配当可能額はないんだよ企画。

これはちょっとわき道の話です。

でも、言葉に敏感な方は、この面から追いかけてみるとおもしろいです。

旧商法時代は、利益準備金の「積立て」でした。

会社法(445条4項)では、準備金の「計上」です。

会社法での「積立て」と「計上」の使い分けを考えてみました。

単に用語がかわった。

それだけでは、会社法を考える上での参考にはなりにくいです。

でも、会社法がどう考えているだろうかを伺うことはできます。

私は使い分けていると思います。


「積立て」⇒ある項目を減らして、他のある項目を増やす(振替の要素アリ)

「計上」⇒ただある項目を増やす(振替は念頭にない→意識していない)


会社法で「積立て」ということばを一切使っていないなら、単に一斉にことばを置き換えてみんな「計上」にしたただけの可能性もあります。

でも、会社法にも「積立て」がありました。

452条です。

「株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分……をすることができる。」


この場合の任意積立金の積立ては、会計上も繰越利益剰余金を減らして、任意積立金を増やすことが想定できます(振替)。

会社法で「積立て」ということばを残している以上、「計上」とのニュアンスの違いはあると考えるのが自然です。

445条4項の「計上」には、他のある項目を減らすというニュアンスは必ずしも含まれているとは読めない。

そう考えるのが自然だと思います。



このブログにもたぶん「準備金の積立て」という記述は残っています。

えーっと、これは怠惰(ないしは見落とし)です。

今でも「積立て」とつい書いてしまいます。

準備金を「積む」とか反射的にいってしまいます。

でも、今後は「計上」の方が会社法の表現に即していると思います。

配当可能額があると書かれた書籍等の記述に、「積立て」という表記が多いのは偶然でしょうか?

配当可能額に言及がない書籍等の記述に、「計上」という表記が多いのは偶然でしょうか?

会社法を参照した記述は会社法の条文に近いものになり、その取扱いも会社法に則している。

旧商法の記述から脱しきれていない記述は、その取扱いまでも旧商法から脱しきれていないとみる方が自然に思えます。

いや、違うんだ。

別に根拠があるんだという方の反論、お待ちしています。