概念フレームワーク、読んでますか?

今回は収益についてです。
まずは、長いですが13項をあげておきます。

これまでの復習みたいな規定ですね。

収益とは、純利益または少数株主損益を増加させる項目であり、特定期間の期末までに生じた資産の増加や負債の減少に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分である。収益は、投資の産出要素、すなわち、投資から得られるキャッシュフローに見合う会計上の尺度である。投入要素に投下された資金は、将来得られるキャッシュフローが不確実であるというリスクにさらされている。キャッシュが獲得されることにより、投資のリスクがなくなったり、得られたキャッシュの分だけ投資のリスクが減少したりする。一般に、キャッシュとは現金及びその同等物をいうが、投資の成果がリスクから解放されるという判断においては、実質的にキャッシュの獲得とみなされる事態も含まれる。収益は、そのように投下資金がリスクから解放されたときに把握される。




以下、やや冗長かもしれませんが、細分化してみておきましょう。



(1)収益は純利益の増加項目

収益−費用=純利益です。

収益が増えれば、純利益も増えます。

収益は、純利益の増加項目といえるでしょう。



(2)収益は期末までの純資産の増加額(資産の増加・負債の減少額)に見合う額

簿記的な仕訳を考えてもわかるように、収益が生じる際の相手科目は、基本的に資産(の増加)か、負債(の減少)です。

簿記的な5区分の組み合わせを色々考えてみても、そうなハズです(いくつか考えてみてください)。

例外としては、新株予約権戻入益などがあげられるでしょうか。

この場合の相手科目は、純資産(新株予約権)です。

これはかなり特殊ですね。

なにか深い理由がありそうです(ぜひ、考えてみてください)。

期末までという条件は、リサイクリングを考慮してのことです。



(3)投資のリスクから解放された部分

簿記的に資産が増えた相手が収益とは限りません。

交換取引は別にしても、その他有価証券の評価替えの場合は、相手が収益ではなく、純資産です。

あくまでも投資のリスクから解放された部分のみが収益になります。



(4)収益は、収入を基礎にしている

収益は、現実のキャッシュフローを前提にしたものです。

なんかまったく現実から離れたところで収益が計上されるわけではありません。

将来の収入を前提に当期の収益を計上しているに過ぎないといえるでしょう。



(5)キャッシュの獲得でリスクは減少する

投資は、確実なキャッシュという資産を成果の不確実な他の形態の資産と交換することを意味します。

確実なキャッシュを不確実性にさらすことといってもよいでしょう。

投資資産を売却して、現金化することでそのリスクはなくなります。

リスク(不確実性)から解放される典型ですね。

通常は、キャッシュの獲得でリスクが減少し、これにともなって収益が把握されるわけです。



(6)キャッシュは現金及び現金同等物

キャッシュは、ざっくりとは現金及び現金同等物といえます。

概念フレームワークは、会計基準ではないので、細かい検討を要する感じではないでしょう。

キャッシュ・フロー計算書の表記とあわせてますね。



(7)キャッシュの獲得とみなされる場合を含む

現実にキャッシュを手にしていなくても、キャッシュの獲得と考えられるようなケースもあるでしょう。

たとえば、手持ちの有価証券と固定資産を交換したようなケースです。

この場合、キャッシュを手にすることはありません。

しかし、むしろ、いったん売却して、現金を手にし、その現金で固定資産を取得した。

そんな風に考えて、収益を把握する方が実態に即しているといえるでしょう。

売却を擬制するのが合理的なら、そんなケースも含んでいます。



(8)収益は、投下資金が投資のリスクから解放されたとき把握される

収益は、リスクからの解放時点で把握されます。

リスクからの解放は、基本的には、純利益の認識に関する考え方といえるでしょう。

純利益は、収益−費用ですから、収益(費用)の認識に関する考え方の意味も持ちます。



そうだ、会計基準を読もう!(投資のリスクからの解放の基本的な考え方をおさえておきましょう)


会計基準を読もう!<目次>