資本取引を除く資本の増減=利益がクリーン・サープラス関係です(以下では、資本取引を除くとの表記は省略することがあります)。

今回は、クリーン・サープラス関係の変遷をみていきましょう。
現行の個別財務諸表では、「株主資本の増減=純利益」という関係が成立しています。

連結財務諸表では、これに加えて、「純資産の増減=包括利益」というクリーン・サープラス関係が成り立つことになります。

結局、次のような関係の組合せが考えられるでしょう。

<一般的な関係>
A 資本の増減=利益

<個別的な関係>
B 株主資本の増減=純利益
C 純資産の増減=包括利益

※純資産の増減=純利益という関係は、現在成立していませんので除外しています。

これを踏まえて、これまでの制度的な推移を確認しておきましょう。


(1)純資産直入がなかった時代 ⇒ 純資産と純利益の間で成立

金融商品会計基準ができる以前は、純資産の増減が純利益に一致していました。

損益計算書の当期純利益が純資産の部に反映され、当期純利益を経由せずに純資産が増えることもありませんでした。


(2)純資産直入の登場した時代 ⇒ 成立せず

純資産と純利益の間で成立していたクリーン・サープラス関係が崩れたのは、その他有価証券評価差額金の純資産(当初は資本)直入が原因です。

仮に100円で取得したその他有価証券を110円に評価換えすれば次の処理をします。

(借)投資有価証券10 (貸)その他有価証券評価差額金10

このその他有価証券評価差額金について、利益計算を経由しないで純資産(当時は資本)に直入したことがクリーン・サープラス関係を崩した原因です。


(3)純資産基準の創設 ⇒ 株主資本と純利益の間で成立

純資産基準では、純資産の部を株主資本と株主資本以外とに分けています。

国内基準で重視される利益は純利益ですが、この純利益を生み出す株主資本とそれ以外をきちんと分け、株主資本の増減が純利益と一致する関係を財務諸表にも示すようにしたのが大きな工夫です。


(4)包括利益基準の創設 ⇒ 株主資本と純利益、純資産と包括利益(連結のみ)で成立(←今ここ)

包括利益基準により、連結財務諸表のみですが、包括利益が表示されることになりました。

純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係が財務諸表上、示されることになります。

基準改正の経緯を含めてしっかりおさえておきましょう。



クリーン・サープラス関係とは何か(5)