まだ新会計基準のなかった私の受験時代。

簿記論は、仕訳の力のみで合格したといっても過言ではありません。

会計基準のウェイトが高まりましたが、この考え方は、今でも十分通用するハズです。

その前提にある仕訳の力を問題を解く力に変える方法を考えてみました。
受験指導でも仕訳を強調することは多いです。

なぜ仕訳を強調するかといえば、わかりやすいからです。

仕訳は取引と個別に対応しています。

取引のイメージがわくなら、一番わかりやすいのは元帳でも、試算表でも、財務諸表でもなく、仕訳のハズです。

その仕訳を問題を解く際にも利用すれば長期的にみた学習上の効果も高いハズというのが基本的な考え方です。

ざっくりとしたポイントは次の2点です。


(1)仕訳に強くなる

これはあたりまえですが、仕訳を大いに利用する前提です。


(2)仕訳でいける問題は仕訳でいく

仕訳が強い前提なら仕訳を利用して解答が可能な問題は解けるハズ。

そしてほとんどの問題が仕訳(ないしはその応用)でいけます。

ただ、一部、そうでない方が早かったりもします。

でも、はじめから解法を決め付けるよりは、仕訳でいけるかを考えつつ、自分なりの解法を模索する方がよいように思います。

仕訳の強化 → 仕訳を利用して問題を解く →さらに仕訳が強くなる

この循環がうまくいけば、問題を解くことでさらに仕訳を強くでき、それが他の問題を解く力の元にもなります。



より具体的に考えておきましょう。

(1)株主資本等変動計算書

比較的新しい財務諸表に株主資本等変動計算書があります。

株主資本等変動計算書は株主資本を中心とした純資産の増減変動の明細書です。

ですので純資産項目の増減を仕訳から拾う(またはその変形)で新たな作表の学習をする必要はなく、少しの慣れでいけるハズです。

もっとも純資産の部はガチガチにしておく必要があります(ひな型を白紙に書けるように先に練習しておきましょう)。


例を一つあげると、自己株式の取得の仕訳は次のとおりです。

(借)自己株式×× (貸)現金預金××

自己株式は純資産ですから、貸方で増える項目です。

それが仕訳では、借方にあるので株主資本等変動計算書ではマイナス(△)記入されます。

株主資本等変動計算書の記入段階で取得や売却などと考える必要はなく、貸方であればプラス、借方であればマイナスとすればよいだけです。

一点、作表上の注意点としては、合計をその都度しない方が早いです。

個別に記入すべきところを記入して、集計は最後にまとめてやる。

株主資本等変動計算書だけでなく、他の作表等に共通ですが、心がけましょう。



(2)元帳を仕訳で考える

元帳は仕訳を転記したものにすぎません。

仕訳ができさえすれば元帳は必ずできます。

必ずです。

ところが元帳の虫食い等になると元帳だけをみているとちょっと手がけにくくなる感じがあります。

これは元帳が仕訳とは異なり、取引と直接リンクしていないためでしょう。

ある勘定科目の増減を記入したものが元帳です。

仕訳が取引とリンクしているのとはやや異なっています。

増減というのはただ増えた減ったという事実の羅列にすぎませんから、イメージが伴うという感じにはなりにくいでしょう。

私は、元帳の虫食い等の出題はほぼ仕訳を経由して考えていました。

例えば、決算で減耗(原価性あり)のある仕入勘定の記入は次の感じです。

      仕入勘定
(1)買 掛 金  (3)  ?
(2)繰越商品  (6)損  益
(5)  ?

(期中)
(1)仕  入 買 掛 金

(決算)
(2)仕  入  繰越商品
(3)繰越商品  仕  入
(4)棚卸減耗費 繰越商品
(5)仕  入  棚卸減耗費
(6)損  益  仕  入

仕入勘定の記入を仕入勘定の記入と考えて問題を解くより、仕訳を転記しているものと考えた方がわかりやすいハズです。

仕入勘定の貸方の(3)繰越商品が抜けていても、期中から決算の一連の仕訳処理がわかって、それが(3)の仕訳の貸方・仕入が転記されたものだとわかれば、その相手勘定の繰越商品を入れるだけです。

(5)も同様です。

勘定記入や勘定推定の際の勘定復元もすべて同じ要領でいけます。

勘定推定の場合は、勘定上の差額での算出箇所が増えるにすぎません。

具体的な勘定記入は、仕訳を経由して考えるのです。

実際に仕訳は書かず、頭の中できる場合が多いですが、あまり対処できない問題はないと思います。



(3)総合問題も仕訳の延長

仕訳を元帳に転記し、その元帳の残高を集める。

その残高をベースに財務諸表を作る。

総合問題は試算表か、財務諸表の作成が多いですが、両表はやはり仕訳を(元帳を経由して)集計したものにすぎません。

やり方の問題はあるにせよ仕訳を丁寧に集計していけば、必ず解答に到達するハズです。


仕訳をできるだけ解答の際に経由させる本当のメリットは、どんな問題も仕訳を経由させて解くことで、常に更なる仕訳力のアップにつながる点ではないでしょうか。

いたずらに難しい問題に流されることなく、仕訳の力を磨き、簿記論を乗り切りましょう。



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