次の企業会計原則の規定に関連する下記の各問に答えなさい。
「貸借対照表は、企業の( ア )を明らかにするため、( イ )におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。」

問1 空欄( ア )、( イ )に該当する語句を答えなさい。

問2 空欄( ア )は、「討議資料 財務会計の概念フレームワーク」(以下「概念フレームワーク」という。)では、何と呼ばれていますか。

問3 企業会計原則のもとでは負債とされていた項目で、現行制度上は負債に該当しなくなった項目を1つあげ、その取扱いの変更の理由を簡単に説明しなさい。

問4 企業会計原則では貸借対照表に資産、負債、資本を記載するものとしています。このうち現行制度上は、その呼称に変更がみられるものがあります。その呼称を指摘するとともにその変更の理由を簡記しなさい。

問5 問4における変更後の区分は、( ウ )と( ウ )以外に細分されます。( ウ )に該当する語句を指摘し、細分の理由を説明しなさい。

問6 あなたが問4及び問5で指摘した名称と「概念フレームワーク」における純利益と包括利益との関係を説明しなさい(個別財務諸表を前提にすること。)。

(解答欄)
問1
ア(1語)
イ(1語)

問2(1行)

問3
負債に該当しない項目(1語)
その理由(2行)

問4
旧名称(1語)
変更後名称(1語)
理由(5行)

問5
名称(1語)
理由(3行)

問6
純利益と関係がある名称(1語)
その関係(2行)
包括利益と関係がある名称(1語)
その関係(2行)


(解答)
問1(各1点)
ア(財政状態)、イ(貸借対照表日

問2(1点)
投資のポジション

問3(項目1点、理由3点)
負債に該当しない項目(新株予約権
その理由(新株予約権は返済義務のある負債ではなく、負債の部に表示することは適当ではないため

問4(旧名称1点、変更後名称1点、理由4点)
旧名称(資本
変更後名称(純資産
理由(貸借対照表上、資産性又は負債性を持つものを資産の部又は負債の部に記載することとし、それらに該当しないものは資産と負債との差額として、純資産の部に記載することとした。この結果、報告主体の支払能力などの財政状態をより適切に表示することが可能となる。

問5(名称1点、理由3点)
名称(株主資本
理由(財務報告における情報開示の中で、特に重要なのは、投資の成果を表す利益の情報であると考えられる。純利益とこれを生み出す株主資本は重視されるべきであり、純資産を株主資本と株主資本以外の各項目に区分することとした。


問6(名称各1点、関係各3点)
純利益と関係がある名称(株主資本
その関係(損益計算書における当期純利益と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額が一致する
包括利益と関係がある名称(純資産
その関係(包括利益と資本取引を除く純資産の当期変動額が一致する


(解説)
問1
貸借対照表原則一をベースに作成してみました。
貸借対照表原則では、同様に五をベースにした出題も想定されます。
貸借対照表原則一、五は、言葉にこだわりを持ちながら熟読しましょう。
熟読した上で穴埋めは(覚えてなくても)当然にできる。
そんな重要度の規定だと思います。

問2
概念フレームワークでは、財政状態と経営成績の代わりに、投資のポジションと成果という表現をとっています。
企業会計原則と概念フレームワークでの位置付けの確認の意味で出題しました。
貸借対照表原則一では、利害関係者として株主や債権者をあげています。
概念フレームワークでは、これが「投資家」一本です。
投資家への投資意思決定に対する有用性を最も重視したのが概念フレームワークです。

問3
貸借対照表の純資産の部は大きく変りました。
その前提にあるのは、資産と負債の限定です。
資産と負債をきっちりと固めるからそこからはじかれたものが純資産になる。
で、そのはじかれた負債を指摘して、説明しなさいという出題です。
解答スペース等から負債の説明まではよいでしょう。
模範解答では、新株予約権をあげています。
繰延ヘッジ損益でもかまいません(←こっちをあげる人は少ないと思いますが)。

問4
資本→純資産への変更の理由を問う出題です。
解答は、純資産基準の21項をベースにしたものです。
内容があってさえいればかまいません。
基準の文章そのものにこだわる必要はないでしょう。

問5
純資産の細分は、株主資本の別掲にその狙いがあります。
投資情報として重要性の高い純利益とこれを生み出す株主資本との関係を意識しましょう。

問6
問4と問5に連動させた出題です。
純資産の増→包括利益
株主資本の増→純利益
という関係をきちんと説明できるかがポイントです。


純資産は、今年の大ヤマです。
本問では、貸借対照表原則一と概念フレームワークを題材にしました。
それ以外に一般原則二(と注解2)や自己株式基準との関連は要注意でしょう。
横断的な項目としては、ストック・オプション基準や株主資本等変動計算書基準との関連もあわせて学習しておきましょう。