期間損益計算をささえる「対応」。

対応には形式的な意味(表示)と実質的な意味(金額に影響)がありました。

実質的な意味での対応の見方には費用の認識に関する原則とする見方と損益計算の根本原則とする見方があります。

また、対応関係といっても商品等の財貨を媒介として金額的なつながりを認めることができる個別的対応と期間のみのつながりである間接的対応があります。

より具体的な損益計算書上の収益と費用でこの対応関係を確認しておきましょう。
まずは、売上高と売上原価の関係です。

売上高と売上原価は商品を販売することで当期の損益計算に計上されます。

商品の販売によって両者が生じ、金額的にもそのつながりを確認できます。

100円の商品を120円で販売すれば、120円が売上収益であり、100円が売上原価です。



売上高と販売費及び一般管理費はどうでしょうか。

ごく一般的な販売費及び一般管理費は、それが売上に貢献していることは確実でしょうが、金額的なつながりを認めることはできません。

つまり、直接的対応関係はないけど、間接的な対応関係はあります。

これに対して販売収益にリンクした直接販売費などは直接的対応を認めることができます。

いくら売ったらいくら払うというようなタイプの販売手数料なんかが該当します。



売上高と支払利息等の営業外費用はどうでしょうか。

売上高と支払利息に直接的な対応関係はありません。

しかし、まったく関係がないかというとそうではありません。

売上高を獲得するためには、運転資金を調達して従業員に給料を支払う必要もあったでしょう。

極めて遠回りではありますが、売上高と支払利息との間に何らかの意味での対応関係はあるハズです。



これに対して、営業外収益と営業外費用との間には似たもの同士という以上の関係をみることはできないものが多いでしょう。

支払利息は受取利息に貢献しているかといえば、通常は特に関係ありません。

このような営業外収益と営業外費用のような似たもの同士の関係の多くは、取引の同質的な対応と呼ばれることがあります。

特別利益と特別損失に関しては、単に似たもの同士が表示されていると考えられます。



以上、損益計算書の項目を中心に対応関係を眺めてきました。

個別的対応か、期間的対応かの違いは、損益計算書の区分と直にリンクしているわけではなく、むしろ口別計算が可能かどうかに依存します。

対応関係に意味があるか、つまり、個別的ないし期間的対応と取引の同質的対応との違いもその実質に依存します。

損益計算書を軸に考えると難しいのですが、あくまでも実質に即して考える必要があるでしょう。



対応とは何か(10)