税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

モン吉くんと学ぶ

モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(5)

モン吉:「あーあっ。先生の話はいつも前置きが長いんだよな。」

講 師:「なんかいったかな。」

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モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(4)

モン吉:「あーあっ。会計基準がいっぱいあって大変だな。」

講 師:「そんなにこれ見よがしにいわなくてもいいじゃないか。」
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モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(3)

講 師:「概念フレームワークができるずっと前からあった会計基準って何だかわかるかな?」
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モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(2)

モン吉:「先生、ちょっと概念フレームワークを読み始めたんですが、やっぱりボクには手に負えません。」

講 師:「確かにちょっと読みにくいかもしれないね。」

モン吉:「どうしましょう?」
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モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(1)

モン吉:「いや〜、久しぶりの登場でなんか何か緊張しますね。」

講 師:「またモン吉くんと勉強ができるから僕はワクワクしてるんだ。」

モン吉:「おーっし、それじゃあ、ボクも必要以上にがんばっちゃうぞ!」

講 師:「うーん、必要以上はいいかな。でも、とにかく、がんばろうね。」

モン吉:「はい!!」
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モン吉くんと学ぶ委託販売(4)

(仕入諸掛を仕入に含める理由)
講 師:「次の取引で売上総利益を計算してもらうと5円だったね。」

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モン吉くんと学ぶ委託販売(3)

(諸掛の取扱い)
講 師:「それじゃあ、いよいよちょっとめんどうなところをみていこうか。」

モン吉:「何をみるんですか?」

講 師:「諸掛だよ?」

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モン吉くんと学ぶ委託販売(2)

(一連の会計処理)
講 師:「まずは、あまり複雑な要素を省いて一連の会計処理を考えてみようか。」

モン吉:「はい!!」

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モン吉くんと学ぶ委託販売(1)

(委託販売の特徴)
モン吉:「先生、委託販売がつらいです。」

講 師:「うーん。委託販売はいろんな要素がゴチャゴチャになりやすいかもしれないね。」

モン吉:「もともと特殊商品販売ができないことにかけては右に出る者はいないモン吉くんですけど委託販売はお手上げもいいところです。」

講 師:「そんなこと言わないで地味にやろうよ。」

モン吉:「ボクにもわかるように教えてくれますか?」

講 師:「もちろんだよ。じっくりやろうじゃないか。」

モン吉:「はい!がんばります。」

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モン吉くんと学ぶ試用販売(完)

講 師:「まあ、一応ボックス図のようなものを書いておくけど、これはテキストを参照してほしいな。」


  仕入(一般)   試送品
期首  売 原 ⇔ 一般売上 期 首     
売 原 ⇔ 試用品売上
当期 試送分 → 試送分
期 末 期 末


モン吉:「確かに、こりゃテキスト見た方がいいです。」

講 師:「ボクもそう思うけど、ちょっと補足していいかな?」

モン吉:「この図を見ながら、ですか?」

講 師:「いや、お手持ちのテキストで。」


(注意点)
講 師:「一番意識して欲しいと思うのは、勘定記入は、仕訳を転記したものだから常に仕訳を意識して欲しいという点。」

モン吉:「仕訳?ですか。」

講 師:「勘定記入は、いくつもの取引を集約したものだからたぶん個々の意味がすぐにはとりにくいと思うんだ。」

モン吉:「そうですね。いつもゴチャゴチャです。」

講 師:「それより仕訳は一つ一つの取引に対応しているから、ちゃんと仕訳を経由して考えた方が最終的には力はつくと思うな。」

モン吉:「具体的にはどうすればいいですか?」

講 師:「たぶんわかりにくい仕訳は、当期の試送と試用品売上原価の仕入勘定への振替だと思うんだ。」


試送:(借)試送品×× (貸)仕  入××

振替:(借)仕 入×× (貸)試送品 ××


講 師:「この2つの仕訳の意味をしっかりととって、それが仕入勘定と試用品勘定にどう反映されてるかをしっかり考えて欲しいな。」

モン吉:「でも問題を解くときに考えてる時間はないです。」

講 師:「もちろんさ。問題を解くときにはすばやくやらないとね。」

モン吉:「でもその手前で考えてておくことはムダにはならないんですね。」

講 師:「そう思うよ。」

モン吉:「もう少し考えてみます。」

講 師:「また、委託販売をやったときにもう少し違った角度からも手許商品区分法をみれたらいいね。」

モン吉:「ぜひ、お願いします!!」


(エピローグ)
モン吉:「それじゃあボクは例によってバナナを食べて帰ると思うでしょ?」

講 師:「あれっ。今日はバナナを食べるんじゃないのかい。」

モン吉:「いつもいつも同じことをしているモン吉くんと思ったら大間違いですよ。」

講 師:「今日は何をするんだい。」

モン吉:「今日はバナナを売るんですよ。」

講 師:「えっ。バナナを売るのかい?」

モン吉:「今日はバナナを持ってきたんです。ほら。」

講 師:「おっ。すごい房のバナナだね。」

モン吉:「これをエイッ!!エイッ!!」

講 師:「モ、モン吉くん。いきなりバナナに何をするんだい。」

モン吉:「こうしてバナナを叩いてから売るんですよ。」

講 師:「そ、それって、もしや。」

モン吉:「そう、これが有名なバナナのタタキ売りです。」

講 師:「…………。」

モン吉:「こうしてたたくと、きっといい味が出るんですよ。エイッ!!エイッ!!」

講 師:「…………。」

モン吉:「あれっ。おかしいなあ。これでホントにおいしくなるのかなあ?あっ。先生、帰っちゃうんですか。先生〜。」


数分後


モン吉:「あーあ。バナナもグチャグチャだし、先生も帰っちゃったし。ボクも帰ろっと。あっ、今日は先生が言い忘れたんでボクが言っとこうかな。復習、忘れないでね!!」


モン吉くんと学ぶ試用販売(完)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぼう!!<目次>

<モン吉くんの大冒険>:資本維持の本質に迫る会計学の話
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (完)

<モン吉くんと学ぶ売価還元法>:一級・税理士・会計士
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (完)

<モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編>:税理士・会計士
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (完) 

<モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理>:一級・税理士・会計士
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (完)

<モン吉くんと学ぶ割賦販売>:一級・税理士・会計士
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (完) 

<モン吉くんと学ぶ試用販売>:一級・税理士・会計士
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (完)

<モン吉くんと学ぶ委託販売>:一級・税理士・会計士
モン吉くんと学ぶ委託販売(1)
モン吉くんと学ぶ委託販売(2)
モン吉くんと学ぶ委託販売(3)

モン吉くんと学ぶ試用販売(9)

講 師:「もう一つ処理の分岐があるんだ。」

モン吉:「また枝分かれですか。」

講 師:「でもそんなに大きな話じゃないから、ちょっと具体的な処理でみておこう。」


(手許商品区分法:その都度法)
仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試 用 品160 (貸)仕   入160

意思:(借)売 掛 金120 (貸)試用品売上120

      仕   入 80    試 用 品 80


(手許商品区分法:期末一括法)
仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試 用 品160 (貸)仕   入160

意思:(借)売 掛 金120 (貸)試用品売上120

決算:(借)仕   入 80 (貸)試 用 品 80


(期末一括法)
講 師:「一番最後の処理を買取意思表示(つまりは売上)のつどやるか期末に一括してやるかの違いがあるんだ。」

モン吉:「でも、混乱します。」

講 師:「そうだね。まずはゆっくりでもいいから期中処理を追うことで決算整理前の金額の意味がわかることが大事だと思うよ。」

モン吉:「覚えちゃダメなんですか?」

講 師:「覚えて忘れないならいいけど、いろんな処理が出てくるとかえって忘れやすいし、誤処理や未処理が絡んだ問題で対処が難しくなると思うよ。」

モン吉:「処理を追うのが面倒です。」

講 師:「それは分からないでもないけど、結局はその方が近道だから言ってるのさ。」

モン吉:「そんなもんかなあ。」

講 師:「そんなもんさ。もう一度、一連の処理をよく見比べてごらん。」

モン吉:「みてますけど。」


(その都度法と期末一括法の違い)
講 師:「その都度法と期末一括法の違いは何だろう?」

モン吉:「仕入/試用品の仕訳をその都度やるか、決算でやるかの違いです。」

講 師:「そのことをすごく意識していれば、両方法の決算整理前の金額の違いもわかるよね?」

モン吉:「そういわれればそうですけど。」

講 師:「その都度法の決算整理前の仕入勘定は、当期の純仕入−当期試送高+試用品売上原価だね。」

モン吉:「そうです。」

講 師:「期末一括法の仕入勘定は、当期の純仕入−当期試送高だよね。」

モン吉:「試送品売上原価を足してるかどうかの違いですね。」

講 師:「そうだよ。そのことを踏まえて仕入勘定と試用品勘定のボックスを2個書いて不明金額を貸借差額で算出するようにすれば、アプローチできない問題はないハズさ。」

モン吉:「ボックス図は2個になるんですか?」

講 師:「対照勘定法のときは、仕入勘定に試用品の仕入も入ってるからボックスは1個でいいけど、手許商品区分法は、仕入勘定から区別する方法だからね。」

モン吉:「対照勘定法では1個、手許商品区分法では2個のボックス図もそう考えると自然ですね。」

講 師:「そんな感じの理解がいいね。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(10)


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モン吉くんと学ぶ試用販売(8)

(手許商品区分法・その都度法:決算整理前の残高試算表)
講 師:「実際の出題では決算整理前の試算表が与えられる場合が多いね。」

モン吉:「そうなんですよ。なんかこの金額って何?っていつも思っちゃいます。」

講 師:「でも、決算整理前の試算表の金額は、期中処理を積み上げたものだから期中処理がしっかりしてさえいれば、ゆっくりでも意味はわかるハズだよね。」

モン吉:「そうなんですけどー。」

講 師:「そこでワープ技を使いすぎると(覚えてしまう等)結局、返品や誤処理が入ってたりしたときに訳がわからなくなると思うよ。」

モン吉:「地味にやるしかないんですね。」

講 師:「そうコツコツやろうよ。」

モン吉:「でも念のためですよ。ちょっと決算整理前の金額もやりましょう!!」

講 師:「そうだね。決算整理前の金額が何を意味しているのかを考えておくのはムダにはならないからね。」

モン吉:「お願いします。」

講 師:「じゃあまず、試用品は?」

モン吉:「あれっ。ボクが答えるんですか?」

講 師:「そうだよ。ここには君とボクしかいないじゃないか。」

モン吉:「いや、そういう意味じゃないんですけど。まあいっか。試送品は、そのまま期末です。」

講 師:「それじゃあ仕入は?」

モン吉:「試用品の売上原価です!!」

講 師:「この例では一般販売がなかったけど、一般販売も含めて考えるとどうなるかな。」

モン吉:「えーっと、当期純仕入高と試用品売上原価ですか?」

講 師:「おしい。もう一度仕訳処理を追って考えてごらん。」


仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

試送:(借)試 送 品160 (貸)仕   入160

意思:(借)売 掛 金120 (貸)試用品売上120

      仕   入 80    試 送 品 80


モン吉:「えーっと、最初のが普通の仕入。2行目が仕入を減らしてますね。」

講 師:「そこだよね。」

モン吉:「これは当期の試送高ですね。」

講 師:「そうだよ。」

モン吉:「最後が試用品の売上原価でした。」

講 師:「それを整理するとどうなるかな?」

モン吉:「えーっと。当期の純仕入−当期試送高+試用品売上原価になります。」

講 師:「そうだね。一連の処理がしっかりしていれば、決算整理前の金額も怖くないよね。」

モン吉:「軽々という感じではないですけどゆっくりならわかりそうです。」

講 師:「最初はゆっくりでいいと思うよ。覚えこんだりするより結果はいいと思うな。」

モン吉:「ちょっとわかりかけてきました。」

講 師:「その調子で次もがんばってね。」

モン吉:「次?次もあるんですか。」

講 師:「ちょっとね。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(9)

モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(7)

(売上計上時期)
モン吉:「買取の意思表示があったときに売上をたてるんですね?」

講 師:「そうだね、買取の意思表示があったときが原則的な売上の計上時点だったね。」

モン吉:「例外もあるんでしたっけ?。」

講 師:「最初の方でもふれたけど、試用期間がすぎた場合ってのもあるね。」

モン吉:「あっ。期間内にやだよっていわないと買ったことになる場合ですね。」

講 師:「そうだね。その場合には、資料をよくみて、いつ試送してるかを確認しないとね。」

モン吉:「わかりました。」

講 師:「いくつかの試用品があるとわかりにくいけどね。」

モン吉:「具体的な会計処理はどうするんですか?」

講 師:「ここは商品勘定の処理に分岐があるんだけど、一般的な3分法でみておこう。」


(仕訳)
仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試 用 品160 (貸)仕   入160

意思:(借)売 掛 金120 (貸)試用品売上120

      仕   入 80    試 用 品 80


モン吉:「売掛金と(試用品)売上はいいですけど、最後の仕入/試用品は何ですか?」

講 師:「これは売れた(意思表示のあった)試用品の原価を試用品勘定から仕入勘定に振替える仕訳だよ。」

モン吉:「えーっと。何でしたっけ?」

講 師:「まず、貸方からいこうか。商品が売れたら試用品は自分のものじゃなくなるよね?」

モン吉:「売れるまでは手許にはないけど自分のもので、売れたらお客さんのものです。」

講 師:「だから試用品勘定は減らさないといけないよね。」

モン吉:「それが貸方の試送品ですね。」


(試送品売上原価の計上)
講 師:「そうだね。問題は借方の仕入かな。」

モン吉:「そうなんです。この仕入がピンとこないんです。」

講 師:「損益科目に注目してみると試用品売上が120円たってるよね。」

モン吉:「そうですね。買取の意思表示があった分です。」

講 師:「このままじゃ収益が120円たってるだけで、40円の利益がでてこないじゃないか。」

モン吉:「たしかにそうですね。」

講 師:「だから費用(売上原価)を80たてないとおかしいんだ。」

モン吉:「試用品勘定から仕入勘定にもっていったのは売れた試送品の原価(売上原価)なんですね。」

講 師:「そうだよ。試用品の売上原価なんだ。」

モン吉:「なんか少しわかった気がします。」

講 師:「手許商品区分法のわかりにくくて一番大事なのは、この仕訳なんじゃないかと思うよ。」

モン吉:「この仕訳が一番大事なんですか。」

講 師:「そうなんだ。一番大事な仕訳がわかりにくいんで、ちょっと困っちゃうんだけどね。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(8)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(6)

(手許商品区分法)
モン吉:「試用販売の会計処理方法は対照勘定法だけなんですか?」

講 師:「いや、まだあるんだ。」

モン吉:「まあ、予想はしてましたけど、がっかりです。」

講 師:「対照勘定法は、やっぱりめんどくさいよね。」

モン吉:「また、先生のめんどくさい理論ですね。」

講 師:「いや、実務的には、めんどくさいと思うんだ。」

モン吉:「そんなもんなんですね。」

講 師:「それに試用販売では一般販売とは違った特徴もあるしね。」

モン吉:「どんな点でしたっけ?」

講 師:「試用販売で特徴的なのは商品を送付しただけでは売上じゃない点だったね。」

モン吉:「お試し販売ですもんね。」

講 師:「送っただけじゃ売上じゃないなら、送っただけの商品は自分のものだよね。」

モン吉:「そうですね。お客さんの所にあっても企業のものなんですね。」

講 師:「そこが大きな特徴だね。未買取意思表示の商品が在庫になるんだ。」

モン吉:「在庫に?」

講 師:「商品を送っただけでは売上じゃないから、手許になくても期末の商品なんだよ。」

モン吉:「手許になくても期末商品なんですね。」

講 師:「そうなんだ。手許になくてもっていうのがポイントだね。」

モン吉:「ここをうっかりします。」

講 師:「そう考えると会計処理でもその点を明らかにしておくのも手かな。」

モン吉:「どういうことですか?」

講 師:「自分の商品だけどもう相手に送っちゃったことを仕訳上も示すんだ。」

モン吉:「具体的な処理はどうするんですか?」

講 師:「仕入勘定を減らして、試用品(試送品)という勘定で処理するんだ。」

モン吉:「仕入とは別の勘定を用意しておくんですね。」

講 師:「ちょっとさっきの例でみておこう。」


(事例)
商品原価80円 一般売価100円 試用売価120円

期首なし 当期2個仕入 2個試送 1個意思表示


(仕訳)
仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試用品  160 (貸)仕   入160


モン吉:「この場合は、買った商品を全部試送してますね。」

講 師:「だから仕入を全部試用品に振替えてるね。」

モン吉:「この場合は原価ですね。」

講 師:「仕入勘定は原価で記録してるから、振替えるのも原価じゃないとね。」

モン吉:「バランスがとれてないとダメなんですね。」

講 師:「そうだね。対照勘定法は、売価でのメモだから売価。手許商品区分法は一般の仕入から区別するから原価。そんな感じの理解でいいんじゃないかな。」

モン吉:「わかりました。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(7)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(5)

(原価率算定上の分子と実際の売上原価)
講 師:「あと、原価率の算出で使った分子の160円は、実際の売上原価じゃないから注意してね。」

モン吉:「どういうことですか?」

講 師:「実際の売上原価は、期末の試用品原価を除いてあげないといけないな。」

モン吉:「ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「ちょっと一連の処理を並べて考えてみようか。」


(仕訳処理)
仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試用未収金240 (貸)試用仮売上240

表示:(借)売 掛 金120 (貸)試用売上 120
      試用仮売上120    試用未収金120

決算:(借)繰越商品  80 (貸)仕  入  80


モン吉:「決算整理仕訳が必要でしたね。」

講 師:「そう。対照勘定残に原価率をかけてクーシー(繰商/仕入)だね。」

モン吉:「えーっと、対照勘定残は120円ですけどどうするんでしたっけ?」

講 師:「原価率(0.8/1.2)をかけて80円かな。」

モン吉:「ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「いったん一般売価に戻して、これに一般の原価率をかけても同じだよ。」

モン吉:「えーっと、対照勘定残が120円÷1.2で一般売価は100円。一般の原価率(0.8)をかけて80円ですね。」

講 師:「決算整理後の仕入勘定が売上原価だったよね。」

モン吉:「えーっと、仕入勘定をT字で書いて、数字だけ転記してみると、120円−80円で80円が売上原価です。」

講 師:「そのとおりだよ。」

モン吉:「おっ。ボクもなかなかやりますね。」

講 師:「じゃあ、その調子でもう一度ボックス図を書いてもらえるかな?」

モン吉:「おやすい御用です。」


 (ボックス図)
    仕   入
期首商品 0 売上原価160÷(試用売上120+対照勘定残120)÷1.2=0.8

当期仕入160期末商品0


講 師:「この図の売上原価160円に見合う(売上側)には、対照勘定残も入ってるよね?」

モン吉:「そうですね。」

講 師:「だから売上原価からさっき出した期末試用品原価80円を除いてやれば売上原価は出るよね。」

モン吉:「あっ。そうですね。」


(試用品売上との関係)
講 師:「もう一ついいかな。」

モン吉:「いいですよ。」

講 師:「試用販売の原価率がわかるから試用品売上に原価率をかけても売上原価は出るよね。」

モン吉:「そうですね。いろんな求め方があるんですね。」

講 師:「一回でもいいから相互関係を納得しておくと、ちょっと難しい問題でも少しは対処しやすくなるかもしれないね。」

モン吉:「対照勘定法の決算と一連の処理の関係が少しわかった気がします。」

講 師:「あとは問題をたくさん解く必要もあるね。」

モン吉:「がんばります!!」


モン吉くんと学ぶ試用販売(6)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(4)

講 師:「対照勘定法をとったときの原価率をちょっと具体的に考えてみよう。」

(事例)
商品原価80円 一般売価100円 試用売価120円

期首なし 当期2個仕入 2個試送 1個意思表示


講 師:「この条件だと一般販売の原価率は80%とわかるけど、ちょっと一連の処理も考えてみようか。」

モン吉:「えーっと、対照勘定法の処理でしたね。」


仕入:(借)仕   入160 (貸)現   金160

引渡:(借)試用未収金240 (貸)試用仮売上240

表示:(借)売 掛 金120 (貸)試用売上 120
      試用仮売上120    試用未収金120


講 師:「決算整理前の残高試算表はどうなるかな?」

モン吉:「えーっと。」


(決算整理前残高)
仕  入160

試用売上120

試用未収金・試用仮売上120


講 師:「損益項目だけに注目すれば試用売上が120なのに仕入が160になってるね。」

モン吉:「これはおかしいですね。」

講 師:「これは仕入の中に売れてない分も入っちゃってるからね。」

モン吉:「この分をクーシー(繰越商品/仕入)で減らせばいいんですね。」

講 師:「そうだね。在庫として処理してあげればいいね。」

モン吉:「あっ。でも原価率がわからない前提だとどうするんですか?」

講 師:「ちょっとボックス図を書いてみよう。」


 (ボックス図)
    仕   入
期首商品 0 売上原価160÷(試用売上120÷1.2)=?

当期仕入160期末商品0


モン吉:「あれっ。おかしいですね。原価率が100%を超えてしまいます。」

講 師:「原因は、期末商品(期末試用品)が実際にはあるけど、仕入→売上原価に入っちゃってるからだね。」

モン吉:「商品は仕入れているけど手許には残ってないんで、売上原価に入ってしまってるんですね。」

講 師:「そうだね。その分は本来は原価率の計算の分子に入れちゃおかしいよね?」

モン吉:「そうですね。分母の売上と見合ってないです。」

講 師:「分母の売上と見合う売上原価で計算しないといけないな。」

モン吉:「どうすればいいんですか?」

講 師:「分子に入れられないなら売価で分母に入れてバランスをとればいいよね。」

モン吉:「具体的にはどうするんですか?」

講 師:「売上原価の160円は生かして、これに見合う売価を出せばいいね。」

モン吉:「対照勘定の残高も加えるんですね。」

講 師:「そうだね。対照勘定の残を分母に加えてあげるとちょうどよくなるね。」


 (ボックス図)
    仕   入
期首商品 0 売上原価160÷(試用売上120+対照勘定残120)÷1.2=0.8

当期仕入160期末商品0


モン吉:「対照勘定法の場合は、原価率の算定に注意ですね。」

講 師:「そうだね。対照勘定の残は売価だから原価率の算定上は、これを分母に加えるのは忘れないでね。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ試用販売(5)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(3)

(対照勘定法の決算整理)
講 師:「決算日に買取の意思表示がされていれば決算整理仕訳は不要だけど、買取意思表示がないときは決算整理が必要だね。」

モン吉:「決算整理はどうするんでしたっけ?」

講 師:「まだ買取の意思表示がない試用品の原価でクーシー(繰商/仕入)だね。」

モン吉:「これは一般の商品販売のクーシーと同じ意味なんですか?」

講 師:「そうだね。まったく同じだよ。」

モン吉:「お客さんのところに商品があるのにですか?」

講 師:「そうだね。そこがちょっとわかりにくいところだけど手許にある在庫と同じなんだ。」

モン吉:「勘定科目も同じですか?」

講 師:「勘定科目は繰越試用品とかってわける場合と繰越商品一本の場合もあるから注意してね。」

モン吉:「期末商品の資料は勘定も含めて迷うんです。」

講 師:「この辺は問題文をよく読むのが大事だけど、手許商品じゃないことは意識しないといけないね。」

モン吉:「どこを一番注意したらいいですか?」

講 師:「手許商品棚卸高には相手に送っている試用品は入ってないことは要注意だね。」

モン吉:「期末試用品の金額はどうやって出すんですか?」

講 師:「買取意思表示のない商品の売価に試用品の原価率をかければいいね。」

モン吉:「買取意思表示のない商品の売価っていうのは、対照勘定の残高ですね。」

講 師:「おっ。すごいじゃないか、モン吉くん。そのとおりだよ。」

モン吉:「割賦でやりました!!対照勘定は、送ったときにたてて買取意思表示で逆仕訳をしてますから、残高が未回収の売価なんですよね。これに原価率をかけて、クーシー(繰商/仕入)ですね。」

講 師:「おっ、さすがだね。そのとおり。」


(原価率)
モン吉:「原価率はどうやってだすんですか?」

講 師:「これは割賦のときと同じだね。」

モン吉:「えーっと、どうするんでしたっけ。」

講 師:「ほら、ボックス図を書いて。」

モン吉:「えーっと、ボックス図を書いて、売上原価を出して、売上と比べて原価率を求めるんでしたね。」


(ボックス図)
  仕   入
期首商品 売上原価 ÷ (一般売価+試用売価÷1.2)=一般原価率

当期仕入 期末商品


(原価率算出上の注意点)
講 師:「ただ、注意点があるんだ。」

モン吉:「どこを注意すればいいんですか?」

講 師:「売上原価と売上の対応関係さ。」

モン吉:「対応関係?」

講 師:「原価率はあくまでも比率だから売上原価と売上高が見合ってないとおかしいよね。」

モン吉:「もっと具体的に教えてください。」

講 師:「上の図だと買取の意思表示がない部分の原価が売上原価に入ってしまってるんだ。」

モン吉:「よくわかりません。」

講 師:「もう少し具体的に考えてみよう。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ試用販売(4)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(2)

(収益の認識)
講 師:「試用販売が一般販売と大きく違う点は、商品を相手に渡しても売れたとはいえない点だね。」

モン吉:「お試し販売ですもんね。」

講 師:「一般の商品販売では、商品を相手に引き渡せば、売上を計上するけれど、試用販売の場合は、引渡しただけじゃ売上は計上できないね。」

モン吉:「それじゃあ、どうするんですか?」

講 師:「相手が買ったといった段階で売上をたてるのが自然だね。」

モン吉:「お客さんが買うよっていった時点ですね。」

講 師:「そうだね。買取の意思を表示した時点で売上をたてる。それが原則だね。」

モン吉:「でも、試用販売で実際にはわざわざ買いますって返事はしませんよね?」

講 師:「一般的には、試用期間を設けて、その間にイヤなら返品してくださいって感じかな。」

モン吉:「その時はどうするんですか?」

講 師:「期間が過ぎても連絡がなければ売上をたてるってことでいいんじゃないかな。」

モン吉:「原則的には、買取の意思表示で売上をたてるけど、試用期間が過ぎた時点でたてる場合もあるって感じですね。」

講 師:「おっ。きちんと整理できたね。」


(対照勘定法)
モン吉:「具体的な処理方法にはどんな方法があるんですか?」

講 師:「方法はいくつか考えられるけど、一つは対照勘定法と呼ばれる方法だね。」

モン吉:「割賦販売のときの対照勘定法と同じですか?」

講 師:「考え方はまったく一緒だよ。」

モン吉:「えーっと、割賦販売の場合は回収時点で売上をたてるのが、試用販売の場合は相手が買ったといったらたてるんですね。」

講 師:「そうだね。基本的な処理を具体的にみておこうか。」

モン吉:「バナナジュースでお願いします。」

講 師:「ほら、モン吉くん。ジュースは飲んだら無くなっちゃうじゃないか。」

モン吉:「バナナジュースでお願いします。」

講 師:「しょうがないな。じゃあ、バナナジュースでいこうか。」


(事例:あくまでもバナナジュース)
原価80円 試用販売売価100円

仕入時 :(借)仕   入 80 (貸)現   金 80

引渡時 :(借)試用未収金100 (貸)試用仮売上100

意思表示:(借)売掛金  100 (貸)試用売上 100
        試用仮売上100    試用未収金100


講 師:「対照勘定は、ただの売価でのメモだから、それほど気にしないでいいね。」

モン吉:「これは割賦販売と同じですね。」

講 師:「そうだね。自分で仕訳をきるときは好きな科目でいいよ。」

モン吉:「試算表に科目があるときは、貸借が同額の科目が対照勘定でしたね。」

講 師:「そうだよ。よくわかってるじゃないか。」

モン吉:「割賦販売のときにやりました!!」

講 師:「一連の処理はどうかな?」

モン吉:「引渡時点で対照勘定を売価でたてて、意思表示時点で売上をたてて、対照勘定の逆仕訳ですね。」

講 師:「これは割賦販売と同じだから大丈夫かな。」

モン吉:「売掛金はだだの売掛金でいいんですか?」

講 師:「試用販売は、お試し販売に特徴があるんで、売掛金に特徴がある訳じゃないから区別する意味は少ないんじゃないかな。」

モン吉:「それじゃあ区別しなくていいんですね。」

講 師:「区別するかどうかは企業の自由って面もあるから、問題でも臨機応変にね。」

モン吉:「科目の使い方は思ってたよりも緩めなんですね。」

講 師:「実際の簿記論の試験でも多様だから思い込まない方がいいかもしれないね。」

モン吉:「わかりました。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(3)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ試用販売(1)

モン吉:「あー、特殊商品販売はいっぱいでイヤになっちゃうなあ。」

講 師:「どうしたんだい、モン吉くん。そんなにぼやいて。」

モン吉:「先生、聞いてください。なんで、こんなに特殊商品販売は難しいんですか?」

講 師:「種類がたくさんあるからゴチャゴチャになるんだろうね。」

モン吉:「どうしたら特殊商品販売が得意になりますか?」

講 師:「地味に一つ一つやる以外にないと思うよ。」

モン吉:「でも、随分たくさん問題は解いたんですが………。」

講 師:「問題を解くのは大事だけど、ただパターン化した解き方をしていてもなかなか力はつかないかもしれないね。」

モン吉:「でも、問題が解けないとイヤだし。」

講 師:「もちろん問題が解けるのに越したことはないさ。でも、一つ一つを地味にやるのが王道かな。」

モン吉:「一つ一つですか。」

講 師:「そう。勉強に近道はないと思うよ。近道をすればするほど遠回りってね。」

モン吉:「そんなこといいましたっけ。」

講 師:「いや、今考えたんだ。」

モン吉:「………。」


(試用販売)
講 師:「じゃあ、今回は、試用販売をみていこう。」

モン吉:「試用販売っていうとお試し販売ですね。」

講 師:「そうだね。通信販売なんかでは多いよね。」

モン吉:「一定期間は、試しに使ってよかったら買う。いらないと思ったら返しちゃえばいいんですね。」

講 師:「そう。そこが一般の販売との違いだね。」

モン吉:「バナナの試用販売は聞いたことがありません。」

講 師:「バナナは食べたらなくなっちゃうじゃないか。」

モン吉:「あっ、そうか。試用販売にふさわしいものとそうじゃないものがあるんですね。」

講 師:「ちょっとしたアイディア商品なんかにふさわしいかもね。」

モン吉:「化粧品なんかもよくCMでやってます。」

講 師:「肌に合う合わないがあるからね。」

モン吉:「バナナはないんでしたっけ?」

講 師:「ないよ。」

モン吉:「うーん、そりゃ残念だ。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(2)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(完)

講 師:「割賦販売については割賦売掛金(割賦未収金)の整理が大事だね。」

モン吉:「回収とか、未回収がゴチャゴチャになります。」

講 師:「割賦売掛金を勘定図にして整理するといいよね。」


次の記事に整理の仕方がありますので、ご参照ください。

ボックス図による整理


講 師:「ちょっともう一度、ポイントだけ整理しておこう。」


(未実現利益控除法)
  割賦売掛金
期首    回 収×「前期」利益率 → 戻入
      未回収

引渡    回 収
      未回収×「当期」利益率 → 控除


(対照勘定法)
期首    回 収
      未回収×「前期」原価率 → (1)

引渡    回 収
      未回収×「当期」原価率 → (2)

(1)+(2)=期末割賦商品


モン吉:「この関係を頭にたたきこめばいいんですね。」

講 師:「決算整理型のシンプルな問題はそれでいいけど、結局はこういう関係が一連の処理とつながりをもって理解されている必要があるね。」

モン吉:「でも、パターン化して解かないと時間がないです。」

講 師:「単純な問題を解くときはそれでいいと思うんだ。でもいつもそれだけじゃ力がつくとは思えないな。」

モン吉:「じゃあどうすればいいんですか?」

講 師:「まずは一連の処理をしっかりと理解する。それが先だね。」

モン吉:「その後はいろいろ問題を解くけど手前にも戻る感じなんですね。」

講 師:「そうだね。まずは基礎。それがなくて問題の解き方だけ孤立しないように注意しないとね。」

モン吉:「わかりました。がんばってみます。」

講 師:「割賦販売には、対照勘定法の原価率、戻り商品や回収期限到来基準の話もあるけど、また、春先にでもとりあげられたらいいな。」

モン吉:「ぜひお願いします!!」


(エピローグ)
モン吉:「じゃあボクは、いつもニコニコ現金払でバナナを買って帰ります。」

講 師:「それにしてもいつもバナナで飽きないのかい?」

モン吉:「そんなことないですよ。先生だって毎日ごはんなんじゃないですか?」

講 師:「それはそうだけど、おかずもあるし。」

モン吉:「バナナは一本一本が違うんですよ。」

講 師:「一本一本違う?」

モン吉:「色、形、ツヤ。甘さだって一本一本違うんです。」

講 師:「ボクには全部が同じバナナに見えるけど。」

モン吉:「まあ、先生におサルの気持ちはわからないです。」

講 師:「でも、好きなんだからいいさ。」

モン吉:「じゃあ、ボクが余り好きじゃない簿記は好きじゃないからそれなりでいいんですか?」

講 師:「うーん。それは困るな。好きになってもらわないと。」

モン吉:「でもできないし………。」

講 師:「どうしたら好きになってもらえるかボクも考えるよ。」

モン吉:「ボクでも簿記が好きになれるのかなあ?」

講 師:「イヤイヤやってるより楽しんでやれた方がいいからね。モン吉くんなら大丈夫だよ。」

モン吉:「本当ですか?」

講 師:「本当だよ。」

モン吉:「うーん。じゃあがんばってバナナ食べなきゃ。」

講 師:「そう、その調子で毎日バナナ食べないとね、って。んっ。バナナ……。バナナ、かい?」

モン吉:「はい!!!!」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(完)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(9)

(未実現利益控除法での原価率の算出)
講 師:「未実現利益控除法での原価率の算出には、ボックス図を書くといいね。」

モン吉:「例のごとく忘れちゃいました。」

講 師:「こんな感じのT字だったね。」


  仕   入
期首商品 売上原価

当期仕入 期末商品


モン吉:「あっ。思い出しました。期首は、決算整理前の残高試算表の繰越商品、当期仕入はやはり仕入勘定(純仕入高)を書くんでしたね。」

講 師:「そうだね。あとは期末商品が資料にあるから差額で売上原価が出せる。」

モン吉:「売上原価と売上高の比率が原価率ですね。」

講 師:「そうだよ。わかってるじゃないか。」


(一般販売との関係)
モン吉:「売上原価と比べる売上高の注意点はありますか。」

講 師:「一般販売と割賦販売だけの問題だとどっちでもいいんだけど、他の特殊商品販売もあるから、一般販売の原価率を求めた方がいいかな。」

モン吉:「どうすればいいんですか?」

講 師:「多くの問題では、一般販売に対する割賦販売の利益の上乗せ分(付加率)が出てるからそれを利用するといいね。」

モン吉:「具体的には、どうするんですか?」

講 師:「たとえば<割賦販売は一般売価の20%増し>って場合は、割賦販売の売価÷1.2で一般販売の売価が出るね。」

モン吉:「ちょっと具体的な数字で教えてもらえますか。」

講 師:「原価80、一般売価100、割賦売価120で考えてみようか。」

モン吉:「この場合の原価率は80%ですね。」

講 師:「あくまでも一般販売の原価率だよね。」

モン吉:「あっ。ちゃんとそう言わないといけないんですね。」

講 師:「そうだね。一般販売の原価率は80%、割賦販売は一般販売の2割増しっていうことだよね。」

モン吉:「一般販売は、原価率で、割賦販売の利益の上乗分は、付加率の関係になってるんですね。」

講 師:「その関係をきちんと問題から読み取る必要があるね。」


(割賦利益の算出)
モン吉:「で、その後はどうするんでしたっけ?」

講 師:「全部が一般販売のベースになれば比率も出せるから、ボックス図の売上原価と一般販売ベースの売上高の比率が原価率さ。」


  仕   入
期首商品 売上原価 ÷ (一般売上+割賦売上÷1.2)=一般原価率

当期仕入 期末商品


講 師:「こんな感じで整理しておくといいね。」

モン吉:「これはあくまでも一般販売の原価率ですね。」

講 師:「そうだね。割賦売上から割賦販売の利益を出すときは注意しないと。」

モン吉:「えーっと、どうするんでしたっけ?」

講 師:「割賦売上×0.4÷1.2って計算する必要があるよね。」

モン吉:「ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「それならいったん原価を出したらどうだろう。」

モン吉:「どうするんですか?」

講 師:「まず一般の売価に戻すんだ。」

モン吉:「えーっと、割賦売上120÷1.2=一般売上100ですね。」

講 師:「そうだね。それを原価に戻すんだ。」

モン吉:「一般売上100×0.8=原価80ですね。」

講 師:「割賦売上120−原価80=割賦利益40ででるよね。」

モン吉:「簡単な問題なら解けそうな気がしてきました!!」

講 師:「その調子でがんばってね。」

モン吉:「はい!」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(10)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(8)

(決算整理型の問題の解き方)
講 師:「決算整理型の問題の解き方といっても要は決算整理仕訳がきれればいいよね?」

モン吉:「確かにそうなんですけど。」

講 師:「ちょっと対照勘定法と未実現利益控除法の決算整理仕訳を並べてみようか。」


(対照勘定法)
(借)仕    入×× (貸)繰越割賦商品××

   繰越割賦商品××    仕    入××


(未実現利益控除法)
(借)繰延売上利益  ×× (貸)繰延売上利益戻入××

   繰延割賦利益控除××    繰延売上利益  ××


講 師:「この金額が出せればいいね。」

モン吉:「まずは、未実現利益控除法を教えてください。」

講 師:「一行目の仕訳は、わかりにくかったところだけど前期に割賦販売して未回収だった部分が当期に回収された。その利益部分だね。」

モン吉:「やっぱりややこしいです。」

講 師:「期首の割賦売掛金のうち当期に回収された部分の利益っていってもいいな。」

モン吉:「この金額はどうやって出すんですか?」

講 師:「期首の割賦売掛金に前期の割賦利益率をかければいいね。」


(前期の割賦利益率)
講 師:「期首の割賦売掛金は試算表の記録にはあらわれないから資料に与えられているハズだね。」

モン吉:「前期の割賦利益率はどうやって出すんですか?」

講 師:「前期には、前期末の未回収の割賦売掛金×前期割賦利益率=繰延売上利益という計算をしてるよね。」

モン吉:「えーっと、前期の繰延売上利益控除の金額ですね。」

講 師:「そう、その金額はそのまま繰延売上利益の金額に残ってるよね。」

モン吉:「えーっと、繰延売上利益の金額は期中は動いていないから……。」

講 師:「そう、決算整理だけで出てくるんだから。」

モン吉:「決算整理前の試算表に前期末に設定した金額がそのまま残ってるハズですね。」

講 師:「そう。だから決算整理前の繰延売上利益÷期首割賦売掛金で前期の割賦利益率が出るよね?」

モン吉:「えーっと、繰延売上利益÷期首割賦売掛金。そうですね。出し方は単純なんですね。」

講 師:「繰延売上利益は整理前試算表の金額。期首割賦売掛金は資料に出ているハズさ。」

モン吉:「それを冷静に見極めればいいんですね。」

講 師:「そうだね。後で割賦売掛金の整理の仕方もやるからそっちも参考にしてね。」


(当期の割賦利益率)
講 師:「後は当期の割賦利益率だね。」

モン吉:「そのまま出ていればそれを使えばいいですね。」

講 師:「この場合、一般販売との関係に注意してね。」

モン吉:「どういうことですか。」

講 師:「一般販売と割賦販売が別々の指示のときもあれば、割賦販売の利益率の指示の場合もあるから。」

モン吉:「そこは問題をよく読まないといけないですね。」

講 師:「そうだね。問題は当期の割賦利益率が出ていないときだね。」

モン吉:「その場合はどうすればいいんですか?」

講 師:「これは自力で出すしかないな。」

モン吉:「自力はきついです。」

講 師:「でもなれるとそれほどでもないから簡単な出し方をおさらいしておこうか。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(9)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(7)

(未実現利益控除法)
講 師:「それじゃあ未実現利益控除法の翌期の処理はどうだろう。」

モン吉:「えーっと。あんまり意味は分かってないですが………。」


(未実現利益控除法:翌期の処理)
回収時:(借)現   金 50 (貸)割賦売掛金   50

決算時:(借)繰延売上利益10 (貸)繰延売上利益戻入10


講 師:「決算時の仕訳の意味がわかりにくいね。」

モン吉:「繰延売上利益を収益(利益)にしたんですね。ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「そうだね。繰延売上利益は、繰延べた(先送りした)利益だからそれを利益(収益)にしたんだけどちょっとわかりにくいね。」

モン吉:「でも前より随分とわかった気がします。」

講 師:「回収基準なんだから未回収部分の利益を前期にあげなかった。その分が当期に回収されたから利益にするってことなんだね。」

モン吉:「何となくはわかるんですが……。」

講 師:「最初は、貸倒引当金の洗替法のような感じでアプローチするといいかもしれないね。」

モン吉:「でも繰入は控除でしたね。」

講 師:「そう、そこは控除じゃないとね。」

モン吉:「戻出っていうときもありました。」


(一連の処理の重要性)
講 師:「一連の処理はどうかな?」

モン吉:「一連の処理はなんとかできそうです。」

講 師:「割賦販売に限らず、特殊商品販売では一連の処理が大事なんだ。」

モン吉:「でも問題では決算整理を問われることが多いですよね。」

講 師:「そこが落とし穴かもしれないね。」

モン吉:「どういうことですか?」

講 師:「一連の処理がしっかりしていなくても、決算整理型の問題が解けてしまうのは危険なんだ。」

モン吉:「危険ってどういうことですか?」

講 師:「一連の処理がしっかりしていなくて決算整理型の問題ができるのは、意味もわからずに型にはめて解いてるってことだよね?」

モン吉:「でも解ければいいじゃないですか?」

講 師:「いや、それじゃあ積み重なっていかないんだ。」

モン吉:「何がですか?」

講 師:「合格するために必要な力さ。ワンランク、いや、ツーランクくらい上の問題を解くとその差がはっきりでるんだ。」

モン吉:「ボクはどうすればいいんですか?」

講 師:「一連の処理を大事に、必要ならいつでもそこに戻るくらいの感じで問題に接して欲しいな。」

モン吉:「それじゃあ、決算整理型の問題の解き方はやらないんですか?」

講 師:「もちろん、やるさ。きちんと基本的な処理を身につけた上で解き方やテキニックを磨くのは大歓迎だよ。」

モン吉:「それじゃあ決算整理型の問題の解き方を教えてください!!」

講 師:「はい!!(んんっ。)」

モン吉くんと学ぶ割賦販売(8)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(6)

(翌期の処理)
講 師:「それじゃあちょっと翌期の処理を考えておこうか。」

モン吉:「えーっと。原価80円のジュースを100円で割賦販売。代金は2回で回収、期中に1回回収でしたね。」

講 師:「その場合の販売基準の翌期の処理はどうなるかな。」

モン吉:「えーっと。」


(販売基準)
回収時:(借)現 金 50 (貸)売掛金 50

決算時:なし


講 師:「そうだね。全部売れてしまったんだから決算時の処理はナシだね。」

モン吉:「この考え方は一般の商品販売と同じですね。」

講 師:「そうだね。まったく同じだよ。」

モン吉:「なんか決算整理の意味がちょっとわかってきました。」

講 師:「回収基準:対照勘定法はどうだろう。」

モン吉:「えーっと。」


(回収基準:対照勘定法)
回収時:(借)現   金50 (貸)割賦売上 50
       割賦仮売上50    割賦未収金50

決算時:(借)仕   入40    繰越商品 40


講 師:「決算時の処理はよくできたね。」

モン吉:「この理屈は一般の商品販売のシークー(仕入/繰商)と同じですね。」

講 師:「そうだね。売れ残っていた期首の商品の原価を売上原価として仕入勘定に振替えるんだね。」

モン吉:「そこを言葉ではうまく説明できないんですけど、一般の商品販売と同じって考えるとなんかわかります。」

講 師:「当期中の仕入は他にないから損益科目は、割賦売上の50と仕入(売上原価)の40。」

モン吉:「これで割賦売上50−仕入(売上原価)40=10が利益って寸法ですね。」

講 師:「そうだね。よくできてるよね。」

モン吉:「先生が感心してちゃダメじゃないですか。」

講 師:「いや、仕訳の仕組みはよくできてるなあって思うよ。」

モン吉:「でも、そういわれると確かによくできてますね。」

講 師:「そう思ってもらえるとありがたいよ。まずは仕訳の仕組みに興味をもってもらわないと。」

モン吉:「ちょっとずつ仕訳の意味がわかってきました。」

講 師:「よし、この調子でがんばっていこう。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(7)


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モン吉くんと学ぶ割賦販売(5)

(未実現利益控除法)
モン吉:「えーっと、未実現利益控除法はどうやるんでしたっけ?」

講 師:「まずは一連の処理を確認しておこう。」


(回収基準:未実現利益控除法)
仕入時:(借)仕   入   80 (貸)現    金 80

売上時:(借)割賦売掛金  100 (貸)割賦売上  100

回収時:(借)現   金   50 (貸)割賦売掛金  50

決算時:(借)繰延売上利益控除10 (貸)繰延売上利益 10


モン吉:「決算以外は、ただの販売基準と同じですね。」

講 師:「そうだね。だから未実現利益控除法のことを修正販売基準って呼ぶ人もいるよ。」

モン吉:「販売基準での処理に修正を加える感じだからですね。」

講 師:「そうだね。」


(未実現利益控除法の決算整理)
講 師:「未実現利益控除法は、販売基準の処理と途中までは一緒だから決算整理の意味が重要なんだ。」

モン吉:「決算整理にはどんな意味があるんですか?」

講 師:「販売基準の利益を回収基準の利益に調整する意味があるんだ。」

モン吉:「具体的にはどういうことですか?」

講 師:「ちょっと具体的に考えてみよう。対照勘定法をイメージすると回収基準の利益はどう計算されるかな?」

モン吉:「えーっと。売上は回収額の50円。これに見合う原価は、50円×原価率0.8(原価80÷売価100円)=40円。利益は10円です。」

講 師:「それじゃあ販売基準での利益はいくらかな?」

モン吉:「えーっと。売上が100円。これに見合う原価は、80円。利益は20円です。」

講 師:「未実現利益控除法は、途中まで販売基準と同じだから、期中は販売基準と同じ利益が計上されてるよね。」

モン吉:「処理の仕方が一緒なんだからそうなりますね。」

講 師:「回収基準との差は、未回収部分の利益(未回収額×利益率)だよね。」

モン吉:「この例でいえば、未回収額50円×利益率20%=10円ですね。」

講 師:「その部分の利益をマイナスしてあげれば、つじつまが合うよね。」

モン吉:「えーっと、販売基準の利益が50円。回収基準の利益が40円。はい、合います。」

講 師:「それが借方の繰延売上利益控除さ。」

モン吉:「控除っていうのが繰入じゃダメなんですか。」

講 師:「この場合、販売基準と同じでは計上しすぎの利益を減らす意味だけど、費用を追加(繰入)する訳じゃないから控除かな。」

モン吉:「たまに戻出っていうのもありますけど。」

講 師:「そうだね。もはや何いってるのかボクにも分からないけど戻入の逆だから戻出って、控除と同じ意味って感じでいいと思うよ。」


(繰延売上利益の意味)
モン吉:「それじゃあ、繰延売上利益はどんな意味なんですか?」

講 師:「ここは難しいんだけど、利益を先送りするために生じた貸方項目だから繰延収益かな。」

モン吉:「繰延収益?」

講 師:「利益(収益)を先送りすれば、貸借対照表の貸方項目が生ずるね。まあ、前受収益に近いって考えてもらうといいかな。」

モン吉:「前受収益の方がちょっとは分かります。」

講 師:「あとは、もともと販売基準と同じ売掛金をたててるけど、これがたてすぎって考える余地はあるかもしれないね。」

モン吉:「売掛金のたてすぎですか。」

講 師:「だから割賦売掛金のマイナスの評価勘定って考える余地はあるかな。」

モン吉:「難しいです。」

講 師:「そうだね。本来は回収時点で収益(売上)をたてればいいけどそれが面倒なんでインチキをして販売基準みたいにやってる。そのために生ずる項目だからその性格は単純じゃないね。」

モン吉:「試験ではそのことを知っていないとダメなんですか?」

講 師:「いや、ここは考えてまったくムダになるとも思わないけど、試験的な重要性はないって考えていいよ。」

モン吉:「ちょっと安心しました。」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(6)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ割賦販売(4)

(対照勘定法の決算整理仕訳)
講 師:「対照勘定法の決算整理仕訳はどうかな?」

モン吉:「これは、一般商品販売のシークー・クーシ(仕入/繰商、繰商/仕入)の2行目の仕訳と同じです!」

講 師:「そうだね。回収していない部分はまだ売れていない。売れていない部分は在庫と考えるんだね。」

モン吉:「具体的な金額の計算はどうするんですか?」

講 師:「回収していない部分、つまり、未回収部分の原価を出すんだよ。」

モン吉:「未回収部分は対照勘定の残高ですね。」

講 師:「そうだね。商品を引き渡したときに対照勘定をたてて、回収したら逆仕訳で消すから、対照勘定の残高が未回収の金額なんだ。」

モン吉:「対照勘定の残高は売価でした。」

講 師:「計上するときが売価だからね。これを原価にしないと。」

モン吉:「どうしたら原価になるんでしたっけ?」

講 師:「この事例だと40円はすぐにだせると思うけど、対照勘定残高に原価率をかけるんだ。」

モン吉:「対照勘定残高は売価なんで、これに原価率をかけると原価に戻るんですね。」

講 師:「そうだね。その金額でクーシー(繰越商品/仕入)の在庫をたてる仕訳をすればオッケーさ。」

モン吉:「そうするともし、期首残高があったら対照勘定法での決算整理仕訳は通常の商品販売と同じ(仕入/繰越商品)ですか?」

講 師:「そうだね。まったく同じだね。ただ、繰越割賦商品って一般の繰越商品と勘定をわける場合の方が多いかな。」

モン吉:「そこは試算表の科目をよく見ないといけないですね。」

講 師:「試算表の対照勘定(貸借同額)と繰越商品(繰越割賦商品)には充分注意してね。」

モン吉:「はい!!」


(対照勘定法の特徴)
講 師:「回収基準の本来の意味合いは回収時点で収益(売上)をたてることだね。」

モン吉:「文字どおり、回収基準なんですね。」

講 師:「対照勘定がメモだとして、これを無視すれば、現金の入金で売上をたててるだけだよね。」

モン吉:「そうですね。」

講 師:「対照勘定法は、回収基準=現金基準っていう収益の認識基準に忠実な会計処理方法っていえるね。」

モン吉:「じゃあ対照勘定法だけでいいんですね。」

講 師:「うーん。そうもいえないんだ。」

モン吉:「えっ。どうしてなんですか?」

講 師:「めんどうなんだよ。」

モン吉:「め、めんどうなんて、そんなんでいいんですか?」

講 師:「でもわざわざ1組の勘定をたてて、回収のつどその逆仕訳をきるのは実務的にはめんどくさくてやってられないな。」

モン吉:「売って代金を回収する話だから回数も多いですね。」

講 師:「そうなんだ。そこで実際に利用されているのが未実現利益控除法さ。」

モン吉:「未実現の利益を控除する方法ですね。」

講 師:「そこから意味を広げていけるといいね。」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(5)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ割賦販売(3)

(回収基準:対照勘定法の処理)
講 師:「それじゃあ回収基準をみていこうか。」

モン吉:「これが確か2つあるんですよね。」

講 師:「そうだね。未実現利益控除法と対照勘定法だよ。」

モン吉:「2つ以上の処理方法があるのが一番イヤなんですけど、やんなくちゃいけないんですよね。」

講 師:「そうだね。これはあきらめるしかないね。対照勘定法からみていこうか。」


(回収基準:対照勘定法)
仕入時:(借)仕   入 80 (貸)現   金 80

売上時:(借)割賦未収金100 (貸)割賦仮売上100

回収時:(借)現   金 50 (貸)割賦売上  50
       割賦仮売上 50    割賦未収金 50

決算時:(借)繰越商品  40 (貸)仕   入 40


講 師:「対照勘定法の処理はどうだろう?」

モン吉:「処理はいいんですけど、対照勘定の科目が………。」

講 師:「科目?」

モン吉:「なんかいろんな科目があるじゃないですか。」

講 師:「ああ、それは気にしなくていいんだ。」

モン吉:「えっ。気にしなくていいってどういうことですか?」

講 師:「対照勘定は、ただのメモだから科目名にこだわる必要はないんだよ。」

モン吉:「ただのメモ?」

講 師:「そうだよ。ただの売値でのメモさ。」

モン吉:「でも、仕訳はきりますよね?」

講 師:「もちろん仕訳はきるけど、それぞれの科目に特別な意味があるというより、仕訳を利用したただのメモ、備忘記録なんだ。」

モン吉:「でも、いろんな名前があるとゴチャゴチャになります。」

講 師:「自分で仕訳をきるときは、この科目って決めてれば、仕訳はきれるよね?」

モン吉:「それはそうですけど。」

講 師:「試算表が資料にある場合は、貸借が同額の科目が対照勘定だよね。」

モン吉:「あれっ。じゃあ、対照勘定をいくつも覚えたりする必要はないんですね。」

講 師:「そうだよ。覚える時間を他にまわした方がいいね。」

モン吉:「わかりました。」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(4)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ割賦販売(2)

(割賦販売の収益の認識)
講 師:「まずは割賦販売の収益の認識をみていこう。」

モン吉:「認識って何ですか?」

講 師:「認識は、いつ売上をたてるかの話さ。」

モン吉:「どのタイミングで売上を計上するかのことですね。」

講 師:「そうだね。そう考えていいよ。」

モン吉:「割賦販売はどうするんですか?」

講 師:「一般の商品販売は、商品を売ったら(引き渡したら)売上を計上したね。」

モン吉:「商品を売ったら売上でした。」

講 師:「割賦販売は、売ってもすぐに代金がもらえない。で、代金をもらうのも分割。」

モン吉:「そこが一般販売との違いですね。」

講 師:「そうだね。そこに着目して、販売で売上をたてる方法以外に代金を回収したつど売上をたてる方法も認められているんだ。」

モン吉:「それが販売基準と回収基準ですね。」

講 師:「おっ。ちゃんと名前を知ってるじゃないか。」

モン吉:「それくらい知ってますよ。」


(割賦販売の会計処理)
講 師:「それじゃあ販売基準と回収基準の仕訳をちょっと考えてみようか。」

モン吉:「えーっと、商品はエクアドル産のバナナジュースでお願いできますか。」

講 師:「うーん。あまりジュースの割賦販売は聞いたことがないけど、モン吉くんのいうとおりにするよ。」

モン吉:「エクアドル産のバナナジュースは甘いんで、そこんとこ間違えないでください。」

講 師:「うん。わかったよ。それじゃあ、まずは簡単な例で確認しよう。」


(事例:あくまでもジュース。かつ、エクアドル産。)
原価80円 割賦販売売価100円

代金の回収2回 1回入金で決算


(販売基準)
仕入時:(借)仕 入 80 (貸)現 金 80

売上時:(借)売掛金100 (貸)売 上100

回収時:(借)現 金 50 (貸)売掛金 50

決算時:なし


講 師:「販売基準はいいかな?」

モン吉:「普通の商品販売と同じですね。これならボクにもできます。」

講 師:「販売基準なんで売掛金や売上はそのまま一般販売と同じにしといたけど、割賦売掛金や割賦売上を使ってもいいね。」

モン吉:「勘定科目はどっちでもいいんですか?」

講 師:「勘定科目の使い方は企業の自由という面があるからそれほど神経質になる必要はないね。」

モン吉:「そんなもんなんですか。」

講 師:「そんなもんさ。」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(3)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ割賦販売(1)

(特殊商品販売への取り組み方)
講 師:「特殊商品販売は苦手な人が多いけど、モン吉くんはどうかな?」

モン吉:「他の人ができないのにボクができる訳ないですよ〜」

講 師:「そんなこといってちゃダメだよ。」

モン吉:「でも、できないものはできません!!」

講 師:「解き方だけにこだわってるんじゃないかな?」

モン吉:「えっ、解き方にこだわっちゃいけないんですか?」

講 師:「解き方にこだわるのは悪くないけど。」

モン吉:「じゃあ何が悪いんですか?」

講 師:「特定の問題の解き方だけだとその問題の類似問題が解けるようになるだけじゃないかな?」

モン吉:「確かに見たことのない問題はいつもチンプンカンプンです。」

講 師:「やっぱり地味に一つ一つの処理を理解している人が最後に頭一つ抜けるんじゃないかと思うよ。」

モン吉:「でも何をどうすればいいのかわからないです。」

講 師:「それをこれから一緒に考えようじゃないか。」

モン吉:「ボクでも初めてみる難しい問題が解けるようになりますか?」

講 師:「もちろんさ。」

モン吉:「本当かなあ。」

講 師:「本当さ。さあ、がんばっていこう!!」

モン吉:「はい!!」


(割賦販売の意味)
講 師:「まずは代金が分割払いの割賦販売から取り上げよう。」

モン吉:「ボクはいつもニコニコ現金払だから割賦販売は関係ないです。」

講 師:「でも試験では必須だね。」

モン吉:「そうなんですよ。問題でよく出るんです。何ででしょう?」

講 師:「問題を難しくできるからね。」

モン吉:「随分、いい加減なんですね。」

講 師:「もちろんそれだけが理由じゃないだろうけど税理士試験でもよく出てるね。」

モン吉:「しっかりやらないといけないってことですね。」

講 師:「そうだね。しっかり頼むよ。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(2)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(完)

(まとめ)
モン吉:「3分法、分記法、総記法。商品勘定の処理もたくさんあるんですね。」

講 師:「3分法以外の処理方法の出題の可能性が高い訳じゃないけど、合格者はこなしている(こなせている)というのが実感かな。」

モン吉:「やっぱり3分法以外もやらないといけないんですね。」

講 師:「でも、複数の方法に対する見方が変わるとちょっとやる気もでるんじゃないかなあと思うよ。」

モン吉:「どういうことですか?」

講 師:「別の方法を学ぶと混乱する面はあると思うけど、逆に前よりもよくわかることもあるんだ。」

モン吉:「ちょっと意味がわかりません。」

講 師:「これは説明しにくいんだけど3つの処理法を視点を変えてちょっとだけ見ておこうか。」

モン吉:「視点ですか。」

講 師:「その前に3つの処理法の仕入・売上時と決算時の処理を並べておこうか。」

モン吉:「100円のジュースを120円で売った例でお願いします。」

講 師:「じゃあ、期首はなしで、2本仕入、1本売上、期末1本でいこう。」


(分記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200
売上:(借)現  金120 (貸)商  品 120
                商品販売益 20
決算:なし

(総記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200
売上:(借)現  金120 (貸)商  品 100
決算:(借)商  品 20 (貸)商品販売益 20

(3分法)
仕入:(借)仕  入200 (貸)現  金 200
売上:(借)現  金120 (貸)売  上 120
決算:(借)繰越商品100    仕  入 100


モン吉:「えーっと、どんな視点ですか。」

講 師:「一つは、損益の出し方だね。」

モン吉:「損益?」

講 師:「分記法と総記法の処理は、販売益20円しか出てないけど、3分法は売上120円と売上原価100円が出てるよね。」

モン吉:「損益の出し方が総額か、純額かの違いがあるんですね。」

講 師:「そうだね。もう一つ違いがわかるかな?」

モン吉:「なんでしょう?」

講 師:「決算時に処理が必要かどうかだね。」

モン吉:「あっ。分記法だけは決算時に処理が必要ないんですね。」

講 師:「分記法は、商品を売ったつど利益を出す方法だから決算整理が必要ないんだ。」

モン吉:「分記法は、その都度の方法でしたね。」

講 師:「こんな視点が緩やかに他の学習項目にもつながっていくといいと思うんだ。」

モン吉:「問題を解く上では必要なくても、ですか?」

講 師:「確かにある特定の問題を解く上では必要ないのかもしれないね。」

モン吉:「じゃあ、ボクには必要ないですね。」

講 師:「うーん、それはこのシリーズを最後まで読んでモン吉くんに判断して欲しいな。」

モン吉:「えーっと、よくわからないですけど、ボクはやめられないんですね。」

講 師:「そういうことだね。」


(エピローグ)
モン吉:「(大声で)商品勘定の処理はたくさんあって大変だなあ。」

講 師:「そんなこと言わないでよ。」

モン吉:「いつかボクでもスラスラ問題が解けるようになるんですか?」

講 師:「なるさ。」

モン吉:「ホントですか?」

講 師:「ホントだよ。」

モン吉:「まだ、ちょっと信じられないですけど、行きがかり上、ついていきます。」

講 師:「頼んだよ。」

モン吉:「任せてください。」

講 師:「期待してるよ。」

モン吉:「それじゃあボクはエクアドル産のバナナがたくさん入ったバナナパフェを食べて帰ります。」

講 師:「えっ。この寒いのにパフェ?かい。」

モン吉:「あっ。知らないんですね。エクアドル産のバナナは甘〜くて…………。」

講 師:「おいしいんだよね。」

モン吉:「そう、甘くておいしいんですよ。」

講 師:「寒いからくれぐれも風邪をひかないでね。」

モン吉:「大丈夫ですよ。ほら、サルは風邪ひかないっていうじゃないですか。あれっ、違ったかな。」

講 師:「ちょっと違う気もするけど、体を大事に、復習も忘れないでね。」

モン吉:「はい!!」


・モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(完)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(9)

(総記法)
講 師:「分記法は、簿記処理としてはいい方法だと思うけど実際には採用されていない。」

モン吉:「売上原価と商品販売益を分けるのがめんどうなんでしたね。」

講 師:「で、3分法といきたいところなんだけど、その一個手前の処理方法があるんだ。」

モン吉:「どんな処理方法なんですか?」

講 師:「商品を買った時は借方:商品、売った時は貸方:商品という方法さ。」

モン吉:「それだと分記法と同じじゃないですか。」

講 師:「貸方:商品が売価なんだ。」

モン吉:「えっ。売価?」

講 師:「商品を売った時に商品勘定の貸方に売価で記入する方法を総記法っていうんだ。」

モン吉:「総記法ですか。」

講 師:「分記法が売上原価と商品販売益をその都度分けるのに対して、売価総額で記録するから総記法かな。」

モン吉:「なんかわかりにくいです。」

講 師:「確かに違和感はあるね。でも売上原価がわからない(出すのがめんどくさい)から貸方:売価で商品ってことなんだ。」

モン吉:「でも、売価で商品勘定の貸方に記録したら商品勘定はメチャクチャじゃないですか。」

講 師:「そうなんだ。メチャクチャなんだよ。」

モン吉:「メチャクチャでいいんですか?」

講 師:「もちろん決算整理仕訳が必要になるんだけど、具体的な例でみておこう。」


(条件)原価:100円 売価:120円

(当期)期首:なし 仕入:2本 売上:1本 期末:1本

(期中)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 120


モン吉:「おなじみのジュースの例ですね。」

講 師:「この場合に商品勘定は、80円になっているけど実際の商品は、100円だよね。」

モン吉:「80円という金額にそんなに意味はないんですね。」

講 師:「そうだね。あまり意味はないな。」

モン吉:「このままじゃいけないんじゃないですか?」

講 師:「もちろん決算整理仕訳がいるんだ。」

モン吉:「どうするんですか?」

講 師:「(借)商   品20 (貸)商品販売益20っていう仕訳が必要だね。」

モン吉:「なんかピンときません。」

講 師:「総記法の一連の処理と分記法の一連の処理を並べてみようか。」


(分記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 120
                 商品販売益 20

決算:なし

(総記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 100

決算:(借)商  品 20 (貸)商品販売益 20


講 師:「どうだろう?」

モン吉:「どうでしょう?」

講 師:「こう並べてみると分記法が販売益をその都度出しているのに対して、総記法が決算で一回だけ販売益をたてる方法ってわかるかな。」

モン吉:「分記法と総記法の違いは、販売益のたて方なんですね。」

講 師:「普段は、販売益も含めて売上時に貸方に記録するんで決算でその販売益の金額で仕訳をきるとうまくいくね。」

モン吉:「これも不思議ですけど、二つの方法の処理を並べてみるとなんかわかった気がします。」

※総記法で期末商品を貸方に記入したとした場合に借方差額が商品販売益になる理由については、次の記事をご参照ください。
総記法の決算整理


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(10)へ


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モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(8)

(値引の処理)
講 師:「分記法であと1つ注意したいのが売上値引かな。」

モン吉:「売った後のキズなんかで代金をまけてくれることですね。」

講 師:「そうだね。お店の立場だと代金をまけてあげることだね。」

モン吉:「売上値引のどこを注意するんですか?」

講 師:「ちょっと具体的な例で考えてみよう。」


仕入:(借)商  品100 (貸)買 掛 金 100

売上:(借)売 掛 金120 (貸)商  品 100
                 商品販売益 20


モン吉:「100円のジュースを買って、120円で売ったってことですね。」

講 師:「仕入れの返品や値引は、仕入時の逆仕訳だったね。」

モン吉:「(借)買掛金××× (貸)商品×××ですね。」

講 師:「売上返品も売上時の逆仕訳でいいね。」

モン吉:「こっちは商品販売益がありますね。」

講 師:「でも、売上値引だけはちょっと注意しないと。」

モン吉:「どう注意するんですか?」

講 師:「売上返品は逆仕訳でいいんだけど、売上値引は商品販売益だけを減らすんだ。」

モン吉:「商品販売益だけ?」

講 師:「たとえば5円の売上値引をしたら(借)商品販売益5(貸)買掛金5だね。」

モン吉:「どうしてそうなっちゃうんですか?」

講 師:「2つの取引(売上と売上値引)の仕訳を並べてみるとわかるよ。」


売上:(借)売 掛 金 120 (貸)商  品 100
                  商品販売益 20

値引:(借)商品販売益  5 (貸)売 掛 金   5


モン吉:「えーっと、何がわかるんでしたっけ?」

講 師:「売上値引っていうのは、代金をまけてあげることだからこの場合でいえば最初から115円で売ったのと同じ結果だよね。」

モン吉:「120円で売ったんじゃなくて、115円で売ったのと同じってことですね。」

講 師:「そうだね。両方の仕訳を相殺するとちょうど115円で掛売りしたのと同じになることを確認して欲しいな。」

モン吉:「そういわれればそうですね。」

講 師:「一回だけはきちんと確認しておいて、後は分記法は売上値引に注意って感じかな。」


(販売益の計上のタイミング)
講 師:「分記法は、商品を売った都度、利益(商品販売益)を出すその都度の方法なんだ。」

モン吉:「その都度法なんですね。」

講 師:「分記法のことをその都度法っていう人はいないけど確かにその都度法だね。」

モン吉:「きちんとその都度利益を計算する方法だからいい方法なんですよね?」

講 師:「そうだね。その都度、利益を計算して商品勘定もその時の商品の有高と一致する方法だね。」

モン吉:「でも実際にはあまり採用されていないんですね。」

講 師:「そうだね。商品勘定で分記法はあまり採用されていないんじゃないかな。」

モン吉:「どうしてですか?」

講 師:「めんどうなんだよ。」

モン吉:「め、めんどうなんて、そんな理由でいいんですか?」

講 師:「いやいや、商品販売業では毎日商品を売るんだからあまりめんどうな方法は採用できないんだ。」

モン吉:「そんなもんなのかなあ。」

講 師:「そんなもんさ。商品を売ったつど売上原価と商品販売益をわけるのはめんどう。」

モン吉:「だから3分法で処理するんですね。」


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(9)


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モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(7)

(売上高の算出)
講 師:「分記法で注意したいのが、一つは、分記法では帳簿(仕訳→元帳)の上で仕入高や売上高がでていないことだね。」

モン吉:「帳簿上、仕入高や売上高がでていない?」

講 師:「帳簿上は商品勘定を増やしたり減らしたりするんで、仕入や売上の金額がすぐにはわからないよね。」

モン吉:「あっ。それじゃあ損益計算書が書けないですね。」

講 師:「問題で損益計算書をつくれって場合もあるだろうからね。」

モン吉:「じゃあどうすればいいんですか。」

講 師:「ボックス図を利用するといいね。」

モン吉:「どう利用するんですか?」

講 師:「もう一度、条件と仕訳処理を整理しておこう。」


(条件)原価:100円 売価:120円

(当期)期首:なし 仕入:2本 売上:1本 期末:1本

(期中)仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

    売上:(借)現  金120 (貸)商  品 100
                     商品販売益 20

    決算:なし


講 師:「この条件だと決算整理前の残高試算表は、商品が100円、商品販売益が20円になるよね。」

モン吉:「えーっと、仕訳の金額を転記したのが元帳なんでそうなります。」

講 師:「決算整理型の出題だと資料のスタートがそうなるってことは知っておいて欲しいな。」

モン吉:「えーっと、決算整理型の出題って何でしたっけ。」

講 師:「期中の処理が終わっていて決算整理前の残高試算表と決算整理資料がでている問題だよ。」

モン吉:「だから決算整理前の金額が大事なんですね。」

講 師:「問題だと決算整理前の金額からスタートするからその金額の意味を把握していないとね。」


決算整理前:商品100円 商品販売益20円

(ボックス図)
     仕   入
期首商品  ? 売上原価  ?
当期仕入  ? 期末商品100


モン吉:「あれっ。?マークばっかりですね。」

講 師:「分記法は期末商品と商品販売益はちゃんとわかるけれど他の項目は帳簿上からはわからないからね。」

モン吉:「じゃあ解答できません。」

講 師:「だから実際の出題では期首商品と当期仕入は資料に出てたりするかな。」

モン吉:「それなら残りの?を差額で出せます!!」

講 師:「そうだね。残りの?を差額で出せばいいのさ。」

モン吉:「この問題だとどんな風に出てるんですか?」

講 師:「期首商品は0円、当期仕入は200円ってとこかな。」

モン吉:「それならボクでもボックス図は書けます!!」


(ボックス図)
     仕   入
期首商品  0 売上原価  ?(差額で100円)
当期仕入200 期末商品100


講 師:「そうだね。4つのうちの1つがわからないならそこを差額で出せばいいからね。」

モン吉:「ボックス図は慣れるといいですね。」

講 師:「どんどん自分で書いて慣れるといいと思うよ。」

モン吉:「で、売上はどう出すんでしたっけ?」

講 師:「売上−売上原価=売上総利益。この関係を利用するんだ。」

モン吉:「どうすればいいんですか?」

講 師:「売上原価に商品販売益を足せばいいよね。」

モン吉:「えーっと、売上原価100円+商品販売益20円=120円が売上ですね。」

講 師:「そうだね。ボックス図の売上原価の横に販売益をメモしておくといいかな。」


(ボックス図)
     仕   入
期首商品  0 売上原価100(※差額)販売益20円
当期仕入200 期末商品100


モン吉:「こうしておけば、売上がいくらかはボクでもわかります!!」

講 師:「ボックス図をきちんと整理しておくのが大事だね。」


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(8)


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モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(6)

(分記法)
講 師:「まずは分記法と呼ばれる方法だよ。ちょっと具体的な例で処理方法をみておこう。」 


(条件)原価:100円 売価:120円

(当期)期首:なし 仕入:2本 売上:1本 期末:1本


モン吉:「さっきのジュースの例ですね。」

講 師:「そうだね。分記法は、買ったときに資産(商品)、売った時に利益(商品販売益)をたてる方法さ。」


仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 100
                 商品販売益 20

決算:なし


モン吉:「固定資産や有価証券なんかと同じ感じですね。」

講 師:「そうだね。ちょうど固定資産と同じって考えてもいいね。」

モン吉:「仕訳はきれそうです。」

講 師:「決算整理前の残高試算表の金額を考えてみようか。」

モン吉:「決算整理前の残高試算表ですか。」

講 師:「そうだよ。問題では、決算整理前の金額が問われることが多いんで重要だよね。」

モン吉:「改まって考えるという感じでは接していませんでした。」

講 師:「いい機会だからできるだけ考えるようにしようよ。商品勘定はどうかな?」

モン吉:「この場合には実際の商品の有高に一致しています。」

講 師:「商品が増えたときに実際に資産(商品)を増やして、減ったとき(売ったとき)に資産(商品)を減らしているからだね。」

モン吉:「商品販売益も正しい金額ですね。」

講 師:「そうだね。商品販売益も正しい金額だよ。」

モン吉:「分記法はクリアですね。」
講 師:「えーっと。いくつか注意点を。」

モン吉:「また、何かあるんですか?」

講 師:「そんなにたくさんある訳じゃないからがまんしておくれよ。」

モン吉:「しょうがないなあ。」


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モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(5)

モン吉:「えーっと、念のためですよ。ボックス図と式でもやってみてください。」

(ボックス図)
     仕   入
期首商品100 売上原価100
商品仕入  0 期末商品  0

(式)
売上原価100=期首商品棚卸高100円+当期商品仕入高0円−期末商品棚卸高0円

講 師:「この関係は商品の種類や量が増えても同じなんだ。」

モン吉:「ボクはシー・クー・クー・シーを覚えて機械的にやってました。」

講 師:「問題を解く上ではそれでいいと思うよ。」

モン吉:「でも、大事な項目は一度は納得するんでしたね。」

講 師:「そうだね。何が大事な項目かは微妙だけどこの売上原価が大事なのは間違いないね。」


(借方:仕入の意味)
モン吉:「でも、決算整理仕訳の意味もなんとなくわかったんですが、やっぱり不思議です。」

講 師:「そうだね。とてもよくできていると思う反面、不思議だと思うよ。」

モン吉:「なんか不思議なんですけど、何が不思議なんだかよくわかりません。」

講 師:「それは期中の仕入に原因があるのかもしれないね。」

モン吉:「仕入ですか?」

講 師:「そう、商品を買った時の仕入だよ。」

モン吉:「仕入のどこに問題があるんですか?」

講 師:「商品を買ったときに仕入っていう処理は一般的だから問題がある訳じゃないんだけど。」

モン吉:「何か変なんですか?」

講 師:「仕入って費用の勘定だよね。」

モン吉:「はい。仕入が費用で売上は収益と習いました。」

講 師:「でも、実際に商品を買った段階では、別に商品はなくなってないし、簿記的にいったら資産の方が正しいんじゃないかな?」

モン吉:「そんなことは考えたことがなかったです。」

講 師:「本当はまだ資産なんだけどそれを先に費用として処理するから決算整理仕訳の意味がわかりにくいんじゃないかと思うよ。」

モン吉:「でも最初からそう習いました。」

講 師:「そうだね。でも、最初に費用として処理する方法だけじゃないんだ。」

モン吉:「他にたくさん方法があるんですね。」

講 師:「そうなんだ。それをこれから一緒にみていこう。」

モン吉:「はい!」


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モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(4)

(決算整理の意味)
講 師:「シークー・クーシー(仕入/繰越商品、繰越商品/仕入)の2つめの仕訳が期末の原価を引いていることになるよね?」

モン吉:「期末の原価を引く?」

講 師:「仕訳をちょっと並べてみようか。」


仕入:(借)仕  入200 (貸)現  金200

売上:(借)現  金100 (貸)売  上100

決算:(借)繰越商品100 (貸)仕  入100


講 師:「この仕訳の仕入の金額を追いかけると売上原価が出るよね。」

モン吉:「最初の借方・仕入200−決算の貸方・仕入100ですね。」

講 師:「そうだね。これがシークー・クーシーの2つめのクーシーの仕訳の意味さ。」

モン吉:「貸方・仕入が売れ残り分の原価を引くって意味なんですね。」

講 師:「仕訳を忠実にうつしたのが元帳だから仕入勘定でちょうど同じように売上原価が計算されていることになるね。」

モン吉:「仕入勘定で売上原価?」

講 師:「そう、仕入勘定上で売上原価を計算するための仕訳がクーシーさ。」

モン吉:「借方の繰越商品は?」

講 師:「売れ残り分は資産なんで借方の繰越商品で万事うまくいくって訳さ。」

モン吉:「なんか不思議です。」

講 師:「つづけて次の期も考えてみよう。」


(条件)原価:100円 売価:120円

(当期)期首:なし 仕入:2本 売上:1本 期末:1本

(翌期)期首:在庫1本 仕入:なし 売上:1本 期末:なし


モン吉:「売れ残っていたジュース1本が売れたんですね。」

講 師:「そうだね。これも仕訳を追いかけてみようか。」


仕入:なし

売上:(借)現  金120 (貸)売  上120

決算:(借)仕  入100 (貸)繰越商品100


講 師:「さっきよりわかりやすいかな。」

モン吉:「今度は期中に仕入が登場しませんね。」

講 師:「そうだね。だからって売上の全部が利益じゃおかしいだろ?」

モン吉:「売れ残っていた商品の原価を売上原価に足す感じが決算整理仕訳なんですね。」

講 師:「おっ。すごいじゃないかモン吉くん。」

モン吉:「なんか決算整理仕訳の意味がちょっとわかってきました。」

講 師:「借方の仕入は、仕入勘定で売上原価を出すために期首の在庫を足す感じなんだ。」

モン吉:「貸方の繰越商品で期首の商品がなくなってちょうどよくなるんですね。」

講 師:「そうだね。これがシー・クーの意味だね。」


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(5)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(3)

(売上原価の計算)
講 師:「それじゃあ売上総利益はいくらかな?」

モン吉:「1本売れてるから1本分の売価120円−1本分の原価100円=20円です。」

講 師:「実際の売上総利益はそう計算してるかな?」

モン吉:「実際の売上総利益?」

講 師:「実際に帳簿の上でそうは計算していないんじゃないかな?」

モン吉:「ちょっと意味がわかりません。」

講 師:「帳簿上は、仕訳→元帳の金額がそのまま生きているんだからそこからスタートしないと。」

モン吉:「売上120円と仕入200円を使うってことですか?」

講 師:「そうだね。そこからスタートしないとおかしくないかな?」

モン吉:「えーっと。売上120円はいいとして、どうするんですか?」

講 師:「仕入200円が変だよね。これを売上原価に直すんだ。」

モン吉:「売上原価?」

講 師:「売った商品を買った値段だよ。売上に見合う(対応する)原価だね。」

モン吉:「どう直すんですか?」

講 師:「この場合は仕入から売れ残り分の原価を引けばいいよね?」

モン吉:「そうすれば売れた分の仕入原価、売上原価がでるんですね。」

講 師:「当期商品仕入高200−期末棚卸高100=売上原価100だね。」


(ボックス図の利用)
講 師:「これは以前にやったボックス図で考えられるよね。」

モン吉:「ボックス図ってなんでしたっけ?いや、念のためですよ。念のため。」

講 師:「こんな図だったよね。」


  仕   入
期首商品 売上原価
当期仕入 期末商品


モン吉:「この図にあてはめればいいんですね。」

講 師:「そうだね。原価なら原価で統一していればよかったね。」


     仕   入
期首商品  0 売上原価100(差額)
当期仕入200 期末商品100


モン吉:「こうすれば売上原価はすぐにでるなあ。」


(式の利用)
講 師:「そうだね。この関係は式でも次のようにあらわされるんで、それにあてはめても出るね。」


売上原価100=期首商品棚卸高0円+当期商品仕入高200円−期末商品棚卸高100円


モン吉:「ボックス図を利用することも、式にあてはめることも結局は同じなんですね。」

講 師:「そんな理解があると先が少しラクかもしれないね。」


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(4)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(2)

(3分法)
講 師:「それじゃあ、まず、モン吉くんも知ってる3分法からみていこうか。」

モン吉:「これならボクもわかります。商品を買ったときに仕入、売ったときに売上で処理する方法ですよね。」

講 師:「そうだね。期中は仕入(費用)と売上(収益)を使う方法が3分法だね。」

モン吉:「それで売れ残りは繰越商品勘定(資産)で繰越すんですよね。」

講 師:「そうだね。そのために決算整理が必要だったね。」

モン吉:「シー・クー・クー・シーですね(仕入/繰越商品、繰越商品/仕入)。」

講 師:「この仕訳の意味はわかるかな?」

モン吉:「い、意味ですか?意味はちゃんと考えたことがありませんでした。」

講 師:「じゃあ、いい機会だからちょっと考えてみようよ。」

モン吉:「は〜い。」


(3分法の決算整理の意味)
講 師:「ちょっと缶ジュースを例にあげて具体的に考えてみよう。」

原価:100円
売価:120円
期首:在庫なし
仕入:2本
販売:1本
在庫:1本

講 師:「状況はシンプルにしておいたけどいいかな?」

モン吉:「えーっと、1本の仕入金額が100円のジュースを120円で販売する。このジュースはバナナジュースですか?」

講 師:「うーん。そこに食いついたか。バナナジュースだよ。」

モン吉:「産地はエクアドルですね?」

講 師:「そうだよ。モン吉くんの好きなエクアドル産のバナナジュースさ。」

モン吉:「よーし、やる気が出てきたぞ。」

講 師:「まずは、やる気が大事だからね。」

モン吉:「最初(期首)はなしで、2本買って、1本売れて、1本が残った。そんな状況ですね。」

講 師:「この場合の期中の仕訳を3分法できってくれるかな?」

モン吉:「相手勘定は現金でいいですね。」


仕入:(借)仕入200 (貸)現金200

売上:(借)現金120 (貸)売上120


講 師:「そうだね。期中は仕入が200円で、売上が120円だ。」

モン吉:「このくらいはボクでもできます!!」


モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(3)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ商品勘定の処理(1)

(商品勘定の処理をとりあげる理由)
講 師:「それじゃ、これから商品販売を一緒に学習しよう。」

モン吉:「えっ。ボクが課長になって新婚さんが現場にあらわれるんじゃなかったんですか?(「モン吉くんと何を学ぶ?」参照」

講 師:「いや、何をいってるのかわからないなあ。」

モン吉:「う、裏切りましたね。」

講 師:「商品販売だよ。」

モン吉:「しょうがないなあ。まったく。商品販売って、バナナとか、チョコボールを販売したときの処理ですね。」

講 師:「そうだね。前回は、売価還元法をとりあげたんで、そこで触れなかった商品勘定の処理をとりあげようと思うんだ。」

モン吉:「商品勘定?」

講 師:「そう、商品勘定だよ。」

モン吉:「商品勘定って使いましたっけ?」

講 師:「そんなには見かけないね。商品を買ったときは仕入、売ったときは売上っていう処理が一般的かな。」

モン吉:「残った商品は繰越商品勘定で繰越すから商品勘定は出てこないんじゃないですか?」

講 師:「仕入、売上、繰越商品の3つの勘定を使う3分法って呼ばれる処理だね。」

モン吉:「ボクはそれしか知りません。」

講 師:「でもそれ以外にたくさんの処理方法があるんだよ。」

モン吉:「たくさんあるのが一番イヤです。」

講 師:「そうだね。それはよくわかるよ。」

モン吉:「じゃあ、3分法だけでいいんですね。」

講 師:「混乱してしまうなら仕方がない面もあるけど、逆にうまく整理がつけば特殊商品販売なんかにはとても役立つんだ。」

モン吉:「特殊商品販売?」

講 師:「割賦販売とか、試用販売とか、委託販売とかあるよね?」

モン吉:「ああ、それならボクはいつも飛ばしてるんで大丈夫です。」

講 師:「項目だけの判断で飛ばすのは感心しないな。」

モン吉:「どういうことですか?」

講 師:「あくまでも相対的にみて難易度が高い出題項目を実際の試験で飛ばすのはいいけれど、もし簡単ならできる人と差がついちゃうよね。」

モン吉:「うーん、でも苦手なものは苦手です。」

講 師:「まあ、そういわないでがまんして付き合ってくれないかな?」

モン吉:「じゃあ、しょうがないから付き合います。」

講 師:「今回は、随分消極的だけど仕方がないかな。」

モン吉:「そんなときもありますって。」

講 師:「んっ。」


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モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(完)

(原価率の式の補足)
講 師:「借方の原価は期首は仕掛品と製品ともに前期末に算出済さ。」

モン吉:「前期に売価還元法を適用して算出しているハズですね。」

講 師:「当期総製造費用は、当期の材料費、労務費、経費の合計額だね。」

モン吉:「これは総合問題なんかでは自分で算出するんですね。」

講 師:「そうだね。ここが違っちゃうと答えも違うんだけどね。」

モン吉:「貸方の売上原価のところは売上高ですね。」

講 師:「あとは期末製品の売価は資料にあるハズだよ。」

モン吉:「期末仕掛品の売価ってなんですか?」

講 師:「期末仕掛品は、まだつくってる最中だから厳密には売価はないんだ。」

モン吉:「厳密には売価がない?」

講 師:「誰も出来かけのものを欲しいとは思わないよね?」

モン吉:「それじゃあどうするんですか?」

講 師:「ここは、完成品で考えた場合の売価が出ているか、その売価への換算の比率が出ているんじゃないかな。」

モン吉:「比率?」

講 師:「完成品でいうと何%に相当するという率だね。」

モン吉:「これはかければいいんですね。」

講 師:「そうだね。完成品の売価に換算率をかければ仕掛品の売価になるってことだね。」

モン吉:「それじゃあ問題で確認…………。」

講 師:「…………。」

モン吉:「もう。なんか言ってくださいよ。ないならないって。問題なんかなくっても大丈夫ですよ。日本一の簿記ブログです。安心してください。」

講 師:「そうかなあ。」

モン吉:「そうですよ。やればできますって。」

講 師:「よし。がんばるぞー(って、逆?)。」


(エピローグ)
モン吉:「ずいぶんいろんな売価還元法があるんですね。」

講 師:「そうだね。」

モン吉:「連続意見書方式にも売価還元平均原価法と売価還元低価法。減耗がある場合。税法方式。うーん、たいへんです。」

講 師:「そうだねたくさんの方法があったね。」

モン吉:「でも、売価還元法自体がそんなに重要なんですか?」

講 師:「売価還元法がすごく重要ということでもないかな。」

モン吉:「えっ。そんなに重要じゃないんですか?」

講 師:「重要じゃないという訳でもないんだけど。」

モン吉:「どっちなんですか。もう!!」

講 師:「一つの項目をきちんといろんな角度から検討しておくのはムダにならないってこともいいたかったんだ。」

モン吉:「他の期末商品の評価方法との関係、ボックス図の利用なんかも確かに他でも役に立ちますね。」

講 師:「平成18年の第二問問2の出題のポイントをみてもらったけど、試験委員も解き方だけじゃなくて考え方も含めて学習して欲しいって考えてるよね。」

モン吉:「ちょっとずつがんばるようにします。」

講 師:「そうだね。ちょっと回り道はしたけど一度でいいから納得しておいて、あとはたくさん(同じ問題も含めて)問題を解いておくれよ。」

モン吉:「はい!!」

講 師:「おっ。いい返事だね。期待してるよ。」

モン吉:「今日は勉強になりました。それじゃあ、ボクはチョコボールを買って帰ります。」

講 師:「今日はバナナじゃなくてチョコボールかい?」

モン吉:「あっ。何も知らないんですね。今日はチョコボールの日なんですよ。」

講 師:「チョコボールの日?」

モン吉:「チョコボールを買うとバナナがあたるんです。あれっ。なんか違ってたかな?まあ、いっか。」 

講 師:「チョコボールもいいけど復習も忘れないでね。」

モン吉:「はい!!」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(完)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(11)

(製造業の売価還元法)
モン吉:「いよいよおしまいですね。」

講 師:「ごめんねモン吉くん。最後に1個だけいいかな。」

モン吉:「まだあるんですか?まあ、もう慣れましたけど。」

講 師:「基本的な考え方は税法方式なんだけど製造業の売価還元法を最後にみておこう。」

モン吉:「製造業にも適用があるんですか?」

講 師:「そうなんだ。ここは税法方式の考え方をそのまま利用する感じになるから考え方でいって欲しいな。」

モン吉:「どう考えるんですか?」

講 師:「その前にちょっと製造業の仕掛品勘定と製品勘定の記入を考えておこう。」

モン吉:「仕掛品と製品ですね。」

講 師:「ちょっと勘定記入を思い出して欲しいな。」


       仕掛品
期首仕掛品原価  当期製品製造原価
当期総製造費用  期末仕掛品原価


講 師:「仕掛品勘定はいいかな?」

モン吉:「バッチリ、そのまま覚えてます。」

講 師:「この関係も(期首)これだけ最初につくりかけで、(当期)これだけあらたにつくりだして、(当期製品)こんだけ完成したら、(期末)最後につくりかけがこんだけあった。」

モン吉:「長いですね。」

講 師:「長い上にちょっとムリがあるけど、その辺は目をつぶってくれないか。」

モン吉:「この関係は、商品のボックス図と同じ感じですね。」

講 師:「そうなんだ。基本的には同じだよね。」

モン吉:「これもこのボックス図を使うんですか?」

講 師:「そうなんだ。製品もみておこう。」


       製 品
期首製品原価   売上原価
当期製品製造原価 期末製品原価


講 師:「この関係も(期首)これだけ製品があって、(当期)これだけ完成して、(期末)これだけ残ってたら、(売上原価)これだけ売れたハズって関係だよね。」

モン吉:「こっちが商品のボックス図と全く考え方は同じですね。」

講 師:「そうだね。この二つの図をくっつけるんだ。」

モン吉:「図をくっつける?」

講 師:「そう。仕掛品勘定の貸方の当期製品製造原価と製品勘定の借方の当期製品製造原価は全く同じだよね。」

モン吉:「そうですね。」

講 師:「この部分を重ねるようにくっつけるんだ。」


(足す前)
       仕掛品
期首仕掛品原価  当期製品製造原価
当期総製造費用  期末仕掛品原価

       製 品
期首製品原価   売上原価
当期製品製造原価 期末製品原価


(足した後)
     仕掛品+製品
期首仕掛品    売上原価
期首製品     期末仕掛品          
当期総製造費用  期末製品


講 師:「こんな感じになるよね。」

モン吉:「えーっと、当期製品製造原価の部分がくっついてなくなったんですね。」

講 師:「で、この借方の原価÷貸方の売価で原価率を出すんだ。」

モン吉:「借方・原価÷貸方・売価だから、商業の税法方式と同じ考え方なんですね。」

講 師:「そうなんだ。原価率を出して、それを期末仕掛品売価と期末製品売価にかければ、それぞれ期末仕掛品原価と期末製品原価がでるのさ。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(12)

モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(10)

(税法方式の不合理)
講 師:「それじゃあ税法方式では原価率はいくつかな。」

モン吉:「えーっと、税法方式は、借方・原価÷貸方・売価でしたね。」

講 師:「そうだよ。」

モン吉:「えーっと。借方の原価は240円で、貸方の売価は100円+100円で200円。240円÷200円で、???」

講 師:「どうしたの?」

モン吉:「原価率が120%になりました。」

講 師:「原価率が120%はおかしいね。」

モン吉:「なんでそんなことになっちゃうんですか?」

講 師:「税法方式の原価率の計算の分母と分子は厳密には対応関係がとれていないんだ。」

モン吉:「対応関係がとれていない?」

講 師:「そうなんだ。原価率は売れた金額とそれに見合う原価の比率じゃないとおかしいんだ。」

モン吉:「あっ。減耗部分だけ分子にあるけど、分母にはないんですね。」

講 師:「そうなんだ。厳密にはおかしな率を求めてることになるね。」

モン吉:「おかしな率でいいんですか?」

講 師:「減耗がこんなに大きいことはないんで、その不合理もそれほど大きくはないと思うよ。」

モン吉:「税法方式がいい加減な面があるっていうのはそういうことなんですね。」

講 師:「そうだね。日商一級なんかでは出題されていないと思うな。」

モン吉:「税理士試験ではどうなんですか?」

講 師:「税理士試験ではやっておいた方がいいかな。税法方式というのと減耗がない場合は税法方式で解くいても結果が同じだからこれを利用して出題する可能性もなくはないしね。」


(原価率が100%をこえた場合)
モン吉:「原価率が100%を超えたらどうするんですか?」

講 師:「そのまま使うんだ。」

モン吉:「えっ。原価率が100%を超えてもそのまま使うんですか?」

講 師:「そうなんだ。その結果、期末商品は原価を超えるだろうけど、税法はヘッチャラなようだね。」

モン吉:「びっくりしました。」

講 師:「減耗以外に売価がどんどん下がってしまう場合でも原価率が100%を超えることもあるかもしれないね。」

モン吉:「この問題では期末は100円×120%=120円ですね。」

講 師:「そうだね。期末が120円で、売上原価も120円ってことになるね。」

モン吉:「減耗部分はどうなっちゃたんでしょう?」

講 師:「減耗部分の原価は80円なんだけどそれが売上原価と期末売価の比率で割りふられちゃってる感じだね。」

モン吉:「ちゃんと連続意見書方式でやった場合の棚卸減耗費相当額は売上原価と期末商品に入っちゃうんですね。」

講 師:「この場合、売上と期末が全く同じなんで、連続意見書方式をとった場合の棚卸減耗費80円は、40円ずつ売上原価と期末商品に足されてる感じだね。」

モン吉:「なんか納得いかないなあ?」

講 師:「まあ、試験用っていうよりは話のネタや考える材料にして欲しいな。」


(問題での方式の見分け方)
モン吉:「問題ではどちらの売価還元法をとったらいいかはわかるんですよね。」

講 師:「問題には何らかの形で指示されていると思うな。」

モン吉:「でも何も書いてないときはどうすればいいんですか?」

講 師:「連続意見書方式の前提は、値入がわかることだから、値入がわかれば連続意見書方式かな。」

モン吉:「値入の資料があれば連続意見書方式で、なければ税法方式ですね。」

講 師:「連続意見書方式の方が合理的だからほぼそれで大丈夫だと思うよ。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(11)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(9)

(具体例:連続意見書方式)
講 師:「連続意見書方式は借方方式で値入や値上・値下を管理していないとできない方式なんだ。」

モン吉:「管理するのは難しいんですか?」

講 師:「そうだね。値下をしたときにいちいちその値下額を別にメモしておくのは、個人商店なんかじゃムリじゃないかな。」

モン吉:「ボクがバナナをよく買うバナナ屋さんもよくまけてくれるけど、それをメモなんかしていないな。」

講 師:「バーコードのレジでピピッ。ってなとこはいいけど街の商店街のおじさんにそれは期待できないかもしれないね。」

モン吉:「記録がコンピュータと連動してると出来そうですね。」

講 師:「そうだね。誰もができる方法でややいい加減な面はあるけど簡便な方式が税法方式って感じかな。」

モン吉:「いい加減なんですか?」

講 師:「実は、ちょっといい加減なんだ。」

モン吉:「どういい加減なんですか?」

講 師:「ちょっと具体的な数字で考えてみよう。」


当期3個 原価240円(1個80円)
原始値入額   60円(1個20円)
売上1個 売価100円
減耗1個
期末1個 売価100円


講 師:「原価が1個80円の商品を3個仕入れて240円が当期の仕入。期首はなしだ。」

モン吉:「1個売れて、1個なくなって(減耗)、1個売れ残ったという設定ですね。

講 師:「この場合の売価還元平均原価法(連続意見書方式)の原価率はいくつかな?」

モン吉:「原価率は80%ですよね。」

講 師:「一応、連続意見書方式で計算してみてくれないかな?」

モン吉:「えーっと、分子と分母を出して、分子÷分母っと。」


分子:当期仕入240円
分母:当期仕入240円+原始値入額60円=300円
分子÷分母=240円÷300円=80%


モン吉:「80%です。」

講 師:「期末商品の原価は?」

モン吉:「期末商品売価100円×原価率80%=80円です。」


(具体例:減耗)
講 師:「減耗もだせるよね。」

モン吉:「売価でボックス図を書くんですね。」

講 師:「そうだね。」

モン吉:「全部売価でボックス図を書いて、貸方の残りっと。」


   仕入(商品)
期首商品 0  売  上100
        減耗 ( ? )
当期仕入300 期末商品100


モン吉:「減耗売価は、差額で100円。100円×80%=80円が棚卸減耗費です。」

講 師:「すごいじゃないかモン吉くん。」

モン吉:「えっへん。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(10)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(8)

(税法方式)
モン吉:「これでいよいよボクは売価還元法から解放されるんですね。」

講 師:「いや、まだなんだ。日商一級では考えにくいけど税理士試験ではちょっと違う売価還元法の出題が考えられるね。」

モン吉:「えっ。まだ違う売価還元法があるんですか。」

講 師:「税法方式とか、アウトプット方式なんて呼ばれるんだ。」

モン吉:「税法方式?」

講 師:「税法で採用されてるから税法方式さ。学習項目からカットされているようならみなくていいよ。」

モン吉:「それほど重要性はないってことですか?」

講 師:「そうだね。じっくりやらないとかえって混乱するかもしれないな。」

モン吉:「それじゃあボクもいいんですね。」

講 師:「それはダメだよ。」

モン吉:「どうしてですか?」

講 師:「話が終わっちゃうじゃないか。」

モン吉:「…………。」


(アウトプット方式)
モン吉:「ところで、アウトプット方式ってどういう意味ですか。」

講 師:「これは仕入勘定でいうと貸方側を利用した方法だよ。」

モン吉:「どうやって原価率をだすんですか?」

講 師:「(期首商品原価+当期仕入高)÷(当期売上高+期末商品売価)=原価率だね。」

モン吉:「えーっと、分子は連続意見書と同じですね。」

講 師:「そうだね。分母が違うんだ。」

モン吉:「当期の売上と期末の売価を使うんですか?」

講 師:「当期売上高は実際の損益計算書の数字を使うと考えていいよ。」

モン吉:「純売上高なんですか?」」

講 師:「そうだね。実際の損益計算書の数字を使うから当期売上高と当期仕入高は、いずれも基本的には純仕入高、純売上高なんだ。」

モン吉:「連続意見書方式のボックス図で減耗を出すときと違うんですか?」

講 師:「ここは混乱するから省略しようかと思ったんだけど、税法方式だから簡単に損益計算書の数値を使う。そんな理解でいいんじゃないかな?」


(連続意見書方式との違い)
モン吉:「連続意見書方式とどう違うんですか?」

講 師:「連続意見書方式は、いわば借方方式で借方の原価÷売価で原価率を出していたよね。」

モン吉:「そうですね。借方方式でした。」

講 師:「税法方式は借方の原価÷貸方の売価で原価率を出しているんだ。」

モン吉:「借方・原価÷貸方・売価?なんかピンときません。」

講 師:「借方の売価を出す連続意見書方式は減耗もきちんと出せる方法だったよね。」

モン吉:「はい。そのほうがいいんじゃないですか?」

講 師:「そうだね。でも、実際の値入や値下、値上をきちんと把握していないといけないんだ。」

モン吉:「把握すればいいじゃないですか?」

講 師:「そうはいってもいろんな規模の企業があるだろ。個人商店などでは難しいかもしれないね。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(9)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(7)

(連続意見書方式の売価還元低価法の取扱い)
モン吉:「売価還元原価法と売価還元低価法の評価額の差額が低価法評価損なんですね?」

講 師:「これは必ずしもそうじゃないんだ。」

モン吉:「えっ。どういうことですか?」

講 師:「これは説明がちょっと難しいんだけど、連続意見書では評価損を出すことは考えていないんだ。」

モン吉:「低価法なのに評価損を出さないんですか?」

講 師:「そうなんだ。もともと売価還元低価法は異なるいくつかの商品をグループにして計算してるよね。」

モン吉:「たくさん商品があるのが前提でした。」

講 師:「だからかなり簡便法なんだよ。売価還元低価法もきちんとした低価法とはいえない面があるんだ。」

モン吉:「きちんとしてない?」

講 師:「時価が下がるものもあれば、上がるものもあるハズだよね。所詮は数種類の中の平均的な値下がりにすぎないからね。」

モン吉:「きちんとした低価法とはいいにくい面があるんですね。」

講 師:「それで評価額だけは低めに出しておしまいっていうのが連続意見書の考えている売価還元低価法なんだ。」


(売上原価への算入)
モン吉:「それじゃあ評価損部分はどうなっちゃうんですか?」

講 師:「自動的に売上原価に算入されることになるね。」

モン吉:「自動的に売上原価に算入?」

講 師:「売上原価は期首+当期−期末だよね。」

モン吉:「売価還元法では、期末部分を求めているんですよね。」

講 師:「そうだね。期末部分を低く求めると結果として売上原価はその分大きくなるだろ。」

モン吉:「そのことを売上原価に算入するっていってたんですね。」

講 師:「そうさ。期末商品を小さく評価することで売上原価が大きくなっておしまいさ。」

モン吉:「じゃあ売価還元低価法はおしまいですね。」

講 師:「いや1点だけいいかな。」

モン吉:「えーっ。まだ、あるんですか?」

講 師:「連続意見書では評価損は出さないと考えているんだけど評価損を出すのが正しいという考えもあるみたいだね。」

モン吉:「またですか。ホントに1個に統一してもらわないと困ります!!」

講 師:「そうだね。僕もお願いしたいところなんだけど。」

モン吉:「その場合は売価還元原価法と売価還元低価法の評価額の差額が低価法評価損でいいんですね?」

講 師:「そうだね。連続意見書にもない方式なんで出題はして欲しくないな。」

モン吉:「実際の出題はどうなんですか?」

講 師:「新しく出来た棚卸資産基準でも同じような考え方を引き継いでいるし、税理士試験では平成17年、平成18年と出題があったけど、その辺は考慮されているみたいだよ。」

モン吉:「その点は一安心と。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(8)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(6)

(売価還元低価法の合理性)
講 師:「それじゃあ、売価還元低価法の原価率はいくつかな?」

モン吉:「えーっと、値下を加味しないで、分子÷分母っと。」


分子:当期仕入80円
分母:当期仕入80円+原始値入額20円=100円
分子÷分母=80%


モン吉:「80%です。」

講 師:「評価額は?」

モン吉:「えーっと期末売価90円×80%=72円です。」

講 師:「売価は100円から90円に1割下がってる。実際の時価(この場合は再び買う場合の時価)が1割下落していても不思議はないよね。」

モン吉:「実際に比例するんですか?」

講 師:「実際の値動きはまた別だろうね。でもおおむね比例して動くって考えてもそう遠くはないね。」

モン吉:「ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「通常の低価法と比べてそんなには不合理じゃないってところかな。」

モン吉:「そんなに、ですか。」

講 師:「そうだね。売るときの時価と買うときの時価は正比例する訳じゃないし、おおむね合理的くらいじゃないかな。」

モン吉:「なんか微妙なんですね。」


(もう一つの期末売価)
講 師:「あ、あと原価率をかける期末売価を値下前の金額でやるとどうなるかな?」

モン吉:「値下前ですか。えーっと100円×80%=80円です。あれっ。原価に戻りました。」

講 師:「そうなんだ原価に戻っちゃうんだよ。」

モン吉:「低価法なのに原価なんですか?」

講 師:「そうだね。原価率をかける前の売価を値下後じゃなくて当初の売価を使うと原価に戻るんだ。」

モン吉:「それはおかしいなあ。これはパスですね。」

講 師:「うーん、パスといいたいんだけどそうもいえないんだ。」

モン吉:「だって売価還元低価法なのに原価になったらおかしいじゃないですか?」

講 師:「それはそうなんだけど。」

モン吉:「あっ。もし売価還元原価法のときに原価率をかける期末売価に値下前の金額を使ったら期末の金額は原価よりも大きくなっちゃうじゃないですか。」

講 師:「すごいところに気がついたね。」

モン吉:「だって、値下前の金額は100円。売価還元平均原価法の原価率は80/90だから。えーっと。」

講 師:「きりのいい数字はでないけど、原価よりも高くなっちゃうね。」

モン吉:「やっぱりおかしいや。」


(正常売価と実勢売価)
講 師:「そうなんだ。やはりちょっとおかしいんだけど税法がこの考え方をとっているようだね。」

モン吉:「えーっ。どうして税法ではそんなやり方をするんですか。」

講 師:「税法のことはよくわからないけど、期末の売価をドーンと値上・値下する(と言い張って)期末評価額を意図的にいじることを防ぐネライもあるかもしれないね。」

モン吉:「いずれにせよここまではやらなくていいですね。」

講 師:「平成18年の第二問問2が実は値下前の金額を使っているんだ。」

モン吉:「えっ。そうなんですか。」

講 師:「値下前の金額を正常売価、値下後の金額を実勢売価といってるようだね。」

モン吉:「正常売価とか、実勢売価といわれただけでアウトです。」

講 師:「正常売価がむかしの定価とか通常販売価額、実勢売価が実際の店頭価額って感じかな。」

モン吉:「問題での対処はできない自信があります。」

講 師:「そんな自信は持たれても困るな。」

モン吉:「でも全く知らない言葉がでてきたら問題は解けません!!」

講 師:「いや、平成18年の出題はきちんと使用する金額の指示もあるから問題をよく読めばそんなことはなかったんだ。」

モン吉:「でも、面くらいます。」

講 師:「それはそうだね。でもどんなときでもあきらめたらダメだよ。」

モン吉:「えーっと。がんばってみることにします。」

講 師:「さっきのちょっとおかしいという点も含めて出題のポイントにそのことの指摘もあるんでぜひ読んでおいて欲しいな。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(7)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(5)

(売価還元低価法と呼ぶ理由)
講 師:「売価還元低価法の問題ではだいたい売価還元平均原価法の評価額もだす場合が多いね。」

モン吉:「それじゃやっぱり簡単でも意味がないや。」

講 師:「結局は両方必要ってことだね。」

モン吉:「でも、どうして売価還元低価法っていうんですか?」

講 師:「原価率の分母から値下をとると、分母が大きくなって、原価率は小さくなるよね?」

モン吉:「期末商品も小さくなるんで低価法なんですね。」


(売価還元低価法の具体例)
モン吉:「具体的な例で教えてください。」

講 師:「思い切って期首をなくして簡単にして考えてみよう。」


当期1個 原価 80円
原始値入額   20円
値下額     10円
期末1個 売価 90円


講 師:「当初は原価80円で20円の利益をオンして100円で売ろうとした。」

モン吉:「100円では売れなかったので90円に値下して売れ残った。」

講 師:「おっ。ちゃんと数字から状況が読み取れてるじゃないか。感心だね。」

モン吉:「実際の値札のつけ方を勉強して、例題をいくつかみてたら簡単な数字ならわかるようになりました!!」

講 師:「感心だな。それじゃあ、その調子で売価還元平均原価法の原価率はいくつかな?」

モン吉:「えーっと、分子と分母を出して、分子÷分母っと。」


分子:当期仕入80円
分母:当期仕入80円+原始値入額20円−値下額10円=90円
分子÷分母=80円/90円%


(原価率が割り切れない場合:分数で残す)
モン吉:「原価率が割り切れません。」

講 師:「そんな場合はムリに割らないで分数のまま残しておくといい場合が多いね。」

モン吉:「それじゃ80/90でいいんですか?」

講 師:「そうだよ。」

モン吉:「でもなんで割り切れる数字にしてくれないんですか?」

講 師:「それはちょっと事情があるんだけど、でも、割り切れるから正解。割り切れないから不正解。それじゃダメな場合もあるよ。」

モン吉:「でも割り切れないと不安になります。」

講 師:「それはよくわかるな。」

モン吉:「何回も電卓を入れなおしたりするんです。」

講 師:「原価率は難易度の見極めが重要だよ。難しいと思ったら時間をかけない。それも経験だね。」


(原価率が割り切れない場合:分母を分子で割ってみる)
講 師:「あ、あと分母÷分子をやってみるときれいな数字(例えば1/1.3)とかになるときもあるよ。」

モン吉:「分母÷分子ですか?」

講 師:「そうさ。売価還元法は、原価に一定割合の利益をのせる業種に適用がある訳だよね。」

モン吉:「はい。」

講 師:「実際に問題としても付加率がきれいにでるのは不自然じゃないんだ。」

モン吉:「付加率ってなんでしたっけ。」

講 師:「ごめんごめん値入率と同じだよ。原価100円の商品に30%、つまり30円の利益を付加する。」

モン吉:「その場合の値入率=付加率が30%。原価率が100/130。つまり、1/1.3なんですね」

講 師:「そうだね。だから割り切れないと思っても分母÷分子はやってみた方がいいね。」

モン吉:「でも、どっちにしてもこの問題は割り切れないんですね。がっかりです。」

講 師:「売価還元平均原価法の評価額はいくらかな?」

モン吉:「えーっと売価の棚卸に原価率をかけるんだから90円×80/90=80円。あっ。原価に戻りました。」

講 師:「原価法だからね。」

モン吉:「でもなんか不思議です。」


・モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(6)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(4)

(ボックス図の活用法)
講 師:「ボックス図はシンプルだけどとても使い勝手もいいね。」

モン吉:「この図を使って売価還元法以外でも推定をしたりしますね。」

講 師:「そうだね。基本的な考え方は同じさ。借方の合計と貸方の合計が一致することを利用した推定だね。」

モン吉:「コツはありますか。」

講 師:「同じ問題も含めて数をこなすことは大事だね。」

モン吉:「死ぬほどとくんですね。」

講 師:「それからボックス図のバランスを常に考えること。」

モン吉:「バランス?」

講 師:「対応関係っていってもいいね。ボックス図を原価で書いたならそれぞれの金額がきちんと対応していないと。」

モン吉:「それを資料から拾うのが難しいんです。」

講 師:「ちょっといい機会だから売価還元法とは関係ないけれど他勘定振替の例でボックス図を確認しておこうか。」

モン吉:「盗難とか見本品があった場合のことですね。」

講 師:「そうだね。誤処理の訂正も入るのでちょっと難しいと思うけど。がんばってやってみて欲しいな。」

モン吉:「はい。」


基礎編 問題33


講 師:「どうだった?」

モン吉:「難しかったです。」

講 師:「誤処理の訂正も入るからね。」

モン吉:「でもボックス図の意味が前よりわかるようになりました!!」

講 師:「それはよかったね。このくらいの問題を解いて、きちんと検討する。それを繰返していると解けるようになるさ。」

モン吉:「高速で解けるようになりたいです!!」

講 師:「いや、一つの問題にきちんと取り組むことの方が大事かもしれないよ。解き方を追うだけじゃなくて誤処理の訂正の仕方やボックス図の考え方をきちんとさせる方が他の問題には有効じゃないかな。」

モン吉:「また、ちょっと間を置いてやってみます。」

講 師:「これは他勘定振替や原価率の算定なんかもそうなんだけど、いろんな資料からきちんとつじつまのあった(対応関係のとれた)整理ができるか。出題者はそこをみてるんじゃないかな。」

モン吉:「うーん、勉強します。」

講 師:「別の機会に特殊商品販売がらみの原価率もとりあげられたらいいね。」

モン吉:「ぜひお願いします。」


(売価還元低価法)
モン吉:「問題に売価還元低価法というのが出てきました。」

講 師:「売価還元法には、売価還元平均原価法以外に売価還元低価法があるんだ。」

モン吉:「また別の方法があるんですか。」

講 師:「原価法に対して低価法さ。」

モン吉:「2つ以上の方法があるのが一番混乱します。」

講 師:「まあ、そんなにぼやかないで。モン吉くんもバナナかチョコボールのどちらかしか食べられなかったら困るだろ。」

モン吉:「うーん、なんかだまされてる気がするなあ。」

講 師:「売価還元低価法は分母の値下関係(値下額−値下取消額)を除いた原価率を使う方法だよ。」


分子 → 期首商品原価+当期仕入商品原価
分母 → 期首商品売価+当期仕入商品原価+原始値入額+(値上額−値上取消額)


モン吉:「計算は売価還元平均原価法よりもかえって簡単なんですね。」

講 師:「値下関係を考慮しないからね。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(5)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>

モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(3)

講 師:「あと1点、注意したいのがボックス図の売上高だね。」

モン吉:「どう注意するんですか。」

講 師:「売上高を出すときは、総売上高から売上返品だけを控除した金額を使うんだ。」

モン吉:「純売上高ですね。」

講 師:「いや、純売上高じゃないんだ。値引や割戻は引かないんだ。」

モン吉:「値引や割戻は引かないんですか?」

講 師:「そうなんだ。損益計算書の売上高(純売上高)からみると値引や返品を足すことになるね。」

モン吉:「どうしてですか?」

講 師:「ボックス図の借方の売価は販売前の金額を使っているからね。貸方の金額も販売前じゃないとおかしいよ。」

モン吉:「うーん。ちょっとわかりません。」

講 師:「具体的に考えてみよう。」


期首1個 原価 80円
期首1個 売価100円
当期1個 原価 80円
原始値入額   20円
売上1個 売価100円
売上値引・割戻 10円
期末1個 売価100円


講 師:「こんなケースで状況は大丈夫かな?」

モン吉:「期首に原価80円、売価100円の商品が残っていた。原価80円の商品を仕入れて、20円の値入額だから当初の売価は100円です。」

講 師:「そうだね。その100円で販売した後に10円の値引・割戻をしたケースだ。」

モン吉:「期末に残っているのは当初の売価が100円の商品ですね。」

講 師:「この場合の売価還元法の原価率は何%かな?」

モン吉:「えーっと。分子と分母を出して、分子÷分母っと。」


分子:期首原価80円+当期仕入80円=160円
分母:期首売価100円 当期仕入80円+原始値入額20円=200円
分子÷分母=80%


モン吉:「80%です。」

講 師:「売価還元法の原価率には、売上値引・割戻はそもそも影響しないんだね。」

モン吉:「あっ。そうですね。なんか不思議です。」

講 師:「連続意見書方式は、借方方式だから貸方(売上)の調整項目(売上値引・割戻)は影響しないんだね。」

モン吉:「あっ。そういえばそうですね。」

講 師:「それじゃあ減耗を確認しよう。」

モン吉:「この問題では減耗はありません!!」

講 師:「そうなんだけどちょっと売価でボックス図を書いてごらん。」


     仕入(商品)
期首商品100  売  上100

当期仕入100  期末商品100


講 師:「全部100円なんだけど、この売上100円は、売上値引・割戻を引いたらおかしいよね?」

モン吉:「そうですね。期末が110円ってことになってしまいます。」

講 師:「ボックス図の上での差引をするときには売上値引や割戻は売上から引いちゃいけないってことなんだ。」

モン吉:「借方とバランスがとれなくなるんですね。」

講 師:「そうなんだ。このバランス。対応関係をきちっとさせるのが大事だよ。」

モン吉:「今は大丈夫なんですけど、問題をとくときにはまた忘れていそうです。」

講 師:「本試験や模試なんかではじっくりと考えている時間はないからね。」

モン吉:「そうです。制限時間内にたくさん問題をとかなきゃいけないんですよ。」

講 師:「でも、それ以前の段階ではじっくり考える機会もつくらないとね。」

モン吉:「大事な項目だけでいいんでしたね。」

講 師:「そう。大事な項目だけはちゃんとしたゆっくりを大事にする必要があると思うよ。」

モン吉:「そんなもんかなあ。」

講 師:「一度はじっくり理解して、あとは死ぬほど問題をとく。それでいいんじゃないかな。」

モン吉:「じゃあ、問題で確認しましょう!!」

講 師:「ごめんね。モン吉くん、問題を用意してないんだ。各自、棚卸減耗のある問題を解いてもらうってことで勘弁してもらおう。」

モン吉:「自称日本一の簿記ブログがなさけないなあ。」

講 師:「面目ない(んっ。なんか押されてるぞ)。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(4)


モン吉くんと学ぼう!!<目次>
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