配当可能額なんてないんだよ企画。

いよいよ本題です(←マジ?)。

資本と利益の区別に関しては議論があります。

今回はもしかするとこの議論が間接的に間違いを誘発する原因になったかもしれません。

いや、私の中で間違いと言い切れなかった原因はここにありました。

企業会計原則の一般原則第三は次のように述べています。

「資本取引と損益取引を区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」

平成19年の財務諸表論の理論でも問われたこの原則。

前段について議論はないといってよいと思います。

資本取引と損益取引を区別しなければ、正しい損益計算はできません。

微妙なのが後段です。



伝統的にいわれているのは、「もとで」と「もうけ」の区別です。

株主から拠出されたもとでとしての資本。

企業が営業活動で獲得したもうけとしての利益。

この両者をきっちりわけろというのがこの考え方です。

背後には資本維持を通じた株主と利害関係者の利害調整の考え方があります。

もとでをもうけと混同して株主に配分しては、債権者が困るという考えです。

この考え方のもとでは、もとで(株主の払込資本)をもうけ(留保利益)と混同することがもっとも嫌われます。

少なくとも企業会計原則のこの文章を読むかぎり、そう解釈されるでしょうし、そう解釈されてきたといってよいでしょう。

この考え方によれば資本と利益の区別の原則(後段)における資本は、もとで(払込資本)を意味しているといえます。



このような立場からは、その他資本剰余金をマイナスにして配当?

ふざけんじゃないわよ。

そんな考え方もでてきそうです。

私自身は、その他資本剰余金を利益剰余金と同様に配当可能としているのが現行の会社法ですから、会社法のあるべき姿として違和感を感じません。

そもそも「もとで」を配当している訳ですから。

ただし、その他資本剰余金のマイナス→利益剰余金からの減額はまずいのではとする考え方もあるでしょう。

しかし、この考え方は、あくまでもあるべき姿を語ったものです。

会社法の観点でいえば立法論に過ぎないというべきでしょう。

例えば、かつて旧商法に存在した繰延資産のうち会計理論上は資産性を持たないものがありました(建設利息等)。

企業会計上、資産ではないから資産計上してはならないということにはならないハズです。

企業会計上、資産性を持たないものを商法等で認めるべきではないという議論にはなるかもしれません。

でも、それはあくまでも立法論です。

その他資本剰余金の全額を配当することを会社法は認めているし、それを排する根拠はないと考えるべきではないでしょうか。