財務諸表の構成要素は8つ。

このうち概念フレームワークがもっとも重視しているのはいずれでしょうか。
財務諸表の構成要素のうち概念フレームワークでもっとも重視しているのは、純利益です。



財務諸表の構成要素は8つ。

資産と負債は他の構成要素に依存せず、独立して定義されています。

概念フレームワークで、資産と負債の定義からスタートしているのは、必ずしも資産と負債を最重要であると考えたからではありません(第3章の序文や18項三章)。

あくまでもその定義のしやすさを優先したと考えてよいでしょう。

きっちり純利益が一番大事と書いてあるわけではありませんが、第18項の記述等をみても純利益を重視しているだろう点はうかがえます。



そもそも財務報告の目的は、投資家の投資意思決定に資する情報を提供することにあります。

投資家が企業に対して投資を行う。

投資家は、企業がどれだけ稼ぐか(将来キャッシュフローを得るか)を予測し、企業を評価し、この評価と株価を照らして投資意思決定を行います。

投資家のこのような予想は絶えず行われ、企業の実際の業績に応じて、その予想も修正されます。

大事なのは、このような投資意思決定の参考となるような企業の事実としての成果情報です(第1章2項等)。

成果情報としては、純利益と包括利益がありますが、概念フレームワークでは、包括利益よりも純利益を重視しています(第3章21項)。

純利益の方が成果情報としての有用性があると考えているわけです。



このような成果情報(純利益)に対して、ストック情報(資産等)の役割は限定的です。

それは効率性の観点から「重要性もある」といった位置づけでしょう。

概念フレームワークにも投資の効率性の観点からはストック情報も有益だという記述があります(第1章3項参照)。



概念フレームワークでは、投資の成果情報として純利益を重視しています。

その純利益を決める考え方、リスクからの解放との関係、そして包括利益との関係など狙われそうな点も少なくありません。

まずは定義をしっかりとおさえておきましょう。