財務会計講義、読んでますか?

今回は、混合的測定についてです。

現行の制度会計における資産評価は、原価のみとか、時価のみとかといった単一の測定値による評価が行われているわけではありません。

あるときは原価、あるときは時価といった混合的な測定が行われています。

どのようなときに原価評価し、どのようなときに時価評価するのかに注意して学習を進めましょう。



6 現行の資産評価基準

(1)混合的測定

【試験との関連】

現行の資産評価の枠組みを知っておくことは試験的にも重要です。


【ポイント】

・事業用資産の評価

・金融資産の評価

・混合的測定がとられる理由


わが国の会計基準では、資産を2つに分け、取得原価と時価で評価しています(混合的測定)。


事業用資産は、取得原価で評価されます。

企業会計原則も貸借対照表の記載額が、原則として取得原価を基礎に計上されるべきことを規定しています。


金融資産は時価で評価します。

典型は、売買目的有価証券です。

時価には市場価額以外に割引現在価値も公正な評価額として含まれることがあります。


このように事業用資産と金融資産とで異なる評価基準が適用されるのは次のような理由からです。

<金融資産を時価評価する理由>

(1)金融資産は誰にとっても市場価格に等しい価値を持っている

(2)市場価格での売却が可能で、それ以外に投資目的達成の方法がない

<事業資産を原価評価する理由>

(1)事業用資産は時価の変動による利益獲得を目指しているわけではなく、売却することに制約がある

(2)事業用資産はこれを保有する人で価値が異なる

(3)事業用資産を何らかの期待を持って保有していても、それが実際に意図した形で実現するまではただの期待にすぎず、取得原価で評価するのが合理的です。


【キーワード】

・混合的測定、事業用資産、金融資産



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