工事契約基準、読んでますか?

今回は完成工事未収入金についてです。
工事完成基準は、工事の完成・引渡しをもって認識を行います。

通常の実現基準(商品の引渡しで収益認識)と何ら異なりません。

そこでの完成工事未収入金は、一般の商品販売の場合の売掛金と全く同じです。

通常の商品販売等と科目を使い分けているだけにすぎないのです。



それでは工事進行基準をとった場合の完成工事未収入金はどうでしょうか?

商品を販売した場合の売掛金と全く同じでしょうか?

工事完成基準をとった場合の完成工事未収入金と同じでしょうか。

実は違う点がちょっとあります。

工事完成基準をとった場合との大きな違いは、工事進行基準をとった場合に計上した完成工事未収金は必ずしも相手先に請求できる性格を有していない点です。



請負工事では、対価の支払条件は別途定められます。

工事の進行度合いに応じて対価の支払いを求めることはできません。

工事進行基準をとった場合の完成工事未収入金は、相手に請求できるかという面では、工事完成基準をとったときと異なります。

形式的には、工事完成基準により計上した場合の完成工事未収入金とまったく同様ではないのです。

しかし、成果の確実性を認め、収益を計上した以上、工事進行基準を採用した場合の完成工事未収入金は、通常の金銭債権と同様に取扱うのが整合的でしょう。



工事進行基準をとった場合の工事未収金は、金融商品に該当することとなり、金融商品会計基準の適用を受け、貸倒引当金の設定対象債権になります。

また、外貨建の場合には、外貨建取引等会計処理基準の適用も受けます。

このような派生的な部分にも目を向けておきましょう。



そうだ、会計基準を読もう!!(工事進行基準をとった場合の完成工事未収入金に注目しましょう)


会計基準を読もう!!<目次>