財産法的な利益である包括利益を純利益に絞り込むために概念フレームワークがとった考え方、それが「リスクからの解放」です。

概念フレームワークでは、「リスクからの解放」を投資目的てらして期待された成果が事実として確定することを意味するとしています。

投資目的どおり、期待どおりの確定した成果があがった状態が「リスクからの解放」のタイミングです。

企業投資の目的が資金(キャッシュ)の増大にあるなら、典型的には、キャッシュの獲得によりその成果が確認されるといってよさそうです。

しかし、単純な意味での現金の受領では、現金主義と何ら異なりません。

もう少し手前から概念フレームワークの考え方をみておきましょう。


企業は投資家から調達した資金を運用し、さらなる資金の獲得を目指しています。

調達した資金を超えて獲得した資金が、ラフには、利益です。

この利益の獲得を企業は目指しています。


もっとも、常に利益があがるとは限りません。

損をすることもあるでしょう。

企業に投資をする投資家も同じです。

投資家も利益獲得を目指して企業に資金を投じますが、損をすることもあるでしょう。

投資家は自らの資金をもしかしたら資金が減ったり、無くなってしまうかもしれない不確実さというリスクをかかえています。

そのリスクをかかえながらも、大きなリターンを狙って企業に投資を行います。

企業もその資金が増える事を狙いに、しかし減るかもしれない不確実さというリスクを抱えています。

企業もまた不確実なリスクを抱えた状態で、事業に資金を投下してより多くの資金(つまりは、回収余剰としての利益)を獲得する事を目指します。


概念フレームワークでは、このような企業と投資家の関係を想定し、企業に資金を投下する投資家を最も中心的な利害関係者と考えました。


利害関係者には、投資家以外にも様々な者が存在します。

現在の出資者たる株主や債権者はもちろん、企業の主要な利害関係者でしょう。

それ以外にも取引先、従業員や国、地域住民など、企業をとりまく利害関係者は、多様です。


概念フレームワークでは、その典型として投資家を選びました。

しかも極めて情報に精通した機関投資家(投資の専門家です)を想定しています。

投資家のみを対象とし、投資意思決定(つまりは、株や債券を売ったり買ったりの判断)に資するのが、財務報告の目的であると考えました。

会計情報に求められる最も重要な性格を投資の意思決定に対する有用性に置いたのです。

ぶっちゃけ、株を売ったり買ったりする人の判断材料が会計情報だと考えたのです(←ぶっちゃけすぎ?)。

この事に対して異論をはさむことはもちろん可能でしょう。


利害関係者には、投資家以外にも様々な人々が存在し、財務報告の目的も一つとは限りません。

しかし、主たる利害関係者として投資家(機関投資家)を想定する。

概念フレームワークでは、その投資家の投資意思決定に対する有用性をもっとも重視したのです。

企業へ資金を投ずる投資家を最も重視したのです。


ってゆうか、私は重視されてるんでしょうか?(←されてません)



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