平成19年からの簿記論での変更点は、純資産関連が多いです。

純資産関連の勘定科目の使い方をまとめてみました。

(1)資本準備金
資本準備金には、株式払込剰余金と合併差益等があります。

勘定科目は、企業の自由という側面があります。

ある程度、内訳をとるという考えもあるかもしれません。

ただ、実態のある資産、負債科目とは異なり、企業にとって会社法や会計基準で要求される以外の内部的な管理の必要はなく、その実益もないでしょう。

会社計算規則では内訳も想定していません(108条4項)。

また、その他資本剰余金から配当を行った場合には、資本準備金を積立てることになります。

この場合に、資本準備金の細目はありません。

この場合だけ資本準備金でそれ以外は、株式払込剰余金というのも不自然でしょう。

という訳で、株式払込剰余金等の勘定科目よりも、資本準備金という「勘定科目」が多くなっているようです。


(2)その他資本剰余金
その他資本剰余金には、自己株式処分差益と資本金及び資本準備金減少差益があります。

会社計算規則では、細分できるとされています(108条5項)。

しかし、資本準備金の場合と同じく、個別に管理する必要も実益もないと思います。

また、その他資本剰余金の残高よりも自己株式の消却額が多いときに、個別の勘定科目では、やや不自然です。

会計基準で、会計期間単位でのその他資本剰余金のマイナスを想定している以上、勘定科目としてもその他資本剰余金が自然でしょう。

この点、現状での会計処理はマチマチのようですが、その他資本剰余金という勘定科目の方が自己株式の処分・消却等も視野に入れると自然ではないかと思っています。


(3)繰越利益剰余金
その他利益剰余金には、繰越利益剰余金と任意積立金があります。

任意積立金(新築積立金等)の積立ては、株主のある種の意思表明です。

ので、これを繰越利益剰余金と区別することにそれなりの意味はあるでしょう。

で、こちらは、その他利益剰余金と一括せず、繰越利益剰余金、新築積立金等と区分するケースが多いようです。

で、やや気がかりなのが従来の二勘定制との関係です。

これは、繰越利益剰余金での一勘定制の定着を祈っています(←祈るのね)。

うーん、これは祈りがいがありそうです。

はい。