収益認識基準における収益認識は、次の5つのステップで行われます。

契約を識別し、そこから履行義務を識別して、全体の取引価格を算定し、これを履行義務に配分して、収益を認識する。

こんな流れを簡単な事例とともに想定できるとよいでしょう。

ざっくりとした流れがイマイチという方は次の記事をどうぞ(前回・前々回と同じです)。

続・収益認識基準入門の入門

今回は、「代理人取引」と「ポイント付販売」というやや雑多な論点を考えておきましょう。

(代理人取引)

まずは、代理人取引です。

「収益認識基準」では、収益が企業ではなく、代理人に帰属するとみられる場合は、これを収益として計上できません。

他者から商品を仕入れ、それを販売するのではなく、単に商品販売の仲介をしたなら、売上収益(と売上原価)を計上するのではなく、手数料収入のみを計上すべきです。

単なる代理人としての取引について、売上と売上原価の両方の計上を許すなら、売上高(と売上原価)の水膨れは防げません。

こんなことを許しては、売上高をドンドン膨らませることも簡単です(売上原価も増えますが)。

実務的に両者の区分がやっかいなときもあるでしょうが、一般論でも商品の売買取引と単なる仲介取引は区別して処理すべきでしょう。


また、「収益認識基準」では、消費税の処理は、税抜方式のみが採用され、税込方式は採用できません。

税抜方式は、国庫に納付すべき税金部分を売上収益と区別して処理する方法です。

これに対して税込方式は、税金部分も顧客との売上収益に含めて処理します。

代理人との取引によって収益を認識しない「収益認識基準」の下では、税抜方式のみが認められています。


(ポイント付販売)

「ポイント付販売」や「保証付販売」では、従来、原価相当額の引当金を計上しました。

これに対して収益認識基準では、当初の取引から販売とポイント部分、保証部分とを区別し、商品販売時点で履行義務を充足していないポイント部分と保証部分は、負債として計上します。

ポイント付販売については、次の記事を参考にしてください(冒頭のリンク記事です)。

続・収益認識基準入門の入門


(資産負債アプローチによる収益認識との関係)

代理人取引やポイント付販売等のように複数の履行義務からなる契約における収益の認識には、取引の実質をどのように捉えるかの問題がつきまといます。

このような問題は会計観の話というより、取引の実質をどのように捉え、どのようにこれに相応しい会計処理を行う観点からの規定と考える余地がありそうです。

代理人取引やポイント付販売における収益認識は、必ずしも「収益認識基準」における固有の処理ではありません。

いずれの取引も取引の実質をどのように捉えるかの問題にすぎず、資産負債アプローチの下だけでなく、収益費用アプローチの下でも成り立つと考えられます。



以上、いくつかの会計処理(検収基準の原則化、割賦基準の廃止、税抜方式、ポイント付販売)について検討してきました。

その結果、資産負債アプローチによる収益認識といわれる」「収益認識基準における収益認識は、必ずしも収益費用アプローチによる収益認識と整合しないとはいえないようです。

このような検討は、必ずしも一般的といえるかはわかりません。

しかし、そう考える方はいます。

ここでは必ずしも収益認識に関してそれほどまでに大きな変革があったとはいえない可能性が高い点を指摘しておきましょう。


収益認識基準入門(その10)


スタートの記事はこちらからどうぞ。
収益認識基準入門(その1)