【質問】
建物の売却においてたとえば
累計額400 /建物1100  
現金預金500/
売却損200/
という仕訳がありますが
売却損は、この仕訳を見る限り
非現金支出費用であるから、減価償却費と同じように自己金融効果と固定資産の流動化があると考えていいのでしょうか?
財表では減価償却費のみ習ってたので、ほかはどうなのかというのが気になってました。
【回答】
これは私もあまり考えたことがないですが、ちょっと考えてみました。
簿記的な勘定の流れは、減価償却の場合と同じそうです。
「資産→費用」という流れをたどっています。

ただし、固定資産の売却損益については、損だけではなく、益も考えられます。
売却損だけをとりあげると、はじめから「資産→費用」という流れが想定されている訳ではないことがわかります。
売却損(のみ)と「当初の固定資産の支出と減価償却」と同様に考えるのは、少しムリかなあと思います。

固定資産売却「損」の場合には、形式的には、当初の取得原価の一部であることは間違いありません。
しかし、減価償却は、計画的な取得原価の費用配分ですから、取得時(支出時)に想定できることのみでその効果も考えるべきなんでしょう。
取得時にぼんやりと想定される誤差まで考えて、その効果を論じるまでもないといったあたりなのかもしれません。

他方、他の項目に目を向けてみますと、例えば、繰延資産や長期前払費用なども固定資産と同様に「資産→費用」という流れをたどります。
しかし、繰延資産の償却等について、自己金融効果や資金の流動化云々の話は聞きません。
これは無形固定資産なんかも同様でしょう。

とすると有形固定資産に固有の側面があるということかもしれません。
有形固定資産は、長期にわたって使用される資産です。
その資産がなくなってはいおしまいという感じではなく、新たな同等の資産を取得する必要がある場合も多いでしょう。
取得時には、もちろん資金が必要です。

このように有形固定資産には、(あらかじめ見込まれる)買換え需要がある場合が多く、そのための資金の問題も付きまといます。
逆にいえばこのような資金需要が見込まれるからこそ、それに見合う会計上の効果(自己金融効果)が論じられるのではないかと思います。