工事契約基準、読んでますか?

今回は工事完成基準と工事進行基準の話です。
認識基準の枝分かれの考え方をみる前にまずは個々の認識基準を簡単にみておきましょう。

財表からスタートして計算で長期工事に触れてない方は、ごく簡単な問題に触れておくとイメージがわきやすいと思います。



工事完成基準は、工事の完成・引渡しをもって工事収益(完成工事高)と工事原価(完成工事原価)を認識する方法です(収益と費用以外に資産等にも影響します)。

工事が完成して、相手に引渡す。

その引渡しのタイミングで工事収益と工事原価を認識するのが工事完成基準です。

工事「完成」基準という名前から「完成」で止まらないようにしましょう。

必ず「引渡し」まで終わった段階です。

引渡しの段階で収益を認識するのですから、一般的な商品販売の場合に、販売(引渡)をもって売上収益を認識するのと変りません。

従来的な実現主義、実現基準の考え方と同じです。



これに対して工事進行基準はやや異なります。

工事がどれだけ進行したかで工事収益・原価を認識するのが工事進行基準です。

実現主義・実現基準というよりは、どちらかというと発生主義・発生基準に近い認識基準といえるかもしれません。

もっとも実現主義・実現基準が収益計上の客観性・確実性を根拠とした収益認識の基準と考えれば、工事進行基準を実現主義・実現基準の適用だと考えることもできるかもしれません。

考え方次第ってことでしょうか。


工事進行基準で問題となるのは、どのように進行度合い(進捗度)をみるかです。

一般的には、原価の発生ベースで考えます。

原価の発生ベースで工事進捗度を考えるのが原価比例法です。



まずは、工事契約の認識基準には、工事完成基準と工事進行基準があることをしっかり意識しましょう。


そうだ、会計基準を読もう!!(工事完成基準=実現基準、工事進行基準=発生基準)



会計基準を読もう!!<目次>