本試験を受けて簿記論と財務諸表論の出題傾向と対策を考えました。

簿財の出題傾向はここ数年で大きく変わっています。

試験傾向と異なる学習に邁進しないためにも(通学でも可能性は高いです)、本試験の傾向を振り返っておきましょう。
【簿記論】
昨年と同様、全体から基礎・基本への回帰が窺え、集計的要素は薄れています。

昨年に引き続き、第一問の仕訳が特徴的でした。

もっともデット・エクイティ・スワップや持分法など、配点が大きくはないものの広い分野からの出題も注目に値します。

小問での理論問題や対比問題が出題され、財務諸表論に続き、ゆるやかな思考型の出題(特に第一問)へのシフトを予感させます。

学者出題(第一・二問)では、会計基準をベースにした知識や簿記の基本を問う出題が目立ち、実務家出題(第三問)では、実務に直結した出題が続きました。


内容的に先行する会計士試験ではすでに試験改革が行われています。

会計士試験は、試験委員の数が多く、多角的な検討が行われるという特徴があります。

そこで形成された問題意識は、共有されるでしょう。

試験委員の移動(会計士→税理士)により同様の問題意識は税理士試験でも共有されるハズです(簿記論の佐藤信彦先生が以前に会計士試験の試験委員でした。)。

会計士試験では、かつてより思考型の出題が増えています。

その流れが税理士試験の簿財に影響するのはごく自然でしょう。

また、制度的な科目互換(会計士試験財務会計論の免除等)や会計参与制度との関係からも制度的には類似して当然です。

税理士試験の「簿記論」でも程度の違いはあっても思考型への流れが加速するとみるべきでしょう。

もっとも公認会計士と税理士の職域はかなり異なり、税理士試験と会計士試験の試験内容が全く同じでいいということではありません。

また、会計士試験の財務会計論の一般的な学習をそのまま行うのでは不要部分が多すぎると思います。

対策は徹底的な基礎の拡充と単純な繰り返しではない角度を変えた反復、そして第三問対策にあると考えます。



【財務諸表論】
出題から感じられるのは「基礎」から「応用」へのシフトです。

覚える学習から考える学習、覚える知識の習得から使える知識の習得への変化といえるでしょう。

昨年の流れを一段と強化した感じでしょうか。

これから採点等が大変かと思われますが、理論と計算が合否に与える影響が等しくなることを祈念するとともに出題の先生には心より感謝申し上げます。

異論をはさむ余地はなく、今後、模範解答等の丸暗記に戦略上(点数)の意味はありません。

予想も余り関係がないと思います(当たっても理解してないとできない。まあ懲りずにしますが)。

この2点は、他の大型資格や大学受験等の変化、時代の流れに沿うものであり、今後も変わらないでしょう。

私の予想が強気でいられるのもこの点が大きいのです。

従来のごく一般的と思われる学習スタイルでは更に年を追うごとに合格しにくくなるハズ。

文章の暗記は本質的理解を遠ざけ、応用が効かなくなります。

学習スタイルそのものの再考が求められるのではないでしょうか。

仮に受験機関が変わらないとすれば(残念ですが当ブログにいただいたコメント等を勘案してもその可能性は高いようです)、自衛の策を講ずるしかありません。


もう一点、10年規模でみても特徴的だったのは直近の柱の再出題です。

具体的には、第一問の棚卸資産会計(平成21年出題)及び第二問の評価以外とういう観点(配分=平成23年出題)の出題です。

ザックリいえば最近の出題実績に関係なく「範囲をちゃんとやって」というメッセージ以外の意味は考えられません。

冷静に考えれば直近2〜3年の内容はやらなくていいなどという話がおかしい事に気づきます。

また、第一問等で計算とのリンクを窺わせる注記、表示区分の基準が出題されたのも注目に値します。

簿記論での理論の出題も合わせて考えれば、出題者が何を想うのかが想像できるのではないでしょうか。

対策は範囲を網羅し、基礎概念を軸にした理解型の学習と会計基準中心の学習にあります。

今後も基礎理論と会計基準から新旧、関連項目を横断した出題が予想されます。



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