大変、遅くなりましたが、最後の予想問題をお届けします。

第一問〜第七問については、こちらをご覧ください。

平成24年 税理士試験 財務諸表論 出題予想

今年の予想は、10問体制。

10問で当てます!(←言い切った!)

第十問 「対応」と「のれん」(制限時間20分)

機“駘僂伴益の対応に関する次の問いに答えなさい。

1 損益計算書の記載項目に関する次の問に答えなさい。
(1)売上原価とは何か述べなさい。なお、その会計学的な性格にも触れること。ただし、売上原価の算出方法について述べる必要はない。

(2)営業外収益と営業外費用には因果関係があるか否かをその損益計算書における表示と関連させながら述べなさい。

2 次のそれぞれの取扱いの根拠を簡潔に述べなさい。
(1)有形固定資産を自家建設した場合は、連続意見書第三によると当該建設に要する借入資本の利子で稼働前の期間に属するものについては、取得原価に算入することができる。

(2)退職給付の給付水準の改定に基づく過去勤務債務を一時の費用として認識しない。

供,里譴鵑亡慙△垢觴,量笋い謀えなさい。

1 自己創設のれんに関連する次の問に答えなさい。
(1)自己創設のれんが資産の定義を満たすかを述べるとともにこれが財務諸表に計上されるか否かを財務報告の目的と関連させて述べなさい。

(2)のれんの会計処理方法を2つあげて簡潔にその内容を簡潔に述べるとともに、そのうち自己創設のれんが計上されると考えられる方法を指摘しなさい。

(3)子会社の資産負債の時価評価に全面時価評価法をとった場合、少数株主持分に対応するのれんを計上しない考え方と計上する考え方があります。連結財務諸表における会計基準ではいずれの考え方が採用されているかを指摘し、他の方法を採用しない理由を述べなさい。

2 減損処理に関連する次の問に答えなさい。
(1)減損損失の算定において回収可能価額として使用価値を採用した場合は、その使用価値にのれん価値が含まれている。この使用価値に含まれるのれん価値が自己創設のれんに該当するか否かを減損処理の本質を踏まえて説明しなさい。

(2)のれんの減損処理が行われる場合において、のれんを含めてはじめて認識される減損損失は、まずのれんに負担させこととなるが、その理由を簡潔に述べなさい。

【解答】
機。
(1)売上原価とは、販売した商品や製品の取得や製造に要した金額をいい、商品や製品の取得原価のうち費用配分の原則により当期に費用として配分された金額である。売上原価は、商品や製品を媒介に売上収益と直接的な対応関係を有する点に大きな特徴がある。<2点、Aランク>

(2)営業外収益と営業外費用との間には、因果対応関係は存在しない。営業外収益と営業外費用を損益計算書に対応表示するのは、因果対応関係が存在するからではなく、その性格が同様とみられるための単なる対置にすぎない。<2点、Aランク>


(1)固定資産を自家建設する場合の建設に要する借入資本の利子のうち、稼働前の期間に収益が獲得できないことは明らかであり、稼働後の収益との対応を根拠として、取得原価に算入することができる。<3点、Bランク>

(2)退職給付の給付水準の改定に基づく過去勤務債務は、その負担により従業員の勤労意欲が向上し、将来の収益の増加が期待されることから、将来の収益との対応関係を重視して、一時の費用とはせずに、遅延認識が行われる。<3点、Bランク>

供。
(1)自己創設のれんは、キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉としての経済的資源であり、資産の定義を満たしている。しかし、財務報告は事実の開示を目的としており、経営者の自己申告・自己評価を意味する自己創設のれんが財務諸表に計上されることはない。<3点、Aランク>

(2)のれんの会計処理方法には、規則的な償却を行う方法と規則的な償却を行わず、減損処理を行う方法がある。規則的な償却を行わず、減損処理を行う方法によれば、競争によるのれんの減価が認識されず、買入のれんが自己創設のれんに入れ替わることとなり、事実上、自己創設のれんが計上されると考えられる。<3点、Bランク>

(3)「基準」では、前者の考え方(購入のれん方式)が採用されている。のれんの計上は有償取得部分に限られるべきであり、後者の考え方(全部のれん方式)によれば、自己創設のれんが計上されることとなり、許されない。<3点、Bランク>


(1)減損処理は、取得原価基準の枠内で行われる手続である。減損処理で回収可能価額として採用される使用価値は取得原価の範囲内にとどまるものであり、自己創設のれんが計上されることはない。<3点、Bランク>

(2)のれんは、企業の超過収益力を源泉とする。のれんを含めてはじめて認識される減損損失は企業の超過収益力の喪失を意味するものであり、これをのれんに負担させるのが適切なためである。<3点、Cランク>

【解説】
機。
(1)売上原価は、売った商品等を購入等した原価です。
商品等を購入等した場合の取得原価は、費用配分の原則の適用を受け、売上原価と期末棚卸資産に配分されます。
当期に費用配分された商品等の取得原価が売上原価です。
売上原価の最も大きな特徴が売上収益との直接的な対応関係を有している点でしょう。
なお、売上原価と直接販売費(売上数量等に応じた販売手数料等)の間にも直接的対応関係が認められます。

(2)ちょっと問題文を微妙にしました。
費用と収益との因果関係のある対応には、商品や製品を媒介とした直接的対応と期間を媒介とした間接的対応があります。
売上高と売上原価のように商品等を媒介とした対応関係が直接的対応です。
売上高と間接販売費のように期間を媒介とした対応関係が間接的対応です。
営業外収益(たとえば受取利息)は営業外費用(たとえば支払利息)と因果関係のある対応関係を有しているとはいえません。
特別利益と特別損失についても同様です。

2 
(1)一般に借入金の利息は、財務費用として原価に算入されず、期間費用とされます。
例外的に原価算入されることがあるのが自家建設での稼働前の期間に属する利子です。
稼働前の期間の借入金の利子も財務費用であることには変わりません。
しかし、通常の利子と大きな違いがあります。
それはその支出に関連する収益が明らかに存在しないことです。
対応する固定資産をまだ稼働していないのですから。
費用収益の対応を誠実に考えるならこれをその期の費用とせずに固定資産の利用にわたって費用とすべきという考え方が自然でしょう。
もっとも借入金利子を取得原価に算入すれば、資産の取得原始によりこれが異なることとなり、また、借入資金と取得資産とのひも付関係が合理的に決定できない場合などに不合理なケースも考えられます。

(2)過去勤務債務は一時の費用とされることなく、一定の期間内での費用処理、いわゆる遅延認識が行われます。
給付水準を増額改定し、退職給付の水準が上がれば、従業員の勤労意欲も増すハズです。
それは将来の収益の増加をもたらすと考えられるため、増加するであろう対応関係を考慮して、過去勤務債務について遅延認識が行われます。

供。
(1)時価を超える使用価値(利用価値)にはのれん価値が含まれています。
のれんは有償ないし企業結合時に受け入れたものに限り資産計上されます。
このような対価性のあるのれんを買入のれん(購入のれん)といいます。
これに対して、企業自らが作り出したのれんが自己創設のれん(主観のれん)です。
現行制度上は、買入のれんのみの資産計上が認められており、自己制度のれんの計上は認められていません。
自己創設のれんも超過収益力を源泉とする以上、経済的資源としての資産の定義要件は満たしています。
のれんは時価を超える使用価値であり、対価性がないのれんを計上する場合には、使用価値や割引率の算定にあたって将来キャッシュ・フローを見積もる必要があります。
このような行為は、企業による自身の価値の推定・開示であり、事実の開示という財務報告の目的に反するため認められません。

(2)のれんの会計処理には、規則償却を行う方法と規則償却を行わず、減損処理のみを行う方法があります。
国際的には規則償却は行われず、減損処理のみで対応することとされていますが、この場合には事実上、自己創設のれんが計上されると考えられます。

(3)子会社の資産負債の時価評価の方式には全面時価評価法と部分時価評価法があります。
全面時価評価法を採用した場合には、計上するのれんの範囲を親会社の持分に対応する部分に限る買入のれん方式と少数株主持分に対応する部分に限る全部のれん方式とがあります。
全部のれん方式によれば事実上、自己創設のれんが計上されることになります。

2 
(1)使用価値にはのれん価値が含まれており、減損処理によって使用価値を評価額とした場合は、その評価額にはのれん価値が含まれます。
減損処理は、資産の時価評価を目指した処理ではなく、あくまでも取得原価基準の枠内でのいわば原価の修正処理、ないしは原価配分計画の修正というべきでしょう。
このような減損処理の位置づけのもとでは使用価値を採用するとしてもそれは原価の範囲内にとどまり、対価性のない自己創設のれんが計上されることはありません。

(2)減損処理を適用する場合、のれんを含めたことで認識される減損損失はまずのれんに負担させます。
そもそものれんは企業の超過収益力を源泉とするものであり、のれんを含んだところの資産等の価値の下落はその超過収益力の喪失がもたらしたものといえます。
このためのれんを含めることによる減損損失の増加額はまずのれんに負担させます。
減損基準四2(8)参照。