棚卸資産基準や工事契約基準などの新し基準をみていると「リスクからの解放」の考え方が反映されていることがよくわかります。

「リスクからの解放」をよりよく知っておくことが基準の理解には重要でしょう。

今年は棚卸資産基準がヤマにあがっています。

その41項なんかが、典型でしょう。

棚卸資産基準の41項を題材にリスクからの解放を考えてみました。
まずは、棚卸資産基準の41項です。

棚卸資産への投資は、将来販売時の売価を想定して行われ、その期待が事実となり、成果として確定した段階において、投資額は売上原価に配分される。このように最終的な投資の成果の確定は将来の販売時点であることから、収益性の低下に基づく簿価切下げの判断に際しても、期末において見込まれる将来販売時点の売価に基づく正味売却価額によることが適当と考えられる。


棚卸資産の期末評価額は取得原価です。

正味売却価額が取得原価は下回る場合は、正味売却価額をとります。

この正味売却価額として「期末の」正味売却価額をとる理由が41項です。


さて、リスクからの解放の考え方を同時にみておきましょう。

リスクからの解放は、純利益(収益・費用)の認識の考え方です。

概念フレームワークでは、リスクからの解放を次のように説明しています。

投資にあたって期待された成果が事実として確定すること


期待を目標や目的と読み換えるいいかもしれません。

事前に期待していたとおりの成果があがった(確定した)。

その段階で純利益(収益・費用)をとらえるのがリスクからの解放です。


コンビニのコピーで「あったらいいながある」というのがありました。

いわば「なったらいいながなる」がリスクからの解放です。

なったらいいなと思って投資をしたら、なっちゃった状態、それがリスクから解放された状態です。

ちょっとかっこよくいえば、「期待の事実」への転化ともいえるでしょう。


要点を2つにまとめれば、成果が、

(1)期待どおり

(2)確定する

段階で純利益を把握するのがリスクからの解放です。



棚卸資産に対する投資の期待は、販売してキャッシュを獲得することです。

その棚卸資産の収益(→売上)性の低下の判断も将来の販売時点を想定して行われるべきでしょう。

リスクからの解放の考え方をベースに41項をしっかり読んで、ついでに42項、43項と読み進めてみましょう。


リスクからの解放の細かい点については、下記記事をごらんください(よく書けてます←自分でいうな)。

リスクからの解放とは何か