最近、簿記論の問題の解き方の話をしていて感じたことです。
受験指導をするまで、総合問題の解き方は、試算表加工が唯一だと思っていました。

試算表の横にちょこちょこと数字で下限して、それに適宜T字を加えていく。

今でもそれが比較的よいと思っています。

でも、仕訳を別紙に書き出してうかる方もいます。

それまでは「仕訳を書かないとわからない場合」は仕訳を書くものだと思い込んでいました。

結構、衝撃的でした。

でも注意してみていると仕訳を別紙に書き出してスピードが出せる人にはいくつかの共通点があります。


一つは、科目を極限まで省略し、科目と金額がタテにきれいに並んでいる点です。

これはよく考えると後の金額集計のためであることがわかります。

仕訳を書くこと自体は、時間のロスの面があります。

それを補うには、集計の速度を上げるための小さな工夫を仕訳に行う必要があるということなのでしょう。



二つ目は、何しろ電卓がはやい点です。

電卓の音を聞いていればだいたいのスピードはわかりますが、とにかくマックスに近い感じです。

まあ、「ホントにちゃんと電卓たたいてるの?」という音がします。

逆にいえば、電卓がはやいからこそ仕訳集計が可能なのかもしれません。



三つ目は、やはり部分的には、仕訳を省略している点です。

仕訳そのものが即解答に結びつく場合は、解答用紙に記入するなどかなりの部分を実際に仕訳に書くとしても、実際には、やはり省略も行っているようです。

省略の程度は人により様々なようです。



注目したいのは、この三つ目の点です。

仕訳集計といいながら一部は省略し、解答用紙に直接書く。

試算表加工といいながらももちろん一部は省略し、解答に直接書く場合も少なくないでしょう。

こう考えると試算表加工と「工夫をこらした」仕訳集計の姿は、実はそれほど大きく違わないことに気づきます。

科目の動きが多いときにどこで集計をするかの違いはあります。

しかし、いずれも仕訳を何らかの形で集計可能にメモしているだけに過ぎません。

その過程(なれるまで)はかなり違うと思える問題の解き方も合格レベルまでいった完成形はそんなには大きく違わないようです。



では、それぞれの完成形をマネるとうまくいくのかというとこれは明らかに違います。

そもそも仕訳集計型の方の電卓スピードを簡単にマネることはできません。

電卓が早いことを生かす形で自分のスタイルが生み出されている。

このことはとても重要です。

逆に電卓スピードが遅い私の場合には、すぐに試算表加工に乗換えました。

大事なのは、自分に合った方法をとることです。

自分に合った方法をさらに細かい自分の特徴に合わせてちょっとずつ改良していく。

それぞれの完成形はそれほど変わらないにせよ、その道のりは大きく異なります。

完成形をまねる(解答手順等をまねる等)が重要なのではありません。

大事なのはそれぞれが微調整を図っていくことです。

小さな調整を積み重ねて、「自分の」完成形を目指しましょう!!