〔第二問〕−25点−
 リース取引の会計処理に関する以下の各問について、答案用紙の所定の箇所に解答を記入しなさい。

1 次の文章の空欄( ア )から( ウ )に適切な用語を記入しなさい。
改正前会計基準では、法的には( ア )であるリース取引について、( イ )に着目し通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を採用しており、これはファイナンス・リース取引と資産の( ウ )との会計処理の比較可能性を考慮したものと考えられる。


2 ファイナンス・リース取引に関する下記の問に答えなさい。
(1)ファイナンス・リース取引がオペレーティング・リース取引と異なる点を2つ指摘し、それぞれ簡潔に説明しなさい。
(2)ファイナンス・リース取引の一部に改定以前は注記を要件として賃貸借処理(例外処理)が認められていました。これまで例外処理が認められていた取引の名称を指摘するとともに、例外処理を存続すべきとする考え方の根拠となる我国のファイナンス・リース取引の特徴を指摘しなさい。

3 同様にファイナンス・リース取引といっても所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引とではその性格が異なり、また、借手におけるリース資産の減価償却方法等も異なっています。
(1)所有権移転外ファイナンス・リース取引の所有権移転ファイナンス取引との売買の対象における相違点を述べなさい
(2)所有権移転ファイナンス・リース取引において自己所有の固定資産と同一の方法により減価償却費を算定することとした理由を述べなさい。
(3)所有権移転外ファイナンス・リース取引において償却期間をリース期間として減価償却を行う理由を述べなさい。

4 ファイナンス・リース取引の貸手における資産計上科目は所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引とでは異なっています。(1)それぞれの名称を指摘するとともに(2)貸倒見積高の算定上の取扱いの違いについて述べなさい。


第59回(平成21年)第二問 解答用紙

1(1)
ア        イ        ウ

2(1)




(2)
賃貸借処理が認められていた取引[                     ]
特徴:



(1)


(2)
 

(3)




(1)
所有権移転ファイナンス・リース取引における名称 :
所有権移転外ファイナンス・リース取引における名称:
(2)
 




第59回(平成21年)第二問 解答

1 各2点
ア 賃貸借取引 イ 経済的実態 ウ 割賦売買取引


(1) 各2点
ア リース期間の中途において解約ができないリース契約である点が異なる。
イ 借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、
当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する点が異なる。
(2) 名称1点、特徴2点
賃貸借処理が認められていた取引[所有権移転外ファイナンス・リース取引  ]
特徴:物を融通する物融であり、賃貸借取引としての性格が強い。


(1)3点
所有権移転外ファイナンス・リース取引は、物件そのものの売買というよりも使用する権利の売買の性格を有する。
(2)2点
所有権移転ファイナンス・リース取引は、リース物件の取得と同様の取引と考えられるためである。
(3)2点
リース物件を使用できる期間がリース期間に限定されているためである。


(1)各1点
所有権移転ファイナンス・リース取引における名称 :リース債権
所有権移転外ファイナンス・リース取引における名称:リース投資資産
(2)3点
リース債権については、その全額が貸倒見積高の算出の際の設定対象債権となるのに対して、リース投資資産のうち見積残存価額部分は設定対象債権とならない。

解説

リース基準29項からの出題です。
ファイナンス・リース取引に売買処理が行われる根拠としては、その取引の実質に着目したものである点が重要です。
また、合わせて31項をしっかり学習しておきましょう。

例外処理がまずいんじゃないの?という規定です。
(1)情報開示の観点からは資産・負債を計上すべき(特に負債)
(2)例外処理がほとんどではまずい


(1)
ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引との違いを問う出題です。
解答は、ファイナンス・リース取引を定義した第5項をベースにしました。
ノン・キャンセラブルとフルペイアウトのファイナンス・リース取引の2要件を説明する形でもオッケーです。
4項がリース取引の定義である点も踏まえて、5項は特にしっかり読んでおきましょう。

(2)
これまで認められていた所有権移転外ファイナンス・リース取引に賃貸借処理が認められていた理由です。
最近の出題傾向からはありですので、おさえておきましょう。


所有権移転外ファイナンス・リース取引に関する出題です。
(1)
38項に所有権移転外ファイナンス・リース取引の性質が3点指摘されています。
最近の出題傾向からはこの中の一部をしぼって書かせるという出題が考えられます。
38項はしっかり学習しておきましょう。

(2)
所有権移転外ファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引と減価償却の方法等が異なります。
39項はしっかり学習しておきましょう。



貸手の会計処理からの出題です。
それほど重要性が高い感じではありませんが、所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸手における計上資産が所有権移転ファイナンス・リース取引とは異なっています。
移転→リース債権
移転外→リース投資資産
リース投資資産は、リース料を収受する権利(リース料債権)と見積残存価額相当額から構成される複合的な資産です。
リース料債権部分は、貸倒見積高の算出上、設定対象債権に含まれますが、見積残存価額相当額は、含まれません。