企業を取り巻く利害関係者は、企業に対し、様々な関心を持っています。
その関心の在り方は、一様ではありません。
時としてその利害が対立する事もあるでしょう。
このような対立を調整するには、あらかじめ会計のルールを定めておく必要があります。
会計のルール(規範)のうち社会的に妥当と認められるものを「会計原則」(または「会計基準」)といいます。

これまでの「会計原則」は、実際に行われている会計の中から妥当と思えるものを要約し、体系化してできあがっていました。
このようないわば慣習の要約としての「会計原則」は、「一般に認められた会計原則」と呼ばれます。
こんなルールをあらかじめ決めておくのではなく、すでに行われている会計の中からよさそうなものを集める方式です。
慣習の要約として我国でこれまで中心的役割を果たしてきた「会計原則」が、「企業会計原則」です。
この「企業会計原則」をはじめとする「会計原則」(「会計基準」)の習得が財務諸表論の中心的課題になります。

(まとめ)
会計の社会規範は、「会計原則」(会計基準)と呼ばれ、我国では慣習の要約として形成されてきている。
社会的に認知された「会計原則」は、「一般に認められた会計原則」と呼ばれ、我国では、「企業会計原則」がこれに該当する。
(利害調整機能と会計原則)
株主は、企業が利益を得て、その利益の配分にあずかりたいます。
また、債権者は自分の債権がきちんと返ってくるかに関心があるでしょう。
計算上(会計上)利益が過大に計上され、これが株主に分配されれば、会社財産が不当に流出し、債権者は、自らの債権の回収ができなくなる恐れがあります。
しかし、株主にとって、企業が正当な利益を得て、その利益の分配に預かることは当然でもあります。
このように、代表的な利害関係者である株主と債権者の利害は、対立します。
会計には、このような利害を調整する機能が期待されています。
このような利害調整機能をきちんと果たすためにも会計原則(会計基準)は不可欠といってよいでしょう。