい損益計算書は、最終値が「当期純利益」になります。
この「当期純利益」が、貸借対照表の純資産の部の「株主資本」の増加額ということになります。
この点で、損益計算書と貸借対照表がきちんと結びついている訳です(おおっ。クリーンサープラス)。

以前でダーティさを持っていたのが、この他に、「その他有価証券評価差額金」等の資本直入です。
株主等との直接的な資本取引でもなく、営業活動によって利益が増えて、資本が増えるという訳でもありません。

このような資本直入法がなぜ好ましくないのでしょうか?
簿記の手続的にみていけないからなのでしょうか?
今回の財務諸表の改正でダーティーさは、本当に解消されているのでしょうか?
また、ダーティーさを解消する手段は、他にはないのでしょうか?

これらを解決するには、いくつかの事を整理しておく必要があります。
必要があります。
あります。
ありますよ~(←!!!。整理ついてないのね)。

つづく(整理はつくのか←謎です)。

クリーンサープラス

「クリーンサープラス」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。
無理にでも訳せば、「きれいな剰余金」といったところでしょうか。
汚い剰余金は、「ダーティーサープラス」です。

クリーンとか、ダーティーは、まだなんとかついていけますが、サープラスが微妙です(←私が)。
まあ剰余金(ニュアンスとしては、「利益のうち配当をして残った分」に近いかもしれません)がきれいということになるでしょうか。

今回の財務諸表の改正は、この「ダーティーサープラス」の解消も視野に入れていたようです。

クリーンサープラス自体は、剰余金といった貸借対照表の資本項目に着目した表現になっていますが、むしろ、損益計算書と貸借対照表の関係を指している場合が多いかもしれません。
損益計算書上の利益がきちんと貸借対照表に反映されている、そんな関係を「クリーンサープラス関係」などもいいます。
逆に株主等との直接的な資本取引でもないのに、いきなり資本項目が増えるなんてのは、ダーティーサープラスな訳です。

そう、ダーティだったのは、資本直入法による「その他有価証券評価差額金」等です。
このその他有価証券評価差額金のように損益計算書を経ないでいきなり株主の資本と同列の資本項目が増えているのがこれまでの状況でした。

そこから劇的な変化があった訳ではないかもしれませんが、従来の資本の部を純資産の部に改め、株主資本とそれ以外を明確に区分することにより、ダーティーさを解消しようとしているのです。
今回の改正による損益計算書の最終値である「当期純利益」は、純資産の部の「株主資本」と結びつく事になります。

では、「利益」と「株主資本」が結びつかなければならないのは何故なのか。
その事をそれなりに(そ、それなりですか)説明するには、やはり、そもそもの会計の目的を考えてみる必要があるかもしれません。

新財務諸表の相互関係

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
思ったよりうまくいかなくて、びっくりしています(←なんじゃそりゃ)。
メインは、次の三点です。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

これまで、新しい財務諸表についてみてきました。
貸借対照表の資本の部は、純資産の部(資産−負債)になります。
株主資本等変動計算書は、純資産の部の変動計算書ですが、その中心は、株主資本の変動についての記載です。

資本の部の純資産の部への変更は、新静態論とも呼ばれるような新しい会計観に見合うものといってよいと思います。
しかし、本当の意味で会計を全体を統一的に説明できるような理論を基礎にしているのかといると、必ずしもそうはいえないかもしれません(←軟弱ですいません)。

以前、静態論(新静態論)については、ごく簡単に次のような説明をしました。

資産−負債=純資産
純資産の増=利益

新しい損益計算書の最終値は、当期純利益ですが、これが一期間の「純資産の増としての利益」を意味している訳ではありません。
むしろ、当期純利益は、「株主資本の増」を意味していることになります。
主として、その「株主資本」の増減の計算書が株主資本等増減計算書ということになります。

「株主資本等」変動計算書

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点です。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


前回、簡単にご紹介した「株主資本等変動計算書」ですが、これは、「純資産の部」の増減変動を記載した計算書です。

「株主資本等変動計算書」が、「純資産の部」の変動計算書とするなら、「純資産」変動計算書という名前でもよさそうな気もします。
しかし、「株主資本」の変動を記載するのがメインなので、「株主資本等」変動計算書という名称に落ち着いたようです。

もう一度「純資産の部」の大きな柱立てを考えてみましょう。

機ヽ主資本
供”床塑抗曄Υ校産抗
掘/軍予約権

株主資本の中身は、以前の資本の部(の上の方)に近いといってよいでしょう。
これに対して、兇良床塑抗曄Υ校産抗曚筬靴凌軍予約権の中には、これまで負債の部に記載することとされていたものが含まれています。
ここがとっても違います。

今までの「負債」と「資本」は、それぞれを独立して考えている感じでした。
これは負債?それとも資本?という問題が生じた時には、負債・資本がどんなものかを考えて、どちらか相応しい方にもっていく感じです。
それが、負債をきっちりと決めて、それ以外を純資産にもっていくという方式をとったためにこんな感じになったといってよいのかもしれません。

株主資本等変動計算書での中心は、そのようないい加減な(いい過ぎか)純資産項目ではなく、あくまでも「株主資本」の変動を記載することに重点が置かれるといってよいでしょう。
その事が名称にもよくあらわれているといったところでしょうか。

株主資本等変動計算書の様式(←役立たずです)

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点です。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


あらたに導入が予定されている「株主資本等変動計算書」は、「純資産」の変動計算書です。
具体的には、集計表様式(項目を横に並べる方式)のものと報告書様式(項目を縦に並べる様式)のものとが想定されているようです。
様式もご紹介しようと思ったのですが、なにしろ表形式なので、私にはムリっぽいです。
様式の現物をご覧になりたい方は「株主資本等変動計算書 様式」等で検索してみてください(←なんじゃそりゃ)。
そのうち出回ると思いますが、ごく簡単にご紹介しておきます。

(1)項目を横に並べる様式
        資本金  ………(資本の部の項目)
前期末残高
当期変動額
  新株の発行
  剰余金の発行
  …………
  当期純利益
当期末残高

(2)項目を縦に並べる様式
株主資本
  資 本 金  前期末残高
          当期変動額
          当期末残高
  資本剰余金 
   資本準備金 前期末残高
           当期変動額
           当期末残高
   ………
株主資本合計   前期末残高
           当期変動額
           当期末残高
   ………
純資産合計    前期末残高
           当期変動額
           当期末残高

どっひゃー。
書いてる意味ないですな。
印象としては、むしろ、「純資産の部」を柱立てを含めてしっかりとみておいた方がいいように思えます。

という事で、新しい簿記の話は、まだ続きます。
あと、3年は続きます(←3年したら新しくないし、そもそも嘘でしょ←な、なぜバレた?)。

続・続新静態論(←くどいって)

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


複式簿記の歴史は長く、その基本的な仕組みの部分は、それほど変ってはいません。
ただし、その中身は、今でも変化を続けているといってよいでしょう。

静態論(財産計算重視) → 動態論(損益計算重視) → 新静態論(財産計算重視)

おおむね上記のような歴史的変遷があった(最後の部分はありつつある)といってよいと思います。

今は、動態論から新静態論への移行期にあたるといってもよいと思いますが、静態論や動態論ほどに新静態論が秩序だって説明できるほど体系化されているという訳でもないようです。
現実の動きのスピードに理論の整理が追いつかないといったところかもしれません。

静態論・新静態論ともに、財産計算に重きを置いています。
誤解を恐れずに極めてシンプルに両者の体系を理論的に説明するとすれば、次のようにいえるでしょう。

(1)資産と負債の範囲を決める。
(2)その差額、すなわち資本(純資産)の増が利益。

むむむっ。あまりにシンプルかもしれませんが、こんなもんかもしれません。
このような考え方をとった場合には、資本の独自性はやや後退し、むしろ、資産と負債をきっちりと決めることに重きが置かれます。
資産・負債を決めて、その差額が、資本。
今回の「資本の部」の「純資産の部」への変更の背後には、このようなスタンスがあるといってもよいのではないかと思います。

次回以後でこの「純資産の部」の変動計算書である「株主資本等変動計算書」をご紹介したいと思います。

続・新静態論?

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


基本的な簿記の仕組み(器)は長きにわたってそれほど大きな変化をみせている訳ではありませんが、その中身は、時代と共に移り変わっています。

(1)静態論 → (2)動態論 → (3)新静態論

おおむね、歴史的には、上記のような推移をみせているといってよいでしょう。
もっとも、「静態論と動態論」自体は、きちんと整理されているといってよいでしょうが、新静態論は、今まだその途上にあるといった方がよいかもしれません(「新静態論」という呼称も必ずしも一般化しているとはいえないかもしれません)。

静態論では、財産計算が重視され、動態論では、損益計算が重視されています。
新静態論では、財産計算に重点が置かれていると「とりあえず」はいえるでしょう。

新しく「資本の部」が「純資産の部」に変更されることが予定されていますが、この呼称(そしてそれに伴う内容の変化)もこのような新静態論への変化という流れを汲んでいるといってよさそうです(「純資産って何だ?」参照)。

資本という語が単独での意味を伴っていたのに対して、純資産の語が、もっぱら「資産−負債」を意味していることからもその事は伺えるのではないでしょうか。

次回は、新静態論のもとにおける資産・負債・資本(特に負債と資本)がどのように考えられているのかから「資本の部」の「純資産の部」への変化を考えてみたいと思います。

役員賞与の取扱い

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

「新静態論」の話を続けようと思ったのですが、なかなかうまくつながりません。
これも日頃の行いか。
いや、実力か。
うまくつながらないので、リリーフです。

これも新しいところといってよいと思いますが、役員賞与の取扱いです。
従来の利益処分処理から費用処理への変更になります。

厳密には、これまで、「実務対応報告」というので、原則は費用で、利益処分を許容という取扱いでしたが、これが費用処理一本ということになりそうです。
実質的には、ただ、費用処理というだけですから、それほど大きな影響がある訳ではないかとも思います。

後は、試験的には、費用処理なので役員賞与引当金の設定がありうる点くらいでしょうか。

それほど大きな変更という訳ではありませんが、気にとめておきたいといったところでしょうか。

新静態論?

新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


複式簿記は、その誕生から五百年を超える長い歴史を持っています。
その間、記帳の基本的なルールはあまり姿を変えていないといいます。
ただし、その中身は同じだったのかというと、必ずしもそうではなかったようです。

簿記の仕訳に使われる五つの要素、資産、負債、資本、費用、収益。
簿記の基本的ルールは、あまり変ってはいませんが、これらに対する見方も、必ずしも同じではなかったのです。

先日、貸借対照表に関する見方の話をしました(「静態論」と「動態論」)。
いずれも貸借対照(または会計全般)に対する考え方です。
静態論のもとでは、「財産の計算」を中心とし、動態論では、「損益の計算」が重視された訳ですが、歴史的には、静態論から動態論へと移行してきました。
そして、今、その比重は、再び「財産の計算」に移行しつつあります。
このような新しい会計に対する見方を指して、「新静態論」という場合があります。

この数年、我国で公表された新しい会計基準についても、貸借対照表項目を決算時の時価(ないしはこれに準ずるもの)で把握しようとするものが目立ちます。
その対象は、有価証券をはじめとする金融資産(負債)から固定資産、そして棚卸資産へとその対象を広げつつあります。
今回の財務諸表の変更もこのような一連の会計基準の変革の延長線上にあるといってよいでしょう。

新静態論の話は、まだつづきます(って、いうかあんましてないような気が)。

「動態論」と「静態論」

「新しい簿記の話」の続きです。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案(利益処分計算書)がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

貸借対照表の資本の部が純資産の部に変更されることが予定されています。
この貸借対照表ですが、これまでにまったく同じ見方・考え方でとらえられていたのかというと必ずしもそうではありません。
時代によって、貸借対照表に対する見方は大きく異なっています。

動態論とか、静態論という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
これは、貸借対照表に対する見方(あるいは、会計全般についての考え方)を意味しています。

かつて、貸借対照表は、売却価値のある財産の一覧表と考えられていました。
このような貸借対照表に対する見方は、「静態論」とか、「静的貸借対照表論」と呼ばれることがあります。
企業の有する財産を一定時点で精算してしまったら果たしていくらになるのかがそこでの課題といってよいでしょう。
そこでの中心は、あくまでも財産の計算にあります。

これに対して、貸借対照表を単なる財産の一覧表ではなく、損益計算を行った上での未解決項目の一覧表とみる考え方があります。
このような貸借対照に対する見方は、「動態論」とか、「動的貸借対照表論」と呼ばれます。
企業は、そもそもその有する財産の全てを精算するために存在する訳ではなく、継続的な活動を行い、その活動の中で利益を獲得することを狙いとしています。
その利益をきちんと計算することが動態論における中心的課題といってよいでしょう。

ややラフにいいますと、会計の歴史は、「静態論」から「動態論」へと移行し、そして近時、その振り子はかつての静態論とは異なるものの、また、財産の計算へと戻りつつあります。
時として、そのような考え方は、「新静態論」と呼ばれたりすることもあるようです。

っていうか、全然「新しい簿記の話」になってませんが、本題は、ここからです。

つづく(やっぱし)。

損益計算書もちと変わります

「新しい簿記の話」の続きです。
メインは、次の三点です(い、一点増えてますが)。

●「資本の部」が「純資産の部」になる。
●「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書は、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

今回は、ちと忘れていた損益計算書の話です。
新たに「株主資本等変動計算書」が導入されることが予定されていますが、損益計算書の末尾(当期純利益よりも下)については、この株主資本等変動計算書に記載されることになります。
ということで、損益計算書の最終値は、「当期未処分利益」ではなく、「当期純利益」になります。

「損益」を当期の「収益−費用」とするなら、今までの損益計算書は、純粋な損益だけの計算書ではありませんでした。
収益や費用というフローの項目以外に、いわば利益処分的な計算(正確には、株主総会での利益処分の対象となる「未処分利益」の計算)を含んでいた訳です。
ぶっちゃけ、ちとインチキくさかったんです(言い過ぎか)。

これが、純粋な損益計算に限定される訳ですから、会計の側からみた場合には、より好ましい改正といってよいのではないかと思います。
そもそも、損益計算書の末尾がわかりにくかったですし、最近では、私もよくわかんないくらい複雑になってました。
なんとなく、一安心です。

次回以降では、このような財務諸表(計算書類)の変化について、考えていきたいと思います。

純資産の部

「新しい簿記の話」を続けています。
ここまでの話を少し整理しておきます。
メインは、次の二点です。

●「資本の部」が「純資産の部」になる。
●「株主資本等変動計算書」が導入される。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

株主資本等変動計算書は、「純資産の部」の「一会計期間における」変動を示した計算書です。
という訳で、新しい「純資産の部」の柱をご紹介しておきます。

機ヽ主資本
  1 資本金
  2 資本剰余金
  3 利益剰余金
  4 自己株式
供”床繊Υ校産抗枦
  1 その他有価証券評価差額金
  2 繰延ヘッジ損益
  3 土地再評価差額金
掘/軍予約権

目を引くのは、繰延ヘッジ損益と新株予約権ですが、これは後日、機会があったら触れたいと思います(←っていうか、よくわかってませんが)。
いずれも負債項目だったものの移籍になります。
この変更に伴って、会計処理が大きく変る訳ではありませんが、名称や柱立てが変り、負債からの移籍もあることになります。

次回以降で、このような「純資産の部」の考え方を以前から続けている持分、資本、純資産という言葉の持つ意味と関連付けてみたいと思います。
というか関連付けられたらいいな。
というか関連付くのか?

純資産って何だ?

来年の試験には、直接影響はありませんが、新しい簿記の話です。
今までの資本の部は、純資産の部に衣替えすることが予定されています。
さて、さて、この「純資産」って何でしょうか?

簿記上は、資産−負債が「純資産」ないしは「純財産」と呼ばれます。
むむむっ。
こりは、資本と同じ?

資産−負債=資本

資産−負債=純資産

おおおっ。
これは、同じです(きっと)。
この場合の「資本」と「純資産」に違いがある訳ではないでしょう。

では、これはどうでしょうか。

資産=負債+資本

資産=負債+純資産

むむむっ。
ただ単に式の項目を移項(だったかな)しただけなのに、どうも下の式はみたことがありません(私がないだけか?)。

純資産は、どうやら、「資産−負債」に限定して使われているらしいことがわかります。
これに対して、資本は、やや異なる意味合い「としても」使われることがあるといったところでしょうか。
必ずしも「資産−負債」という意味としてだけではなく、「資産」や「負債」とは独立した「資本」という言葉が使用される場合もあるといった方がよいかもしれません。

こう考えるとわざわざ「資本の部」から「純資産の部」へと名称を変更した事は、その変更内容をとってもよくあらわしているといってよいかもしれません。

で、そんじゃ「純資産の部」って、どんななのかは、

つづく。

会社法と会計学

会社法の施行を来年に控えています。
実際の施行は、5月の連休明けあたりが予定されているようで(たぶん)、このままいけば、来年度の税理士試験の範囲に含まれることはないようです。

今まで、本ブログでは、あまり新しい法改正や会計基準の変更について書いてきた訳ではありません。
これは、ひとえに私の勉強不足です(ぶ、ぶっちゃけですか)。

ただ、「資本の部」の「純資産の部」への変更と「株主資本等変動計算書」の導入は、個人的にとても興味をひきます。
それは何故かといいますと、会計の理論的な部分ととても大きなかかわりをもっているからです。
会社法の関係で会計科目にとても大きな影響をもたらすであろう部分としては、この他に組織再編成(合併等)や分配規制があると思います。
しかし、いずれも政策的な要素が濃く、試験的な重要性は持つと思いますが、会計の基礎的な理論との結びつきはやや希薄といってよいと思います。

これに対して、資本の部の純資産の部への変更、そしてその純資産の部の増減変動の計算書である株主資本等変動計算書の創設は、これまでの会計制度改革の流れを汲むもので、いいかえれば、会計の理論からある程度の説明が可能です。
ある程度の筋を通した説明が可能ということは、その筋にあたる部分は、改正の背後にあるとても重要な部分ということもできるのではないでしょうか。
現在、株主資本等変動計算書について書いている理由でもあります。

試験的には、1年先んじる形になると思いますが、新しい会社法や会計基準の話をこれからも書いていきたいと思います。

持分って何だろ

来年の試験には、直接関係のない「株主資本等変動計算書」の話を続けています。
ほとんど、………趣味ですので、気軽に読んでいただければ幸いです(気軽には難しいか)。

この「株主資本等変動計算書」、以前の名前の候補には「株主持分変動計算書」があがっていました。
違うのは、間にある「資本等」と「持分」という言葉です。
「持分」より「資本等」のがいいだろということで、資本等になったらしいですが、そもそも持分ってなんでしょうか。

簿記では、あまり持分という語は使われません。
会計学の本なんかでは目にすることがあります。
マンションの持分が2分の1ずつというと、そのマンションを半分ずつ持っているということになります。
会計学上の持分の考え方もこれとそれほど大きく異なりません。
資産の持分という具合に使われる場合があります。
貸借対照表でいえば、必ずしもマンションの場合のように直接的ではありませんが、資産を持っている(あるいは何らかの意味での権利がある)という意味で持分という訳です。

簿記上の負債のことを、債権者持分、資本のことを株主持分といったりします。
債権者は、企業に金を返せとか、株主は、企業に配当をよこせとかいったりできる訳ですが、そのような権利を企業の側から見たのが「持分」です。
このように単に、持分といった場合には、貸借対照表の貸方項目を指していることがわかります。

新しい財務諸表の名前を決める際には、この持分という言葉を避けて、資本等という言葉が採用されたことになります。
それでは、この資本(等)と持分とでは、意味合いはどのように異なるのでしょうか。
おっ、そういえば、資本の部が純資産の部に変更される予定ですが、純資産とでは、どのように異なるのでしょうか。

そう考えていくと株主資本等変動計算書に興味が沸いてきませんか?

興味が沸かなかったという人の応援のクリックの程、よろしくお願い申し上げます(なんか、興味ないよって人が多そうなんで、逆をいってみました!!)。

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激動

最近、新しい財務諸表、「株主資本等変動計算書」について書いています。
来年の試験の範囲に含まれることは、なさそうです。
ただし、財務諸表の体系が変るということですから、再来年の試験への影響は大きそうです。

そういえば、「株主資本等変動計算書」の名前の事についてしか触れていません。
これから内容の話に入っていくんでしょうか?
謎です(って)。

「株主資本等変動計算書」は、「株主資本等」の変動についての計算書です(って、やっぱりそのまんまかい)。

変動計算書という言葉に、それほど馴染みはないと思いますが、株主資本等ってのが何かがわかれば、その変動(増減)の計算書ということは、少しは、見当がつくのではないでしょうか。
実際には、「資本の部」が衣替え予定の「純資産の部」の増減変動を記載した書類ということになります。

持分、資本、資本等、そして純資産。

株主資本等計算書に手持ち(従来からある)概念でそれなりにアプローチして、いけたらいいなと思います(←いいなですか。 ←そんなもんでしょ)。


そうそう、変ったといえば、こっちのカテゴリーも変りました。
資格カテゴリーから会計カテゴリーへの全面的変更です。
まさに、激動です(いや、あんたが動かしただけでしょ)。
激動です。

応援(クリック)のほどよろしくお願いいたします。

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新しい計算書類はどれ?

さて、問題です。
次のうち新しく財務諸表になりそうな計算書の名称はどれでしょう?

(1)「株主持分変動計算書」(かぶぬしもちぶんへんどうけいさんしょ)

(2)「株主資本変動計算書」(かぶぬししほんへんどうけいさんしょ)

(3)「株主資本等変動計算書」(かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ)

(4)「人気ブログランキング」(にんきぶろぐらんきんぐ)

正解は、ここ何日かのこのブログを拝見していただいている方はおわかりかと思いますが、(3)の「株主資本等変動計算書」です。

それ以外の名称は、私がでっちあげたものという訳ではありません。

(1)株主持分変動計算書
これは、当初、商法サイドの名称の候補としてあがっていたものです。

これが、会計サイドの検討の段階で、
(2)株主資本変動計算書や(3)株主資本等変動計算書が候補にあがって、株主資本等変動計算書に落ち着いたようです。

今度、もう一度、商法サイドに戻る(正式名称が決まる)ようですが、株主資本等変動計算書に落ち着くという見方が一般的なようです。

名称の中にある「持分」、「資本」、「資本等」。
なんか微妙です。

また、貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」に変更されることも予定されていますが、上記に、「純資産」も加えると、何がどう違うの?状態ではないでしょうか。
このあたりから徐々にアプローチしていきたいと思います(って、まだ、続くんですか?←続きます)。
オススメ
       <管理人の記事掲載号>  会計人コース2011年9月号-                  会計人コース2008年02月号                  会計人コース2008年01月号                  会計人コース2007年09月号 <管理人の本>
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