資本は、株主から受け入れた「もとで」を意味してます。

それを増やした「もうけ」が利益です。

もう少し簡単にいえば、資本は「もとで」、利益は「もうけ」。

この「もとで」と「もうけ」をきちんと分ける。

それが資本と利益の区別の問題です。

こんなざっくりとした理解の段階では、それほど混乱が生ずることもありません。

しかし、具体的な会計の問題に還元すると難しく、また、やっかいに感じられるのが資本と利益の区別の問題といってよいのではないでしょうか。
ここでは、企業会計原則の一般原則第三を題材に資本と利益の区別の問題を考えてみたいと思います。

ギリギリ試験に出題される可能性がある限界に迫ります(たぶん)。

その前にまずは極めて多義的に用いられる資本の語の一般的な意味を整理しておきましょう。


会計学上、最も広い意味で用いられるのが「総資本」です。

負債と純資産(資本)を合わせた意味で使われます。

総資本のうち、負債を「他人資本」、資本(純資産)を「自己資本」ということがあります。

自分で用意したもの(自己資本)と他人から借りたもの(他人資本)の違いでしょう。

この自己資本の内訳がややこしいです。

株主からの払込を受けた部分を「払込資本(拠出資本)」といいます。

資本金と資本剰余金がこれに該当します。


整理しておきましょう。

(1)総資本………………………負債(他人資本)+資本(純資産)

(2)自己資本(株主資本)……株主のもの(資本金+資本剰余金+利益剰余金)

(3)払込資本……………………株主が払い込んだもの(資本金+資本剰余金)


頻繁に登場するのは(2)の自己資本(株主資本)と(3)の払込資本です。

まずは、多義的に用いられている「資本」の語の様々な意味をしっかりと把握してきましょう。



資本と利益の区別(2)