包括利益基準により連結財務諸表に包括利益が表示されることになりました。

もっともこれまでの純利益の計算等が変わるわけではありません。

今までの純利益に併せて包括利益が表示されだけです。

このような表示を行う場合の手続がリサイクリングです。
リサイクリングは、包括利益の二重計上を避けるための手続です。

過去に計上された包括利益を当期のその他包括利益から減額する手続、それがリサイクリングです。

いったん包括利益に計上され利益がふたたび純利益に計上されることからリサイクリング(組替調整)と呼ばれます。

タイミングに着目すれば、リスクからの解放(≒実現≒売却)時点で純利益を計上するのがリサイクリングといえます。

ちょっと簡単な例でみておきましょう。

第1期中 有価証券100購入
第1期末 時価120
第2期中 120で売却

第1期 包括利益20
第2期 純利益  20
    組替調整△20

【リサイクリングをする場合】
第1期 包括利益20
第2期 純利益20
    その他の包括利益△20(発生額0−組替調整20
    包括利益0

【リサイクリングをしない場合】
第1期 包括利益20
第2期 純利益 0
    その他の包括利益0(発生額0−組替調整0
    包括利益0

リサイクリングが行われた純利益は、一致の原則を満たし、従来と同額が計上されます。

最終的なCFは120−100=20であり、純利益も、包括利益も累計は20です。

しかし、リサイクリングが行われなければ一致の原則は破られます。

計上される利益(ゼロ)はこれまでの純利益(20)とは違います。

各期の純利益の合計(ゼロ)が全体CF(20)にも一致しません。


リサイクリングは確かに分かりにくいです。

また、経営者がそのタイミングをはかることができます。

純利益はいじれる(操作可能)ということですね。

しかし、このリサイクリングを廃止すれば、純利益は、全体CFとの関連性を断たれてしまいます。

極論すれば純利益に事実(CF)に根差した意味がなくなるのです。

リサイクリングが手続として面倒だから、あるいは操作の余地があるから廃止する。

そのような主張がある一方で純利益を堅持すべきとする見方があります。

その一つの根拠が一致の原則との関係といえるでしょう。



クリーン・サープラス関係とは何か(8)