(未実現利益控除法)
モン吉:「えーっと、未実現利益控除法はどうやるんでしたっけ?」

講 師:「まずは一連の処理を確認しておこう。」


(回収基準:未実現利益控除法)
仕入時:(借)仕   入   80 (貸)現    金 80

売上時:(借)割賦売掛金  100 (貸)割賦売上  100

回収時:(借)現   金   50 (貸)割賦売掛金  50

決算時:(借)繰延売上利益控除10 (貸)繰延売上利益 10


モン吉:「決算以外は、ただの販売基準と同じですね。」

講 師:「そうだね。だから未実現利益控除法のことを修正販売基準って呼ぶ人もいるよ。」

モン吉:「販売基準での処理に修正を加える感じだからですね。」

講 師:「そうだね。」


(未実現利益控除法の決算整理)
講 師:「未実現利益控除法は、販売基準の処理と途中までは一緒だから決算整理の意味が重要なんだ。」

モン吉:「決算整理にはどんな意味があるんですか?」

講 師:「販売基準の利益を回収基準の利益に調整する意味があるんだ。」

モン吉:「具体的にはどういうことですか?」

講 師:「ちょっと具体的に考えてみよう。対照勘定法をイメージすると回収基準の利益はどう計算されるかな?」

モン吉:「えーっと。売上は回収額の50円。これに見合う原価は、50円×原価率0.8(原価80÷売価100円)=40円。利益は10円です。」

講 師:「それじゃあ販売基準での利益はいくらかな?」

モン吉:「えーっと。売上が100円。これに見合う原価は、80円。利益は20円です。」

講 師:「未実現利益控除法は、途中まで販売基準と同じだから、期中は販売基準と同じ利益が計上されてるよね。」

モン吉:「処理の仕方が一緒なんだからそうなりますね。」

講 師:「回収基準との差は、未回収部分の利益(未回収額×利益率)だよね。」

モン吉:「この例でいえば、未回収額50円×利益率20%=10円ですね。」

講 師:「その部分の利益をマイナスしてあげれば、つじつまが合うよね。」

モン吉:「えーっと、販売基準の利益が50円。回収基準の利益が40円。はい、合います。」

講 師:「それが借方の繰延売上利益控除さ。」

モン吉:「控除っていうのが繰入じゃダメなんですか。」

講 師:「この場合、販売基準と同じでは計上しすぎの利益を減らす意味だけど、費用を追加(繰入)する訳じゃないから控除かな。」

モン吉:「たまに戻出っていうのもありますけど。」

講 師:「そうだね。もはや何いってるのかボクにも分からないけど戻入の逆だから戻出って、控除と同じ意味って感じでいいと思うよ。」


(繰延売上利益の意味)
モン吉:「それじゃあ、繰延売上利益はどんな意味なんですか?」

講 師:「ここは難しいんだけど、利益を先送りするために生じた貸方項目だから繰延収益かな。」

モン吉:「繰延収益?」

講 師:「利益(収益)を先送りすれば、貸借対照表の貸方項目が生ずるね。まあ、前受収益に近いって考えてもらうといいかな。」

モン吉:「前受収益の方がちょっとは分かります。」

講 師:「あとは、もともと販売基準と同じ売掛金をたててるけど、これがたてすぎって考える余地はあるかもしれないね。」

モン吉:「売掛金のたてすぎですか。」

講 師:「だから割賦売掛金のマイナスの評価勘定って考える余地はあるかな。」

モン吉:「難しいです。」

講 師:「そうだね。本来は回収時点で収益(売上)をたてればいいけどそれが面倒なんでインチキをして販売基準みたいにやってる。そのために生ずる項目だからその性格は単純じゃないね。」

モン吉:「試験ではそのことを知っていないとダメなんですか?」

講 師:「いや、ここは考えてまったくムダになるとも思わないけど、試験的な重要性はないって考えていいよ。」

モン吉:「ちょっと安心しました。」


モン吉くんと学ぶ割賦販売(6)


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