個別論点でややこしいものの一つが分配可能額の計算です。

何度やっても忘れますね(汗)。

全部は無理でも、理屈を追えるところは追うといいでしょう。

かつて財表での出題があり、簿記論では2度、日商一級でも出題されています。

計算パターンを追いかけるだけだと分岐が複雑なケースはこなしきれません。

できるだけ理屈を追いかけて、ポイントを抑えたいところですね(最後の難解な部分はえいやでいいですが)。


「分配可能額」は、株主が会社から分配を受けられる限度額であり、剰余金の配当以外に自己株式の取得を含みます。

株主への財産の流出の限度を決めて、債権者に配慮したのが「分配可能額」です。


分配可能額の計算のスタートは前期末の「剰余金」です。

「剰余金」は、その他資本剰余金とその他利益剰余金からなります。


会社法上、「株主資本」は、拘束性の高い順に(1)資本金、(2)準備金、(3)剰余金に区分されます。

(1)「資本金」は、金額の登記が必要で、取崩手続も厳格です。

(2)「準備金」は、資本金より取崩手続は厳しくありませんが、一定の制限があります。

「準備金」には、「資本準備金」と「利益準備金」があります。

(3)剰余金が分配可能であり、「剰余金」にはその他資本剰余金とその他利益剰余金があります。

ここは貸借対照表の区分と異なります。


まずは「分配可能額」の意味と「資本金」、「準備金」、「剰余金」という会社法独自の概念をつかみましょう。



分配可能額の計算(2)