クリーン・サープラス関係について混乱がある気がするのでちょっと整理しておきました。
クリーンはきれいな、サープラスは剰余金(会社法での使い方とは異なります)や余剰金といった意味です。

そもそもはフローの計算書(損益計算書等)における利益がストックの計算書(貸借対照表)にきちんと反映されていて、また、余計なものが反映されていないといった意味で使用されています。

包括利益の表示に関する会計基準の注1をみると「クリーン・サープラス関係」が定義されています。

「ある期間における資本の増減(資本取引による増減を除く。)が当該期間の利益と等しくなる関係をいう。」

つまりは、「資本の増減=利益」がクリーン・サープラス関係です。



現行の個別財務諸表では、「株主資本の増減=純利益」、

連結財務諸表では、これに加えて、「純資産増減=包括利益」というクリーン・サープラス関係が成立しています。


結局、次のような関係があることになります。

A 資本の増減=利益

B 株主資本の増減=純利益

C 純資産の増減=包括利益




かつて純資産の部ができるまで(包括利益はなし)、いずれの意味でもクリーン・サープラス関係は成立していませんでした。

純資産の部を株主資本と株主資本とに分け、株主資本と純利益との間でクリーン・サープラス関係を成立させたのが純資産基準の大きな特徴です。


その後、包括利益の表示に関する会計基準で包括利益の表示(連結のみ)が導入され、連結財務諸表ベースでは株主資本と純利益、純資産と包括利益のいずれにもクリーン・サープラス関係が成立しています。


制度的な推移を示しておきましょう。

(1)純資産直入がなかった時代 ⇒ 純資産と純利益の間で成立

(2)純資産直入の登場した時代 ⇒ 成立せず

(3)純資産基準の創設 ⇒ 株主資本と純利益の間で成立

(4)包括利益基準の創設 ⇒ 株主資本と純利益、純資産と包括利益(連結のみ)で成立




最後に内容的に先行する傾向のある公認会計士試験の短答式試験問題をご紹介しておきます。

公認会計士試験2012年第飢鹵仕式試験問題 問題29です。

解答は○でしょうか、×でしょうか。


「連結損益及び包括利益計算書」の導入前には資本と利益の間のクリーン・サープラス関係がなかったが、その導入によって初めてクリーン・サープラス関係が保たれるようになった。



連結損益及び包括利益計算書の導入(つまり包括利益の表示に関する会計基準ができる前)は、純資産と包括利益との間にクリーン・サープラス関係は成立していませんでした。

包括利益がなかったわけですから。

しかし、それ以前でも株主資本と純利益の間でクリーン・サープラス関係が成立していたわけですから正解は「×」です。

フローとストックがきちんと結びついているのがクリーン・サープラス関係。

基準改正の経緯も含めて、細かいですがしっかり確認しておきましょう。