税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

軽めの簿記の話

売上原価に算入することの意味

実務につく前から税理士試験の学習をはじめたため、やや分かりにくかったのが売上原価に算入することの意味でした。

売上原価に算入する意味を考えてみました。
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付随費用を取得原価に加算する理由

簿記のはじめのころ、案外と分かりにくいのが付随費用です。

有価証券や固定資産、商品(仕入)のいずれも取得原価に算入するという取扱いですが、その理由を考えてみました。
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その他資本剰余金からの配当の取扱い

その他資本剰余金の処分による配当を受けた側の取扱いです。
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個人企業の資本振替

資本振替といっても中々ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。

簿記論では出題に絡むこともあります。

財表受験生の方もぜひ。
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新株の発行と自己株式の処分は同じ?

新しい株券を刷って(てか電子化か←無視で)、株主に渡すのが新株発行です。

いったん発行した株式を買い戻して(自己株式)それを株主に渡すのが自己株式の処分です。

新株の発行と自己株式の処分について考えてみました。
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暗記に頼らない学習のために(外貨建項目の換算相場)

忘れないためには覚えない。

逆説的ですが、これに限ります。

できるだけ覚えなくて済む工夫をすることが学習上は極めて重要ではないでしょうか。

私はそればっかり考えてます(←問題解けみたいな)。

今回は、外貨建項目について、考えてみました。
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大きい・小さいクイズ

次の金額は、大きい?それとも小さい?

どっち?


(1)棚卸資産の期末評価額

「取得原価」と「正味売却価額」


(2)所有権移転外ファイナンス・リース取引における取得価額

「(貸手の)見積現金購入価額」と「割引価値」


(3)市場販売目的のソフトウェアの償却額

「見込販売数量(収益)に基づく償却額」と「残期間の均等配分額」


(4)減損会計における回収可能価額

「使用価値」と「正味売却価額」
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原則クイズ

次のそれぞれについて、原則的な取扱いを答えなさい。

(1)株式交付費の処理

(2)増資があった場合の資本金計上額

(3)社債発行費の償却方法

(4)為替予約の処理方法

(5)割賦販売の収益認識基準
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強制適用と任意適用

会計基準がいつから適用されるかは、出題傾向を考える限り、案外と大事です。

強制適用と任意適用について考えてみました。
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まずは5区分

いろんな受験生を見ていると大きく2つのタイプにわかれるような気がします。

それは、「簿記が得意なタイプ」と「簿記が不得意なタイプ」です。
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1年基準

1年基準は、資産・負債を流動項目と固定項目にわける基準です。

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正常営業循環基準

正常営業循環基準は、資産・負債を流動項目と固定項目に分ける基準です。

単に営業循環基準ということもあります。
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注記をこなす方法

財務諸表論の出題は、次の感じです。

第1問 理論(25点)
第2問 理論(25点)
第3問 計算(50点)

今回は、このうち第3問で出題が想定される注記の出題可能性とこなし方を考えてみました。
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財務諸表のひな型は早めに完璧にしましょう!!

初学者の方で貸借対照表と損益計算書のひな型がイマイチという方をみかけます。

これは絶対ダメです。

財務諸表論では当然ですが、簿記でも早期に完璧にしましょう。
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くまのみみ

「くまのみみ」ってご存知ですか?

熊の耳。

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なぜ仕入諸掛は仕入に含めるのか?

税理士試験受験生にとってははじまりの月でもある9月。

このブログのスタイルも少し考えていきたいと思っています。

テキスト的な記事はやたらと多いので、それよりもちょっと軽めの簿記や財務諸表論に関する記事も書いていきたいと思います。

で、とっかかりとして考えたのが検索ワード(フレーズ)です。

わからないからこそ検索をする訳です。

しかも、割と長めに疑問そのもので検索する場合もあるようです。

そんな長めの検索ワードに勝手に答えてしまおうという企画です。

初回は、昨日の検索ワードにあった「なぜ仕入諸掛は仕入に含めるのか?」です。

自分なりの回答を考えた上で、続きを読んでみてください。

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会計基準変更時差異の留意点

退職給付会計の制度が導入されてから早いものでもう……何年だ?(←わからないのね)。

もう何年かたちますので、会計基準変更時差異が当期に生ずるという出題は考えにくいでしょう。
ただ、まだ、未認識の会計基準変更時差異が残っているという出題は充分考えられます。

他の差異等との取扱いの違いを考えておきましょう。

明確な違いは、次の2点です。

(1)定額法しか認められない点
(2)15年以内の償却を要する点

未認識「数理計算上の差異」と「過去勤務債務」については、定率法による償却も認められます。
これに対して、会計基準変更時差異は、定額法しか認められていません。
したがって、償却方法の指示がない場合には、定額法による償却を行う必要があります。

また、未認識「数理計算上の差異」と「過去勤務債務」については、平均残存勤務期間内の償却が求められますが、どの企業にも共通の「何年」という年数はありません。
会計基準変更時差異のみが具体的な「15年」という年数があります。

会計基準変更時差異は、出題時には、発生が一回で、償却時に、費用が出るというパターンになるでしょう。
数理計算上の差異などと比べるとかなり単純ですので、きっちり合わせられるところだと思います。
やや細かい条件の違いではありますが、おさえておかれるとよろしいのではないでしょうか。


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過去勤務債務
数理計算上の差異
会計基準変更時差異

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未認識数理計算上の差異の償却開始年
未認識過去勤務債務の月割計算


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未認過去勤務債務の月割計算

今回は、未認識過去勤務債務の話です。

「未認識過去勤務債務」は、償却開始年には、「月割」もありです。
知っているかいないかの話なので、おさえておいて損はないと思います。

「未認識数理計算上の差異」の償却の償却の開始は、発生年だけでなく、翌年もありました。
「未認識過去勤務債務」と「未認識会計基準変更時差異」は、発生年からのみの償却です。

「未認識数理計算上の差異」と「会計基準変更時差異」については、発生年度の月割計算は、考えられません。
「過去勤務債務」については、退職給与規程の改訂時期次第で、月割計算もあります。

減価償却計算なんかで月割計算を最初にやったときには、結構、「むむむっ」って思ったんじゃないかと思います。
結構なれたなと思っても何か別の要素が絡んだりすると月割を忘れたり、数え間違えたりは結構あるのではないかと思います。

退職給付引当金の場合にも単純にいかにも月割ありという出題だといいんですが、会計基準変更時差異と面倒な数理計算上の差異の計算があったりすると月割計算自体に意識がいかない場合もあるかと思います。

退職給与規程の改定が期首でない場合には、未認識過去勤務債務の月割計算もありというお話でした。


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未認識数理計算上の差異の償却開始年

退職給付引当金で面倒だなあと思うのが、数理計算上の差異ではないでしょうか。
資料次第ということもありますが。

未認識項目は、3つ。
会計基準変更時差異、数理計算上の差異、過去勤務差異です。
このうち「翌期」からの償却が認められているのは、数理計算上の差異のみです。
数理計算上の差異以外は、指示がなくても発生年からの償却になります。

実務的には、このバターン(翌年から)が多いと思いますので、第3問での出題時には、ありがちだと思います。
前期の資料から数理計算上の差異を算出する場合は、資料が複雑になりますが、想定しておくべきでしょう。

でも、先入観を持ってはいけませんので、退職給付引当金の本格的出題時には、償却開始年(発生年か、その翌年か)にはくれぐれも注意しましょう。


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振替える

決算振替(損益振替・資本振替)に限定されて使用される場合もありますが、やや広めに、「勘定A」を違う「勘定B」に置き換えることを「振替える」といいます。

具体的に訂正仕訳の例で考えてみましょう。

(取引)
備品100を現金で購入した。

(間違えた仕訳)
(借)車両100 (貸)現金100

(訂正仕訳)
(借)備品100 (貸)車両100

この場合、車両勘定を減らして、備品勘定を増やすことで、車両勘定を備品勘定に置き換えています。
このことを車両勘定を備品勘定に「振替える」といったりします。

当初の間違えた仕訳の車両がいったん仕訳→元帳と記録された場合に、簿記では直接的に訂正することはしません(←まあ、実務的には案外やりますが)。
当初の記録を残したまま、正しい仕訳を行ったのと同じ結果にする必要があります。
そのために行われる仕訳が、車両勘定を備品勘定に「振替える」仕訳になります。

訂正仕訳に限らず、この「振替える」仕訳は、たくさん行われます。

簿記論でいうと商的工業簿記なんかは、この「振替」の連続といってもよいでしょう。

さて、皆さんは、この「振替える」という感覚がしっかりと身についているでしょうか。

続・試算表の種類

簿記一巡の手続の流れの中での試算表の種類はとても大事です。

(期首試算表)→期中手続→(決算整理前試算表)→決算整理→(決算整理後試算表)→決算振替→(期末試算表)

資料として何が与えられているのかは、よく見極める必要があるでしょう。
受験簿記全般では、決算整理前後が問われることが多いですが、ここ数年の簿記論の出題では、期首スタートの出題も少なくありません。
それぞれの段階で行われる手続きも含めて整理しておくことが重要でしょう。

試算表の種類として、もう一つ考えておきたいのが、残高試算表と合計試算表です。
残高試算表は、各勘定の残高を集めた試算表です。
合計試算表は、各勘定の借方合計と貸方合計を集めた試算表です。
両方がくっついた形のものが、合計残高試算表です。

簿記の手続との関係でいうと、決算整理前試算表について、この区別の意味があります。
残高試算表と合計試算表を取り違えると致命傷になりかねませんので、注意が必要です。
実際にとく問題の多くが残高試算表での出題ですので、たまにという感じだとは思いますが。

合計試算表がらみの推定の例を一つ。

(問題)
次の資料により、当期の売上高を算出しなさい。
なお、当社の売上は、すべて掛で行っており、当期において売上返品、値引・割戻は行っていないものとする。

(期首試算表)
売掛金
【借方】100

(決算整理前合計試算表)
売掛金
【借方】700
【貸方】500

(解答)
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勘定科目考

勘定科目は、財務諸表の表示科目とは違って企業に自由があります。
極端な話を言えば、何でもいいんです(ちと、極端ですが)。
簿記論を学習する上ではこのことを認識しておく必要があります。

現金についていえば、これを「金銭」などという「勘定科目」で処理してはいけない訳ではありません。
ただ、みんなが「現金」という呼び名を使っているのに、これと異なる勘定科目を使うことは、とても不便です。

例えば、伝票に勘定科目のゴム印を押そうと思っても売っているのは、現金です(ありゃ、現金は押さないか)。
また、パソコンの標準的な最初の勘定科目も現金です。
ゴム印もそれ用の物をつくり、パソコンの科目も直すとのであれば、問題はないですが、とても不経済で、手間もかかります。
なぜ「現金」という勘定科目を使うのか?といえば、「みんなが使っているから」でしょう。
それが、とても一般化しているからです。

では、すべての勘定科目の使い方が一般化しているかというとそうではありません。
この点を多少なりとも意識しておく必要があるでしょう。

複数の企業の経理処理を実際に見たことのある方は問題ないと思います。
特に費用科目などは、結構、まちまちです。
実務経験がなく、また、特に独学で学習を進めている方は、勘定科目は、一つではないことは気にとめておかれた方がよいのではないかと思います。


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勘定科目と表示科目

簿記上の取引

簿記上の取引とは、ちゃんというと「簿記上の資産・負債・資本に増減を生じさせる経済事象」です。
資産・負債・資本が増えたり減ったりする出来事、それが簿記上の取引です。

商品の販売契約を交わすことを「一般的には」取引といいます。
しかし、簿記上の取引ではありません。

火災で商品が燃えても、一般的には取引といいませんが、簿記上の取引には該当します。

商品や固定資産の場合は、販売契約をかわしただけでは簿記上の取引に該当しません。
当座借越契約を締結した場合も同じです。

ちと違うのが有価証券です。
正確には、金融資産・負債といった方がよいでしょう。

有価証券は、約定(契約)時点で発生・消滅を認識します。
契約を交わした段階で簿記上の取引に該当し、仕訳も必要です。


【関連記事】
有価証券の増加を記録するタイミング


簿記一巡目次

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独立処理による仕訳

為替予約取引は、将来の変動相場による現金収入(未収金)と固定相場による現金支出(未払金)の交換取引です(逆もありますが)。
独立処理では、為替予約を予約相場のみを使って換算します。
1ドルの取引を想定し、予約相場が次のように推移したものとすると実際の仕訳は次のようになります。

(1)予約(100)仕訳なし

(2)決算(104)(借)為替予約  4 (貸)為替差損益 4

(3)決済(106)(借)為替予約  2 (貸)為替差損益 2
   現金預金  6    為替予約  6

最後の仕訳は、次の方が一般的かもしれません(どちらでもかまいません)。

(3)決済(106)(借)現金預金  6 (貸)為替差損益 2
            為替予約  4

(1)予約時
為替予約は、将来の現金収入(未収金)と現金支出(未払金)の交換取引です。
予約を行った段階では、両者(借方と貸方)は、等価であり、仕訳処理は要しません。
この考え方は、一般的なデリバティブ取引に共通です(差金決済が前提のため)。

(2)決算時
為替相場(予約相場)は100から104へと変動しています。
現金支出(未払金)は固定されており、変るのは借方・未収金です。
実際の仕訳では、為替予約が一般的ですが、この場合の性格は、「為替予約未収金」であり、これを勘定科目とする場合もあります。
為替相場が100→104と動くことで、未払金を固定していると未収金が増えるので「益」が生ずることになります。

(3)決済時
決済時の考え方は、決算時の延長でいけるのではないかと思います。
いったん、為替予約を決算時のように換算しておいて、(為替予約2 為替差損益2)、
そこまでの為替予約6を現金預金で精算するという形です。
この為替予約6は、予約時から決済時までの予約相場の変動分ということになります。

もう一方の仕訳が一般的です。
借方・現金預金は、予約時から決済時までの予約相場の変動分です。
貸方・為替差損益は、前回の換算時(決算時)から決済時までの予約相場の変動分です。
貸方・為替予約は、決済直前で計上されている為替予約です。

この決済時の仕訳をどちらでもかまいませんので、貸借差額を使わないできれるようにしておく必要があると思います。

独立処理

為替予約取引は、将来の異なる変動相場と固定相場による現金収支の交換取引です。
変動相場による現金収入(未収金)と固定相場による現金支出(未払金)の交換取引を考えてみましょう。
独立処理では、為替予約を予約相場のみを使って換算します。
1ドルの取引を想定し、予約相場が次のように推移したものとすると「考え方として」の仕訳は次のようになります。

(1)予約(100)(借)未 収 金100 (貸)未 払 金100

(2)決算(104)(借)未 収 金  4 (貸)為替差損益 4

(3)決済(106)(借)未 収 金  2 (貸)為替差損益 2
    現金預金106    未 収 金106
    未 払 金100    現金預金100

考え方としては、上記のような仕訳を想定することができます。
しかし、最後の決済取引を考えてもわかるように、実際に106円をもらって、100円を支払うことはしません。
差額(6)をやりとり(この場合は、受取)すればよい訳です。
このような決済の仕方は、差額、差金のみをやりとりするので、「差金決済」と呼ばれます。
このような差金決済の動きに仕訳処理をあわせるには、未収金と未払金を仕訳段階で相殺すればよいでしょう。
その相殺後の勘定科目として「為替予約」勘定を用いるのが一般的です。

(1)予約(100)仕訳なし

(2)決算(104)(借)為替予約  4 (貸)為替差損益 4

(3)決済(106)(借)為替予約  2 (貸)為替差損益 2
    現金預金  6    為替予約  6

最後の仕訳は、次の処理の方が一般的かもしれません(どちらでもかまいません)。

(3)決済(106)(借)現金預金  6 (貸)為替差損益 2
               為替予約  4

独立処理の考え方としての処理

今、輸入取引を例にとって考えてみましょう。

【輸入取引】(借)仕  入×××    (貸)買 掛 金×××(変)

【為替予約】(借)未 収 金×××(変) (貸)未 払 金×××(固)

為替予約は、スワップ(交換)の一種で、将来の現金収入(借方・未収金)と将来の現金支出(貸方・未払金)の交換取引です。

独立処理は、輸入取引で生じた買掛金と為替予約とを別個に換算する方法です。

買掛金は、通常どおり、現物の為替相場で換算することになります。

問題は、為替予約についてです。
取引金額を1ドルとして予約相場が次のように推移したとしましょう。

予約100 → 決算104 → 決済106

貸方・未払金は、固定されています。
変るのは、借方の未収金です。
借方の未収金が、

100→104→106

と動くことになります(次の処理は、実際の処理ではなく、あくまでも考え方です)。

(1)予約(100)
(借)未 収 金100 (貸)未 払 金100

(2)決算(104)
(借)未 収 金  4 (貸)為替差損益 4

(3)決済(106)
(借)未 収 金  2 (貸)為替差損益 2
   現金預金106    未 収 金106
   未 払 金100    現金預金100

独立処理と振当処理

為替予約の会計処理には、独立処理と振当処理があります。
極めて、ざっくりとこの二つの会計処理を考えてみましょう。

(1)輸入取引
(借)仕  入×××    (貸)買 掛 金×××(変)

(2)為替予約
(借)未 収 金×××(変) (貸)未 払 金×××(固)


【独立処理】
独立処理は、外貨建金銭債権債務(買掛金)と為替予約を別々に換算(評価)する方法です。
輸入取引で生ずる外貨建債権債務(買掛金)は、現物の相場でそのまま換算します。
為替予約は、予約時点では、上記のような処理を行う訳ではありません(仕訳なし)。
その後は、先物相場の変動部分で評価されます。

【振当処理】
振当処理は、いわば上記の(1)の貸方・買掛金(変)と(2)の借方・未収金を相殺してしまう考え方です。
もっとも両者は、逆の性格をもっていますが、全く等価という訳ではありませんので、実際には、その差額を処理しなければなりませんが。

為替予約と会計処理方法

ちょっと、外貨建の仕入取引を考えてみましょう。

(1)(借)仕  入1万ドル (貸)買掛金1万ドル(変動)

貸方の買掛金はドル建です。
仕訳上は、仕入時の為替相場で換算されます。
日本円で支払うのであれば、実際の決済段階では、その決済段階の為替相場で換算して決済する必要があります。

為替予約は、「1万ドルの固定相場での受取」と「1万ドルの変動相場との支払」の交換取引です。

(2)(借)未収金1万ドル(変動) (貸)未払金1万ドル(固定)

よくある出題では、(1)の輸入取引に(2)の為替予約をぶつける訳です。
そうすることで、(1)の貸方・買掛金(変動)と(2)の借方・未収金(変動)の影響がちょうど逆に働きますので、為替相場の変動による影響を減殺することができます。

ただ、取引としては、輸入取引と為替予約は別々に存在します。
その別々に存在する取引を別々に考えるのが、独立処理で、一体として考えるのが振当処理でといってよいでしょう。

金利スワップと為替予約

先日、「金利スワップ取引」をご紹介しました。

かなり強引ではありますが、次のような組み合わせを考えました。

【借  入】(借)○○○×××     (貸)未払金×××(変動)

【スワップ】(借)未払金×××(変動) (貸)未払金×××(固定)

これを相殺すると次のような感じになります。

【借  入】(借)○○○×××     (貸)未払金×××(固定)

つまりは、変動金利を固定金利に置き換える効果があることになります。


為替についても同様のことがいえます。

いま、外貨建の仕入取引を考えてみましょう。

【仕  入】(借)仕  入×××     (貸)買掛金×××(変動)

これに変動相場による受取と固定相場による支払の交換取引を重ねてみましょう。

【スワップ】(借)未収金×××(変動) (貸)未払金×××(固定)

未収金(変動)と買掛金(変動)を相殺するとすれば、次の取引が残ります。

【仕  入】(借)仕  入×××     (貸)買掛金×××(固定)

つまりは、変動相場を固定相場に置き換える効果があることになります。

で、このスワップ取引が「為替予約」です。

金利スワップ取引

ちょっと急な感じですが、スワップ取引についてです。

スワップ取引の典型としては、固定金利と変動金利の交換(金利スワップ)があります。
もう少し正確にいうと一定の金額、条件での固定金利と変動金利の交換ということになるでしょうか。

例えば、借入金1千万円を前提に考えてみましょう
固定金利と変動金利の交換を行うということは、無理やり仕訳でいうとすると次のような感じになるでしょうか。

(借)未払金×××(変動金利) (貸)未払金×××(固定金利)

もっとも、実際には、このタイミングでは、借方と貸方の価値は見合っている筈(等価)で、仕訳処理は行いません。

これとは別に借入金(変動金利)を行った際には、変動金利での未払金が生ずると考えられます。

(借)○○○×××       (貸)未払金×××(変動金利)

※実際に未払金が生じる訳ではなく、将来の変動金利での支払を仮にあらわしたものです。

(2)変動金利での借入 + (1)変動金利受取・固定金利支払のスワップ

この二つの取引を行うと、事実上、変動金利での支払いを固定金利に置き換えることができます。

もう一度、仕訳を並べてみましょう。

【借  入】(借)○○○×××       (貸)未払金×××(変動金利)

【スワップ】(借)未払金×××(変動金利) (貸)未払金×××(固定金利)

借方と貸方にそれぞれ未払金(変動金利)があります。
両者は、受取と支払でちょうど逆の関係にありますので、これを相殺すると、次のようになります。

【借  入】(借)現金預金×××      (貸)未払金×××(固定金利)

当初は、変動金利による借入が、固定金利に置き換わっていることがわかります。
つまりは、変動金利による借入がある場合に変動金利受取・固定金利支払のスワップを行うと、変動金利の支払を固定金利に置き換えることができる訳です。


【関連記事】
スワップ取引

外貨建債券の償却原価法

満期保有目的の償却原価法で知っておきたいのは、次の2点です。

(1)貸借対照表価額は、ドル建の償却原価×決算時の為替相場

(2)償却額は、平均相場(AR)で換算


この2点を把握していれば、いけるのではないでしょうか。

貸借対照表価額は、ドル建の償却原価を決算時の為替相場で換算した金額です。
「帳簿価額」と「貸借対照表価額」との差額が、損益です。

この損益のうち償却額は、利息です。
期中にだんたんと生じていますので、平均相場で換算するのが合理的です。
外貨建の償却額を平均相場で換算した金額は、有価証券利息で処理し、残額を為替差損益とします。
なお、期中平均相場としては、月や半期単位の平均相場が用いられることもあります。

ぜひ標準的な問題(関連記事に簡単な事例があります)で、具体的な数字を追いつつ、ごく簡単にでもいいですので、ご自分の言葉でも整理しておかれるとよいでしょう。


【関連記事】
外貨建有価証券の換算と償却原価法


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前渡金・前受金の換算

前渡金と前受金は、非貨幣項目ですから、取得時の為替相場で換算されます(「貨幣・非貨幣法」参照)。
ちょっと違和感が残るのが、前渡金でいえば、仕入の金額でしょうか。

(前渡時:1ドル、為替相場100円)
(借)前 渡 金100 (貸)現金預金100

(仕入時:2ドル、為替相場110円)
(借)仕  入210 (貸)前 渡 金100
              買 掛 金110

仕入の金額が単独では出てきませんので、注意しましょう。

貸方の買掛金が決算まで残っていれば、決算時の為替相場で換算されることになります。

(関連記事)
前渡金・前受金と経過勘定項目の換算


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原価評価の有価証券の換算

原価で評価で、換算が行われるのは、「満期保有目的の債券」です。
基本的には、外貨建有価証券で「為替差損益」が出てくるのは、この満期保有目的の債券のみです。
満期保有目的の債券は、貨幣項目ですから、通常の貨幣・非貨幣法の考え方をとっても、期末の為替相場で換算されることになります。

有価証券の評価上の区分ごとに評価指標と換算指標を並べてみましょう。

売買………時価・期末
満期………原価・期末
子会社……原価・取得時
その他……時価・期末

評価時点(期末)で考えれば、原価と取得時は、「過去」を、時価と期末は、「現在」を意味しています。

原価・取得時→「過去」
時価・期末 →「現在」

このタイミングがずれているのが、満期保有目的の債券です。
ずれているから為替差損益が登場します。

(関連記事)
外貨建有価証券


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外貨建有価証券における「換算」と「評価」

換算は、単位の変更(例ドル→円)です。
評価は、期末の金額を決めることです。
微妙です。

評価が期末の金額を決めることなら、評価の中に換算は含まれています。

こんな関係でしょうか。

評価 > 換算

期末評価をする過程では、換算も行う必要があるといった方が適切かもしれません。
そこで、有価証券については、「評価」が行われる場合は、換算は表に出ず、すべて通常の評価に準ずる形で行われます。

例えば、売買目的有価証券のケースを考えてみましょう。

原価10ドル、取得時の為替相場1ドル=100円
時価9ドル、決算時の為替相場1ドル=90円

売買目的有価証券の評価は、時価、換算は、決算時の為替相場で行われます。
したがって、期末の貸借対照表価額は、次のように算定されます。

9ドル×90円=810

1,000円−810円=190円 が費用であることはわかりやすいでしょう。
この中には、換算の影響(100ドル→90ドル)も含まれています。
しかし、そのすべてを基本的には、評価損益(この場合は評価損)と考えることになります。

換算と評価の関係をゆるやかにでも考えておかれるとよろしいのではないでしょうか。

(関連記事)
外貨建有価証券


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経過勘定項目の換算

決算整理で登場する経過勘定項目。
経過勘定項目には、見越項目(未収収益、未払費用)と繰延項目(前受収益、前払費用)があります。

くまのみみなんて最初の頃は覚えてましたが、みなさんは、どうこなしてらっしゃるでしょうか。

く(繰延)
ま(前受・前払)

み(見越)
み(未収・未払)

見越項目は、決算時の為替相場で換算し、繰延項目は、発生時の為替相場で換算します。
再振替仕訳を考えないとすると(都合いいですが)貨幣・非貨幣法の考え方があてはまるといってよいでしょう。

(見越項目)
(借)未収収益××× (貸)受取利息×××

(借)現  金××× (貸)未収収益×××

(繰延項目)
(借)前払費用××× (貸)現  金×××

(借)支払利息××× (貸)前払費用×××

繰延項目は、決算時の為替相場で換算されますが、決算ではじめて出てくる項目ですので、為替差損益は生じません。

(関連記事)
前渡金・前受金と経過勘定項目の換算

貨幣項目と非貨幣項目

本年の簿記論の試験委員である小野先生のご専門は、外貨と連結といってよいようです。
連結は、税理士試験簿記論では、未出題です。
全く学習しないという訳にもいかないでしょうが、すごく力を入れるという感じにもならないと思います。
でも、外貨は、しっかりとやっておいた方がよいでしょう。
外貨は、試験委員対策としてでなく、もちろん基本項目としても重要です。
その外貨のスタートといってよいのが、換算レートの選択です。

外貨建項目の換算レートの選択には、貨幣・非貨幣法という考え方がとられています

貨幣項目は、現金に置き換わる項目です。
例えば、

(借)仕  入××× (貸)買 掛 金×××

(借)買 掛 金××× (貸)現  金×××

買掛金の位置(貸方)が、現金(貨幣)に置き換わっていますので、買掛金は、貨幣項目です。

前受金は、どうでしょうか。

(借)現  金××× (貸)前 受 金×××

(借)前 受 金××× (貸)売  上×××

前受金は、現金に置き換わっていませんので、非貨幣項目です。

できるだけ、個々の資産・負債の換算レートをおさえるのではなく、共通的な考え方でおさえられるものは、それでいって、ダメなものは、また別に考える感じがよいのではないでしょうか。

それぞれの換算レートは、次のようになります。

貨幣項目  → 期末レート
非貨幣項目 → 取得時レート

(関連記事)
貨幣・非貨幣法

定額法の償却率の意味

減価償却の計算方法には、定額法や定率法等があります。

定率法:期首未償却残額×率
定額法:(取得原価−残存価額)÷耐用年数

残存価額は、取得原価の1割という場合がほとんどですので、

取得原価×0.9÷耐用年数

でも同じという感じでしょうか。

簿記論の出題で考えておきたいのが、定額法の償却率での出題です。
なんのことはない「1÷耐用年数」です。
5年であれば、0.2ということになります。

残存価額を引く(0.9をかける)のを忘れないように注意しましょう。

(関連記事)
定額法の償却率

売上原価、ピンときてますか?

売上原価は、売れてなくなってしまった商品の原価です。
とても大事なところで、わかったと実感して欲しいところでもあります。

今までも売上原価については、幾度となく触れています。
これを繰り返すのもわかっていない、いや、実感していない方がいらっしゃるのでは?と思うからです。

私の場合は、日商一級にいくまで意味もよくわかっていませんでした(←ヤバイ?)。

「シー・クー・クー・シー・期首・期末」

と呪文のように唱えてました。

「シー・クリ・クリ・シー」というのもあります(って、同じか)。

仕訳でいえば、

(借)繰越商品××× (貸)仕  入×××
   仕  入×××    繰越商品×××

です。

しかし、ある時期から、呪文が通じなくなりました。

解けない問題が出てくるようになったんです。
解けないとまるで手も足もでませんでした。
そこからの脱却に特効薬もありませんでした。

簿記には、機械的にこなせばいい部分と本質をしっかり理解したい部分とがあると思います。
その両方が求められるのが、売上原価ではないでしょうか。

(関連記事)
売上原価の意味

委託販売の売上計上時期

委託販売では、商品の販売を他人に頼みます。
商品を頼む側を「委託者」、頼まれる側を「受託者」といいます。

委託者 →(商品)→ 受託者

委託者は、受託者に商品を送ります。
これを「積送」といい、送られた商品を「積送品」といいます。

他人に頼むためにその商品を送っただけでは、商品はまだ売れていませんので、売上は計上しません。
それでは、いつ売上を計上するのかというと、受託者が商品(積送品)を販売した時点です。
このような基準は、「受託者販売日基準」などと呼ばれます。

もっとも、委託者と受託者とでは、違うところにいる訳ですから、受託者が販売したことを委託者がすぐに知ることはできません。
委託者が、受託者の販売を知るのは、受託者からの報告を受けてからです。
この報告には、売上計算書(仕切精算書)が用いられます。
売上計算書が届いて、初めて委託者は、受託者が販売した事実を知る訳です。
そのため、委託販売における原則的な売上計上の時期は、受託者の販売時点ですが、継続的な適用を要件として、売上計算書が到着した時点で売上を計上することが認められています。

このような基準を「仕切精算書到着日基準」などと呼びます。

(関連記事)
委託販売の会計処理

決算整理前残高試算表の数字

特殊商品販売における手許商品区分法には、その都度法と期末一括法とがあります。
一番のポイントは、決算整理前残高試算表の数字が「何を意味しているのか」、にあるといってよいでしょう。

その都度法と期末一括法の違いは、特殊商品販売に係る売上原価が、いつ、仕入勘定に振替えられているかにあります。
積送品の例で考えてみましょう(試送品も同じです)。

(借)仕  入××× (貸)積 送 品×××

この仕訳をいつ行うか、です。

その都度法では、その都度(販売の都度)、売上原価を仕入勘定に振替えます。
期末一括法では、期末に一括して、仕入勘定に振替えます。

そのことが明確であれば、ゆっくりではあっても、決算整理前残高試算表の数字が、何を意味するのかは、わかる筈です。
決算整理前の残高試算表が何を意味しているのかを覚えると、これは忘れます(←そりゃアンタでしょ)。
だから、覚えていない状態でもわかるようにしておけばよい訳です。

両者でわかりにくいのが、結局は、仕入勘定です。

その都度法………当期仕入−当期積送+積送品売上原価
期末一括法………当期仕入−当期積送

これを覚えずに、期中処理を順におって(高速で)復元できるようにしておけばよいと思います。
もちろん、最初は、ゆっくりでもかまいません。
こういう地味なやり方が、応用力のアップにつながるのではないかと思います。

(関連記事)
その都度法
期末一括法

その都度法と期末一括法

いわゆる手許商品区分法を採用する場合には、その売上原価を、商品販売時(試用販売の場合には、買取意思表示時)に計上する方法(その都度法)と期末に計上する方法(期末一括法)とがあります。

この違いは、一般商品販売における売上原価対立(計上)法と二分法の関係と同様です。

(特殊商品販売)
(1)手許商品区分法
試送時:
(借)試 用 品100 (貸)仕  入100
買取意思表示時:
(借)売 掛 金120 (貸)試用売上120
   仕  入100    試 用 品100 ← この仕訳に注目!!
決算時:
仕訳なし

(2)期末一括法
試送時:
(借)試 用 品100 (貸)仕  入100
買取意思表示時:
(借)売 掛 金120 (貸)試用売上120
決算時:
(借)仕  入100 (貸)試 用 品100


(一般商品販売)
(1)売上原価対立(計上)法
仕入時:
(借)商  品100 (貸)現金預金100
販売時:
(借)売 掛 金120 (課)売  上120
   売上原価100    商  品100
(決算時)
仕訳なし

(2)二分法
仕入時:
(借)商  品100 (貸)現金預金100
販売時:
(借)売 掛 金120 (課)売  上120
(決算時)
   売上原価100    商  品100

一度、ゆっくりでも納得しておかれるとよろしいのではないかと思います。
ちなみに、分記法と総記法の関係も同様です。
これらは、「利益」のみを計上する方法ですが、商品販売時に「利益」を把握するか(分記法)、決算時に「利益」を把握するか(総記法)の違いがあります。


【関連記事】
その都度法
期末一括法
売上原価対立(計上)法と二分法
分記法
総記法
総記法の決算整理

試用期間

試用販売は、お試し販売です。
顧客に商品を引渡しただけでは、売上は計上しません。
実際に売上をたてるのは、顧客が買取の意思表示をした段階です。

もっとも一般的な試用販売では、買取の明確な意思表示を行うことはむしろ少ないでしょう。
通常は、一定の期間(例えば2週間)がたっても何も意思表示をしなかったら買ったことになりますというパターンではないかと思います。
買いたくない時だけ、一定期間(試用期間)内にイヤという意思表示(返品)をする訳です。

この場合には、試用期間を過ぎても、意思表示がない場合には、売上を計上する必要があります。

実際の出題も(特に第3問を考えると)こちらが絡んでくるケースが多いのではないかと思います。

(関連記事)
試用販売

原価率の時期?

原価率が当期も前期以前も同一である場合は、いいですが、違う時には、注意が必要です。
これは特殊商品販売に限った話ではありませんが、原価率は、通常は、期中は一定という仮定が設けられる場合が多いです。

期中は一定といっても、ある期に「引渡した」商品の原価率である点に注意が必要です。

割賦販売では、回収時点、試用販売では、買取意思表示時点で売上を計上する場合があります。
この場合でも原価率を考えるのは(原価率が同じなのは)、あくまでも引渡しが、同じ期の商品です。

原価率は、原価と売上の比率ですから、それぞれの対応関係(同じ期)をきちんとはかって計算する必要があります(って、これが難しいんですが)。

特殊商品販売での原価率と付加率

よくある特殊商品販売の出題での前提です。

(1)一般販売は、原価率80%、(2)割賦販売は、一般販売の20%増し

これは、割賦販売に限りませんが、上記のような指示が比較的多いと思います。
(1)が原価率、(2)が付加率での指示になっています。

原価を80とすると、次のように整理できます。


原価80 → 一般売価100 → 割賦売価120


割賦販売の利益は、割賦売価からは、次のように計算できます。

割賦売価120×(割賦売価120−割賦原価80)÷割賦売価120=割賦利益40

特殊商品販売の出題で、原価率を算出する場合、原価率の算出は、かなり複雑になる場合があります。
原価率を出したことで安心して、一般販売の原価率を割賦販売の原価率として計算してしまう例は多いので充分注意しましょう。


【関連記事】
利益率・原価率、付加率

割賦販売の原価率の算出

簿記で算出することが求められる原価率は、多くの場合、結果としての原価率ではありません。
「想定している原価率」です。
特殊商品販売では、原価率を算出する場合が多いですが、この場合の原価率も「想定している原価率」です。

割賦販売だけを考えれば、原価率は、一般の原価率ではなく、割賦販売の原価率を算出した方が早いです。
しかし、他の特殊商品販売があわせて出題される可能性を考えると、「一般販売の原価率」を算出する方がよいでしょう。

原価率の算出は、複雑な場合が少なくありません。
自分が、「一般販売の原価率」を出したのか、「割賦販売の原価率」を出したのか、原価率を算出した後に確認しましょう。

実際の原価率の算出においては、未実現利益控除法・対照勘定ともに、いわゆる「ボックス図」に習熟する必要があるでしょう。


(関連記事)
ボックス図による整理


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対照勘定法の考え方

対照勘定法は、回収時に収益を認識(売上を計上)する処理方法です。
未回収部分(に対応する原価)は、手許にはありません(お客さんのとこです)。
しかし、売れてないという会計処理をするということは、期末の商品として処理する必要があります。

簡単な例で考えてみましょう。

(例)原価80円 割賦売価120円
(1)購入 (借)仕   入 80 (貸)現金預金  80
(2)引渡 (借)割賦未収金120 (貸)割賦仮売上120

この場合に、回収がゼロで、決算をむかえたケースです。
対照勘定の残は、120円、仕入勘定の残が80円です。

回収基準は、回収があった分の売上を計上しますので、この場合の売上は、ゼロです。
それに見合う売上原価もゼロです。
でも、仕入勘定には、期中の仕入額が残っていますので、次の決算整理仕訳が必要になります。

(3)決算 (借)繰越(割賦)商品 80 (貸)仕  入 80

上記では、割賦販売商品の期末未回収部分に対応する仕入原価は、80とすぐにわかります。
しかし、通常の問題の仕入勘定には、それ以外の部分も入っています。
実際には、対照勘定の残高に原価率を乗ずるという形で算出することが多くなります。

もっとも前期と当期とで原価率が異なる場合には、割賦未収金の前期および当期の残額を算出する必要があります。
この場合には、図を書いて、割賦未収金をきとんと整理しましょう。

(関連記事)
ボックス図による整理

対照勘定

対照勘定法は、一対の対照勘定と呼ばれる勘定に備忘的な記録(ただのメモ)を行う方法です。
この場合の対照勘定は、単なる備忘記録のために用いられる勘定です。
正規の資産・負債・資本・費用・収益に属する勘定科目ではありませんから、財務諸表に表示される訳ではありません。

対照勘定としては、別にどんな勘定科目名を用いてもよい訳ですが、割賦販売の例でいえば、「割賦未収金と割賦仮売上」あたりの組み合わせが多いようです。
回収基準では、まだ、収益を認識していないので、売掛金という表現を避け、また、「仮」の売上であることを示しているといったところでしょうか。

対照勘定は、ただのメモ勘定ですから、その名称にこだわる必要性は乏しいでしょう。
むしろ、出題時に、「貸借に同額」でのっかってるということが重要です。

総合問題などでは、ざーっと試算表を眺めるときに、軽く対照勘定がないかを意識しておくとよいと思います。
対照勘定をみつけたら両方を同じ形でマークしておくといいでしょう。
もちろん特に特殊商品販売の会計処理についての記述がなくても試算表等に対照勘定があれば、対照勘定法を採用していることになります(って、あたりまえか)。

(関連記事)
「対照勘定法」

割賦販売が一般販売と異なる点

割賦販売が、一般販売と異なるのは、代金の回収が長期、かつ、分割である点です。
このことから、一般の販売形態とでは、収益の認識基準が異なっています。
収益の認識とは、要は、売上(この場合は、割賦売上)をいつ計上するかといってよいでしょう。

一般販売では、販売基準(引渡基準)が原則とされます。
割賦販売の場合には、収益の認識を慎重に(遅めに)行うため、販売基準以外に、回収基準が認められています。

販売基準では、販売(引渡)があった段階で、売上を計上します。
これに対して、回収基準では、代金の回収(現金入金)があった段階で売上を計上することになります。

回収基準では、現金回収をもって、収益を認識しようという訳ですから、手形による回収では、収益は認識しません。

回収基準に類似した基準として回収期限到来基準があります。
回収期限到来基準では、現金回収がなくても、その支払期限の到来をもって、収益を認識します。
もっとも、支払期限以前に現金回収があった場合には、回収期限到来基準をとる場合でも、収益を認識することになりますので注意したいところです。

(関連記事)
割賦販売の収益認識基準

特殊?商品販売

特殊商品販売は、一般の販売形態と比較して、どこかが違う販売形態です。

これは、特殊仕訳帳もそうですが、「特殊」という言葉が難しいとの印象を与えているかもしれません。
ただ、あまりワープ技を使わずに、地味にやっていると、急にわかるようになるのではないかというのが、私の印象です。

そのためには、やはり一般商品販売をしっかりとやっておくことが必要ではないかと思います。

その前提として、商品勘定に関する決算整理仕訳の意味をきっちりと考えておく必要があると思います。

(借)仕  入××× (貸)繰越商品×××
(借)繰越商品××× (貸)仕  入×××

この仕訳です。

商品を購入した段階で、借方・仕入という処理が行われているために、決算整理で、上記の仕訳が必要です。
この仕訳を行うことで、売上原価が算出されることになります。
この売上原価算出のための決算整理の意味をじっくりと考えておきましょう。

消費税の会計処理(固定資産の買換え)

消費税の会計処理でもやっかいなのが、固定資産の買換えでしょう。
買換えは、売却と購入の複合した取引ですので、ゆっくりとやれば、難しい筈はないんですが、難しいです。

【例】車両(簿価120)を税込対価105で下取りに出し、新車両200を購入した。
下取価格を差し引いた新車購入代金は、現金で支払っている。

(借)車  両 200 現  金 105
   仮払消費税 10 車  両 120
   車両売却損 20 仮受消費税  5

それぞれの金額の算出を考えてみましょう。

借方の車両200と仮払消費税10はよいでしょう。
ここは、消費税の関係がみえますので、わかりやすいです。

貸方の減少する車両120は、売却車両の帳簿価額です。
借方の車両売却損は、税抜対価100−売却車両の簿価(←もとが税抜)120です。

税抜の金額同士で計算するのがポイントでしょうか。

仮受消費税は、例の文章から5と算出できますが、仕訳上からは痕跡がなくなっています。

取得価額(税込)210から売却価額(税込)105を引いた金額が、貸方の現金105です。
こっちは、税込同士の計算になります。


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消費税の会計処理(固定資産の売却)
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       <管理人の記事掲載号>  会計人コース2011年9月号-                  会計人コース2008年02月号                  会計人コース2008年01月号                  会計人コース2007年09月号 <管理人の本>
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