包括利益基準の注1には、次のようにあります。

クリーン・サープラス関係とは、「ある期間における資本の増減(資本取引による増減を除く。)が当該期間の利益と等しくなる関係」をいう。

「資本の増減=利益」ですね。
資本と利益という一般的な語を使用している点が興味深いです。

定義規定では特に慎重に言葉を選ぶハズ。

逆にいえば定義規定こそしっかり読むべきでしょう。

これに近い表記は純資産基準33項にもみられます。

「……一般的に、資本取引を除く資本の変動と利益が一致するという関係は、……」

この関係がまさに包括利益基準の注1で定義しているクリーン・サープラス関係です。

もっとも純資産基準では、この関係をクリーン・サープラス関係と呼んでいません。

会計基準ではじめてクリーン・サープラス関係という表記をとったのが包括利益基準です。


もっともそれ以前にも企業会計基準委員会の公表文書の中にクリーン・サープラス関係という表記はあります。

退職給付会計の見直しに関する論点整理の80項です。

国際財務報告基準における数理計算上の差異の取扱いに触れた規定ですが、そこに次のような記述があります。

「当期純利益と株主資本の連携、すなわちクリーン・サープラス関係が保たれていない。」

純利益と株主資本との関係をクリーン・サープラス関係と呼んでいることが分かります。

このことは論点整理をみるまでもなく包括利益の表示に関する会計基準をきちんと読めば分かるハズ。


もちろん会計基準にあることがすべて正しいとは限らないかもしれません。

また、あるべき姿を語る事もあるでしょう。

しかし、資格試験において会計基準でどのような使い方をしているかを踏まえるのは極めて当然です。

また、あるべき姿を語るにしても会計基準でのあり方を確認した上での議論であってしかるべきでしょう。

ただ、それだけのことです。



クリーン・サープラス関係とは何か(4)