税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

軽めの簿記の話

消費税の会計処理(固定資産の売却)

消費税の経理方式には、税込経理方式と税抜経理方式があります。
税込経理方式は、消費税の金額をそのまま代金に含めてしまう方法ですので、それほど問題はないでしょう。
問題は、税抜経理方式です。

売上や仕入、経費の支払い、資産の購入あたりはよいのですが、資産の売却、買換えあたりになるとかなり雲行きが怪しくなってきます。
わかりにくさの原因は、消費税の元になる金額が仕訳からは見えにくくなることにあるのかもしれません。

簡単な例をあげましょう。

【例1】商品販売(税込105)

(借)現  金105 (貸)売   上100
              仮受消費税  5

出題のされかた(税抜100、税込105等)に注意すれば、それほど問題はないでしょう。

【例2】備品売却(簿価120 税込売価105)

(借)現   金105 (貸)備   品120
   備品売却損 20    仮受消費税  5

仮受消費税は、税込売価105円×5/105=5 で算出できます。
ただ、仕訳上の金額からこの金額がややわかりにくくなっています。
先ほどの商品販売の例では、貸方の売上100×5%=仮受消費税5 という関係が成り立っています。
これがみえない分、ややわかりにくいのではないでしょうか。

備品売却損の金額は、税抜対価100−備品帳簿価額120=△20 です。
もともと備品を購入した場合には、税抜で処理されていますので、備品の帳簿価額も税抜です。
備品売却損益は、「税抜」の金額から「税抜」の金額を出しています。

総合問題での出題への対処のためにも、まずは、仕訳を確実にこなせるようにしましょう。

(関連記事)
消費税の会計処理

源泉徴収

配当や利子を受け取る場合には、所得税(や住民税)が天引きされています。
この天引き制度は、源泉徴収制度と呼ばれます。

例えば、100円の配当を受け取る場合に、10%の所得税を源泉徴収されていたとすると実際の手取額は、90円になります。

(借)現  金90 (貸)受取配当金90

源泉徴収された所得税は、法人税の前払いの意味を持ちますので、仮払法人税等(法人税等)で処理する必要があります。
したがって、正しい仕訳は、次のとおりです。

(借)現  金90 (貸)受取配当金100
   仮払法人税等(法人税等)10

会社が手取額で仕訳を行っていた場合には、次の処理を行う必要があります。

(借)仮払法人税等(法人税等)10 (貸)受取配当金10

手取額で処理を行っていることは、とてもありがちなので、特に、第3問で出題が想定されやすい項目といってよいでしょう。

(関連記事)
源泉所得税

過年度の法人税等

過年度の法人税等を支払った場合には、法人税等追徴税額(追徴法人税等)で処理します。
過年度の法人税等(の還付金)を受け取った場合には、法人税等還付税額(還付法人税等)で処理します。
法人税等追徴税額や法人税等還付税額といった科目を使うのは、あくまでも過去の法人税等の訂正があった場合です。
確定申告での納付額や還付額に使う訳ではありません。
いったん申告をしたものが、後になって何らかの理由(税務署の調査等)で変更になる場合(修正申告)に、この法人税等追徴税額や法人税等還付税額を使うことになります。
問題では、何となくわかるのではないかと思います(って、何となくって)。

確定申告で生じた租税の納付や還付については、未払法人税等や未収法人税等という勘定科目を設けている筈ですから、こちらで処理することになります。
納付のケースを前提に、会計処理を示すと、次のようになります。

【修正申告】
(借)過年度法人税等××× (貸)現金預金×××

【確定申告】
(決算時)
(借)法人税等××× (貸)未払法人税等×××

(納付時)
(借)未払法人税等××× (貸)現金預金×××


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過年度法人税等

租税公課と法人税等

いわゆる租税は、固定資産の取得原価に算入されるものを除いて、「法人税等」か、「租税公課」(または各税金の名称)で処理されます。

法人税等は、損益計算書の正式な名称でいえば、「法人税、住民税及び事業税」です。
ぶっちゃけ、利益に応じて課される税が、法人税等で処理されることになります。

それ以外の租税の種類は、多いですから、こちらを完璧にしておくのが、得策でしょう。

固定資産の原価に算入される租税が結構、微妙かもしれません。

固定資産税は、付随費用として原価に算入されることはありません。
税の仕組みとして、毎年、1月1日の所有者にかかるからです。

それ以外の租税は微妙ですが、取得に際して支払ったものは、原価算入というのが、基本的な考え方といってよいと思います。
法人税の取扱いが、租税公課は、取得に際して支払ったものでも経費(損金)算入を認めるというスタンスですので、実務に携わっている方は、注意が必要でしょう。

(関連記事)
租税公課
法人税等

子会社株式及び関連会社株式

子会社株式及び関連会社株式については、原価評価ですので、処理が難しい訳ではないでしょう。

勘定科目としては、両者を関係会社株式勘定で処理する場合、投資有価証券勘定で処理する場合等さまざまです。
満期保有目的の債権やその他有価証券は、投資有価証券勘定で処理して、子会社株式のみを別にする場合もあります。
問題の指示(試算表の科目)をよく読むようにしましょう。

注意点としては、減損(強制評価減)はあります。
減損は、いわば取得原価の修正ですから、翌期の逆仕訳は行いません(切放処理のみ)。


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有価証券の評価指標と評価差額の取扱い


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(★)純資産直入法

純資産直入法の仕訳自体は、それほど難しい訳ではないと思います。
ただ、評価差額(原価と時価の差額)を、純資産(その他有価証券評価差額金)にすればよいだけですから。
翌期の処理は、洗替のみです。

【例1】全部純資産直入法 取得原価100 時価90

(当期末)その他有価証券評価差額金10 投資有価証券10

(翌期首)投資有価証券10 その他有価証券評価差額金10

この一連の仕訳で、投資有価証券の帳簿価額は、100円に戻って、その他有価証券評価差額金は、ゼロになります(←これ大事)。


やっかいなのが、部分純資産直入法でしょうか。
部分純資産直入法の借方差額は、純資産ではなく、損益項目(損失)として処理されます。
そんでもって、期をまたいだ場合のこの処理がちとやっかいかもしれません。
損益項目は、期末で、損益勘定に振替えられ、翌期にそのままの形で残る訳ではありませんので。
これを洗替える訳ですから、やや違和感が残ります。

【例2】部分純資産直入法 取得価額100 時価90

(当期末)投資有価証券評価損益10 投資有価証券10

(翌期首)投資有価証券10 投資有価証券評価損益10

全部純資産直入法の場合と同様に帳簿価額が取得原価の100に戻ります。
しかし、投資有価証券評価損益10は、損益項目ですから、翌期には、「貸方」にいきなり生じる感じです。
かなり違和感もありますが、実際の問題を解く際には、思い込みではなく、仕訳(ないしは勘定記入)によるきちんとした積上げによる解答を心がけたいところでしょう。


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純資産直入法とは何か
部分純資産直入法の合理性
洗替処理と切放処理


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利息法の考え方

償却原価法には、「定額法」と「利息法」があります。
原則的な処理方法は、利息法です。

定額法は、取得価額と額面金額との差額を「均等額ずつ」配分する方法です。
利息法は、取得価額と額面金額との差額を「利息を加味して」配分する方法です。

償却原価法は、債権にも適用がありますので、取得価額を貸付金の当初元本と考えると利息法は考えやすいかもしれません。

(例1)貸付金 取得価額100万 債権金額121万 年10%
※121万円の貸付金を、100万で譲ってもらったケースです。

貸付金100万 現金預金100万
貸付金 10万 受取利息 10万 ← 100万×10%
貸付金 11万 受取利息 10万 ← (100万+10万)×10%

(例2)有価証券 取得価額100万 額面金額121万 年10%

有価証券100万 現金預金  100万
有価証券 10万 有価証券利息 10万 ← 100万×10%
有価証券 11万 有価証券利息 11万 ← (100万+10万)×10%

同じですよね?

通常は、額面金額がきっちりした金額ですが、金額の関係が違っても理屈は同じです。
同じです。

同じですよね?(←くどいって)


【関連記事】
償却原価法
定額法と利息法


有価証券<目次>

テキスト記事一覧

洗替と切放

有価証券のうち、売買目的有価証券とその他有価証券は、時価で評価されます。
それ以外にも減損処理が適用される場合にも、時価で評価されます。

時価評価された場合の翌期の処理には、「洗替処理」と「切放処理」とがあります。
洗替処理は、翌期首に逆仕訳を行う方法で、切放処理は、なにも処理しません。

この選択ですが、次のように整理できます。

売買目的有価証券 → 選択
その他有価証券  → 洗替のみ
減損処理     → 切放のみ


売買目的有価証券については、通常の時価評価があるだけなので、著しい時価の下落があったとしても、洗替を選択していた場合は、洗替処理を行います。

翌期首の処理次第で、その後の売却損益等が異なりますので、しっかり整理しておきましょう。


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洗替処理と切放処理


有価証券<目次>

テキスト記事一覧

帳簿上の手続きと合併財務諸表

本支店会計は、本店と支店に別々の帳簿を設けています。
損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を作成する段階では、本店と支店を一緒にします。
でも、帳簿(仕訳帳や元帳)を一緒にする訳ではありません。

合併財務諸表の作成段階では、照合勘定(本店勘定と支店勘定)の相殺と内部取引勘定(本店仕入勘定と支店売上勘定)の相殺が行われます。
これはあくまでも財務諸表の作成の上での話で、実際の帳簿(仕訳帳や元帳)に記録される訳ではありません。

合併財務諸表の作成段階では、棚卸資産に含まれる内部利益は、控除されますが、帳簿上は、直接控除される訳ではありません。

簿記の出題では、帳簿の関係を聞いている場合と合併財務諸表の作成を聞いている場合があります(両方もありますが)。
いずれが問われているのかを充分注意しましょう。


【関連記事】
本支店合併財務諸表の作成

内部利益の算出方法

内部利益は、実際の振替価格(内部利益込の金額)から算出する場合が多いです。
この場合、付加率(値入率、利益加算率)での出題か、利益率(または原価率)で算出の仕方が異なります。

(付加率の場合)
本店から支店に「原価の10%の利益」を付加して商品を送付する場合

原価が100円の商品であれば、10%の10円の利益を付加して、110円で送付します。
110円という金額から考えれば、110円×0.1/(1+0.1)=10円で内部利益が算出されます。

(利益率の場合)
本店から支店に「利益率が10%となるように」商品を送付する場合

原価が90円の商品であれば、100円で送付します。
この場合、100円という金額から内部利益を算出すれば、100円×10%=10円になります。

このような形で併記するとそれほどでもありませんが、うっかりしがちなので、充分注意しましょう。


【関連記事】
内部利益控除の意味
内部利益の控除方法


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本支店会計の出題可能性

今、本支店について、ダラダラと書いています。

税理士試験の会計科目は、簿記論と財務諸表論です。
もともとは、簿記と財務諸表論は、きってもきれない関係にあって、それを試験上は、とりあえず区別しているという面が強いです。
本支店は、財務諸表論での出題は、考えにくいです。
そのため出題されるとすれば簿記論ということになるでしょう。
実践的な重要性も低くはないです。

で、本支店会計の出題間隔が空いています。
これは、誰が考えても狙い目で、実際に出題されるかどうかは、別にしても、「出題されるかもしれない」と考えるのは、極めて自然です。
とすると答練なんかの出題ウェートも高い筈です。
つまりは、誰が考えてもオオヤマな訳で、これはガチガチにやっておいて損はないです。
というか、やっておきましょう。
というか、私もやります。
いや、私はいいか。

すでに学習済みの方は、ぜひ冬休みにでも。
まだ学習が済んでいない方は、学習時には、ぜひ気合を入れてみてください。


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直接仕入・直接売上

今、本店が仕入れを担当し、支店が販売を担当するケースを考えましょう。

本店が外部の仕入先から商品を仕入れ、これを支店に送付した。

本店:(借)仕  入××× (貸)買 掛 金×××
      支  店×××    支店売上×××
支店:(借)本店仕入××× (貸)本  店×××

一般的に行われる取引の流れが、上記のような場合に、支店が、本店の仕入先から直接商品を仕入れた場合はどうなるでしょうか。

支店:(借方)仕入?××× (貸方)買掛金?×××

支店が、本店からしか仕入を行っていなければ、借方の仕入勘定は、不適切です。
また、貸方の買掛金(例えばA商店に対するもの)の管理は、本店で行われているハズです。
その補助簿(A商店)も本店に設けられています。
買掛金を支店で記帳した場合には、補助簿と元帳の関係がおかしくなってしまいます。

このような不具合は、支店が本店の仕入先から直接商品を仕入れた場合でも、本店を経由して仕入れを行ったように処理すれば、解消されます。
つまりは、直接仕入れの場合でも、当初のような仕訳を行うのです。

具体的な出題としても、本店経由の処理が求められることが多いです。
慣れていないと混乱しがちですので、充分な習熟が求められます。


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直接仕入と直接売上


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内部利益を付加しない取引

支店独立会計制度をとる場合は、本支店間の商品の送付取引について、一定の利益(内部利益)を付加する出題が多いです。

例えば、本店から支店に原価100円の商品に10円の利益を付加して送付した場合の仕訳は次のとおりです。

本店:(借)支  店110 (貸)支店売上110
支店:(借)本店仕入110 (貸)本  店110

この場合、本店と支店とが別々の会社(会計単位)と考えています。
上記の取引の実質的意味は、通常の仕訳に即していえば、次のようになります。

本店:(借)売 掛 金110 (貸)売  上110
支店:(借)仕  入110 (貸)買 掛 金110

最初の仕訳の支店勘定が、債権に近く、本店勘定が債務に近いものであることがわかります。

それでは、内部的な利益を付加しない場合はどうでしょうか?

本店:(借)支  店100 (貸)仕  入100
支店:(借)仕  入100 (貸)本  店100

結果として、仕入勘定を本店から支店につけかえているに過ぎません。
もっとも出題としては、内部利益を付加するケースが多いですが、おさえておきたいところです。


【関連記事】
内部取引高の相殺と照合勘定相殺の意味


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似たもの取引

ぼやーっとした話です。
本支店会計の「本支店勘定の相殺」と連結会計の「投資と資本の相殺」の話です。

(支店の開設)
本店:(借)支  店××× (貸)現金預金×××
支店:(借)現金預金××× (貸)本  店×××

この場合の支店勘定は、投資勘定に近いです。
本店勘定は、資本勘定に近いです。

(子会社の設立)
親会社:(借)子会社株式××× (貸)現金預金×××
子会社:(借)現金預金 ××× (貸)資 本 金×××

この場合の子会社株式は、投資勘定です。
資本金勘定は、もちろん資本に属する勘定です。

本支店会計では、合併財務諸表の作成時に本店勘定と支店勘定を相殺します。
もっとも、帳簿上は、相殺する訳ではありませんので、帳簿上、上記のような仕訳→元帳記入が行われる訳ではありません。

これに対して、連結財務諸表の作成段階では、親会社の投資勘定(子会社株式)と子会社の資本勘定(資本金等)を相殺消去します。
こちらも、帳簿上は、相殺する訳ではありません。

似てますよね。
って、いうか実質同じ?

まあ、ぼやっとした話でした。


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本支店会計の種類

本支店会計の種類には、本店で一括して帳簿記入を行う方法と本店と支店とで別々に帳簿記入を行う方法があります。
前者は、本店集中会計制度などと呼ばれ、後者が支店独立会計制度と呼ばれます。
本店と支店とで、帳簿(仕訳帳や元帳)を別々につけないのであれば、これは通常の支店がない場合と帳簿記入の仕方は変りがありません。
したがって、試験での出題がされやすいのも支店独立会計制度です。

(1)本店集中会計制度
本店でしか帳簿を設けない

(2)支店独立会計制度
本店と支店で別々に帳簿を設ける

入口の入口のような話ですが、簿記論の第3問の出題は、設定が妙にリアルです。
このリアルさが、問題を読みにくくしています。
今の段階では、もちろんそんな事は気にする必要ありません(直前期には、いやでも気になると思いますが)。
今の段階でできることの一つが、計算とは直接関係のない一個手前のような部分を軽く意識しておくことだと思います。

実際の出題がわかれば苦労しないんですが、そのための前段階のようなお話でした。


【関連記事】
本支店の形態と内部利益の付加


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役員賞与引当金

これまで役員賞与(役員に対する臨時的な給与)については、利益処分による経理が一般的でした。
しかし、世界的な傾向は、費用処理です。
日本も、全面的費用処理に移行しました。

会計処理自体は、費用処理でよいですが、例えば、その役員賞与が前期に係るものである場合は、引当金(役員賞与引当金)の設定が必要です。

(借)役員賞与××× (貸)役員賞与引当金

必ずしも難解な処理ではありませんので、おさえておきましょう。


【関連記事】
役員賞与の取扱い


引当金<目次>

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破産更生債権等

いわゆる「倒産」には、法的な意味での「倒産」と事実上の「倒産」とがあります。

<倒産の種類>
(1)法的な意味での倒産

(2)事実上の倒産

法的な倒産とは、何らかの法的な措置がとられた場合を意味します。
覚える必要はありませんが、一度は目にした方が、問題をてがけやすいでしょう。
具体的には、破産法による破産、会社法による解散〜清算・整理、民事再生法による民事再生、会社更生法による会社更生があります。
破産更生債権等という名称は、このうち会社を消滅させることを目的とする倒産手続である「破産」と会社を細々とでも継続させる手続である会社「更生」をその代表としてとりあげたものです。

その他にも手形取引所の取引停止処分(正確には、6月以内の2度目の処分)を受けた場合も事実上の倒産とされるようです。
個人事業者が法的な手続きを一切無視して逃げてしまうケース(夜逃げ)も事実上の倒産に含めてよいでしょう。

倒産は、債務超過や(債務の)支払不能を原因としています。
このような「倒産」状態にある者に対する債権は、破産更生債権等に区分され、保証・担保額を控除した金額を貸倒見積額とします。

なお、勘定科目としては、「破産更生債権等」が一般的ですが、不渡手形については、不渡手形勘定が用いられる場合もあります。


【関連記事】
債権の種類と勘定科目


引当金<目次>

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キャッシュ・フロー見積法の戻入(翌年以後)の処理

キャッシュ・フロー見積法は、債権金額(帳簿価額)と割引現在価値との差額を貸倒見積額とする方法です。

(初年度)
債権金額−割引現在価値=貸倒見積額(繰入)


翌年以後も帳簿価額と割引現在価値との差額を貸倒見積額とします。
割引現在価値は、時がたてば、だんだんと大きくなっていきます。
引く金額が大きくなっていく訳ですから、貸倒見積額は、小さくなります。
翌年以後は、その小さくなった分を戻しいれることになります。

(翌年以後)
帳簿価額−割引現在価値=貸倒引当金戻入

翌年以後の処理については、貸倒引当金を戻入れる感じになりますが、この場合の貸方科目については、受取利息として処理する方法と貸倒引当金戻入として処理する方法があります。
いずれの出題も考えられますので、勘定科目の指定には、充分注意しましょう。


【関連記事】
キャッシュ・フロー見積法


引当金<目次>

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貸倒実績率

一般債権の貸倒見積額の計算で用いられる貸倒実績率。
貸倒実績率は、過去の貸倒実績を率であらわしたものです。
具体的には、次のように計算されます。

過去の貸倒÷過去の期末債権=貸倒実績率

期末債権に貸倒実績率を乗じて、貸倒見積額が算出されます。

貸倒実績率の具体的計算方法は、会計基準にありません。
したがって、グルーピングの仕方をはじめ、どの期間を対象にするかも、問題の指示によります。

注意したいのは、ある期末(例えば第10期末)の債権が貸倒れるのは、ある期の翌期以降(第11期以降)という点です。
問題をしっかりと読めばたいした話ではありませんが、資料の出方では、第10期末の債権と第10期の貸倒損失を計算要素にしてしまうミスがありがちです。
冷静に考えれば、おかしいことはわかるのですが、とにかく、資料をきちんと整理する事が重要です。

もう一点、注意したいのが、具体的な算出の考え方が、二つある点です。
大きな考え方としては、分母(期末債権)と分子(貸倒れ)との対応関係を厳密にとるかとらないかの違いです。
対応関係を厳密に考えると貸倒損失の債権の発生年度を区別します。
このような計算は、理論的ではありますが、かなり複雑です。

対応関係を厳密に考えず、分母(期末債権)と分子(貸倒損失)をとるのは、やや不合理ですが、実際の出題としては、こちらが想定しやすいかもしれません。

いずれにせよ、貸倒実績率の具体的な計算方法は、会計基準に規定がある訳ではありませんので、問題をよく読むと、そこに算出方法が書いてあるか、合理的に算出できる筈です。
問題は慎重に読むくせをつけましょう。


【関連記事】
貸倒実績率法


引当金<目次>

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貸倒引当金の算出単位

貸倒見積額の算出単位には、総括引当と個別引当とがあります。
全体やグループごとに行うのが「総括引当」で、個々の債権ごとに行うのが「個別引当」です。

一般債権は、総括引当です。
全体またはグループ(勘定科目等)ごとに、貸倒見積額が算出されます。
この場合の細かいグルーピングの仕方には、勘定科目ごと、営業債権と営業外債権等、様々な方法が考えられます。
会計基準に細かい規定はありませんので、問題に指示されるハズです。
問題を落ち着いて読むようにしましょう。

貸倒懸念債権と破産更生債権等については、個別引当です。
個々の債権ごとに貸倒見積額が算出されます。

一般債権の場合と貸倒懸念債権の場合に、いずれも率を乗ずる計算になる場合が多いです。
しかし、一般債権は、債権の全体(またはグループ)に対して、過去の貸倒実績率(低率)を乗ずるのに対して、貸倒懸念債権は、個々の債権ごとに貸倒の予想率(高率)を乗ずるという違いがあります。

算出単位の取り方によっては、戻入と繰入の金額が違ってしまうことにもなりかねませんので、注意しましょう。

(関連記事)
債権の種類と貸倒見積高の算定


引当金<目次>

テキスト記事一覧

貸倒見積額の算定上の債権の区分と算定方法

貸倒見積額は、債権を三種類に区分して、その区分ごとに算出します。

この区分と勘定科目は、必ずしも一致しません。
一般債権と貸倒懸念債権は、ある意味、回収が見込まれる債権で、通常は、そのまま(売掛金等)です。
これに対して、破産更生債権等(これは等がつきます)は、回収が見込まれない債権で、ぶっちゃけとりっぱぐれに近く、勘定科目も別建を要求されるケースが多いです。

この場合の勘定科目は、問題の指示等に従うことが第一ですが、「破産更生債権等」が多いようです。
不渡手形については、「不渡手形」勘定もありです。

このような債権の区分ごとに貸倒見積額の計算方法が異なっています。

(1)一般債権……………貸倒実績率法
(2)貸倒懸念債権………財務内容評価法、キャッシュ・フロー見積法
(3)破産更生債権等……財務内容評価法

まずは、貸倒見積高の算出における「債権の区分」をしっかりと把握しましょう。


(関連記事)
債権の種類と貸倒見積高の算定


引当金<目次>

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打歩発行

社債の発行形態には、次の三つがあります。

(1)平価発行(額面金額=発行価額)
(2)割引発行(額面金額>発行価額)
(3)打歩発行(額面金額<発行価額)

一般的な社債の発行形態としては、割引発行が多く、そのためか、出題としても割引発行が多くなっています。
私自身が、社債の取引を実際に行う訳ではありませんので、聞いた話ですが、一部の新株予約件付社債では、社債部分が、打歩発行になっているものもあるそうです。
その点を考えると打歩発行も軽めにでもマークしておくべきかもしれません。

打歩発行時の特徴的な点は、償却原価法の適用の仕訳が通常と逆になる点でしょうか。

(割引発行時)
発行:現金預金 90 社  債 90
償却:社債利息  2 社  債  2

(打歩発行時)
発行:現金預金110 社  債110
償却:社  債  2 社債利息  2

打歩発行時の償却の仕訳については、貸方に社債利息が生じますが、これは実際に支払う社債利息からの控除を想定しているからです。
実際に決算において社債利息が貸方に残ることはありません。
 

<b>【関連記事】</b>
社債の発行形態

(★)社債の問題を解く際に重要な事

新基準以前の(従来的な)個別項目では、割賦販売と社債が難しいという印象がありました。
その一方の社債です。

社債の問題を解く上で必要なのは、償却にしても、社債利息の計算にしても、期間配分の考え方です。
それ以上でも、以下でもありません。
やっていることは、償却や社債利息をどの期間にもっていくかです。
そして、それがわかりにくいとすれば、行われている取引そのものが把握しにくい、または、把握できていないという事ではないでしょうか。

社債の問題を解くためには、いったい何が行われているのかをきちんと把握する事が大事です。
そのためには、次の点に留意するとよいでしょう。

(1)問題をよく読むこと。
(2)慣れるまでは、横線を引いて、いつ何が行われたかを整理すること。

この場合に大事なのは、解答・解説を読んで納得したつもりにならないことです。
自分できちんと問題を把握して、図解するなどして、状況を整理する必要があります。
その整理の仕方が正しかったのかを解答・解説で確認するのはよいでしょう。
ただ、単に解答・解説で計算過程を追うようになっていないでしょうか?
そんな時は、要注意です。
もう一度、問題文を読み返し、状況を「ご自分で」整理する必要があると思います。

これは、必ずしも社債に限った話ではありませんが、状況を自分で整理するように心がける。
これを個別問題レベルできちんと行う事が、総合問題や応用問題を解く上では不可欠といってよいでしょう。

剰余金の処分(配当)の意味

剰余金の処分(典型が配当)の会計処理は、わかりにくいように思います。

いま、増減資と比較して考えてみましょう。

「配当」は、獲得した利益を株主に配分する行為です。

「減資」は、株主から受け入れた資本を返す行為です。


【増資と減資の会計処理】
(1)増資
(借)現金預金××× (貸)資 本 金×××

(2)減資
(借)資 本 金××× (貸)現金預金×××

【利益の獲得と配当】
(1)利益の獲得
(借)現金預金 ××× (貸)受取利息 ×××
(借)受取利息 ××× (貸)損  益 ×××
(借)損  益 ××× (貸)繰越利益剰余金×××

(2)配当
(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払配当金×××
(借)未払配当金××× (貸)現金預金 ×××

「増資と減資」は、対照的な仕訳処理です。

これに対して、「利益の獲得と配当」は複雑です。

理由は、「利益の獲得」に関係する取引は、期中は、費用・収益勘定で処理し、その費用・収益勘定を損益勘定に振替え、その損益勘定で初めて、どれだけ利益が増えたかを算定することになるからです。

このようなヘンテコな流れをとるのは、企業がどのような形で利益を獲得したのかを原因別(費用・収益別)に示すためです。

上記の「利益の獲得と配当」をムリムリ相殺してしまえば、次のような形になります(実際に、相殺可能な訳ではありません)。


(借)現金預金 ××× (貸)繰越利益剰余金×××

(借)繰越利益剰余金××× (貸)現金預金 ×××

増資と減資の会計処理に似てますよね。

少しイメージがわかないでしょうか?


(関連記事)
剰余金の処分の意味


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社外流出と内部留保

(1)社外流出と内部留保

剰余金の処分項目には、社外流出項目と内部留保項目とがあります。

社外流出項目と内部留保項目との違いは、純財産が減少するか否かにあります。

具体的な取扱いの違いとしてあらわれるのは、社外留保には、利益準備金の計上(10分の1)が強制される点です。


(2)社外流出

(社外流出・配当の例)

(借)繰越利益剰余金××× (貸)未払配当金×××


社外流出の典型は、配当です。

借方の未処分利益は、資本項目です。

この資本項目が減って、未払配当金という負債項目が増えています。


(3)内部留保

(内部留保・利益準備金の計上)
(借)繰越利益剰余金××× (貸)利益準備金×××

繰越利益剰余金、利益準備金の計上共に、資本項目ですから、資本項目間の移動に過ぎないことがわかると思います。

内部留保は、資本項目間の振替取引といってよいでしょう。

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資本金及び資本準備金減少差益

なんとも長い名称で、いやけがさしてしまう「資本金及び資本準備金減少差益」。

これは、一つの「用語」です。

貸借対照表の表示科目ですが、仕訳の勘定科目としても用いられます。

従来、一般的に使用されていたのは、「減資差益」です。

この減資差益は、いわば「資本金減少差益」です。

「資本金及び資本準備金減少差益」ではなく、「資本金減少差益」というところがみそです。

ですから「資本金減少差益」を意味する場合には、減資差益という「勘定科目」を用いても間違いではありません。

ただし、資本金及び資本準備金減少差益には、この他に、「資本準備金減少差益」も含まれますので、注意が必要です。

従来の「減資差益」は、勘定科目の指示がなければ、「資本金及び資本準備金減少差益」、「資本金減少差益」、「減資差益」でもかまいません。

ただし、自己株式の消却との関連で、「その他資本剰余金」という勘定科目が多くなっているようです。

勘定科目については、決めつけず柔軟に対応しましょう。


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増資と減資

増資や減資は、会社法上の制度で、増えたり、減ったりするのは、あくまでも会社法上の「資本金」=簿記上の「資本金」です。

この点は、しっかり意識しましょう。

増資や減資に関連して「実質的」や「形式的」ということがいわれることがあります。

これは純財産の増減を伴うかどうかの違いです。

例えば、「実質的増資」といえば、純財産が増えて、資本金も増える増資をいいます。

(借)現金預金××× (貸)資本金×××

こんな仕訳をきるケースでは、現金預金が増えて、資本金が増えてますので、実質的増資です。

(借)資本準備金××× (貸)資本金×××

これは、資本準備金の資本(資本金)組入れの場合の仕訳ですが、資本項目(資本準備金)が減って、他の資本項目(資本金)が増えています。
このような増資が、「形式的増資」と呼ばれます。


【関連記事】
増資の会計処理


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資本金増加の日と新株式申込証拠金

「資本金」の増加の日は、「払込期日」です。

従来は、「払込期日の翌日」だったので、注意が必要です。

資本金になる日は、裏を返せば、出資者が「株主になる日」です。

この株主になる日が変ったので、資本金になる日も変りました。

出資者は、「株主になる日」以前に資金を出しますが、資金を出した時点では、予約金のようなものです。

この予約金は、実際に資本金になるまでは、新株式申込証拠金勘定で処理します。

この新株式申込証拠金は、申込期日までは、負債(預り金)で、申込期日を過ぎると株主資本になります。

貸借対照表の表示は、純資産の部の株主資本の資本金の次に表示します。


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純資産の部の表示


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純資産の部の表示を覚えてますか?

純資産の部は、コロコロ変る部分でもあり、力が入らないかもしれません。

しかし、本気でやらないと身につかないところでもあります。

大きな柱をまずはおさえておきましょう。


機〇駛楸
供〇駛楙衢抄
掘〕益剰余金


これは、覚えてください(えーっと。今、すぐにです)。


その後に「資本剰余金」と「利益剰余金」をおさえましょう。

資本剰余金
(1)資本準備金
(2)その他資本剰余金

その後が「資本準備金」と「その他資本剰余金」に何があるのかです。

資本準備金には、株式払込剰余金と合併差益等があります。

その他資本剰余金には、「資本金及び資本準備金減少差益」と「自己株式処分差益」があります。


コツといえるかはわかりませんが、純資産の部の表示を端からおさえるのは、あまりオススメではありません。

上記のように、「大分類→中分類→小分類」という形でおさえていくのがよいのではないかと思います。

このあたりがきちっと入っているかで、実際の問題の解答等にも影響があると思います。


(関連記事)
純資産の部の表示


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引出金

【引出金勘定】
個人企業の資本に属する勘定は、「資本金」勘定のみです。

ただし、期中の店主の持ち出しを把握するために、「引出金」勘定が用いられる場合があります。

店主の事業に関連しない生活費等を支出した場合に用いるのが引出金勘定です。

この場合の引出金勘定は、資本金のマイナス勘定の意味を持ちます。

もちろんダイレクトに借方・資本金とする方法もあります。


(引出時)引出金××× 現金預金×××


【決算時の処理】
注意したいのは、決算時の処理です。

引出金勘定は、暫定的な資本金のマイナス勘定に過ぎません。

ですので、決算で、ホントに資本金が減ったという処理(借方・資本金)を行います。

(決算時)資本金××× 引出金 ×××

この決算時の処理は、決算振替(資本振替)の一種です。

決算整理(減価償却費の計上等)の後に行います。


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純資産の部の表示
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株式分割


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仕入諸掛の問題の手掛け方

仕入れに係る付随費用を「仕入諸掛」といいます。

仕入諸掛には、商品の引取運賃や仲介手数料があります。
輸入取引の場合では、荷役費、保険料、関税などもあります。

仕入諸掛の原則的な取扱いは、「仕入」勘定に含める処理ですが、「仕入諸掛費」勘定を設けて別個に処理する場合があります。
なお、「仕入諸掛費」勘定を設けても、損益計算書の表示は、基本的には、設けない場合と同じです。

「仕入諸掛費」勘定を用いている出題の際には、「ボックス図」を最大限に活用しましょう。
ボックス図の内側に対価(諸掛抜き)を書いて、外側に仕入諸掛を書くと、とても整理しやすいです。
条件が複雑な場合には、なかなか電卓だけで整理するのは、厳しいので、簡単なボックス図でいきましょう!!

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仕入諸掛

売価還元低価法

売価還元低価法は、売価還元原価法の原価率の式の分母から値下額(と値下取消額)を取り除いた原価率を用いる方法です。
簡単な例で考えてみましょう。

期首商品 なし
当期仕入 @80×2個=160円
当初売価 @100×2個=200円
当期売上 @90(10円の値下)×1個
期末商品 売価@90(10円の値下) 原価80円

売価還元原価法の原価率 160円÷(200円−20円)=8/9
売価還元原価法の評価額 90円×8/9=80円
売価還元低価法の原価率 160円÷200円=80%
売価還元低価法の評価額 90円×80%=72円

売価還元法を用いないケースでは、どうでしょうか。
原価法の評価額は、@80円です。
売価還元原価法と同じです。

低価法は、どうでしょうか。
売価は@100円から@90円に下がっているので、期末の商品の買値もいくらか下がっているのが自然です。
仮に同率で@80円から@72円に下がっているとすれば、通常の低価法の評価額は@72円で、売価還元低価法と同じです。

売値の下落率と買値の下落率にある程度の相関関係はあるでしょうが、まったく比例するとは限りません.
したがって、売価還元低価法と通常の低価法の評価額とがまったく同じになるとは限りませんが、売価還元低法のそれなりの合理性が理解できると思います。


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二種の売価還元法


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「返品、値引・割戻」と「値上・値下」

売価還元原価法で登場する「値上」と「値下」。
「返品、値引・割戻」とは、きちんと区別しておきましょう。

「値上と値下」は、値札の訂正・付替えという形で行われます。
いったん、陳列した商品の値札ラベルを¥10,000→¥8,000なんて具合に訂正するのが、「値下」です。
もう、この値段じゃ売れないから、売値を下げるのが、「値下」です。

「値上」は、この逆です。
ただ、値札の訂正をそのまま行うことはできないでしょうから、この場合には、値札そのものを付け替えることになるでしょう。

これに対して、返品、値引・割戻は、いったん、商品の引渡しが行われた後に行われる行為です。
「値上等」が、販売(引渡)以前に行われるのに対して、「値引」等が、販売(引渡)後に行われる点にあります。

(関連記事)
売価還元法における値上と値下

税法方式の売価還元法

「税法方式の売価還元法」は、

(期首商品原価+当期仕入原価)÷(当期売上+期末売価)

で原価率を算出します。

要は、商品(仕入)勘定の「借方・原価÷貸方・売価」という方法です。
ただ、貸方の棚卸減耗を加味していませんので、理論的には、必ずしも合理的な方法ではありません。
これは極めて極端な例で考えるとわかりやすいでしょう。

期首商品 なし
当期仕入 原価@80円×2個=160円
当初売価 売価@100円×2固=200円
当期売上 売価@100円×1個=100円
期末商品 なし
棚卸減耗 1個

連続意見書方式の売価還元原価法での原価率は、次のように計算されます。
160円÷200円=80%

税法方式の売価還元法での原価率は、次のように計算されます。
160÷100=160%(?)

つまり、減耗が僅少である場合に、それなりの合理性を持つというのが、税法方式の売価還元法で、理論的な厳密性はありません。
そのせいか検定試験などで出題されていない(たぶん)ですが、税理士試験の簿記論では、税理士試験だけにおさえておいた方がよいといったところでしょうか。

(関連記事)
二種の売価還元法

売価還元法の式を覚えてますか?

だらだらと長い売価還元法の式。
皆さんは、覚えていますでしょうか。
私は覚えていません(←おいおい)。

でも、計算にはまったく支障はありませんし、ゆっくりであれば、口頭でいうこともできます。
それは、基本的な考え方をおさえているからです。
連続意見書方式の売価還元法は、商品(仕入)勘定の借方に着目して、その借方の商品全部が売れてしまったとした場合の原価率を算出しています。
その事を把握していれば、式を覚えていなくても、「借方全体の原価÷借方全体の売価」これでいけます。
いける筈です。
いけます………よね?

(関連記事)
二種の売価還元法

後入先出法

※後入先出法は廃止されています。
以下の記事は参考まで。

「先入先出法」は、先に仕入れたものから順番に出て行くと考える方法です。
「後入先出法」は、後に仕入れたものから順番に出て行くと考える方法です。
仮定そのものに違いがありますが、それ以外でも先入先出法と後入先出法とで大きく異なる点があります。

それは、期間のとり方で結果に違いがあるか否か、です。
どこからどこまでで先入先出や後入先出を考えるかで、(端数処理を除いて)結果が同じか、異なるかの違いがあります。

先入先出法は、端数の関係を除くと、期間のとり方で、結果に違いはありません。
しかし、後入先出法は、会計期間でみるのか(期別)、月単位でみるのか(月別)、払出ごとにみるのか(その都度)で結果が異なります。

ちょっとの違いで結果が異なるというのは、出題者側の立場でみると出し頃といってよいでしょう。
後入先出法の違い(期別、月別、その都度)には充分注意したいところです。

(関連記事)
払出単価の決定方法

期末商品棚卸高

期末商品帳簿棚卸高は、補助簿である「商品有高帳」における残高です。
簿記論では、商品有高帳の記入と仕訳とが違っている(どちらかが間違えている)出題がありますので、明確に意識しておきたいところです。

例えば、
期末商品帳簿棚卸高100円
期末商品実地棚卸高100円
という場合でも商品有高帳の記録(+10円)が一部行われていなければ、棚卸減耗損は、(100円+10円)−100円=10円ということになります。

特に、仕訳処理に訂正が必要な場合には、その仕訳の間違いを訂正することのみでホッとしてしまう事はありがちですので、充分注意しましょう。

(関連記事)
棚卸減耗費(損)と商品評価損

固定資産の取得原価

税理士試験「簿記論」の第3問では、やや実務的な出題がなされることがあります。
かなり細かくて、実務経験のない方は面食らうのではないかと思います(って、きっともう面食らってますね)。

そんなやや実務チックな出題のうち有形固定資産の取得原価、しかも、建物の建築にまつわる儀式の話です。
建物を建築する際等のイベントとしては、次のようなものが考えられます。

(1)地鎮祭(じちんさい)
(2)上棟式(じょうとうしき)
(3)落成式(らくせいしき)

いずれもある種の儀式です。

地鎮祭は、建物を建てる前に、神主さんを呼んで、行うやつです。

上棟式は、建物の建築の途中で棟木(むなぎ・むねぎ)と呼ばれる木をあげるとき行うやつです。
棟上式(むねあげしき)、建前(たてまえ)などとも呼ばれます。

落成式は、建物の完成を祝うやつです。

これらに対する取扱いですが、
(1)建物を建築し、それを事業の用に供するまでにかかった費用は、全部取得原価に含めるという考え方もあるでしょう。
(2)建物が実際に完成し、事業の用に供することが可能になるまでの費用は取得原価に入れるべきだという考えもなりたちそうです。

いずれの考えをとっても地鎮祭・上棟式の費用が取得原価に含まれることは間違いありません。
落成式については、取得原価・費用処理のいずれも成り立つ可能性はあるかもしれません。
しかし、落成式の方が地鎮祭・上棟式よりも一般に儀式色が薄く、むしろ完成のお披露目的な要素は濃いといってよいでしょう。
完成後の事後費用ということで税務上も経費とすることが認められています。

もちろん、問題の指示が最優先ですが、何も指示がなければ、次のような処理が無難ではないかと思います。

地鎮祭・上棟式 → 取得原価
落成式     → 費用処理


(参考問題)
税理士試験 簿記論 細目問題23(有形固定資産の取得原価)

原価率算定上の売上値引・割戻

簿記論では、原価率を算出させる場合が少なくありません。
この場合の原価率は、財務諸表の数値したものではありません。
販売の時点で想定される原価率、いわば予定原価率を意味しています。
当初、企業が予定した原価率です。

例えば、企業が原価率80%と想定しているなら、80円で仕入れた商品は、100円で販売することになります。
ただ、商品にキズがあったりすれば、5円値引くということもあるでしょう。
これが、売上値引です。

一連の処理を仕訳で示すと次のようになります。

(借)売 掛 金100 (貸)売  上100
   売  上  5    売 掛 金  5

この時点で、試算表を作成すれば、売上勘定は、95円になります。
この95円の売上と80円の仕入(売上原価)から「当初の」原価率80%を算出するとするなら次のようになるでしょう。

売上原価80÷(売上95+売上値引5)=80%

当初の原価率の算定上、売上値引・割戻を控除しないのは、このような理由からです。
「当初の」原価率の算出の際の売上値引・割戻の取扱いには、充分注意しましょう。

(関連記事)
利益率・原価率、付加率

売上原価だ

本当に大事な売上原価。
売上原価は、「売れて無くなってしまった商品の仕入原価」です。
具体的な計算は、次のとおりです。

期首商品棚卸高10+当期商品仕入高80−期末商品棚卸高20=売上原価70

一連の会計処理は次のとおりです。

期首:(借)繰越商品10
期中:(借)仕  入80 (貸)現  金80
期末:(借)仕  入10 (貸)繰越商品10
      繰越商品20    仕  入20

決算整理後の仕入勘定の残高は、80+10−20=70となっており、これが売上原価の金額です。

これを仕入勘定であらわすと、

仕 入
現金80 期末10
期首20 損益70

損益勘定に振替えられるのが売上原価の金額です。

いわゆるボックス図では、次のように示されることが多いです。

仕  入
期首10 売上原価70
当期80 期  末20

算式、仕訳、勘定記入、ボックス図といずれも、しっかりと納得して、使いこなせるようにしておかれるとよいのではないでしょうか。
特殊商品販売にもつながる商品販売のネックは、売上原価の理解にあるのではないかと思います。


【関連記事】
売上原価の意味

繰延資産の償却期間の覚え方

制度上の繰延資産は、5つ。

創立費、開業費、開発費が5年です。
株式交付費が3年。
社債発行費が社債の償還期限(資金調達目的の新株予約権発行費用は3年)です。

株式交付費は、株券の印刷費用等で、それほど巨額になる可能性も少ないです。
ので、他の繰延資産よりも短い3年ということのようです。

すべて合理的な期間計算(通常は、月割計算)が行われます。
社債発行費については、利息法が原則で、定額法も認められます。
それ以外は定額法によります。


【関連記事】
繰延資産の意味


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(※)期割と月割

(※)会社法で、均等額以上償却の規定がなくなりましたので、基本的には合理的な期間(通常は月割)による計算が行われます。

無形固定資産や繰延資産の償却で注意したいのが、期割(年割)と月割の区別です。
基本的には、

営業権+繰延資産(社債発行差金以外)→期割
営業権以外の無形固定資産→月割

という感じでしょうか。

繰延資産と営業権に関しては、商法(施行規則)に定めがあり、償却期間内での均等額以上の償却が定められているためです。
商法では、財産性のない(乏しい)資産について、一定期間内での、均等額以上の償却を求めています。

ただし、問題に指示がある場合には、その指示を最優先すべきです。


【関連記事】
税理士簿記論の期間計算

取得原価の推定

簿記論では、固定資産関連で、推定の絡んだ出題が少なくありません。
直接法・間接法の出題の違いに注意し、そして、定額法や定率法の基本的仕組みをしっかりと理解し、推定の問題に対処する必要があります。

定額法による推定がある場合には、取得原価を仮に(X)等と置いて、与えられた条件から算式をたててその式を解く感じがよいのではないかと思います。
ちょっと具体的な例で考えてみましょう。

取得原価?
期首帳簿価額820円(取得から2年経過)
耐用年数10年
残存価額1割

(X)−(X)×0.9÷10×2=820
(X)−0.18(X)=820
0.82(X)=820
(X)=1,000

電卓でいくなら、

0.9 ÷ 10 × 2 − 1 = M 
820 ÷ RM =

という感じでいけるのではないかと思います。


【関連記事】
減価償却関連の推定の意味

固定資産の取得原価に想う

固定資産の取得原価は、取得の態様ごとに異なっています。
簿記を学習していた当初、この固定資産の取得原価が苦手だった記憶があります。
理由は、簡単です。

ものの見事に、忘れるからです。

購入や贈与等、頻繁に出てくるものはいいのですが、たまーに出てくるものはほとんど忘れます。
我ながらビックリするくらい忘れます。
忘れることにかけては、かなりの自信があります。

「忘却とは、忘れ去ることなり」

昔の人は、いい事を言いました。

むむむっ。なんかそれてるか。

でも、理論的な背景に興味を持ってからは急に抜けなくなりました。
たぶん、その頃からムリに覚えようとしないで、何か根拠づけのできるものは、むしろその根拠を厳密ではないにしろ、おさえる方が結局は、早いし、長持ちもするということを自覚し、実践もするようになった気がします。

さて、皆さんは、固定資産の取得原価をどうクリアしているでしょうか?

(関連記事)
有形固定資産の取得原価

税理士試験で出てきそうな有形固定資産

税理士試験の第三問は、実務家が担当しているため、検定試験等ではなかなかお目にかからない種類の有形固定資産が出てくることがあります。
問題のつくりから、勘定科目がわからないことは無いと思いますが、予備知識は持っていた方がてがけやすいと思います。

その一つが「建物附属設備」です。
電気、水道、ガス、冷暖房設備といった建物に附属する設備(って、そのままか)を建物附属設備勘定で処理することになります。
鉄筋コンクリートの建物は、長く持ちますが、なかの電気、ガス、水道等の附属設備は、建物本体よりも寿命は短い(耐用年数は短い)のが通常です。

もう一つが、構築物です。
屋根のあるのが、建物、屋根のないのが構築物ととりあえずはいってよいかと思います。
舗装路面などは、やや実務チックな感じがしますが、構築物になります。
公告塔なんてのもあります。

ちょっと、実務チックな有形固定資産のご紹介でした。


【関連記事】
有形固定資産の意味

満期保有目的の債券

満期保有目的の債券は、満期まで保有する債券(って、そのままか)です。
簿記論では、それほど厳密な定義等は問われないと思いますが、満期保有目的の債券であるためには、取得当初から満期まで保有する意志が必要です。

満期保有目的の債券は、取得原価で評価します。
これは、満期まで所有していることが前提のために時価評価を行う必要がないからです。

ただし、取得差額(額面と取得金額の差額)が金利の調整である場合には、償却原価法が強制されます。

勘定科目としては、投資有価証券か、満期保有目的債券が用いられます。


【関連記事】
有価証券の勘定科目



税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧

売買目的有価証券

金融商品会計基準では、有価証券を4つに区分し、それぞれに応じた評価を定めています。
その最初にあがっているのが、「売買目的有価証券」です。
単なる売却をするであろう有価証券というより、売買を繰返し、その利ざやを稼ぐという意味で、「売買目的有価証券」ということでしょう。
金融商品会計基準では、「時価の変動による利益」を狙いとしている有価証券をいうものとされています。

売買目的有価証券は、短期的な時価の変動に注目して利益を得ようという訳ですから、期末時点で保有していても、これを時価で評価することに何ら障害はありません。
簿価と時価との差額が損益とされます。

勘定科目は、有価証券勘定がが多いですが、売買目的有価証券の場合もあります。


【関連記事】
有価証券の評価指標と評価差額の取扱い


有価証券<目次>

テキスト記事一覧

金融資産の発生の認識

簿記の初歩の段階で、商品を販売する契約を交わしただけでは、「仕訳なし」でした。
当座借越契約を締結しただけでは「仕訳なし」です。
簿記上の取引は、資産・負債・純資産の増減を伴う出来事なので、契約だけでは、簿記上の取引には該当せず、「仕訳なし」です。

ところが、です。

金融商品(有価証券等)限定ですが、契約時に仕訳をします。
有価証券を購入する契約を交わした場合は、借方・有価証券と処理します。
有価証券取引全般では、契約を交わすことを「約定する」というので、約定時点で仕訳処理をします。
現物の受渡しと金銭のやりとりは、契約の締結(約定)の後に行われるのが一般的です。

約定時 有価証券××× 未払金 ×××
決済時 未払金 ××× 現金預金×××

やや、レアケースといってもよいかもしれませんが、約定から決済までの間に決算をはさんだ場合は、期末評価の問題が生じます。


【関連記事】
有価証券の増加を記録するタイミング


有価証券<目次>

テキスト記事一覧

債権の種類と勘定科目

貸倒見積高の計算は、債権を「一般債権」、「貸倒懸念債権」、「破産更生債権」の三種に区分して行われます。
この場合の勘定科目は、その区分とは、必ずしも連動していません。

一般的には、「一般債権」と「貸倒懸念債権」は、もともとの債権の勘定科目(受取手形、売掛金等)を使用する場合が多いです。

ただし、「破産更生債権等」は、勘定科目を別建てにするケースが多いようです。
簿記論での勘定科目は、必ずしも固定的ではありません。
例えば、「破産債権」や「更生債権」といった勘定科目も考えられます。
このあたりは、問題をよく読んで、その指示や試算表の勘定科目に従いましょう。

また、手形の不渡については、「不渡手形」勘定で処理するケースも多いです。


【関連記事】
債権の種類と貸倒見積高の算定


引当金<目次>

テキスト記事一覧

二つの貸倒損失

売上収益は、商品の販売時点(実現時点)で計上されます。
もし商品代金をとりっぱぐれたらその分、費用を計上します。
その時の勘定科目が、貸倒損失です。
ただし、貸倒引当金という貸倒損失に対する備えがある場合は、事前に費用が計上されているので、この貸倒引当金を充当します。

結局、貸倒損失が計上されるのは、次の二つのケースです。
(1)当期に発生した債権が貸倒れた場合
(2)前期以前に発生した債権が貸倒れた場合で、貸倒引当金の設定が不足する場合

この二つでは、ニュアンスが異なっています。

(1)は、純粋な貸倒損失で、損益計算書の表示も売掛金であれば、販売費及び一般管理費です。

これに対して(2)は、いわば貸倒引当金の見積もり誤りです。
これは、前期の貸倒引当金の設定に関する話ですから、その性格は、特別な事情が無い限り前期の損益修正の意味を持つといえます。
簿記論の出題でも、この(2)を「前期損益修正損」といった「勘定科目」で解答させることがあります。
二つの貸倒損失の区別をしっかりつけておきましょう。

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