純資産基準33項では、クリーン・サープラス関係を維持するネライの一つに会計情報の信頼性を高めること以外に企業評価に役立つ点があげられています。

今回は後半部分(企業評価)を考えておきましょう。
わが国の概念フレームワークは、財務報告の目的を投資家の投資意思決定に役立つ事実の開示にあると考えています(第1章18)。

投資家は企業の将来CFを予測等して、企業を評価する。

その評価に照らして株価が割安と判断すれば買い、割高と判断すれば売りの材料にします。

会計情報はこのような投資家の投資判断の一つの材料と位置づけられます。


投資家の投資判断の基礎になるのが企業評価です。

企業評価の手法には企業のCF、配当、利益を基礎にしたものがあります。

ざっくりとはこれらを予想し、現在価値に割り引く等して企業評価を行います。

このうちの利益を基礎としたものが、クリーン・サープラス関係を前提にしています(残余利益モデルなどと呼ばれます)。

クリーン・サープラス関係が成立していないと企業評価ができないケースがあるのです。

仮にクリーン・サープラス関係が成立していなければ一定の修正を加えて考えます。

でもクリーン・サープラス関係が重要なことは言うまでもありません。


財務報告は投資家の投資意思決定に資するもの。

投資家が企業評価をし、投資判断を行う以上、その企業評価の妨げになっては困ります。

金融商品会計基準の創設により純資産と純利益のクリーン・サープラス関係が崩れたことで大きな問題になったのはこの点といえるでしょう。

財務報告の目的から企業評価を行う上での支障があっては困る。

企業評価に支障が生じないためにもクリーン・サープラス関係は維持される必要があるのです。

この点は軽く意識しておきましょう(←現行の試験ではからみにくいと思いますのでふーんという感じでお願いします)。



クリーン・サープラス関係とは何か(9)