【選択問題】国際的な会計基準では、包括利益の開示に関連して一部の項目のリサイクリング(組替調整)をしない処理を認めています。次のうちリサイクリングをしない場合の記述として明らに誤っているものはどれか?

【記述問題】その解答以外の選択肢を踏まえてリサイクリングの必要性を述べなさい。

1.包括利益が二重に計上される

2.クリーン・サープラス関係が成立しない

3.一致の原則(期間利益合計と全体利益の一致)に反する
【選択問題の解答】

正解は「1.包括利益が二重に計上される」です。


【記述問題の解答】
包括利益は純資産の変動額であり、リサイクリングを行うか否かで変化しません。

リサイクリングを行わないことで純利益は一致の原則を満たさず、純利益に関するクリーンサープラス関係も崩すため、リサイクリングが必要です。


【リサイクリング】
リサイクリングとは、過去のその他の包括利益の純利益への振替えをいいます。

リサイクリングをした場合には、当期における純利益への振替額は、組替調整額として包括利益の計算上、控除します。

制度上は認められていませんが、仮にリサイクリングしない場合は、その分、当期純利益が変化することになります。


【一致の原則】
一致の原則とは、期間利益の合計が全体利益に一致するとの考え方をいいます。

全体利益は、全体期間の収入から支出を控除することにより算出されるため、全体期間の収支を各期に配分したのが期間利益といってよいでしょう。

企業会計原則で収支を基礎に損益計算を行うと規定し(損益計算書原則一A)、概念フレームワークで利益がキャッシュフローの制約であると規定しているのは同様の趣旨です。

 リサイクリングを行わない場合には、キャッシュフローが包括利益にはなりますが、純利益にはならず、一致の原則に反します。

キャッシュフローの裏付けを欠く純利益が計上されるといってもよいでしょう。


【クリーン・サープラス関係】
クリーン・サープラス関係とは、資本取引によらない資本の変動が利益と一致する関係をいいます。

個別財務諸表では、資本取引によらない株主資本の変動額が純利益と一致する関係が成り立っています。

連結財務諸表では、これに加えて資本取引によらない純資産の変動額が包括利益と一致する関係がなりたっています。

 リサイクリングをすることにより純利益に関するクリーン・サープラス関係は成立しますが、リサイクリングをしないことで純利益に関するクリーン・サープラス関係は成り立ちません。