これまでクリーン・サープラス関係の意味と制度的な推移を眺めてきました。

このようなクリーン・サープラス関係はなぜ要求されるのでしょうか。

必要性の議論がないまま形式的な話だけしていてもその意味は限定的です。

純資産基準をもとに少し考えてみましょう。
純資産基準では、純資産の部を株主資本と株主資本以外とに分けています。

投資情報として大事な純利益を生み出す株主資本が重要と考えるからです。

投資情報としては純利益が大事であり、どれだけの株主資本で純利益を生み出したのかもその効率を知る上で重要でしょう。

同じ10万円の利益でも、株主資本が100万円と100億円では意味が大きく異なります。

100万円を使って10万円の利益ならよくやったといえそうです。

でも、100億円使って10万円の利益なら何やってんの?といわれそうですよね。

株主資本と純利益のクリーン・サープラス関係をきちんと示すことはその意味でとても重要なんです。


純資産基準には、この他に次のような記述があります(33項)。

一般的に、資本取引を除く資本の変動と利益が一致するという関係は、会計情報の信頼性を高め、企業評価に役立つものと考えられている。


この、会計情報の信頼性を高めるという点に注目してみましょう。

クリーン・サープラス関係は、どのような意味で会計情報の信頼性を高めるのでしょうか。


このことを知るためには「一致の原則」(合致の原則)を知っておく必要があります。

企業利益には、次のような関係があります(いずれも資本取引の影響は考えません)。


各期の利益合計 = 全体利益


この場合の利益は、純利益でも、包括利益でも同じです。

また、各期のCFは、全体CFに一致します。


各期のCF合計 = 全体CF


全体利益は全体CFにも一致します。

CFは、相手のいる事実を基礎にしています。


クリーン・サープラス関係が成立しない利益の合計は全体CFに一致しません。

利益は何の脈略もなく作られるものではなく、CFを期間配分したものに過ぎないのです。

CFという事実に基づく利益であることが会計上の利益の生命線ともいえるでしょう。

ある利益が一致の原則を破っているとするなら、その利益は必ずしも事実(CF)に根付いていない不誠実なものといえます。

ある一線を超えるとそれはもはや会計が扱うべき利益とは呼べないのかもしれません。

なかなかピンとこないと思いますが、試験的にも関連した重要な論点が一つあります。

それがリサイクリングです。

リサイクリングの話を次回に。



リーン・サープラス関係とは何か(7)