修正国際基準では、その他の包括利益のリサイクリングを行うこととされています。

企業会計基準委員会による修正会計基準第2号「その他の包括利益の会計処理」

以下は、そのうちの17項〜19項になります(国際基準で一部リサイクリングをしない理由と修正国際会計基準でリサイクリングをする理由)。
17. ノンリサイクリング処理が採用されている理由について、IFRS の各基準の結論の根拠において次のとおりに説明されている。

(1) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動
投資に対する利得及び損失の認識は一度だけとすべきであり、その他の包括利益に利得又は損失を認識した後、純損益に振り替えるのは不適切である。


利得及び損失の純損益へのリサイクリング処理は、IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」(以下「IAS 第 39 号」という。)における売却可能金融資産に類する区分を設定することになり、これまで適用上の問題があった資本性金融商品の減損の有無の検討が必要となる。売却可能金融資産に類する区分を設け減損を求めることは、金融資産に関する財務報告を大幅に改善することにも、複雑性を減少させることにもならない。



(2) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動
どのような場合にある項目を純損益でなくその他の包括利益に表示すべきか、その他の包括利益の金額を純損益に振り替えるべきか、振り替える場合はいつ振り替えるべきかといったその他の包括利益の全体的な目的が示されていない。


その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資についてリサイクリング処理を禁止している IFRS 第 9 号の要求事項と整合的である。



(3) 確定給付負債又は資産(純額)の再測定
IFRS では純損益への振替に関する一貫した方針はなく、この問題を 2011 年に行った IAS 第 19 号の修正で扱うのは時期尚早である。


純損益に振り替える時期及び金額を決定するための適切な基礎を識別するのは困難である。



(4) 有形固定資産及び無形資産の再評価モデルに係る再評価剰余金
IAS 第 16 号及び IAS 第 38 号の結論の根拠では、有形固定資産及び無形資産の再評価モデルに係る再評価剰余金に関するノンリサイクリング処理について、特に記載されていない。




18. 一方、当委員会は、純損益は包括的な指標であるべきであり、その他の包括利益に含まれた項目はすべて、その後、純損益へのリサイクリング処理が必要であると考えている。その理由は、次のとおりである。

(1) 純損益は、企業の総合的な業績指標として 1 株当たり当期純利益など、各種の重要指標の基礎として使用されてきている。企業の価値を評価する際に、財務諸表利用者は、通常、当該企業への将来の正味キャッシュ・インフローの見込みを評価するために、フロー情報に依拠することが多く、純損益は彼らが参照できる最も有用な指標の 1 つであると指摘されてきた。これらの利用者は、純損益情報の完全性がキャッシュ・フローとの整合性で裏付けられていない場合には、純損益が有用でなくなると考えるかもしれない。
リサイクリング処理を行う場合、全会計期間を通算した純損益の合計額とキャッシュ・フローの合計額は一致するが、ノンリサイクリング項目が生じると純損益に反映されないキャッシュ・フローが存在することとなり、純損益の性格が変質するとともに、純損益の総合的な業績指標としての有用性が低下すると考えられる。



(2) 一方で、全会計期間を通算した包括利益の合計額もキャッシュ・フローの合計額と一致するが、当委員会は、包括利益は、資産及び負債に係る企業の財務業績の報告の観点から目的適合的でない測定値の変動が含まれているため、純損益に代わる総合的な業績指標にならないと考えている。包括利益は、投資の目的に応じたキャッシュ・フローの不確定性が残っている段階での測定値による純資産の単なる期間差額であるが、純損益は、投資の目的に応じて投資に企業の事業活動の成果に関する不確定性が十分に減少した時点での実際の成果情報を提供するものであると考えられる。
また、IASB により公表された「財務報告に関する概念フレームワーク」では、目的適合性に関して、予測価値、確認価値又はそれらの両方を有する場合には、意思決定に相違を生じさせることができるとしているが、純損益は過去の評価に関するフィードバックを提供する実際の成果情報であるため、確認価値を有すると考えられる。



(3) 包括利益と純損益の相違は、一部の資産及び負債について貸借対照表で使用される測定基礎と純損益を算出するために使用される測定基礎との相違から生じるものであり、本質的には時期の相違と考えられる。リサイクリング処理を行うことにより、概念上、全会計期間を通算した純損益の合計額は、全会計期間を通算した包括利益の合計額と等しくなる。



(4) また、受託責任の観点からもリサイクリング処理が必要であると考えている。受託責任の観点からは、純損益は包括的であるべきであり、たとえ一部の取引又は事象が非反復的と考えられる場合であっても、経営者の能力の評価に影響が生じるため、純損益に含められるべきであると考える。




19. 前項までに記載したとおりノンリサイクリング処理に関しては我が国における会計基準に係る基本的な考え方と相違が大きいため、本会計基準では、原則として、すべてのノンリサイクリング処理をリサイクリング処理するように「削除又は修正」を行うこととした。なお、有形固定資産及び無形資産の再評価モデルに係る再評価剰余金については、実体資本維持の概念に基づくものかどうか議論されているものであり、この項目以外のその他の包括利益に認識する項目のノンリサイクリング処理とは異なる側面が見受けられるため、「削除又は修正」を行わないこととした。