分配可能額=直近の期末剰余金の額
      −分配可能額からの控除額
      ±効力発生日までの株主資本の計数の変動額


今回は分配可能額からの控除額のうち自己株式の帳簿価額についてです。
分配可能額の計算上、控除すべき金額には、次の3つがあります。

1.自己株式の帳簿価額
2.のれん等調整額に係る金額
3.その他有価証券の借方差額


今回はこのうち自己株式の帳簿価額をみていきます。

自分の会社が過去に発行した株式をまた買い戻して保有しているのが自己株式です。

自己株式を買って、株主にお金を払うのは減資なんかと同じ資本取引。

自己株式は、仕訳で借方にきますが、あくまでも貸方(株主資本)のマイナス項目です。

分配可能額の計算は前期末の剰余金からスタートするので、株主資本のマイナスである自己株式の帳簿価額は控除します。

仕訳で確認しておきましょう。


<第1期>

出資:現   金100 資 本 金100

期中:現   金100 受取手数料100

決算:受取手数料100 損   益100
   損   益100 繰越利益剰余金100

第1期末の純資産の部は、資本金100、繰越利益剰余金100です。

第1期末直後の分配可能額は、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)100です。


<第2期>

購入:自己株式100 現   金100

第2期末の純資産の部は、資本金100 繰越利益剰余金100 自己株式△100です。

第2期末後の分配可能額は、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)100−自己株式の帳簿価額100=0です。

第1期末後に分配可能額の全額で自己株式を取得したのですから、分配可能額がゼロなのは当然です。

そのためには剰余金から自己株式の帳簿価額を控除する必要があります。



分配可能額の計算(5)



分配可能額の計算(1)