資本維持の本質に迫るモン吉くんの大冒険。

これまでのお話はこちらです。

モン吉くんの大冒険(1)
モン吉くんの大冒険(2)
モン吉くんの大冒険(3)
モン吉くんの大冒険(4)
モン吉くんの大冒険(5)
モン吉くんの大冒険(6)
モン吉くんの大冒険(7)


資本維持の考え方は、企業維持(企業活動の維持)を意味しています。

単純には、出資者から受入れた額面金額を「もとで」として維持する。

このような意味での資本維持が「名目資本維持」です。

現行の制度で考慮されているのは、この名目資本維持です。

しかし、モン吉くんの例でもわかるように、名目資本維持は、物価上昇に無力です。

物価の変動を加味した本当の資本維持は、実体資本維持や実質資本維持などと呼ばれます。


モン吉くんの例では、維持すべき資本は物価の上昇で上がっていたのです。

維持すべき資本は、物価が倍に上昇し、100円から200円にあがっていました。

モン吉くんはそのことに気づかなかったのです。

モン吉くんの例のように物価が急激に上がることはマレでしょう。

しかし、ジワジワと物価があがっていくケースで、知らず知らずに企業活動の維持ができない。

そんなことはあるかもしれません。

モン吉君の例では、名目資本は100円です。

これに対して本当の意味での維持すべき資本は、200円だったのです。

このように資本維持は、企業活動において維持すべき資本の量(お金の量)の話であり、少なくとも会計の理論的には、物価変動も加味すべきことがわかります。




もっとも現実の物価変動に対する会計の対応は、「もとで」の維持というより、むしろ「もうけ」の計算、損益計算の適正化に注がれたといった方がよいかもしれません。

維持すべき資本を算出するというより、損益計算をきっちりと行う。

適正な損益計算を行った残りを維持する。

企業会計の大きな目的が損益計算にあると考えるとこちらの方が自然かもしれません。

いま一度、モン吉くんの例で、「もうけ」の計算、「損益計算」がどのように行われたのかを考えてみましょう。


(2)仕入:(借)仕  入100 (貸)現  金100

(物価が倍)

(3)売上:(借)現  金400 (貸)売  上400


損益計算は、物価上昇後の売上400円−物価上昇前の仕入(売上原価)100円=300円で計算されます。

損益:売上400円−売上原価100円=300円


この損益計算は、合理的ではありません。

なぜなら、引算が合理的ではないからです。

対応関係がきちんととれていないのです。

「売上」400円が物価上昇後の金額なのに対して、「売上原価」100円が物価上昇前の金額です。

では、どうすれば、損益計算の合理性は保てるのでしょうか。

「もうけ」はいかに計算されるべきなのでしょうか。


モン吉くんの大冒険(9)