(総記法)
講 師:「分記法は、簿記処理としてはいい方法だと思うけど実際には採用されていない。」

モン吉:「売上原価と商品販売益を分けるのがめんどうなんでしたね。」

講 師:「で、3分法といきたいところなんだけど、その一個手前の処理方法があるんだ。」

モン吉:「どんな処理方法なんですか?」

講 師:「商品を買った時は借方:商品、売った時は貸方:商品という方法さ。」

モン吉:「それだと分記法と同じじゃないですか。」

講 師:「貸方:商品が売価なんだ。」

モン吉:「えっ。売価?」

講 師:「商品を売った時に商品勘定の貸方に売価で記入する方法を総記法っていうんだ。」

モン吉:「総記法ですか。」

講 師:「分記法が売上原価と商品販売益をその都度分けるのに対して、売価総額で記録するから総記法かな。」

モン吉:「なんかわかりにくいです。」

講 師:「確かに違和感はあるね。でも売上原価がわからない(出すのがめんどくさい)から貸方:売価で商品ってことなんだ。」

モン吉:「でも、売価で商品勘定の貸方に記録したら商品勘定はメチャクチャじゃないですか。」

講 師:「そうなんだ。メチャクチャなんだよ。」

モン吉:「メチャクチャでいいんですか?」

講 師:「もちろん決算整理仕訳が必要になるんだけど、具体的な例でみておこう。」


(条件)原価:100円 売価:120円

(当期)期首:なし 仕入:2本 売上:1本 期末:1本

(期中)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 120


モン吉:「おなじみのジュースの例ですね。」

講 師:「この場合に商品勘定は、80円になっているけど実際の商品は、100円だよね。」

モン吉:「80円という金額にそんなに意味はないんですね。」

講 師:「そうだね。あまり意味はないな。」

モン吉:「このままじゃいけないんじゃないですか?」

講 師:「もちろん決算整理仕訳がいるんだ。」

モン吉:「どうするんですか?」

講 師:「(借)商   品20 (貸)商品販売益20っていう仕訳が必要だね。」

モン吉:「なんかピンときません。」

講 師:「総記法の一連の処理と分記法の一連の処理を並べてみようか。」


(分記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 120
                 商品販売益 20

決算:なし

(総記法)
仕入:(借)商  品200 (貸)現  金 200

売上:(借)現  金120 (貸)商  品 100

決算:(借)商  品 20 (貸)商品販売益 20


講 師:「どうだろう?」

モン吉:「どうでしょう?」

講 師:「こう並べてみると分記法が販売益をその都度出しているのに対して、総記法が決算で一回だけ販売益をたてる方法ってわかるかな。」

モン吉:「分記法と総記法の違いは、販売益のたて方なんですね。」

講 師:「普段は、販売益も含めて売上時に貸方に記録するんで決算でその販売益の金額で仕訳をきるとうまくいくね。」

モン吉:「これも不思議ですけど、二つの方法の処理を並べてみるとなんかわかった気がします。」

※総記法で期末商品を貸方に記入したとした場合に借方差額が商品販売益になる理由については、次の記事をご参照ください。
総記法の決算整理


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