本年の第二問 問2は、昨年の第1問で出題されている売価還元低価法を中心とした出題でした。
第3問での期中処理、税効果、消費税ありは、3年連続になります。
このような同様の出題項目等が継続する傾向が来年もみられるかどうかはわかりませんが、過去出題の検討が重要な事は間違いないでしょう。

以下は、コメント欄にいただいたじゅんさんの感想です。
あまりにすばらしいので、ご許可を得て、記事として公開させていただくことにしました。



第56回 税理士試験簿記論 私はこう解いた(以下が、じゅんさんのご寄稿です)


はじめまして。頻繁にではないですが(←申し訳ありません)拝見させていただいております。
ちなみに、レベルは、平成16年6月日商1級合格、平成16年度簿記論不合格(A)、今年度のTAC直前答練で上位10〜15%、TAC全答練61点、大原全統模試44点です。


(第一問)
第一問についてですが、問題用紙の1ページ目が透けて見えたので、最初は簿記一巡型の推定問題かと思いましたが、開始とともページをめくってみたら、キャッシュ・フロー計算書があって、「おー、ついに」と思いました。ただし、問題構造を検討してみるに、キャッシュ・フロー計算書自体の解答要求箇所もありますが、実質は期中取引の資料として、C/Fが与えられている推定簿記問題と考えて解答していきました。

解答順としては、解答欄順で資料が複雑でないものからということで、〕価証券、Lな法人税等、つ拘借入金、イ修梁召留超犯顱↓Ъ取利息配当金、社債の償還による支出、備品減価償却累計額まで、比較的順調に解いていきました。なお、つ拘借入金は、返済による減少しか期中増減がなかったので、逆に見落としがないか心配になりつつという感じでした。続いて、┗超伴入、商品の仕入れによる支出に取り掛かりましたが、債権債務の資料が面倒に感じ、とりあえず当期商品仕入高を解答しました。このあたりで20分を少し経過していたので、現金及び現金同等物の期末残高は差額で算出かなと思い、外貨建取引が売掛金の為替予約しかないことを確認し、Π拌愃溝擦魏鯏しました。ここでほぼ30分になったので第二問に進んでいきました。

結局、┃は空欄、は前渡金を考慮しなかったため、Г詫価証券利息を考慮しなかったために不正解で、残り8箇所は転記ミス等がなければ正解のようです。
感想としては、C/Fを絡めた推定簿記問題としては、売上・仕入の債権・債務はとっつきづらく感じましたが、それ以外は比較的に素直な感じで、逆に何か見落としがあるのではと少し心配になるくらいでした。発表されているボーダーラインをみると、12〜17点ということですので、落ち着いてやれば、7〜9箇所は正解できるのかなと思います。


(第二問 問1)
建設業会計は、
―仟衢汁柤静世箸靴撞鵑欧蕕譴討い拭奮里「周期的な観点から」という理由でした。同じ理由で挙げられていた本支店会計は出ませんでしたが・・・)
∋駑繊峭事の明細」もそれほど複雑ではなかった
以上から、比較的順調に解き進められました。A、B、Cの各工事ごとに完成工事高、完成工事原価、未成工事支出金、未成工事受入金、完成工事未収入金を計算し、集計して解答記入しました。
税務上の処理、知りませんでした。だから、逆に悩まずにすんだのかもしれません。

工事損失引当金は、「松本試験委員は引当金会計に関心がある」というようなことを読んだような気がしたので、「こういう形で出してきたか」と思いましたが、工事損失引当金の算出方法がすぐにはわかりませんでした。とりあえず、請負価額270,000から再計算後の工事原価見積額280,000を引いて、△10,000となったので、引当金=引当金繰入額を10,000として、営業利益を計算したら、△2,600で営業「損失」になってしまうので、「???」と思いました。そこで、「工事損失引当金繰入額は『特別損失』と判断し、繰入額を除いた差額計算で7,400を営業利益としました。

答え合わせの結果は以下の通りでした。
ス事損失引当金繰入額は、「『将来の』損失見積額を繰り入れた工事損失引当金を設定する」という問題指示(TAC解答解説会での解説によると、『将来の』がキーポイントだそうです。)に反したため不正解
Ρ超藩益は、自分の場合は特殊かもしれませんが、工事損失引当金繰入額を特別損失と判断して計算対象外にしていたので不正解(イ魎岼磴辰燭里如仮に計算対象にしていても不正解でしたが)

自分の場合、工事損失引当金繰入額以外は自信があったので、工事損失引当金繰入額が特別損失なら、営業利益も正解と淡い期待を抱いていました。ゼネコン等の有価証券報告書を調べたら、工事損失引当金繰入額を特別損失として計上している例しか見当たりませんでした。また、試験委員もこれを「特別損失」と判断できたのかを見ようとして、Δ髻崚期純利益」でなく「営業利益」としたのかなと思ったりもしました。
しかし、よく考えてみると、
ー益と費用の対応(?)
何よりも、解答要求は「損益計算書(一部)なので、営業利益の上にあるからには、営業費用以外の何ものでもない
ということに、思い至りました。決算整理後T/Bならば、特別損失もありえたかのでしょうか?

TACと大原の解答解説会でも、第二問 問1については、工事損失引当金繰入額、営業利益以外は確実に取ってほしいということでした。
TACでは、「工事損失引当金の処理ができて、第二問の問1で14点とれたら(7箇所すべて正解)、(問2との絡みで)合格に限りなく近づく」とも言っていました。
以上、長くなりましたが、第二問 問1についての感想(ほか)でした。


(第二問 問2)
第二問 問2についてですが、まずはBOX図に原価ベース、売価ベースを記入し、資料の期末棚卸売価3,300に原価率を乗じて、いったんは解答を記入しようとしました。
しかし、問題をもう一度よく読んでみると、「棚卸しは正常売価(寝入れ時点の価)による」とありましたので、残高数量40×値入れ時点の売価95.0=3,800を期末棚卸売価として、売価還元平均原価法による商品期末棚卸高、売価還元低価法による期末商品単価を算出しました。

次いで、同様に、期末棚卸売価3,800、期末実地棚卸売価3,420、差し引きで期末棚卸減耗売価380として、棚卸減耗費、売上総利益を算出しました。
このあたりで、問1と合わせて25分が経過しようとしていたので、はあきらめて、第三問に進むこととしました。

各校の解説によると、この問2は難解とのことでしたが、落ち着いて問題を読んで、その指示通りに解ければ(試験時間中は無理でしたが)、そんなに難しい問題ではないのかも知れません。
確かに、売価に基づく棚卸しに、「正常売価による棚卸」と「期末実勢売価による棚卸」があると聞いたことはなかったし、そのような演習問題を出題している例はなかったように思いますが・・・
第二問 問1の工事損失引当金と同様、問題指示を落ち着いて読めるかどうかが試されたのかなという気がします。会場で答案用紙が配られ、受験番号等を記入するとき、「製造原価報告書」とあったので、「あ〜、製造業会計か」と思いました。そのままですが・・・


(第三問)
会場で答案用紙が配られ、受験番号等を記入するとき、「製造原価報告書」とあったので、「あ〜、製造業会計か」と思いました。そのままですが・・・
 第三問へ突入した時点で、残り約65分くらいでした。
 3年連続の「3月中取引+修正・決算整理」ですが、自分の場合は、解答しようとする論点ごとに(例えば、現金)、3月中取引→修正・決算整理まで一気にやってしまう解き方を採用しました。
 まずは、問題を最後まで一読して、留意事項や、修正・決算整理事項で、どんな論点が問われているかをチェックしました。続いて、解答要求事項を確認しました。
 そこでの感想は、
・【資料1】製造に関する資料は、とりあえず読まずにとばしておこう・・・
・「現金」と「預金」が別建てだなあ・・・
・修正事項の(1)買掛金の処理は、何だか面倒くさそう・・・
・見たこともない論点はなさそう・・・
でした。

 実際の解答手順ですが・・・
 まずは、\宿頁箴綛發ら、3月中の取引で、消費税と値引きに注意して、増減額を2/28現在T/Bに記入し、修正・決算整理事項で動きがないことを確認し、答案用紙に記入しました。
 次いで、解答欄順に、当期製品製造原価と(  )は、計算に手間がかかると思い、とばしました。
 次は、通常なら、修正・決算整理事項の順に沿って、現金預金から手をつけるのですが、3月中取引で、小切手による回収で、現金と預金の間で動きがあり、面倒くさそうだったので、後回しにしました。
 よって、「期末棚卸等に関する事項」により、ぞι覆燭焚係彩彗察↓ゾι閉祺蘇床疎察覆噺軫А砲鮨涓鬚砲茲蠏彁擦掘端数が出るけどいいのかなと思いながらも、解答記入しました。

 次いで、「社債に関する事項」により、社債発行差金償却を解答しました。
 次いで、「投資有価証券に関する事項」により、有価証券利息、投資有価証券評価損、嘉蟷駘価証券、21株式等評価差額金を解答しました。実は、ここで、自分の算定した帳簿価額と、T/Bの数値がなかなか合わず、思ったよりも時間がかかってしまいました。というのも、「前期末」の「評価前帳簿価額」であることを最初見逃していたことが最大の原因でした。また、利息法で年2回利払のため、9月末にD社債の償却原価計算を行っていることも当初失念していました。

 残念なのは、2月前の帳簿価額を合わせるのに時間がかかってしまったため、当該資料を一読したときに、「B株式は非上場株式だから、時価評価はしないな」と感づいたにもかかわらず、実際の当期末の評価をする頃には失念していて、時価評価してしまい、欧21を落としてしまったことです。
 ということで、今回の有価証券は、減損処理が損金として認められない設定になっているなど、結構「くせ者」だと思います。

 次いで、「貸倒引当金に関する事項」は、売掛金等が未処理なので、当然後回しにし、「賞与引当金に関する事項」により、製造原価となる賞与引当金繰入額を、「また端数が出るなあ」と思いながら算定し、その他の労務費が3月中の支払による動きしかないことを確認して合算し、23労務費合計額を解答しました。
 次いで、「減価償却に関する事項」ですが、まずは修正事項の車両の買換を処理し、固定資産売却損を解答しました。続いて、各固定資産ごとに減価償却費を計算し、問題用紙中の表の右側余白に、損益計算書計上分と製造原価報告書計上分に分けて記入(この際、車両の買換による計上分も記入)し、合算して、Ω魂曾却費(P/L)、24減価償却費(C/R)を解答しました。器具備品が取得価額の5%までの減価償却費を計上することになるというところはそれほど悩みませんでした。

 ところが、機械は「定額法」なのに、期首帳簿価額に償却率を乗じるという超単純ミスをしてしまい、24減価償却費(C/R)は失点してしまいました。定額法についても償却率が与えられていたので、つい・・・といったところでしょうか。
 あと、この段階で、閏嵶庄身其颪皺鯏しています。
 記憶が定かではないですが、ここまで来て、残りあと15分くらいだったでしょうか。よって、未解答事項のうち解けそうなものということで、まずは、3月中取引と「銀行勘定調整に関する事項」をもとに、消費税に注意して、22当期材料仕入高を解答しました。

 次いで、売掛金に取り組みました。3月中取引と「貸倒引当金に関する事項」から、売掛金の増減を拾い、計算用紙にT勘定を記入して、解答しました。
 次いで、廓祿欟發癸碍鄰罎亮莪から増減を拾い、計算用紙にT勘定を記入しました。ここで、少し考え込んだのが、修正事項(1)の振込手数料に関連した修正処理です。結局、振込手数料は仕入先負担だから、営業費として処理してしまった分は買掛金の減とすべきと思い、解答しました。

 このとき、検算のためというか、逆に仕入先がどう処理するかを考えました。すなわち、現金預金の論点でよく出てくる「振込手数料の負担分を差し引かれて、売掛金が振り込まれた」場合を想定し、(金額も仮定)
 (現金預金)99 (売掛金)100
 (営業費)  1
なのだから、振り込んだ方は、
 (買掛金)100 (現金預金)99…買掛金振込時
         (現金預金) 1…振込手数料月末引落時
と考えて、本問の修正仕訳は、
 (買掛金)126 (営業費)  120
         (仮払消費税) 6
でいいのだろうと思いました。

 このあたりで、残りあと10分ぐらいでした。
あと、できそうなのは、現金と預金でした。3月中取引と「銀行勘定調整に関する事項」から、小切手による回収12,701のその後の期末における状態に注意しながら、それぞれ計算用紙にT勘定を記入し、解答しました。危なく、間違えそうになったのが、「保有社債の受取利息の振込入金がある」について、有価証券の利札⇒現金という思考回路が働いて、最初は現金に加算してしまったのですが、もう一度見直した際に、「振込入金」に気づいて、現金から預金へと修正しました。ちょっとしたトラップのつもりだったのでしょうか。

 ここで、残りあと5分くらいでした。当期製品製造原価、(  )、貸倒引当金繰入額、法人税等調整額、扱延税金資産、缶なЬ暖饑播、25期末仕掛品たな卸高、の7箇所が手付かずでしたが、18箇所解答なら御の字と思い、問題用紙に解答した数値を記入していたので、答案用紙と照合する見直し作業に入りました。(ちなみに、第二問で、記入の順番を間違っていた箇所を発見し、あわてて修正しました。そのままであれば4点を失うところでした。)

 結局、第三問は、解答記入した18箇所のうち、ゾι頁箴絽恐舛鮠ι閉祺蘇床疎擦噺軫Г靴燭燭瓠↓嘉蟷駘価証券と21株式等評価差額金を非上場のB株式を時価評価してしまったため、24減価償却費(C/R)を機械の定額法処理の際に期首帳簿価額に償却率を乗じたため、間違えました。
 全体的な感想としては、仕掛品、製品の計算には手をつけられませんでしたが、有価証券以外は複雑な資料はなかったのではないでしょうか。解答要求箇所がはっきりしているため、割と部分部分の攻略、各受験対策校がいうところの「問題の取捨選択」が重要であり、かつ可能な問題だったと思います。

 繰り返しですが、
 有価証券の資料で、
・「評価前帳簿価額」が「前期末」のものであること
・時価と実質価額が同一欄になっており、非上場であるB株式は実質価額と考えなければいけないところ、時価と誤認しやすいこと
のほか、
 いわゆる有価証券の利札の処理が、「振込入金」であること
が、ちょっといやらしいなというのが、第三問の感想です。