次の文章は、税効果会計基準の前文の二2です。

繰延税金資産の文章には、「一般的には」という文言があるのに、繰延税金負債にないのはなぜでしょうか?

答えをすぐにみないでぜひ考えてみてください。

税効果会計に関してのいい腕試しになると思います。

繰延税金資産は、将来の法人税等の支払額を減額する効果を有し、一般的には法人税等の前払額に相当するため、資産としての性格を有する。
繰延税金負債は、将来の法人税等の支払額を増額する効果を有し、法人税等の未払額に相当するため、負債としての性格を有する。

税効果会計基準では、資産負債法をとっています。

このため税効果会計の対象には、差異だけではなく、繰越欠損金等が含まれます。

繰越欠損金等は、法人税等を前払いしたのと同様の効果があり、税効果会計の対象になります。

しかし、欠損金が生じたというだけで、法人税等の前払いではありません。

繰延税金資産については、法人税等の前払いに相当しないものも含まれるため、一般的には、という表記をいれたというのが答えです。

税効果会計の適用対象と差異の種類をしっかりさせていないとなかなか出てこなかったのではないでしょうか。



基準では、税効果の対象を「一時差異等」と呼んでいます。

この一時差異等の等は「繰越欠損金等」を指します。

この繰越欠損金等の等は繰越外国税額です。

いや、めんどくさいですが、整理の過程や基準を読んでいる過程で当然おさえていなければならない項目だと思います(これだけを覚えても効果は限定的で、基準をちゃんと読んでいれば整理されているハズという意味です)。


一時差異等  = 一時差異  + 繰越欠損金等
繰越欠損金等 = 繰越欠損金 + 繰越外国税額



資産負債法における差異を「一時差異」といい、繰延法における差異を「期間差異」といいます。

一時差異等 = 一時差異 + 繰越欠損金等(繰越欠損金+繰越外国税額)
一時差異  = 期間差異 + その他有価証券評価差額金



このほかに、一時差異は、将来の課税所得を減額させる効果を持つ将来減算一時差異と、加算させる効果を持つ将来加算一時差異があります。



差異の種類と税効果の適用の関係をしっかりおさえておきましょう。

そして税効果基準をしっかり読み込むと同時に意見書の二の2は、基準本編同様しっかりと読み込みましょう。