会計基準、読んでますか?

会計基準が過去出題にどのように反映されているのか。

財務諸表論の過去問を小問化してお届けしています。

(問題)
工事進行基準……(は)、実現基準の例外とされている。このような例外的な収益認識基準が認められる理由を、簡潔に述べなさい。

(解答)
長期請負工事は契約により相手先・請負金額が確定している。
また、工事進行基準を採用することにより企業業績を適正に示すことができる。
以上の理由から狭義の実現の要件(引渡等)を満たしていなくても合理的な収益の計上が認められる。


(関連会計基準)
・企業会計原則 注解7

(関連記事)
企業会計原則の読み方(実現をのばす)


(コメント)
企業会計原則では、収益の認識(いつ)は、実現主義です(損益計算書原則一Aただし書、三B)。
長期工事の請負の場合に実現主義を具体化した基準が工事完成基準です。
やや大きなくくりでの考え方(実現主義、発生主義)との関係は、次のとおりです。

工事完成基準→実現主義
工事進行基準→発生主義

で、損益計算書原則三Bをみると、工事進行基準が採用「できる」と書いてあります。
で、関連付けのしてある注解7をみると工事進行基準と工事完成基準が選択です。
しかも、工事進行基準が先です。

収益の認識は実現主義が原則。
でも、注解7では選択(しかも進行基準が先)。
それは何故なんだろう?
という疑問が学習段階で出ていれば、それに対する答えをみつけようとするハズです。
で、そこまで到達していれば、それなり(合格点)の答案が書ける。
その意味で出題意図が涙が出るくらいわかる出題です。
でも実際にできるかは別問題だったりします。

実現主義は、収益の認識を第三者との取引があった時点で行います。
第三者との取引が基礎にあれば、計上すべき金額ははっきりしており、確実だからです。
このような客観的で確実な収益の計上が、制度上の処分(配当等)可能な利益の算定に役立ちます。

このような考え方は、大量生産・見込販売を前提とした商品(コンビニ商品等)についてピッタリです。
でも、例えば長期工事の請負のように相手先が決まっており、金額も決められているような場合はどうでしょうか。
売れることは間違いない。
金額も進行に応じて計上すれば合理的。
工事進行基準によっても実現主義が採用される根拠(収益計上の確実性・客観性)をそれほどじゃましないのです。

工事期間が長期に及ぶ場合はどうでしょうか。
工事期間が長期に及ぶ場合、工事完成基準によれば、工事収益は工事の完成引渡期にいっぺんに計上されます。
販売努力は終え、数期にもわたって工事をして、収益は完成引渡期だけに計上するのでは、企業業績(どれだけ儲かったか)を考える上でも問題がありそうです。

注解7で、工事進行基準と工事完成基準をどちらが原則という関係におかず、選択としているのもこのような事情からといってよいでしょう。
企業業績をきっちり示すという点でいえば、むしろ工事進行基準を原則的とすべきという考え方もあります。