モン吉:「あーあっ。先生の話はいつも前置きが長いんだよな。」

講 師:「なんかいったかな。」

モン吉:「あっ、先生、そんなところで立ち聞きはずるいですよ。」

講 師:「さっきからずっといるんだけど。」

モン吉:「えーっと、あっ、そうだ、先生。ここまでをかいつまんで説明してください。ほら、ボクおサルだし。」

講 師:「うまくかわされたなあ。それじゃあ簡単に。これまで財務会計の基準としては、企業会計原則があった。企業会計原則は体系的にできているので新しい変化についていくのが難しくて個別の会計基準がたくさんできるようになった。そんな理解でいいと思うよ。」

モン吉:「それが今の状況ですね。」

講 師:「そうだね。乱立って感じだね。こんな風に部分的に小さな会計基準をつくっているとどうしても相互に関連する部分が出てくるよね。」

モン吉:「具体的にいうとどんな場合ですか?」

講 師:「例えば、ストック・オプション基準っていうのがあるね。」

モン吉:「ストック・オプション?」

講 師:「企業が従業員なんかに給料のかわりに自分の会社の株を買う権利をあげることさ。」

モン吉:「ストック・オプションはまだやってません。」

講 師:「大丈夫。ただの慣れの問題だからちょっとがまんして聞いてね。」

モン吉:「はーい。」

講 師:「ストック・オプションは、多くの場合、要は給料なんだから最初の仕訳は、(借)給料(株式報酬費用)××(貸)株を発行する義務(新株予約権)××になるんだ。」

モン吉:「へーっ。株式報酬費用っていうんですね。」

講 師:「とりあえずは難しく考えないで給料でいいさ。」

モン吉:「貸方の新株予約権って何ですか。」

講 師:「これは企業からすると株を発行する義務だよ。」

モン吉:「株を発行する義務?」

講 師:「ちょっとわかりにくいかな。そうだ、従業員の側で考えるとどうだろう。」

モン吉:「えーっと、企業の側では株を発行する義務だから、従業員の側では株を買う権利ってことになるんですか?」

講 師:「そうだね。企業からみて株を発行する義務。従業員からみて株を買う権利。それが新株予約権だよ。」

モン吉:「なんかややこしいです。」

講 師:「そうだね。直接あるものを対象にしてるんじゃなくて、ものをいわば売買する権利って間接的なところがわかりにくいんだろうね。」

モン吉:「少しずつ慣れていきます。」


・モン吉くんと学ぶ概念フレームワーク(6)へ