「収益認識基準」では、「資産の移転」に着目した収益認識を行います。

このことから「収益認識基準」による収益認識は、「資産負債アプローチによる収益認識」といわれます。

なんか格好よさそうですね(←って、そんなことでいいのか)。
誤解を恐れず、それぞれの考え方の下での収益認識を短くまとめると次の感じでしょうか。

実現主義     ⇒ 収益が実現
リスクからの解放 ⇒ 取引が確定
収益認識基準   ⇒ 資産が移転



(実現主義とリスクからの解放)

そもそも「リスクからの解放」は、実現概念を洗練させたものです。

ざっくりは、実現概念を進化させて、金融投資(売買目的有価証券等)も説明できるようにしたものといってよいでしょうか。

ごく一般的な商売(事業投資)の考え方は、両者ともに大きく異なりません。

商品販売等では、商品の販売を行うことにより、収益が実現し、企業が行う投資はリスクから解放されます。

実現主義とリスクからの解放は、収益を生ずべき取引に着目しているいわば同じ系列の収益認識といえます(大きな違いは金融投資の取扱いです。)。

このようなアプローチは、「取引過程アプローチ」などと呼ばれることもあります。

いずれも「取引」や「取引から生ずるキャッシュ・フロー」を基礎にしている点が共通しています。


(収益認識基準における収益認識)

これに対して「収益認識基準」では、取引というより「資産の移転」に着目しています。

このことを規定しているのが「収益認識基準」の35項です。

「資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。」


このように実現概念やリスクからの解放が取引(から生ずるキャッシュ・フロー)を基礎としているのに対して、収益認識基準が「資産の移転」に着目していることがわかります。

このことから収益認識基準での収益認識は「資産負債アプローチ」に基づくものと言われることがあります。


もっともこのような考え方に対して、収益認識基準における収益認識の多くは収益費用アプローチの下でも説明できるのではないか?といった考え方もあります。

商品販売における収益認識の具体的な基準には、発送基準、引渡基準、検収基準あります。

収益認識基準の下では検収基準が原則的な基準だといわれます。

商品販売では、検収により顧客にその支配が移転するとみられるからです。

しかし、これまでの収益費用アプローチの下でもいくつか考えられる具体的な基準の中でいえば検収基準がより厳格な基準としてふさわしいと考える余地もあるかもしれません。

つまり、資産負債アプローチによる収益認識によらなかったとしても検収基準の原則化を説明することができないとまではいえなそうです。


そもそも資産負債アプローチ的な収益認識には、どのような意味があるのでしょうか。

いやそれ以前にそもそも「資産負債アプローチ」とは何かを考えてみる必要があるかもしれません。

資産負債アプローチとはいったい何でしょうか?

何?


収益認識基準入門(その6)


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収益認識基準入門(その1)