実務につく前から税理士試験の学習をはじめたため、ややわかりにくかったのが売上原価に算入することの意味でした。

売上原価に算入する意味を考えてみました。

(1)商品評価損や減耗損の売上原価への算入

ちょっと具体例で考えてみましょう。

原価80、売価100
期首なし、3個仕入、1個販売
期末帳簿2個 実地1個、時価70

期中:(借)仕  入240 (貸)現  金240
      現  金200    売  上200
期末:(借)繰越商品160    仕  入160(←帳簿)
      商品減耗損80    繰越商品 80
      商品評価損10    繰越商品 10

売上原価は、期首ゼロ+仕入240−期末160=80です。

減耗損や評価損を売上原価に算入するって場合は、これに足せばいいです。

80+減耗損80+評価損10=170


減耗・評価損を売上原価に算入しない場合の売上原価⇒80

減耗・評価損を売上原価に算入する場合の売上原価 ⇒170


このイメージで仕訳をするとすれば、次のとおりです。

(借)仕  入80 (貸)商品減耗損80
   仕  入10    商品評価損10

この仕訳をするかどうかは、必ずしも大きな意味はありません。



(2)減耗損・評価損を売上原価に自動的に算入する場合

実務につくまで割と分かりにくかったのが、この自動算入でした。

なんのことはない期末を帳簿ではなく、実地の時価で仕訳すると減耗・評価損が自動的に売上原価に入るってことです。

仕訳でみてみましょう。

期中:(借)仕  入240 (貸)現  金240
      現  金200    売  上200
期末:(借)繰越商品 70    仕  入 70(←実地・時価)

売上原価は、期首ゼロ+当期240−期末70=170です。

この結果は、(1)で減耗・評価損を売上原価に算入したときと同じになります。

よくよく考えればあたりまえなんですが、(1)の仕訳処理を機械的に行き過ぎると(2)の意味がよく分からなかったりするようです。



(3)工事損失引当金の繰入額を完成工事原価にする場合

工事損失引当金の繰入額を完成工事原価にする場合も(2)のように考えるとよいのではないでしょうか。

(借)工事損失引当金繰入×× (貸)工事損失引当金  ××

(借)完成工事原価   ×× (貸)工事損失引当金繰入××



工事損失引当金繰入を相殺する。

(借)完成工事原価  ×× (貸)工事損失引当金××


同じですね。



売上原価(完成工事原価)に算入する3つのケースでした。