財務諸表論の理論のド本命が棚卸資産基準ではないでしょうか。

いかにも怪しいです。

怪しすぎて出ないかもしれません(←なんじゃそりゃ)。
(1)棚卸資産の定義・範囲
棚卸資産は、端的には、「販売目的の資産」ですが、我国では文字どおり「棚卸をすべき資産」として捉えられています。
費用化の過程(その後に売上原価になるか否か)よりも、資産の管理の側面を優先させている面があります。
販売目的資産(商品等)だけでなく、一般管理目的資産(消耗品等)も含まれる点は意識しておくとよいでしょう。
棚卸資産基準の3項は必須です。
28項の4つの類型にも目を向けておきましょう。


(2)評価の基本的な考え方
棚卸資産の評価には従来の低価基準が強制されます。
基準の考え方は、「収益性の低下による帳簿価額の減額」です。
あくまでも取得原価基準の枠内にとどまる考え方である点を意識しましょう。
基本的な取扱いは、7項と17項です。

結論の背景も36項、37項、41項あたりが中心でしょう。
36項は取得原価基準の考え方との関係です。
取得原価基準が収益を生み出すという意味での有用な原価(回収可能原価)を示すことにその本質があります。
その点をふまえて棚卸資産基準の評価を考えましょう。

37項は、投資の回収形態からの考察です。
他の資産(債権、固定資産)とはどう異なるのかも踏まえてしっかり読み込みましょう。

41項が「期末の」正味売却価額を採用する理由です。

いずれも簡単に書けるようにしておきましょう。


(3)時価
時価についても整理しておくとよいでしょう。
棚卸資産基準で典型的に想定されている時価は、正味売却価額(売価−追加原価・費用)です。
しかし、一定の場合には、再調達原価(買価)をとることもできます。
再調達原価を採用できるのはより簡単に把握でき、正味売却価額と動きがリンクしているときで、継続適用を条件とします。


(4)後入先出法と先入先出法
後入先出法の廃止が予定されています。
両方法の特に長所短所をしっかりと把握しておきましょう。
後入先出法の短所が後入先出法の廃止理由でもあります。


(5)トレーディング目的
また、トレーディング目的の棚卸資産の取扱いは、売買目的有価証券と同じです。
おさえることは負担にはならないと思いますので、目をとおしておきましょう。
15項、19項です。
取扱の理由は60項です。
同様に時価評価され、評価差額が損益となる項目には、売買目的有価証券の他にデリバティブ取引により生ずる正味の債権・債務があります。



(6)その他の関連項目
収益性の低下を反映した処理としては固定資産の減損会計があります。
減損会計との類似点や相違点について考えておきましょう。
いずれも収益性の低下を反映した処理です。
判定の段階で減損の場合は、割引前のCFを利用します。
これに対して棚卸資産は、正味売却価額が帳簿価額を下回ったら評価損をたてます。
減損の方が判定が緩い分、戻しいれを行なうことはありません。
しかし、評価切下げのハードルが別に存在しない棚卸資産には、洗替処理が認められています。
洗い替え法と切放し法の基本的な考え方は整理しておきましょう。

従来の低価基準についての基本的な考え方は保守主義です。
この点、新しい棚卸資産の評価とは考え方が基本的に異なりますので注意しましょう。