税理士試験受験生にとってははじまりの月でもある9月。

このブログのスタイルも少し考えていきたいと思っています。

テキスト的な記事はやたらと多いので、それよりもちょっと軽めの簿記や財務諸表論に関する記事も書いていきたいと思います。

で、とっかかりとして考えたのが検索ワード(フレーズ)です。

わからないからこそ検索をする訳です。

しかも、割と長めに疑問そのもので検索する場合もあるようです。

そんな長めの検索ワードに勝手に答えてしまおうという企画です。

初回は、昨日の検索ワードにあった「なぜ仕入諸掛は仕入に含めるのか?」です。

自分なりの回答を考えた上で、続きを読んでみてください。

仕入諸掛を仕入に含める理由は、きちんとした損益計算(もちろん財産の計算も)を行うためです。

今、仕入諸掛と販売諸掛を例にとって両者の取扱いの違いを眺めながら考えてみましょう。

諸掛としては、商品の送料を考えます。

送料は実際には、必ずしも個数に比例してかかる訳ではありませんが、完全比例させて考えます。

(前提)
商品原価@100円
商品売価@120円
購入時送料@5円
販売時送料@5円
期首なし
第1期に2個仕入
第1期に1個販売
第2期に1個販売

まずは、状況を整理しましょう。
1個100円の商品(ジュースとか)を仕入れて120円で販売する。
仕入時に送料が1個5円かかる。
販売時に送料が1個5円かかる。
第1期に2個の商品を仕入れて、1個販売して、1個売れ残った商品を第2期に販売しています。

まずは正しい会計処理です。

(正しい会計処理)
<第1期>
仕入時:仕入200 現金200
諸掛 :仕入 10 現金 10
販売時:現金120 売上120
諸掛 :販売費 5 現金  5
期末時:繰越商品105 仕入105

<第2期>
販売時:現金120 売上120
諸掛 :販売費 5 現金  5

(損益計算)
<第1期>
売上120−売上原価105−販売費5=10
※売上原価:仕入200+10−期末105=105

<第2期>
売上120−売上原価105−販売費5=10


次に、仕入諸掛を費用として処理した場合の会計処理です。

(誤った会計処理)
<第1期>
仕入時:仕入200 現金200
諸掛 :費用 10 現金 10
販売時:現金120 売上120
諸掛 :販売費 5 現金  5
期末時:繰越商品100 仕入100

<第2期>
販売時:現金120 売上120
諸掛 :販売費 5 現金  5

(損益計算)
<第1期>
売上120−売上原価100−費用(仕入諸掛)10−販売費5=5
※売上原価:仕入200+10−期末105=105

<第2期>
売上120−売上原価100−販売費5=15


このように2つの処理を比べてみると仕入諸掛を仕入に含めて、未販売分を繰越商品として繰越すかどうかが両処理方法の違いであることがわかります。
大事なのは、どちらがより合理的か?という視点です。

できるだけ数字を小さくして、具体的に考えてみる。
同じ商品を2個仕入れる。
仕入れただけでは損益は発生しない。
その商品を1個ずつ、違う期に販売したときに損益が同じ方が筋が通っているのではないか。
そうするためには具体的には、どう処理すればよいのかが見えてくるのではないでしょうか?


(関連記事)
仕入諸掛