過去2年の第一問の重要なもう一つの共通点。
それは、メインとなる会計基準以外に企業会計原則の規定が引用されている点です。

平成20年の第一問が貸借対照表原則五(配分)、平成21年が損益計算書原則一A(発生)をそのまま引用しています。

税理士試験の財務諸表論では、新しい(企業会計原則以外の)会計基準が出題される傾向が続いています。

そして概念フレームワークでは、企業会計原則とは異なり、リスクからの解放という考え方を唯一の認識における基準にしています。

いわば古くなりつつある企業会計原則の規定が部分的にであれ出題されている点は、逆に注目してよいでしょう。



ややさかのぼると平成18年には、やはり損益計算書原則一Aが出題されています。

こちらはメインに近い出題でした。

出題が2年分しかありませんので、推測は難しい面があります。

あえて共通点を考えると極めて重要性の高い規定である点といずれも損益計算にダイレクトに影響する点でしょうか。

もう一つくるかはどうかは実際にはわかりませんが、くると仮定しましょう。



今一度、従来の損益計算の構図を考えてみましょう。

「実現」収益をとらえて、これに「発生」費用(ないしは「配分」された費用)を「対応」させて損益計算を行う。

ざっくりとは実現、発生、配分、対応という概念のもとに損益計算が行われると考えているわけです。

すでに出題された配分、発生を除いた残りは、実現と対応です。

実現と対応にふさわしい、試験で引用してもおかしくない企業会計原則の規定を探してみましょう。



対応に関してあげるとすれば損益計算書原則一Cです。

対応表示しろという規定です。

結果としての対応に関する規定でもあり、ちょっとピンときません。

それでは実現はどうでしょうか。

実現をテーマにした企業会計原則の規定で過去2年とかぶらないもの。

ありました。

ズバリ損益計算書原則三Bです。

平成18年に実現をメインにした出題がなされ、そこでも引用されています。

サイクルとしてまだ早いのではないかとも考えられそうですが、私はそうは思いません。

過去の出題をみても重要性の高い項目は繰り返し出題されています。

しかも、平成21年の損益計算書原則一Aは平成18年にも出題されています(平成21年の出題が今福先生の出題である点も注目です)。

また、収益認識にはトピックス的な要素もあり、出題の可能性は十分にあるといえるでしょう。



配分→発生→実現

このラインはありではないでしょうか。

メインに会計基準をすえて、企業会計原則の規定を設問の間で入れる形式が続くとするなら損益計算書原則三Bはネライ目といえます。

とするならばメインの会計基準が何かが次の、そして最後の課題です。

第一問予想への道、そろそろ終わります(←終わるのね)。