これまで我が国における収益の認識(いつ収益を計上するのか)について包括的な会計基準はありませんでした。

新しく創設された顧客との契約から生ずる収益の認識に関する包括的な会計基準が「収益認識に関する会計基準」です。

今後、数年のうちに本試験で出題されることはきっと間違いありません。

新しい「収益認識基準」の取扱いをみる前に、これまでの我が国における収益認識に関する規定をみておきましょう。

(企業会計原則)

まずは伝統的な会計基準である「企業会計原則」です。

「企業会計原則」損益計算書原則一Aは、次のように規定します。

「すべての費用及び収益はその支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は原則として当期の損益計算に計上してはならない。」


費用と収益は、支出と収入を基礎に計上し、発生した期間に割り当てろ。

でも、未実現収益は計上するなという規定です。

「企業会計原則」損益計算書原則三Bは、次のように規定します。

「売上高は実現主義の原則に従い商品の販売又は役務の給付に係る収益は、商品の販売又は役務の給付により実現したものに限る。」


損益計算書原則三Bで、実現が何かは示していませんが、商品の販売や役務の給付で「収益が実現」することがわかります。

「企業会計原則」だけでは収益の実現の意味ははっきりしませんが、一般的には、次の2つの要件を満たせば収益が実現するといわれます。

(1)財・サービスの提供  (2)対価としての貨幣性資産の受領


つまりは、物やサービスを相手に渡し、対価を受け取れば「収益が実現」します。



(概念フレームワーク)

現在の会計基準は、「概念フレームワーク」を前提に作成されています。

「概念フレームワーク」では、「実現」に代えて、「リスクからの解放」という考え方をとります。

「概念フレームワーク」第3章23項は、次のように規定します。

「投資のリスクとは、投資の成果の不確定性であるから、成果が事実となれば、それはリスクから解放されることになる。」


同じく第4章57項は、次のように規定します。

「投資の成果がリスクから解放されるというのは、投資にあたって期待された成果が事実として確定することをいう」


リスクとは、不確定性(不確実性)を意味します。

つまりは「わからない」ということ。

企業が行う投資の不確定性が解消した(⇒わかっていないことがわかった)段階で純利益を認識する考え方がリスクからの解放です。

「概念フレームワーク」は、「リスクからの解放」を純利益の認識規準と捉えています。

純利益は収益から費用を控除して算出されるので、収益(費用)の認識規準ともいえます。


商品販売であれば、商品を販売することにより、投資の不確定性は解消されます。

商品が売れて投資の結果・結末がわかったということですね。

投資の結果・結末がわかった時に売上高(売上原価)を把握しようという寸法です。

商品の販売で投資がリスクから解放されるのですから、この意味でリスクからの解放の考え方は、実現主義と大きく変わりません。

正確には通常の事業(商売)についてという限定がありますが。

実現主義とリスクからの解放とでは、商品販売や役務の給付に関する収益の認識について、大きく変わりません。

すごく大きな違いが生ずるのは、時価の変動を狙った金融投資(売買目的有価証券等)です。


まずは、「収益認識基準」以前の収益認識の取扱いを簡単におさえておきましょう。


収益認識基準入門(その2)