企業会計原則の一般原則の第三原則は、資本と利益の区別を要求する原則です。

前段で資本取引と損益取引の区別を要求しています。

後段の意味の解釈は、わかれるようです。

伝統的に考えられていたのは、もとで(払込資本)ともうけ(留保利益)の区別です。

しかし、第三原則の後段をめぐっては、もう一つの考え方があります。

もう一つの考え方は、前段と後段の意味を区別しません。

企業会計上、もっとも重視されるべきは期間損益計算であり、資本と区別すべき利益は、期間損益のみだとする考え方です。

この考え方によれば、区別されるべき資本は、唯一、期間損益計算を行う上で純利益から区別されるべき資本、つまりは期首の自己資本(株主資本)になります。

一般原則の後段に前段と区別された意味を見出さないのです。

このような考え方は株式市場で企業に資金を投下する投資家の姿を想像するとわかりやすいかもしれません。

投資家にとって重要なのは自らが投下した資金とそのリターンです。

自分の投下資金と将来の株価が大きな関心事です。

企業の側で大事なのは、ある時点での自己資本とその後の自己資本の利用による増加(利益)の関係でしょう。

大事なのは、期首自己資本と利益の区別。

払込資本と留保利益の区別は大きな意味を持たない。

もとでともうけの区別はそれほど重要ではない。

そんな考えがあります。



仮に払込資本と留保利益の区別がそれほど大事でないならその内訳にさほど関心が向かなくなるのも当然でしょう。

このような考え方は、アメリカで強いようです。

会社法では、株主資本を資本金、準備金、剰余金と区分しています。

しかし、その内訳(資本か、利益か)には、それほど大きな関心を払っていません。

会社法そのものは、従来よりもややこのようなアメリカ型の考え方に目が向いているといってよいかもしれません。

このような考え方のもとではそもそも資本と利益の源泉別区分を重視しません。

その個別的な内訳が部分的にマイナスになることに関心がないのです。

その他資本剰余金のマイナス。

別にいいじゃん。

そんな考えが許容されるとすればその背後には、資本と利益に関する上記のような考え方があるといえるかもしれません。