ヘッジ取引では損失を回避(ヘッジ)するためにデリバティブを利用します。

今、社債(その他有価証券)を保有し、その時価の値下がりをヘッジするために、先物取引で社債を売ることを想定します。
保有して値下がりの可能性がある社債がヘッジ対象、その値下がりを回避するための先物取引(売り)がヘッジ手段です。

少し数字を入れて、処理を考えておきましょう(税効果は考慮しません)。

<社債(その他有価証券):ヘッジ対象>
(1)100円で購入
(借)投資有価証券100 (貸)現金預金100


(2)決算時の時価90円
(借)その他有価証券評価差額金10 (貸)投資有価証券10


<先物(売り):ヘッジ手段>
(1)契約時
仕訳なし


(2)決算時の時価+10円
(借)デリバティブ資産10 (貸)デリバティブ利益10


ここでは勘定科目の習得をめざしません。

厳密な取引を想定し、厳密な会計処理を把握するのが目的ではなく、ヘッジ会計の意味を理解するのがネライだからです。

デリバティブに係る資産・負債 ⇒ デリバティブ資産・負債

デリバティブに係る収益・費用 ⇒ デリバティブ利益・損失


こんな感じで表わすことにします。

先物の売り契約時の「仕訳なし」には若干の注釈がいるかもしれません。

取引の相手方は存在するハズです。

しかし、取引(契約)段階では、いわば両方が等しい条件なので認識すべきデリバティブの金額はゼロです。

その後はデリバティブの時価が変動していきます。


時価が上がれば、資産がたって、利益がたちます。

デリバティブの評価は、時価、評価差額は当期の損益とします。


上記の仕訳で注目したいのが損益(収益と費用)です。

さてさて問題はないでしょうか?

あるとすれば何が問題なのでしょうか?

さあ。

どうよ(←どうよって)。



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